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異世界転移 ~魔を狩る者~  作者: 緋色火花
第二章 港町・アシュリナ編
213/405

閑話・勇者一行編 負の種 前編

お疲れ様です。


って言うか、お知らせするのを忘れていました><


今日と明日のお話は、勇者一行の閑話となります。

前後編となりますので、楽しく読んで頂けたら幸いです^^


ブックマークや感想など宜しくお願いします。

是非っ!宜しくお願い致します。

また、ツイッターなどのフォローして頂けると、

非常に嬉しく思います。



それでは、閑話・勇者一行編・前編をお楽しみ下さい。

お、俺の名は・・・。


「ペネトレー・マハナ・エル・ドリエント・マカフォリアス・マグナ・

 シルオルティウス・カローナマイトス・イサ・レゼントだ」


どうだ?格好いい名だと思わないか?

はっはっはっ!そうだろ、そうだろっ!

この雷帝の勇者様の名だからな~・・・

だからきっと、お前達も俺に憧れている事だろうぜ・・・。


ハッハッハッ!人気があるってのは~・・・ツライモノだったんだな♪



はぁ~・・・でもよ~・・・。

ユウトの兄貴からは何故か・・・「ジュゲム?」と、呼ばれている。


・・・って言うか、「ジュゲム」って一体何だよっ!?

ま、まぁ~兄貴の着けた名だからな?

た、多分兄貴の居た異世界では、物凄く格好いい名なんだと思うっ!


しかし短い名なんて・・・格好いい名とは言えないんじゃ・・・?

ん~・・・ハッ!わ、わかったぞっ!

じ、実はきっと・・・短い名の方が兄貴の世界では格好いいのかもっ!

そうだ・・・そうに決まってるぜっ!


はっはっはっ!全く~・・・兄貴も人が悪いぜ・・・

でも俺の潜在能力を見破るとは・・・流石はユウトの兄貴だぜっ!


それでまぁ~人は俺の事を・・・

「雷帝の勇者」と呼ぶっ・・・て言いたいところだが、

・・・じ、実は「負の勇者」の方がゆ、有名だったりする・・・

かなり複雑な気もするんだが・・・。


いや~でも・・・やっぱり長い名のほうが・・・って・・・。

こ、この話は兄貴達には秘密な?なっ!?なっ!?


い、いや・・・ちょっと待てっ!お前達・・・はやまるなっ!

フッフッフッ・・・俺にしてはいい妙案があるぜ・・・。


ん!?聞きたいのか?・・・フフフッ、では教えてやろうではないかっ!

今後俺はこう名乗ろう・・・「俺の名は・・・ジュゲムの勇者っ!」ってな?

・・・ふふ~ん・・・何だかかっこよく・・・ね?

ユウト兄貴のセンスに、このジュゲムの勇者は感無量だぜっ♪


ってな訳でだな・・・。



「こらぁぁーっ!バカ勇者っ!」


「・・・げっ!」


突然聞こえてきた怒号に、その声の主が物凄い速度で勇者に迫ってきた。


「うわっ!ま、待てっ!クトゥナっ!?」


クトゥナが足を止めた瞬間、その短剣が勇者の喉元に突きつけられていた。

不機嫌な顔を見せていたクトゥナは、「ギチギチ」っと歯を食い縛りながら、

苛立ちを隠そうともせず口をひら・・・・ん!?


・・・コホン・・・口を・・・開こうともせず言葉を吐いた。


「あんた・・・この忙しい時に、一体一人で誰としゃべってんのよっ!?

 もう最近のあんたを見てると、謎の生物としか思えないんだけどっ!?

 って言うか、どうしてあんた・・・手ぶらなのよ?

 あんた勇者でしょっ!?バカだけど・・・勇者よねっ!?バカだけど・・・」


その辛辣なクトゥナの言葉に、勇者は泣きそうになっていた。

(・・・うぅぅ・・・ゆ、勇者なのに・・・勇者なのに・・・)


「あんたが居ないと話が進まないって言うか・・・。

 バカなあんたでも、ユウト様を探す事くらい出来るでしょうがっ!」


散々言われた挙げ句、勇者はクトゥナに引きずられるように消えて行った。


それから勇者一行は冒険者ギルドの2階の会議室へ行くと、

そこにはもう主な人達が集まっていた。


「ほらっ!見なさいよっ!私達が一番最後じゃないのよっ!」


怒るクトゥナはフォルティナに背中を押されながら席に着くと、

ギルド職員も参加しての、会議が行われた・・・。

そしてその結果・・・何班かに分けて悠斗を捜索する事になったのだ。


冒険者ランクによっても街の中と街の外と分ける事となり、

街の中を捜索する低ランク冒険者達は早速捜索へと乗り出した。


そして会議が終わり階段を降りようとした時だった。

勢いよく階段を駆け上がってきたシーバが勇者に声をかけてきた。


「ちょっ、ちょっと待ってくれ・・・勇者の旦那っ!」


「ん?俺の事か?」


「い、いや、あのですね?他に勇者っていねーと思うんでやすけど?」


「・・・あはははは。確かに俺が勇者だっ!」


(こ、この人・・・ほ、本当に大丈夫でやす・・・かね?

 あっしは不安でならねーんでやすが?)


そんな会話をしていると、勇者達の背後からウェズンが声をかけると、

一同が恐る恐る振り返った。


「お前らこんな所でっ!・・・さっさとユウトを探しに行けっ!」


不機嫌な顔をしたウェズンがそう言うと、シーバが待ったをかけた。

眉をピクリとあげたウェズンだったが、渋々事情を聞く事にした。


「ギルマス・・・こ、これ・・・ユウト兄貴の寝ていた職員用の部屋に・・・」


そう言って、シーバはギルマスに手紙を渡した。

ウェズンはその手紙の表に乱暴な文字で書かれていた・・・

「ジュゲムへ」そう書かれた文字を確認すると、勇者へと手渡したのだった。


内容を確認すると・・・。


「うわっ!きったねー字だな~?」


その言葉にクトゥナとウェズンが、勇者の頭に拳を落としたのだった。

痛みを堪えながらもその内容を確認すると・・・。


「・・・・・!?」


その勇者の表情を見たフォルティナが、

いち早く勇者から手紙を奪い取ると、此処に居た者達に読んで聞かせた。


「・・・・・リアーナに会ってこい」


ただその一言だけ・・・。

それだけが乱暴な文字で書かれていたのだった。

(ユウトのヤツ・・・苦しみに悶ながらも、私達に気を遣って・・・)


「ユ、ユウトの・・・兄貴」


その手紙を見た勇者は、

血相を変えるとまだ会議室に居るであろう、

運命神・チタニアのもとへと駆け出した。


するとチタニアは優雅に紅茶を口にしていたのだが、

事情を聞き、手紙を見たチタニアからリアーナが居る村を聞くと、

ウェズンに承認してもらい、すぐにその足で出発して行った・・・。


チタニアの話ではここから高速馬車で西に4日走った所に在る、

「ミューレ」と言う村に居るらしい。


養蚕業(ようさんぎょう)が盛んで、

この村の絹糸は高品質で高値で取引されている・・・。

そんな村に、勇者一行の仲間であるリアーナが居た。

勇者一行ははやる気持ちを押さえながら高速馬車に乗り込むのだった。


(待ってろよ・・・リアーナっ!)



それから4日後・・・。


勇者一行はリアーナが居るとされている、

「ミューレ」と言う村に到着したのだった。


時間はもうすぐ夕方の4時になろうとしていたが、

この村の景色がとても最高と言えるほどの村だったのだ。


養蜂場としても成功を収め、王都にもその評判が聞こえるほどの村・・・。

そんな場所にリアーナは・・・保護されているらしい。


少し歩くと一面花が咲き乱れる場所に出ると、

クトゥナとフォルティナがその花景色に見惚れていた。


「ねぇ~フォルティナっ!こんなに花が咲き乱れてるわ・・・」


「はっはっはっ!そうね~・・・こんな村もあったのね~?」


クトゥナとフォルティナがその景色に酔いしれていたが、

勇者は景色など見る気もなかった。


(は、早くリ、リアーナを探さなければっ!)

「み、みんな・・・悪いが俺は先に行かせてもらうぜ」


勇者は(はや)る気持ちを押さえられず、

仲間達を置いて探しに行ってしまった。


そんな勇者を見ていた仲間達は・・・。


「まぁ~・・・気持ちは分かりますけどね?

 私も含め気持ちは同じだと思いますが、自分を責めているのでしょうな」


「そうね?バカはバカなりにって事かもしれないね~?

 あいつはいい男になれる素質は持っているんだが・・・

 卑屈なところが・・・ね~」


「まぁ~私も気持ちは分からなくでもないが、

 そう神経を張り詰めていてはな?」


各々が勇者を見てそう感想を漏らすと、

それぞれもまた散り、リアーナを探して回るのだった。


勇者は畑仕事をしている老人にリアーナの事を尋ねると、

あからさまに訝しい顔をして勇者を見つめていた。


(ほぉ~?こんな所で思わぬ獲物に・・・)

「ああ~その娘だったら、蚕を飼っている洞窟で世話をしておるが?」


勇者の表情は一転して笑顔を浮かべ礼を述べると、

老人に言われた洞窟へと駆け出したのだった。


駆け出した勇者の背を薄気味悪い笑みを浮かべた老人は、

念話を使用し何者かに連絡を取った。


(わしじゃ・・・思いがけない獲物が紛れ込んだぞ?

 そうだ・・・いつものように・・・な?

 ん?ああ~・・・新入りの初仕事にも丁度よかろう・・・。

 ふむ、ではいつもの時間に例の場所でな?)


念話を終えた老人は怪しく笑みを浮かべたのだった。



(リアーナっ!リアーナっ!待ってろよっ!)


勇者はどんどん山の奥へ入り、その洞窟を探していた。

暫く進んで行くと洞窟が見え、安堵の息を漏らすと、

洞窟の中から大きな(かご)を抱えた女が出てきた。


「リ、リアーナっ!?」


そう叫び駆け出した勇者は、その女の前に立つと、

目を潤ませ涙を流し心から侘びたのだったが・・・。


「あの~?どちら様でしょうか?」


「・・・えっ!?」


この瞬間勇者の頭の中は真っ白になっていた。

今のリアーナは記憶を失くし、この村で保護させている事を、

すっかりと忘れてしまっていたのだった。


「・・・お、お前、な、何言ってんだよ?

 俺だよ・・・忘れたのかっ!?」


「も、申し訳ありません・・・わ、私は記憶を失くしてしまい、

 サーマン様の庇護の下、この村に居させて頂いている身なので・・・」


ショックで何も言えなくなった時、後方からダンケルがやって来たのだった。

そしてダンケルは放心状態の勇者に代わり、事情を説明すると、

一緒に村へと戻って行くのだった。


(これは予想以上に精神にダメージ・・・困りましたね~)


勇者を休ませた後、ダンケルはクトゥナとフォルティナに念話を送ると、

急いで駆けつけてきた。

再びダンケルはクトゥナ達に事情を説明したのだった。



そしてその夜の事だった・・・。


勇者一行が村に来ていると言う情報を聞きつけた村長が、

勇者一行にもてなしの宴を開くのだった。


それに参加した勇者一行は、村長の話に耳を傾けていた。


「彼女は・・・チタニア様に連れられこの村に来たのですが、

 チタニア様のお話では、事故に合い記憶を失くされていると・・・。

 私共にそう説明して下さいました」


この時のチタニアは操られており、それを理解はしていた勇者達だが、

納得出来るモノではなかった。


(わ、わかってる・・・あの時のチタニア様の状態はわかってるっ!

 だ、だが・・・胸の奥の方でしっくりと来ちゃいねぇーっ!)


(仕方がない・・・そう思うしかないのはわかってるのよ・・・。

 だけどこのモヤモヤは・・・なんなのっ!?)


(んー・・・頭では納得出来ているんだけどね~?

 素直に飲み込めないのも事実・・・まいっちまうね~?)


(・・・私も操られていた一人・・・

 だからどの口がと・・・そう言われるかもしれませんが、

 潔く割り切れる事ではないのですよ)


各々(おのおの)がそう思う中、村長の話は続いていた。

そして意外な話を耳にしたのだった。


「この村にチタニア様が来られたのは偶然ではなく、

 私共の村が・・・「医神・サーマン様」の庇護下にある、

 そんな村だからとおっしゃっておりました」


「医神・サーマン・・・様っ!?」


「はい、チタニア様は別段何もおっしゃいませんでしたが、

 この村が医神様の庇護下であるが(ゆえ)

 彼女を私共にお預けになられたのでしょうな?」


「ま、まさか・・・そんなっ!?」


驚きを隠せない勇者達・・・

あの時のチタニアの状態を知る者達にとっては、

信用出来るモノではなかった。


勇者達は真実を話そうかと迷っていると、

勇者がリアーナの件で話を聞いた老人が会話に入ってきたのだった。


「皆様・・・失礼致します」


「あ、あんた・・・先程の?」


「はい、バハットと申します。

 先程は勇者様とは露知らず、大変無礼を働きましたが、

 無礼かと存じますが、こうして参りました」


正座し深々と頭を下げるバハットに勇者もその礼に答えたのだった。

そしてそのバハットから追加情報が聞けた。


「もうわしの若い頃の話なのですが・・・。

 チタニア様とサーマン様はとても仲がお宜しく、

 何度かこの村へとお二人でお越しになられておりました」


その話を聞いた勇者達は、ダンケルの念話を通じて、

心の中で会話をしていった。


そしてその結果「信じて良いのでは?」と、そう結論づけると、

納得せざるを得なかったのだった。


その日は結局何もなかった。

リアーナは医神・サーマンに明日診てもらうとの事で、

宴には参加せず、そのまま就寝したようだった。


そして勇者達はその宴の後、村長に用意された小屋の中で、

仲間達と意見交換をしていった。


そして最初に話を切り出しのは・・・勇者だった。


「な、なぁ・・・ちょっといいか?」


改まったその物言いに、仲間達は耳を傾けると・・・。


「結論から言わせてもらうが・・・。

 リアーナはこの村に居た方が幸せなんじゃねーかって・・・

 俺は勝手にそう思っているんだが・・・みんなはどう思う?」


勇者から出た言葉に、仲間達は開いた口が塞がらなくなっていた。

話に対して何も反応がない勇者は、驚いた表情を見せながらこう言った。


「な、何だよ・・・な、何で黙ってんだよ?

 俺・・・何かおかしい事でも言ったか!?」


そんな様子にダンケルが優しい笑みを浮かべながら答えた。


「はっはっはっ・・・これは驚きましたな?

 まさか自分勝手で人に相談しない貴方が・・・

 こうして意見を求めてくるとは・・・

 ユウト様に出会われて、貴方も成長なされたのでしょうな?」


そのダンケルの言葉にクトゥナやフォルティナも微笑みながら頷くと、

勇者は急に恥ずかしくなり、顔を背けてしまった。


「フフッ・・・そう照れる事もないわよ?

 ユウトに出会えてあんたも勇者として自覚を持ったって事なんだろうさ。

 だから胸を張って堂々としてりゃ~いいのさ」


「ああ、そうだな。私もフォルティナに同意する。

 お前はユウトに出会えた事で、真の勇者として成長しているのだと思うわ」


その仲間達の言葉に、勇者の目から一粒の涙がこぼれ落ちた。


その後、落ち着きを見せた勇者は、話を戻し意見を求めると・・・。



「そうだね~・・・私も同じ意見で、この村に居た方がいいと思うわね。

 今更戦いに身を置く必要もないからね~」


まず話を切り出しのはフォルティナだった。

そのフォルティナから視線を向けられたクトゥナが口を開いた。


「私は・・・ユウトの聖域で働いてもらえれば・・・そう考えているわ」


「・・・そう思う理由ってのはなんだ?」


「フフ・・・だって、ユウトの聖域に居たほうが、

 気も休まるし、仕事だってたくさんあるわ。

 それに・・・これが一番大切なんだけど・・・。

 きっと、退屈しないと思うからよ♪」


「はっはっはっ!た、確かにそうかもね?」


大声で笑ったフォルティナにダンケルまでもが笑っていたのだった。

勇者も苦笑して見せると、クトゥナはダンケルへと視線を送った。


すると意外な事に、ダンケルは悲しい表情を浮かべると、

静かに口を開いていった。


「確かにクトゥナさんの言う通り、ユウト様の聖域でと・・・

 そう思わなくはありません。

 ですが、私は彼女にはもう戦いに身を置かれない方がいいかと・・・。

 元々彼女は心根の優しい女性だ。

 それに今は心静かに額に汗し、ここで生活してもらう方が、

 私は安心出来るのですよ。

 ユウト様と共に・・・確かにそれも良いとは思えますが、

 考えて見て下さい、あの御方と一緒に居たのならば、

 必ず戦いに巻き込まれてしまいます。

 ですから、私は・・・」


ダンケルのその切ない眼差しに勇者達は納得すると、

このミューレの村で心穏やかに過ごしてもおうと決めたのだった。

平和で医神・サーマンの庇護下に在るこの村なら・・・と。


すると勇者がふと話を始めた。

その勇者の視線の先に、まるで誰かが居るように・・・。


「俺・・・またユウトの兄貴に借りを作っちまった・・・

 情けねぇー話だぜ。勇者なのによ?

 兄貴は俺より全然年下だぜ?

 それなのによ・・・俺は何を今までやってきたんだうな」


その勇者の言葉には仲間達も当然同意だった。

だがそれは勇者にだけではなく、各々が当てはまる事だったのだ。


しんみりとする中、今度はクトゥナが口を開いた。


「私達だって・・・同じようなモノよ。

 ユウトには・・・いえ、ユウト様には助けてもらってばかり。

 サウザー様も同じ様な事を言っていたでしょ?

 いつも助けてもらっても、私達はその恩すら返せないでいるわ。

 だから、あんただけがそう思っているんじゃない。

 私達みんな・・・。この勇者パーティー全員が同じ事を思っている。

 その事を忘れてないね?

 あんたは・・・一人じゃないんだから・・・」


仲間のその優しさに、再び勇者は・・・

いや、その勇者は隠す事もなく・・・号泣したのだった。


そして泣きじゃくりながらこう言った。


「・・・ありがとう」・・・と。



夜もふけ、勇者達が寝静まった頃・・・。


洞窟があった近くの小屋に明かりが灯っていた。

そしてその中では密談が行われているようだった。

勇者達にチタニアとサーマンの話をしたバハットがその中心に居た。


「良いか?お伺いを立てたところ、いつものように・・と、

 そうあの御方が言われた。

 従っていつものように・・・種を・・・勇者に・・・の?

 おお~・・・そうだ・・・忘れておった・・・これを・・・」


そう言うとバハットは紙袋に入ったモノをある男に手渡したのだった。

すると受け取った男は不安な表情を浮かべつつ聞いた。


「・・・これは?」


「フフフ、これはな?あの御方に頂いた新薬の魔法薬じゃ・・・。

 これを飲ませさえすれば、

 その者はわしらの思い通りに操れるそうじゃ。

 誰でも良いから隙があれば飲ませるのじゃ・・・よいな?」


「「「「「はっ!仰せのままに・・・」」」」」


黒装束に身を包んだ者達がその小屋を出ようとした時、

バハットから再び声が掛けられた。


「よいか?いつもの事とは言え、村長達にバレぬようにな?」


男達は何も言わずそのまま夜の闇に溶けて行ったのだった。


「フフフ・・・いい手駒になるといいのじゃがな?」




悠斗 ・・・ ど、どうして俺がこんな所へ・・・ども、悠斗です。

カロン ・・・ ういーす、カロンだ。

悠斗 ・・・ ・・・・・。

カロン ・・・ つーか、何かしゃべれよっ!?

悠斗 ・・・ わかった・・・コホン・・・休み・・・くれ

カロン ・・・ あ~・・・それな?確かにそれはそうだと思うけどよ?

悠斗 ・・・ いい加減休みくれないと・・・引きこもるぞっ!

カロン ・・・ いやいや、もしそうなってもよ?別にやる事ねーだろうが?

悠斗 ・・・ はっ!た、確かにっ!この世界にはウォウズないんだった・・・

カロン ・・・ だろっ!?つーか・・・なんだそれは?

悠斗 ・・・ し、知らないのかっ!?あの・・・か、神の存在をっ!?

カロン ・・・ なっ、か、神・・・だとっ!?

悠斗 ・・・ ああ、お前にも教えておいてやろう・・・

カロン ・・・ そうだな?相手が神なら俺も知っておかなければ・・・な。

悠斗 ・・・ 俺の信仰する神は・・・WG(ウォー・ゲーミング)は神っ!なのだーっ!

カロン ・・・ ふむ、何かわからんが・・・すごい御方なのだろうな?

悠斗 ・・・ ああ、何せ・・・俺が唯一信仰する神だからなっ!

カロン ・・・ 俺も仲間に入れてくれっ!

悠斗 ・・・ ああ、歓迎するぜ・・・カロンっ!



ってなことで、緋色火花でした。

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