159話 新たな聖域と恋愛事情・・・。
お疲れ様です。
最近暖かい陽気が続きますね~?
このまま春らしい気温になってくれればいいのですが・・・。
コ○ナもまだまだですし・・・。
キャンプ&カラオケに行きたい今日この頃です><
ブックマークや感想など頂けたら、
非常に嬉しく思います^^
それでは、159話をお楽しみ下さい。
進化したククノチの姿を見たミツチは驚愕したまま硬直していた。
すると、階段を駆け上がり息を切らせながら
ボーラが走り寄って来ると・・・。
「ユウト様、大変申し訳ありませんが、
至急地下の闘技場までお越し願いませんか?」
「ん?別にいいけど、どうかしたの?」
「はい、その・・・実はですね・・・。
カロン様がユウト様を呼んで来てくれと申されまして・・・」
ポーラは少しおどおどとした様子を見せていた。
悠斗はその表情を見て察したのだった。
「なるほど・・・だいたいわかったよ」
「・・・そ、そうですか?」
「ああ、だいたい・・・ね」
悠斗はサウザー達に話し、少し待ってもらえるかと頼むと、
サウザー達は同行させてもらえないかと申し出るのだった。
仕方がなく了承した悠斗はサウザー達を連れ、
地下にある闘技場へと向かうのだった。
(まぁ~予想はつくけどね~・・・どうせアレだろ?)
そして地下の闘技場へと到着すると、
カロンが悠斗を見て笑みを浮かべていた。
「ユウトっ!あの時は負けたが、今度はそうはいかねーからな?」
子供のような無邪気な笑みを見せたカロンに、
悠斗もまた笑みをこぼしていた。
「ははは・・・あ~・・・やっぱりな~♪」
そんな二人を見ていたウェズンに悪寒が走り抜けると、
カロンと悠斗の間に割って入り慌てて口を開いた。
「ちょ、ちょっと待ってくれよっ!
ここの闘技場は修復したばかりなんだ。
だからお前らがここで暴れたらまた壊れるじゃねーかっ!
か、勘弁してくれっ!」
顔を青くしながら訴えかけてくるウェズンに、
悠斗は苦笑いを浮かべた。
「なぁ、カロン・・・聞いての通りだ・・・どうする?」
カロンはそんな悠斗の問いに、少し考えると・・・。
「そうだ・・・アマルテアに連絡取れないか?」
「あ~悪い、今、あいつらの邪魔はしたくないんだけど?」
「・・・なんだよ~全くっ!面倒臭せーなっ!」
悠斗は少し理不尽な物言いだとは思ったが、
カロンの気持ちは理解出来るため、何も言わずにいた。
すると・・・。
「ユウト様、少し宜しいでしょうか?」
通信用の魔石を持ち、誰かと話しながら、
悠斗とカロンのいる場所まで歩いて来た。
{今から話をしてみます。少し待っていて下さい。
はい、はい・・・分かりました。そのままでお願いします}
通信用魔石を耳から話すと、悠斗とカロンに話を切り出した。
「ユウト様、そしてカロン様・・・。
もし良ければ模擬戦をする場所の提供は、
私どもの方でご用意できますが・・・いかがされますか?」
悠斗はそう提案してくれたロジーから、
視線をカロンへと移すと、親指を立て笑っているカロンが居た。
「・・・ロジー、じゃ~頼めるかな?」
「承りました」
そう言うと再び魔石通信を使い2人から遠ざかりながら、
誰かと話をしていた。
その様子を見ながら悠斗はカロンに近づき口を開いた。
「お前な~・・・少しは空気読めっ!
って言うか・・・どうしてこの街に入る前に言わなかったんだよ」
少し怒り気味に言った悠斗に苦笑いを浮かべながら、
カロンは謝ってきたのだが、反省などは全く感じられなかった。
「いや~別に忘れてた訳じゃねーけどな?
この闘技場を見たらつい疼いちまってよ~・・・はっはっはっ!」
「はっはっはっ!じゃないからなっ!」
(しかし場所を提供されてもな~・・・
どうせみんな来るとか言うんだろうし・・・どうしよう?)
困っていた悠斗に声をかけてきたのはアヤメだった。
「ユウト様、もしや移動手段や聖域の事でお悩みなのでは?」
アヤメの言葉にはっとした悠斗は・・・。
「あ~・・・そうか、聖域って言うか・・・
結界を張らないと大変な事になりそうだな~?」
「はい、ですからチタニア様にお願いすれば宜しいかと・・・」
「・・・ミランダじゃダメなのか?」
「ミランダ様は・・・言いにくいのですが、邪神の女神様なので、
通常の人族では長い時間をそこで過ごす事は難しいのではないかと?」
「・・・まじか」
「・・・はい」
その話を聞くと、ミランダの優しい笑みが頭をよぎった。
(あいつが人族に対して素直になれないのは、
そう言う事情もあるんだろうな~?)
悠斗はそう思うと少し胸を締め付けられる気持ちになったが、
気を取り直し通信用魔石でミランダに連絡を取った。
そしてカロン達に説明をしようとすると・・・。
「ギィギィー」と、神界の門が闘技場に現れ、その扉が開いた。
「やっほ~♪ユウト♪来ちゃった♪」
恥ずかしそうに登場したミランダが頬を染めていると・・・。
「ちょっとっ!早く行きなさいよっ!」
後ろから突き飛ばされる形となったミランダは、
派手に地面に倒れると、その姿を見て嘲笑うように、
神界の門からクロが出てきたのだった。
「フフフ・・・無様ですわね~ミランダ?」
「・・・あんた、今すぐここで・・・死にたいらしいわね?」
こめかみをヒクヒクさせたミランダが、
ゆっくりと冷笑を浮かべながら立ち上がった。
この地下の闘技場に居る全ての者達が、
その光景に固唾を飲んでいたのだが、
そんな生易しい状況ではなかった。
ウェズンとポーラはまた壊されるのかと嘆き、
ゼノは神達がこの場所で戦ったら、街が崩壊すると青ざめていた。
周りの様子を見ていた悠斗は深く溜息を漏らしながら、
二人の間に割って入った。
「はいはい2人ともそこまでっ!」
突然割って入ってきた悠斗にミランダは不満を漏らした。
「だってクロが私を突き飛ばすからっ!」
「分かってるって、後で俺の方からちゃんと言っておくからさ~?」
「うぅぅぅ・・・クロっ!後で覚えておきなさいよっ!」
ミランダのそんな言葉にも動揺を見せず、
クロは悠斗の傍に近づいた。
「ユウト様、その場所をわ・た・し・の力でっ!
聖域化すれば宜しいのですね?」
クロはわ・た・しと言う言葉を強調しながら、
悔しがるミランダを見てほくそ笑んでいた。
そんな2人に呆れながらも悠斗はクロに頼むのだった。
「あ、ああ・・・地形が変わったりしても困るからさ?
頼める・・・かな?」
「フフフ・・・誰でもないユウト様の頼みなのですよ?
私が断るはずも御座いませんわ♪お~ほっほっほっ!」
勝ち誇るクロに地団駄を踏んでいたミランダを
必死に宥める悠斗の姿がそこにあった。
それから少しの時間が経つと、ロジーが悠斗の元へとやって来た。
「ユウト様、準備はお済でしょうか?」
「あ、ああ・・・何とか・・・ね」
苦笑しながらそう答えると、ロジーはミランダとクロを見て苦笑していた。
「ご心中お察し致しますが、これもいいご経験かと・・・♪」
「あはははは・・・あ~あ・・・やれやれ」
(何の経験だよっ!俺は平穏な冒険者ライフを楽しみたいだけなんだよっ!)
そう叫ばずにはいられなかったが、
これ以上何かを言うと、またトラブルに発展しそうだったので、
ぐっと我慢するのだった。
ロジーは悠斗を連れクロの元へと行くと、
場所を詳しく説明していった。
「ユウト様は覚えておられるでしょうか?」
「えっと・・・ロジーが用意した場所の話?」
「はい、前に身を寄せた場所・・・つまり廃墟があった場所です」
まだアシュリナ邸に着く前に、
グレイン達と待ち合わせたあの廃墟の事だった。
「あ~・・・あそこか~、懐かしいな~♪」
「今、あそこの廃墟を買い上げ我らが領地と致しました」
「・・・我ら!?りょ、領地!?」
「ふふ♪ユウト様がお気にされる事ではありませんので♪」
「いやいやいやっ!
絶対それって俺が気にしないといけない感じだろっ!?
も、もうあれだ・・・。
不穏な空気しか漂ってこない感じなんだけど!?」
「・・・さて、参りましょうか?」
悠斗の言葉がまるで聞こえていないかのように、
ロジーは怪しい笑みを浮かべクロと何やら話をし始めたのだった。
「ロジー・・・俺の話聞いてる~?
ねぇ~ロジーってばーっ!?」
(・・・スルーされてるんですけどぉーっ!)
するとカロンがニヤニヤと笑みを浮かべ悠斗に近づくと・・・。
「・・・お前さんもあれだ・・・色々と大変なんたな?」
「いやいや、カロンさん、これはお前のせいなんだからな?
他人事かっ!?他人事なのかっ!?」
「はっはっはっ!まぁ~そう言うなよ、
こう言う事も人生においてはよくある事だからよ」
「・・・ねぇーよっ!」
そんな2人を他所に、ロジーとクロは話し合っていたのだが、
クロはロジーの示す場所がどこかも検討つかなかったのである。
「・・・ロジーとやら、ごめんなさいね?
私・・・地理にはかなり疎いものですから・・・」
本当に申し訳なさそうにしているクロに、
ロジーはライトを呼ぶと、地図をもらい地面に広げた。
「クロ様・・・場所はここになるのですが?」
「そうね・・・んー・・・わからなくもありませんが、
下手をすると街道の真ん中に出てしまいますわね?」
その場にしゃがみ込み、ロジーとクロが悩んでいると・・・。
「なぁ、クロ?俺は場所がわかるからさ、
一緒に転移すれば場所は特定できるんじゃないのか?」
「・・・それはいいですねっ♪さぁ、ユウト様・・・2人で参りましょう♪」
「えっと・・・う、うん」
クロはユウトの腕を掴むと、腕に絡みつきその身体に寄り添うと、
怒りの形相をしたミランダが悠斗の視線に飛び込んできたのだった。
「ユウト・・・あ、あんたっ!何やってんのよっ!
とっとと離れなさいよっ!
私のユウトが穢れるでしょうがっ!」
「あら・・・ミランダ、ヤキモチなのかしら?
みっともないですわね~・・・子供じゃあるまいし・・・フフフ」
余裕の笑みを浮かべるクロと怒りの形相のミランダに、
悠斗は軽い目眩を感じた。
すると・・・。
「おいおいっ!もうその辺で勘弁してやれよっ!」
苦笑しながら声をかけてきたカロンに、2人は目を見開いた。
「ちょっとっ!カロンじゃないっ!あんた・・・死んだんじゃないの!?」
「こらこら、俺を勝手に殺すんじゃねーっ!
・・・ん!?ミランダ・・・?
お前、今・・・俺の存在に気付いたのか!?」
ミランダとクロは互いに顔を見合わせると、真顔で頷いた。
「・・・嘘だろ!?チ、チタニアっ!さっき俺と目が合ったよなっ!?」
「えっと・・・あなたの存在には・・・たった今、気付いたところですわ」
「・・・えっ!?だ、だってよ?さ、さっき目が合ったよな?」
「・・・いいえ?どうして私があなたのような、
薄汚い男を見なくてはならないのですか?
私の瞳は常に・・・ユウト様のご尊顔のみ映っておりますの♪
お~ほっほっほっほっ!」
「・・・・・」
言葉を失ったカロンは既に放心状態だったが、
回復する前に悠斗とミランダとクロの姿はもうそこにはなかったのだった。
放心状態のカロンはこう思っていた。
(あ、あれ!?お、俺って確か・・・武神・カロンだよな?
元とは言え・・・容姿は何も変わっちゃいねー・・・。
あ、あれ!?神だったってのは・・・ゆ、夢・・・なのか?
あれ・・・?あれ・・・?あれぇぇぇぇーっ!?)
そこにはもう・・・。
かつて武神と言われた神の姿はここにはなかったのだった・・・。
そして時は5分ほど戻り・・・。
悠斗はクロと共に転移しようとした瞬間だった・・・。
「フッ!させないわっ!」
そう叫ぶのと同時に、ミランダは悠斗に抱きつき一緒に転移したのだった。
その光景を見た者達は・・・。
「なぁ、ポーラ・・・神って・・・何だ?」
「・・・ギルマス、それを考えたら・・・終わりだと思います」
「・・・そ、そうだな」
「・・・はい」
ウェズンとポーラはお互いに目を合わせる事もなく、
ただ3人が消えた空間を呆然と見ていた。
「レダ・・・」
「ん?どうした・・・ゼノ?」
「・・・好きだ」
「・・・そうか、私もだ・・・」
「「!?」」
「「はぁー!?」」
何の前触れもなく、ただ呆然としていた状態で、
ゼノは・・・つい・・・告白をしてしまったのだが、
レダも同様に無警戒の状態での質問に、ただ誠実に答えてしまったのだった。
そんな2人を見ていたククノチとミツチは・・・。
(ふむ・・・。人族って不思議な生き物だよな~?)
(そう?ロマンチックじゃな~い♪私もきっといつか・・・)
(おーい・・・ミツチさんや~?)
ククノチもまたそんなミツチに呆れるしかなかった。
そんな連中を見ていたサウザーは・・・。
「ふっ・・・これが若さと言うものか・・・私も嘗ては・・・」と、
昔懐かしいアンナとのラブロマンスを思い出していたのだった。
何故か・・・涙を流しながら・・・。
そして復活したカロンがそんな人族達の光景を見て思っていた。
(フッ・・・。俺もいつかはアマルテアと一緒に・・・。
だから俺は・・・寂しくないし羨ましくもないっ!)
目を閉じ笑みを浮かべるカロンに、アヤメから残酷な一言が告げられた。
(失礼ながらカロン様・・・)
(んっ!?アヤメか?どうした?)
(はい、今の心のつぶやきを少し訂正したく・・・)
(き、聞いていて・・・ごほんっ!まぁいい・・・
ん?訂正・・・だと?)
(はい、アマルテア様の想い人は・・・ユウト様なのです)
(ああ~・・・ユウトか・・・それは納得だな・・・って、まてーいっ!
ユウトだとっ!?だ、誰がそんなデマをっ!)
(デマではありません。周知の事実なのです)
(じ、事実だ・・・とっ!・・・かはっ!)
カロンは白目を剥くと、そのまま膝から崩れ落ち倒れてしまっていた。
(カロン様・・・これが現実と言うモノです)
それから少しの時間が流れた・・・。
「シュッ!」と、突然悠斗とクロが戻ってきた。
「ただいま~・・・」
一部を除いた者達以外は、「おかえり~」と、答えた。
床にうつ伏せに倒れているカロンの傍に、アヤメが微笑み、
何故かゼノとレダが・・・顔を真っ赤に染め茹だっていた。
首を傾げつつも、悠斗はサウザーに向き直ると・・・。
「サウザーさん、これから・・・って、サウザーさんっ!?」
サウザーを見た悠斗は、その頬に伝う涙に唖然としたのだった。
「あ、ああ・・・ユウト様・・・いかがされましたか?」
サウザーは自分の頬を伝う涙に気が付き、
それを拭うとまるで賢者のような透明感溢れる笑顔を見せたのだった。
「はっはっはっ、これは・・・心の汗ですよ、ユウト様」
「そ、そう・・・ですか。
わ、わかりました・・・。き、聞かない方がいい感じですね?
え~っと、では早速移動しましょうか?」
「・・・ええ」
顔を引きつらせたまま悠斗はクロに合図を出すと、
神界の門が出現し、一同が皆・・・その中へと消えて行った。
そしてカロンはゼノとレダに引きずられるように、
門の中へと姿を消したのだった。
そして神界の門から出た先は・・・。
「こ、これはっ!?」
そう言って驚きの声をあげたのはサウザーだった。
そしてその驚きの最中、ロジーへと視線を移すと・・・。
「ロ、ロジーっ!こ、これは・・・一体・・・」
サウザー達の目の前に在るのは、嘗て鬱蒼とした森林ではなく、
しっかりと整地された広い敷地と、
城のようにとても大きい屋敷が眼前にあった。
「お父様・・・内緒にしていて申し訳ありません。
完成してから・・・と、思っていたのですが、
予定を早め今日お父様にはお披露目となります」
「お披露目?お、お前・・・一体何を言っている?」
悠斗達が中へと入っていく中、
まだ一人呆然としているサウザーの前に、見知った者達がやって来た。
「はっはっはっ!サウザー殿っ!」
「・・・ベ、ベルフリード公爵っ!?」
笑い声をあげながら近づいて来たのは、グラフィス・ベルフリードと、
その息子、ナイアド・ベルフリードだった。
「お、御二人ともっ!こ、これは一体っ!?」
「はっはっはっ!驚くのも無理もないですな~
儂も今日知ったばかりなのですからな~♪」
「そ、そうなのですかっ!?
公爵も知られたばかりとは・・・いやはや何とも・・・」
ハンカチを取り出し、サウザーは汗を何度も拭いながら、
申し訳なさそうにその身体を縮こませていたのだっだ。
「サウザー殿っ!公爵とはまた他人行儀ですな?
我々は既に盟友ではありませんか?
儂の事はグラフィスと・・・。のう、ナイアド?」
「はい、父上、サウザー殿も我らベルフリード家の身内のようなモノ。
そんなにかしこまられても、他の者達が戸惑いますよ?」
「い、いやはや、な、何ともまた・・・。
と、戸惑っているのは・・・わ、私の方なのですがね・・・?」
「「はっはっはっはっ!」」
静まりかえったその場所で、グラフィスとナイアドの笑い声が、
響き渡っていたのだっだ。
「まぁ~歩きながら説明致しましょう、お父様♪」
「・・・わ、わかった・・・が、ロジー・・・
あまり無茶はせんでくれ?
わ、私はもう・・・冷や汗が止まらぬのだ」
「ふふふ、以後・・・気をつけたく思います」
「・・・はぁ~、気を着けるつもりはないようだね・・・」
サウザーはロジー達の説明を受けながら、
更に冷や汗を流しつつ大きな屋敷の中へと入って行くのだった。
そして此処は屋敷の中・・・。
ざわざわとする者達の横を通り抜けながら、
ロジーは壇上の上に立った。
魔石を利用した拡声器に向かい、小さく咳払いすると、
一同が静まりロジーに注目した。
「えー・・・。皆さん、ようこそおいで下さいました。
此処が我がイルミネイトの教団本部となります。
まだ未完成で見栄えも悪いのですが、今後ともどうぞ宜しくお願い致します」
ロジーはそう言って頭を下げると、
この屋敷で働く者達から拍手と歓声が起こった。
すると・・・。
唖然とする者達の中、一人挙手をするモノが居た。
ロジーは慌ててその挙手する者に声をかけた。
「は、はいっ!ミ、ミランダ様っ!」
注目を浴びる事になったミランダは、クロと共に壇上に飛び上がると、
拡声器の前で声をあげた。
「えーっとっ!まず言わせてもらうわ。
イルミネイトだったわよね?
私、邪神の女神ミランダと運命神チタニアの名を持って、
祝福すると同時に・・・」
そこまで言い終わると、その続きをクロが話を続けた。
そして視線を悠斗に向けるとニヤリと笑って見せたのだった。
「ユウト様・・・ご足労ですが、壇上へおいで下さいますか?」
突然名を呼ばれた悠斗は、思いっきり顔を引きつらせながらも、
トボトボと一人・・・壇上へと昇った。
そして・・・。
「・・・ここに居るロジー達から話は聞きましたわ。
何でもユウト様の活動支援と、彼を敬う為の組織だとか・・・」
(・・・はい?敬うっって・・・な、何っ!?
俺、初耳なんですけどぉーっ!)
「中々良い行いだと、私も、そしてミランダも、
貴女達の活動を見守らせて頂く事に致しました。
恐らくまだ協力してくれる神々も居るかと思われますが、
それまでは私達が尽力したいと思っていますわ」
女神達の言葉に、ここで働く者達までもが跪いていた。
そして再び代わったミランダが、こう言った。
悠斗を手招きして己の傍に立たせると・・・。
「ユウト様に仕える者達に、私達からのプレゼントがあるわ。
それは・・・此処を、この場所をっ!
新たに・・・聖域化する事をここに宣言するわっ!」
ミランダ達の宣言によって、
このイルミネイト教の本部は、聖域化される事になったのだった。
「い~い?お前達っ!よく聞きなさいよっ!
これからもユウトの布教活動とっ!その支援にっ!
一生懸命・・・励みなさいっ!
・・・以上っ!」
途轍もないその宣言に、一同から歓声が響き渡った。
手と手を取り合い喜ぶ者、涙を流し跪く者など、
様々な喜びが溢れかえっていたのだった。
そんな時、悠斗はと言うと・・・。
(はぁぁぁ~・・・やれやれ、もう後戻り出来ないな・・・。
あ~あーっ!どうしてこーなったんだろうなぁぁーっ!
俺はただ、ラウルの仕事以外は、
冒険者ライフをじっくりとゆっくりとしたいだけなんだけどなぁーっ!
あ~あ~っ!誰か俺を解放してくれぇぇぇーっ!)
壇上で、項垂れる悠斗の姿を見た者達は、
当人が一番テンションが低い事に苦笑いを浮かべていたのだった。
(マスターっ!・・・乙っ!)
ククノチの声が木霊するように悠斗の頭に響き渡ったのだった。
剣神 ・・・ 久しぶり~♪アマルテアです♪
亜神 ・・・ 我はオウムアムアだ。今回も宜しく頼む。
剣神 ・・・ オウちゃん相変わらず固いわね~?
亜神 ・・・ オ、オウ・・・ちゃ、ちゃん!?いきなり・・・どうしたのだ?
剣神 ・・・ うーん。愛称の方が親しみやすくなるかと思って・・・。
亜神 ・・・ そ、そう言うモノ・・・なのか?わ、我は別にだな・・・
剣神 ・・・ 固っ苦しいのよね~?師匠もきっと喜んでくれるはずだわっ!
亜神 ・・・ う、うむ・・・し、師匠が・・・な、なるほど・・・。
剣神 ・・・ 今度打ち合わせてネタでもやってみる?
亜神 ・・・ わ、我にはハードルが高すぎるっ!
剣神 ・・・ 最初は誰でも・・・怖いモノなのよ・・・?
亜神 ・・・ ・・・我には恐怖でしかないな。
剣神 ・・・ ふふふ♪
ってなことで、緋色火花でした。




