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異世界転移 ~魔を狩る者~  作者: 緋色火花
第二章 港町・アシュリナ編
203/406

156話 赤い鎖と出会った男

お疲れ様です。


え~っとですね。

今回から本編に戻りますが・・・。

暫くの間はコメディーパート的なモノになりそうです。

これも・・・全て会社が悪いっ!

緋色のストレスはMAXなのですっ!


と、言う事で、暫くふざけたおした感じになりますが、

ご容赦下さい。


ブックマークや感想などありましたら、

是非っ!宜しくお願いします^^


それでは、156話をお楽しみ下さい。

その日早朝から、悠斗は「鬼道」の修練に励んでいた。

早朝より始めた修練で、ミランダ達に迷惑がかからないよう、

分厚い結界を張り、騒音が外に触れないよう工夫されていた。



「鬼魂一之門、そして二之門・・・。

 ゼツのおっさんは焦らずとは言ったもののな~」


既に悠斗は汗だくになっており、

全身ぐっしょりと濡れてしまっていた。


「はぁぁぁぁぁっ!」


一之門を開けては二之門をすぐに開け、

その力の圧力に、徐々に身体を慣らす修練を行っていたのだった。


そしてその修練を見守っていたのは、

「邂逅の神儀」で命を得た、元・先代精霊樹のアヤメだった。


(・・・かなり無理をしておられるのでは?)

そう思いつつも、修練の邪魔をしないようにと、

片隅で見つめていると・・・。


「アヤメ、そんな所でなにやってんのよ?」


「!?」


「フフ、いくら私の聖域内だからと言って、油断し過ぎよ?」


「は、はい・・・ミランダ様、申し訳ありませんでした」


苦笑しつつ頭を下げるアヤメを見たミランダは、

アヤメが見ていた方へと視線を向けると・・・。


「なっ!?な、何よ・・・あれっ!?」


突然声を上げたミランダに、アヤメは首を傾げていた。


「ミランダ様、何をそんなに驚いているのですか?」


「な、何って・・・あんた・・・ボケてんの?」


「い、いえ・・・別に私は・・・」


ミランダは眉を吊り上げ、訝しい顔を見せると、

少し考えた後、それを言葉にした。


「えっと~・・・私が邪神の女神って事は理解出来ているわよね?」


「はい、承知しておりますが・・・それが何か?」


「・・・ま、まだ気が付かないのかしら?」


相変わらず首を傾げるアヤメに、ミランダは項垂れていた。


「あ、あのね~?私は邪神の女神っ!

 そんな私が作った聖域内で、どうして神属性の結界が張れるのよっ!」


「・・・あっ!?」


「・・・あっ・・・て、あんたね~?」


アヤメの引きつった笑みにミランダもまた引きつった笑みを浮かべた。

ミランダは悠斗に向かって叫んだのだが、

神属性の結界の中まではその声が届いていないようだった。


「うぅぅ・・・ど、どれだけ分厚い結界を作ってんのよ・・・

 って言うか、ユウトの神属性って、そんなに高くなかったわよね?」


「そ、そうですね?確かに私もそう記憶しているのですが・・・」


「ユウトはもう・・・謎生物って事でいいわよね?」


「・・・はい?」


ミランダとアヤメがそんな会話していると、

チタニアが高笑いと共に現れたのだが・・・。


「お~ほっほっほっ!ミランダさん?

 何を訳のわからない事を先程から言っているのかしら?」


「げっ!・・・あんたは・・・クロっ!?」


ニヤついた顔で現れたのは、チタニアの半身・・・クロだった。


「あ、あんたいつの間に別れたのよっ!」


「いつの間にって・・・昨夜のうちにですわよ?」


「あんたって半身になると、ほんっっとにうざいわよね?」


「う、うざっ・・・?うざいとは何ですのっ!?うざいとはっ!?」


突然喧嘩が始まったクロとミランダを見ていたアヤメは、

恐る恐る口を開き喧嘩を仲裁しようとしたのだが・・・。


「あ、あの・・・そ、その・・・喧嘩はやめ・・・」


「「うるさいっ!小娘がっ!」」


「こ、こむ・・・すめ・・・!?」


アヤメは先代精霊樹ではあるのだが、女神達からすれば、

小娘同然だったのだが、あからさまに面と向かって言われると、

少々キツイものがあり少し落ち込んでしまった。


「だいたいあんたねぇーっ!

 片割れになっただけで、どうしてそんなにうざくなるのよっ!」


「う、うざいって何ですのっ!?

 ミランダ~・・・あんたこそボッチでしょうに・・・

 そんな可哀相な子が、何を偉そうに言っているのかしらね~?」


「はぁぁーっ!?

 合体しなくちゃ威厳を保てないあんたと一緒にしないでよっ!

 私は存在そのものが(あが)(たてまつ)られる存在なのよ?

 あんたみたいに中途半端な女神じゃないんですからねっ!」


「フフフ・・・あ、相変わらずいい度胸していますわね?」


「ふんっ!あんたほどじゃないわよっ!」


「「うぅぅぅぅぅっ!」」


「あわわわ・・・わ、私は・・・どうすれば・・・」


女神達の言い争いに入る余地もなかったアヤメの肩に、

暖かい光が現れると、腰を下ろし挨拶をしてきた。


(アヤメ様~おはよう御座います)


「あっ、ククノチ・・・お、おはよう御座います」


(って言うか、あの女神達・・・何やってんだ?)


「え、えっと・・・それはですね・・・」


事の説明を始めたアヤメにククノチはその内容に呆れていると、

頭を掻きつつ、新たに火種となる言葉を漏らすのだった。


(あ~・・・何だかバカみたいな事で言い争うんだな~?

 それでよくもまぁ~自分は女神ですってよく言えたもんだよな~?)


「えっ!?ええ・・・」


ククノチが発した言葉に、2人の女神の目が声の主を捉えると、

苦虫を潰したような表情で噛みついてきた。


「はぁ~?精霊の分際で・・・私達に喧嘩でも売ってんのかしらぁ~?

 今ならセール中につき、銅貨1枚で買ってあげるわよっ!」


「そうですわね~・・・一度シメておかないといけませんわね・・・

 早くシメた方が・・・鮮度は保たれますから~♪」


(ど、銅貨1枚・・・それに鮮度って・・・

 女神としてそれってどうなんだよ?

 これはあれだ・・・理不尽な女神達への対応策を・・・)


アヤメの肩に乗るククノチにジリジリと迫る女神達。

その時、ククノチからアヤメへ念話が送られてきたのだった。


(アヤメ様?オイラを信じて目を固く閉じてくれっ!)


(えっ!?い、今ですかっ!?わ、わかりましたっ!)


アヤメはククノチに言われた通り固く目を閉じると、

何事も起きないように祈るしかなかったのだった。


(女神だからってっ!2人ともっ!調子に乗るなぁぁぁぁぁっ!)


怒鳴り声をあげたククノチに2人の女神は思わずたじろぐと・・・。


(今だっ!ククノチ~ふらぁぁぁしゅっ!)


「ピカァーっ!」と、白銀の光が激しく放たれると、

2人の女神はその強烈な光を見てしまい・・・。


その結果・・・。


「うわぁぁぁぁっ!目っ!目がぁぁぁっ!」


「きゃぁぁっ!目がっ!あぁぁーっ!」


目を押さえながらしゃがみ込んだ2人の女神を見下ろすククノチ。


(ふーんだっ!2人ともっ!マスターの修練の邪魔をすんじゃねーっ!

 女神だからって、オイラは絶対にそんな事っ!許さないからなっ!)


ククノチの啖呵(たんか)に目を開けたアヤメは、

肩の上で腕を組んでいるククノチの姿にそっと溜息を吐いていた。


「はぁ・・・。ククノチ、流石にこれはやり過ぎですよ?」


そう言ってアヤメが苦笑した時だった・・・。

2人の女神は目を閉じたまま立ち上がると、武器を構えたのだった。


(げっ!)


驚くククノチを他所に、2人の女神は歪んだ笑みを浮かべると、

ワナワナと身体を震わせながらこう言った。


「なーんてね・・・?

 目が見えないくらいでハンデになるとでも思ったのかしら~?

 その度胸に免じて・・・いたぶりながら殺してあげるわ♪」


「そこの虫ケラっ!・・・よくも私の美しい瞳を(けが)したわねっ!

 フフフ・・・借りを返すのは・・・私の主義ですわっ!」


(ヤバい・・・こ、これは想定外ってやつだぜっ!)


2人の女神が一瞬光ったと思った瞬間、ジャラっと音を立てた後、

ククノチのわずか数ミリ手前で、

大鎌と槍がギチギチと音を立てながら鎖に絡まれ、

動きが止まってしまっていた。


(な、何だよ・・・これ・・・?)


「・・・えっ!?この鎖は一体・・・?」


「なっ!?う、動かないっ!何でよっ!何で鎖なんかがっ!」


「な、何が!?何が起こっているのですっ!」


4人が驚く中、少し離れた所から声が聞こえてきた。


「お前ら~・・・何やってんだよ?」


それは悠斗の声だったのだが、アヤメは驚きの余り声が出なかった。

何故なら、悠斗のあの分厚い結界が割れて、

中から赤い鎖が伸び、女神達の武器に巻き付いていたからだった。


「・・・ヒール」


手をかざしヒールを使用した悠斗は2人の目を回復させた。

そして・・・2人の女神はその目の前で巻き付いている、

赤い鎖に視線を移すと・・・。


「ね、ねぇ・・・ユウト?この赤い鎖・・・って・・・何?」


「ええ、この赤い鎖は一体・・・なんですの?」


(マスター・・・な、何だよ・・・これ?)


「・・・何故赤いのでしょう?」



各々(おのおの)が口にした赤い鎖・・・。

その事を聞いたのだが、悠斗から返ってきた言葉は、

予想しない言葉だった。


「あ~・・・これ・・・な?ん~・・・なんだろ?」


「「「・・・はい?」」」


(あっはっはっはっ!・・・マスターらしいぜ♪)


悠斗の言葉に3人は言葉を失った。


暫くして硬直が解けた2人は、質問攻めを行った。

悠斗は面倒臭いと思いながらも答えない事には離してもらえないと判断し、

首を縦に振る事しか出来なかったのだった。


ミランダの質問・・・。

「ユウトっ!あの赤い鎖はなんなのよっ!」


悠斗の答え・・・。

「えっと・・・なんだろうね?」


ミランダの反応・・・。

「・・・はい?」


クロの質問・・・。

「ど、どうやって出したのですかっ!?」


悠斗の答え・・・。

「頑張ったら・・・出た」


クロの反応・・・。

「・・・で、出た!?」


アヤメの質問・・・。

「あの分厚い神属性の結界をどうやって破ったのですか?」


悠斗の答え・・・。

「・・・殴ってみました」


アヤメの反応・・・。

「・・・ああ~殴ったのですね~♪なるほど・・・って、えっ!?」


(あっはっはっはっ!マスター・・・ある意味すげーぜっ!

 流石は天下無敵の天然様だぜ~♪)


悠斗の答え・・・。

「ククノチ・・・あとで・・・顔貸せ・・・」


ククノチの反応・・・。

(調子に乗ってすみませんでしたぁーっ!)


・・・だった。


それから暫くして昼食を食べ終わり、

もう恒例となったコーヒータイムがやってきた。



「ふぅ~・・・」

一息着いた悠斗の顔は安らぎに満ちていたのだが、

他の者達はそうではなかったのだ。


食器を片付けながら念話で会話をしていた。


(ねぇっ!あの赤い鎖って・・・何だと思う?)


(私が思いますに・・・赤い鎖・・・

 それって・・・鬼の力の一端なのでは?)


(あ~でもオイラはあんなの見た事ねーぜ?)


(やはり鬼人族と言う人種のユニークスキル・・・。

 と、言う事も考えられます)


((((んー・・・))))


と、そんな会話を繰り返していたのだった。


悠斗はそんな事が行われているとは露知らず、

コーヒー片手に外に出ると、木製の椅子に腰を下ろした。


「あの鎖・・・って、何だろう?

 気が着いたら出てきたんだけど・・・」


そうつぶやきつつも、あの時の事を思い返してみた。


(確かあの時・・・強い光を感じて振り返ったら、

 ミランダ達が武器を構えていたんだよな?

 で、俺は咄嗟に・・・?

 思わず気道を使って殴ってみたんだけど・・・

 あ~・・・よく考えたらあの時の気道って、

 吹き出した気が赤銅色だったから、「鬼道」だったんだろうな~。

 って言うか、もう普通に気道を使えないんじゃね・・・?

 で、破壊したのはいいんだけど~・・・ん~・・・。

 確か・・・巻き付く物をイメージしたんだっけ?

 それと~・・・あの距離を埋めるような・・・?

 もしかして・・・それであの赤い鎖が・・・?)


暫く考えてはみたが、決定的なモノは思い浮かばなかった。

悠斗は考える事をやめると、椅子の背もたれに体重を預けた。


「まぁ~・・・追々・・・だな?

 あとはあの赤い鎖の名前を・・・って、一つしか浮かばないな。

 きっと何かしらの力の発動できっと・・・また声が・・・」


悠斗はニヤリと笑みを浮かべると、

立ち上がり右手を突き出し大声で叫んだ。


とても・・・楽しそうに・・・。

そして・・・。


「行くぜっ!ネビュ◯・チェ◯ンっ!」


そう叫んだ後、伸ばされた右腕を下ろすと、

再び木製の椅子に腰を下ろしてこうつぶやいた。


「・・・なっ!声が欠ける事くらい分かってたしなっ!」・・・と。


その後、悠斗は再び結界を張りその中で修練を始めるのだった。

そしていつの間にか夜になり、切り上げて小屋に戻っていくと・・・。


「ねぇ、ユウト」


「ん?何だ・・・ミランダか?」


「ちょっと・・・こっちこっち!」


突然呼び止められた悠斗は、首を傾げながらもミランダに着いて行く。

そして丁度、小屋の真裏に来ると小さな小屋の前に出た。


ミランダは得意げな笑みを浮かべると、

小屋のドアを開け中へと(いざな)われた。


「ジャーンっ!お風呂でございまーす♪」


「うおぉぉぉぉっ!」


「ふっふ~んっ!いかがでしょうか~?」


「・・・ありがたや~♪」


「「はっはっはっはっ!」」


ミランダのおどけた態度と、悠斗のその返しに、

2人は大いに笑っていたのだった。


因みにだが・・・。

ミランダが製作した風呂は、空間拡張が施されており、

その広さは、大浴場ほどあったのだった。



「・・・ミランダが作ったのか?」


「う、うん・・・だって・・・私、料理苦手だし・・・」


少しもじもじとしながらそう答えるミランダったが、

悠斗はそうは思っていなかった。


悠斗が倒れた時、ミランダが作ってくれた食事に、

とても感謝していたからだった。


「苦手って言うけど、不味くはなかったよ? 

 それに、苦手なだけで出来なくはないだろ?」


「う、うん」


「だからさ?頑張って続けていけば・・・上手になるんじゃないのかな?」


「ほ、ほんとにっ!?わ、私・・・が、頑張りますっ!ユウトの為にっ!」


「う、うん・・・サ、サンキュー」


悠斗の言葉によって、ミランダは今後・・・

料理のスキルを上げていくのだったが、それはまた別の話・・・。



ミランダのおかげで悠斗は風呂でリフレッシュすると、

気分良く小屋へと戻ってきた。


感謝を伝えた後のミランダの顔が、いつもより赤く見えたのだった。

そしてまた、いつも食事などの世話を焼いている、

クロとアヤメにも悠斗は感謝を伝えた。


そしてその食事の後・・・。

話を切り出したのはクロだった。


「ユウト様、これからどうなさるのですか?」


悠斗は少し考えると、自分の意見を伝えていく・・・。


「あと数日はここで修練をしてから、

 みんなには悪いけど俺は・・・港町に戻るよ」


「・・・それからは?」


ミランダは少し淋し気な表情を見せながら聞いてきた。

流石の悠斗もミランダの気持ちを理解する事が出来たのだが・・・。


「えっと・・・港町に戻ったら、

 少しの間は冒険者らしい生活をしてみたいと思う」


「・・・そう」


「ミランダ・・・すぐに会えるさ。

 クロだってそうだし・・・

 それに新しい擬体が出来たら普通に会えるんだろ?」


「ええ、ラウルと白斗次第だけど・・・」


「ははは、まぁ~白斗がしっかりラウルの面倒を見ているはずだからさ、

 完成したら一緒に依頼でも受けようぜ?」


悠斗の何気ない誘いにミランダとクロは嬉しそうに微笑んでいた。

すると・・・。


「あ、あの~?私はどうすればいいのでしょうか?」


「「「・・・あっ」」」


渋い顔をしたアヤメに悠斗達も苦笑するしかなかった。

暫くみんなと相談した結果・・・。


「じゃ~アヤメは俺達と一緒に行こうか?」


「よ、宜しいのでしょうか?

 何だか催促したみたいで、そ、その・・・」


申し訳なさそうにするアヤメに、悠斗は笑顔を向けると・・・。


「もし体がキツかった時には、精霊樹の枝に戻って、

 聖域化されたマジックボックスやアイテムバッグの中に居ればいいからさ♪」


「・・・そう言っていただけると、とても嬉しく思います」


「それと・・・」


「はい?」


「自分の状態を包み隠さず話してくれよ?

 アヤメの状態を把握しておかないと、

 間に合わなかった・・・じゃ、洒落にもならないからな?」


「・・・そうですね。わかりました」


(アヤメ様もオイラみたいに、マスターの中に入れたら良かったのにな?)


「フフ、私もユウト様の眷属なのですから、

 その様に出来たら良かったのに・・・と、そう思いますね♪」


(だよな~?)


その話の後、みんなで楽しく雑談しながら就寝に着いたのだった。

そしてそれから数日は、各々が本格的な修練をしていき、

己の強さに磨きをかけて行くのだった。



そして数日後・・・。


「ところでクロ?」


「はい、何でしょうか?」


「ウェズンに俺の事を伝えておいてほしいんだけど?」


「・・・はい」

(ウェズン・・・?はて・・・どなたの事でしょうか?

 そんな神などに心当たりはないのですが・・・)


「じゃ~頼むよ」


そう言って、悠斗とアヤメ・・・そしてククノチは、

ミランダの聖域を後にするのだった。


「ユウトーっ!気をつけてねーっ!」


「ああっ!ミランダもまたなーっ!

 擬体完成したら、見せてくれよなーっ!」


「わかったわーっ!」


別れを告げた悠斗達は、港町目指し歩いて行った。

ミランダとクロは、悠斗の姿が見えなくなるまで見送ると、

聖域内に戻り暫くの間、会話をする事もなく、

ただ悠斗の好きなコーヒーを飲んでいたのだった。


次第に夜もふけ暗くなって来た時だった。


「ああぁぁぁぁぁっ!」と、突然ミランダが大声をあげた。


「ど、どうしたのですかっ!?」


料理を作り始めていたクロが、慌ててミランダの元にやって来ると・・・。


「転移魔法で簡単に港町に戻れるんじゃ・・・?」


「・・・あっ」


「フフフ・・・ハハハ・・・あっはっはっはっ!」


「フフフフ♪」


ミランダとクロはお互いに笑い合っていたのだった。



そして翌日の事だった・・・。


悠斗達は港町目指し、

野宿をしつつ景色を楽しみながら道を歩いていると・・・。



「ユウト様!?何やら怪しい男が・・・」


アヤメは少し険しい顔をしながら悠斗にそう伝えてきた。

そしてその視線の先には、

大きな樹木に腕を組みもたれかかっている男が居た。


(・・・ムッキムキな人が居る・・・こわっ!)


(マスター・・・念の為気をつけた方がいいぜ?)


「・・・そうだな、油断せず・・・行こうっ!」


悠斗は楽しそうにそう言っていたのだが、

あまりにニヤけ顔だった事にアヤメとククノチは首を捻っていた。


(マスターどうしてニケているんだ?)


「そうですね?不自然なほど・・・でしたから・・・」


「はっはっはっ!実は・・・このセリフをさ~

 一度言ってみたかったんだよね~♪」


「・・・?」


(マスター、俺達にはよく分からないぜ?)


「・・・問題なしっ!」



そんな話をしているうちに、警戒していた男の前を通り過ぎると・・・。


「・・・おいおい、ツレねーじゃねーか?」


「・・・どなたですか?」


「えっ!?おいおいっ!

 まさか俺の顔を忘れたんじゃねーだろうな?」


「えっと・・・知らない人と話しちゃいけませんって、

 俺の母の従兄弟の知り合いのお爺さんの近所の友達が・・・って、

 えっと・・・すみません、誰の事でしょうか?」


「はぁ!?お、俺が知りたいわっ!?」


「と、言う事なんで・・・お疲れ様でした」


「あっ、お疲れ~・・・って、待て、待て、待てっ!」


悠斗のペースに乱されたその男は、険しい顔をして見せるのだが、

悠斗は素知らぬ顔で動じていなかった。


「・・・おい、ユウト・・・まじで言ってんのか?」


「ははは・・・まさか・・・な?

 こんな所で出会えるとはね・・・これも運命ってヤツかな?」


「・・・運命か・・・なるほど」


険しい顔を見せていたその男の顔からは、

もうその険しさはなくなっていたのだった・・・。






ミランダ ・・・ はぁ~・・・ユウトの顔が見れない・・・orz

クロ ・・・ な、何ですのっ!?貴女はそれでも邪神の女神ですのっ!?

ミランダ ・・・ これでも邪神の女神ですけど・・・何か?

クロ ・・・ うぅぅ・・・お、落ち込んでいる貴女を見るのは・・・。

ミランダ ・・・ ありがとね?素直に受けとっておくわ

クロ ・・・ あ、貴女が元気じゃないと私も張り合いと言うモノが・・・。

ミランダ ・・・ って言うか、うざくてツンデレって・・・疲れるわ・・・

クロ ・・・ は、はぁ~?誰がうざいんですのっ!?

ミランダ ・・・ あんたよ・・・あ・ん・たっ!

クロ ・・・ 貴女っ!ちょっと表に出て下さらないかしら?

ミランダ ・・・ いいわね~丁度ストレス発散したかったのよっ!

クロ ・・・ ぶっ殺して差し上げますわっ!

ミランダ ・・・ ふんっ!返り討ちよっ!



ってなことで、緋色火花でした。

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― 新着の感想 ―
[一言] 「謎生物」は言い得て妙ですね♪ これからもどんどん謎生物になっていくんでしょうね。 楽しみにしています(^-^)
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