閑話・アンナ 2 更に一歩前へ・・・。
お疲れ様です。
・・・まだまだ寒いですね^^;
そう感じる今日この頃ですが・・・。
今回は閑話・アンナの話になります。
楽しんで読んでもらえると幸いです^^
ブックマーク及び感想など、宜しくお願いします^^
年度末のさなか、頑張ってモチベーションを上げたいと思ってますのでw
それでは、閑話・アンナ 2をお楽しみ下さい。
ミスティの授業が終わり、
オウムアムアとアンナは修練場に居た。
アンナを気道の門下としたオウムアムアは修練を重ねて行く。
呼吸法、身体の使い方、力の伝達など、
実に真面目なオウムアムアらしい教え方だった。
オウムアムアの指示で基礎訓練を終えたアンナに声をかけた。
「うむ、中々順調に習得してきているようだな?」
タオルで汗を拭うアンナにそう声をかけたのだが、
アンナ自身は浮かない表情を見せた。
「どうしたのだ?」
「はい、実は・・・」
そう話を切り出したアンナは緊張した面持ちで、
オウムアムアに向き直った。
「師匠、私の力は制御出来るのでしょうか?」
伏目がちなアンナにオウムアムアは薄く笑った。
「フッ、そんな事を気にしていたのか?」
「・・・し、しかしっ!」
「ふむ、ならばその答えが欲しいのであれば、
もう暫く我に従うのだ」
「・・・必ず、私の求める答えがあると?」
「ああ、我が保証しよう」
「・・・わかりました」
アンナは師であるオウムアムアの言葉を信じると、
一心不乱に修練に励むのだった・・・。
そしてそんなある日・・・。
基礎訓練を終えたアンナにオウムアムアは声をかけた。
「アンナよ、丁度頃合いだろう?今から力を解放してみよ」
「えっ!?」
力強いその言葉と眼差しに、アンナは黙って頷いた。
汗を拭ったタオルを乱暴にベンチへと放り投げると・・・。
「コォォォォッ!」と、アンナは呼吸音を変えた。
そして静かに口を開いた。
「・・・能力・・・解放・・・はぁぁぁぁっ!」
アンナ特有の赤い魔力が吹き出した。
長い髪は逆立ち激しく揺れる・・・。
そんなアンナの様子を伺いながら、オウムアムアは口を開いた。
「よいか?呼吸法は継続せよ」
その言葉に無言で頷いて見せると・・・。
(えっ!?いつもより・・・頭がクリアになってるわ)
妙な感覚に囚われながらも、アンナは再び気合いを入れ、
両足を踏ん張るとパワーを上げていく。
「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」
静かな修練場に、アンナの叫びが木霊する。
(こ、これなら・・・全力を出しても・・・)
「・・・フ、フル・・・パワー・・・」
自分の力の圧力に耐えながら、
絞り出すように声を出したアンナを見たオウムアムアが、
危険を察知すると、突然声を張り上げた。
「そこまでぇぇぇっ!」
「!?」
オウムアムアの叫びでアンナは解除すると、
その息の上がった身体でオウムアムアの腕を掴んだ。
「な、何故・・・はぁ、はぁ・・・と、止めた・・・の・・・ですか?」
そんなアンナにオウムアムアは軽く息を吐くとこう言った。
「今のお前の・・・その状態が我の答えだ」
「い、今の!?」
「解放状態でも感情はそう高ぶりはしなかっただろう?
だが、アンナ自身の気道が、
まだお前のMAX状態に耐えきれなかったのだ。
つまり・・・。
まだ未熟故の力不足・・・そう言う事だ」
そんなオウムアムアの言葉に、アンナは力無く座り込んでしまった。
「や、やはり・・・わ、私には・・・」
そう言葉を漏らすアンナに、オウムアムアは呆れた表情を浮かべ、
しゃがみ込むと静かに話始めた。
「何を言っている?
現段階ではMAX状態では無理なだけであろう?
ならば、MAX状態でも制御出来るように、鍛えればいい・・・。
ただ、それだけの話だ」
「し、師匠・・・はいっ!」
「フフフ・・・。お前は沈着冷静に装ってはみても、
本質は違うようだな?」
「も、申し訳・・・御座いません」
「フフフ・・・ハッハッハッハッ!」
そして翌日・・・。
黙々と鍛錬の日々が続いた。
「気道」の核である心肺機能を徹底的に鍛え始めたのだった。
「よいか?今日からは徹底的に心肺機能を鍛えていく。
暫くの間は、魔力を用いての訓練はしないものとする・・・以上だ」
「はっ!」
片膝を着き頭を垂れるアンナの目は、
迷いのない澄み切った目をしていたのだった。
(だが焦りの色は、そう簡単に消えてなくなるモノではないからな?
我も何か今のうちに手を打つべき・・・だろうな?)
その日の夜・・・。
アンナはバルコニーに出て、1人紅茶を飲んでいた・・・。
いつもの日課となったこの一時に、安らぎを感じていた。
「ふぅ~・・・」と、息を吐きながら、
緑に溢れ始めた岩場の聖域を見つめていた。
すると・・・。
「ガチャ!バタンっ!」と、扉が閉まる音が聞こえたアンナは、
バルコニーから身を乗り出し音の正体を確かめた。
(あ、あれは・・・オウムアムア師匠!?どうしてんな夜更けに?)
こんな時間にどこかへと出かけて行くオウムアムアを見たアンナは、
急ぎ服を着替えると、その跡を追った。
(師匠は一体どこへ?)
好奇心からその行動に至ったアンナは、
その師匠の行動を考えながらオウムアムアを探していた。
「まさか・・・師匠は今から?」
「・・・お姉ちゃーん」
そんな疑問が湧いた時、誰かがアンナを呼ぶ声がする。
その小さな声にアンナは周りを見渡すと・・・。
「せ、精霊樹様っ!?」
思わず大きな声を出してしまったアンナに、
双子の精霊樹は「しぃーっ!」と、慌て始めた。
そんな仕草が可愛いと思いつつも、アンナは両手で口を塞ぐと、
手招きをする双子の元へ走り出した。
「御二人ともっ!こんな時間に一体何をっ!?」
驚きつつも少し小さめな声でそう言うと、
双子の精霊樹の話を聞いた。
「あ、あのね?亜神様と剣神様達は毎晩ここで練習しているの」
「オウムアムア様とアマルテア様がっ!?」
「うん、だから僕達もその練習を見て参考にしているんだ」
「み、見て参考にって・・・」
エルナトとミアプラの話に興味を持ったアンナは、
意を決すると、双子の精霊樹に願い出た、
「あ、あの・・・わ、私も同行して宜しいでしょうか?」
真剣な眼差しを向けたアンナに、双子の精霊樹はお互いを見合わせると、
笑顔で頷き、アンナの手を引っ張ると駆け出した。
「こっちだよっ!こっちっ!」
「も、門からではないのですかっ!?」
「隠れて見ないと怒られちゃうでしょっ!」
「の、覗き見ですかっ!?」
「だから~しぃーっ!だってばっ!」
「す、すみません」
頬を少し膨らませ怒るミアプラに、アンナは素直に謝罪するのだった。
(ふふ♪確かにこんな時間だものね?
見つかればパティーナ様に怒られてしまいますもんね?)
そう思ったアンナは、悪戯心で2人に聞いてみた。
「パティーナ様はご一緒ではないのですか?」
そう話した途端・・・2人の動きは止まり顔を引きつらせながら、
アンナに顔を向けると・・・。
「・・・い、一緒な訳・・・な、ななないよ」
「もしこんな所を見つかったら・・・せ、説教・・・が・・・」
双子はそう言って自分の両肩を抱え込むとしゃがみ込み、
そのままブルブルと身を震わせる様子を見せたのだった。
「ふふ♪やはりそう言う事でしたか?」
楽しそうな笑顔を見せるアンナに、双子の精霊樹は苦笑するのだった。
そして3人は闘技場内に侵入すべく走り出した。
別の入口から侵入した双子の精霊樹とアンナ達・・・。
双子の精霊樹に導かれ、
覗き見・・・もとい、見学するのに絶好な場所に辿り着いた。
「こ、こんな場所が!?」
「アンナお姉ちゃん・・・誰にも言ったらダメなんだからねっ!」
「はい♪わかっておりますよ・・・ミアプラ様♪」
そんな2人にエルナトが笑顔を向けながら
両手を広げると声を発した。
「・・・特殊結界っ!」
「えっ!?」
驚くアンナにエルナトは舌をチロっと出して見せた。
「アンナお姉ちゃん・・・もう大丈夫だよ?」
(か、可愛い・・・ロジーも昔はあんな風に・・・
あぁ~でもどうして今は・・・じゃ、じゃなくてっ!)
「アンナお姉ちゃんっ!聞いてるのっ!?」
「は、はいっ!す、すみません・・・」
「だから~・・・もう大丈夫だよ?って言ったのっ!」
「は、はい・・・すみません。
で、でも大丈夫って・・・一体何が?」
不思議に思うアンナにミアプラが笑顔を向けて答えた。
「ふふ、エルナトが張った結界なら、
魔力や精霊力を出してもバレないって事~♪」
「うんうん、だから僕達はいつもここで練習しているんだ」
「・・・お、御二人とも・・・も、もうそんな事が!?」
「私はエルナトみたいには・・・まだちょっと・・・」
唖然とするアンナはその双子の精霊樹の才能に素直に驚くのだった。
(わ、私なんて、そんな結界すら苦手なのに・・・
やはり精霊樹・・・と、言ったところなのかしらね?)
双子の精霊樹にアンナは心底感心をしたのだった。
そして双子に誘われるがまま、
亜神・オウムアムアと剣神・アマルテアの修練の様子を見学する事になった。
走り終えた2人は呼吸を整えると、気道の修練に入っていた。
(・・・ここから見ていても呼吸がスムーズな事がよくわかるわ。
絶え間ない鍛錬の成せる技・・・。
師匠の言う通り、私は少し焦り過ぎていると自覚してしまうわね)
アンナは集中して2人の神の訓練を見逃すまいと、
目を凝らしその様子を見ていたのだが・・・。
「えっ!?」
ふと、背後で物凄い圧力を感じた。
振り返ったアンナは、その様子に言葉を失ってしまった。
「「コォォォォォォっ!!」」と、
エルナトとミアプラの呼吸音が変わっていく・・・。
(ど、どうして・・・御二方がっ!?)
驚愕するアンナにエルナトが視線を合わせると、
「にこり」と笑顔を向けた。
「アンナお姉ちゃん、どうかしましたか?」
エルナトの声にアンナは我に返ると、声を絞り出すように口を開いた。
「ど、どう言う・・・事、なのですか!?
ど、どうして・・・どうして御二人がっ!?」
額から汗を流すアンナに、双子の精霊樹は顔を見合わせた。
そして何度か瞬きをすると・・・。
「どう言う事って言われても・・・ね?」
「・・・うん」
アンナの問いに困った表情を浮かべたエルナトは呼吸を解除した。
「ア、アンナお姉ちゃん・・・まさか具合でも?」
「あっ、い、いえ・・・えっと・・・。
あ、あの・・・それって「気道」ですよね?」
「う、うん。そうですけど?」
「・・・ユ、ユウト様に・・・そ、その・・・教わったのですか?」
エルナトはミアプラを一度見ると、「クスッ」と笑っていた。
「あはは。お父さんからは何も教わっていませんよ?」
「えっ!?で、でも、それじゃ・・・どうして?」
「んー・・・」
言葉に詰まるエルナトに、ミアプラが代わりに答えた。
「きっかけは~・・・って言うか~・・・
パパが出かける前の話だけどね?
剣神様と亜神様に一度「聖書」を見せてもらったんだ~」
「せ、聖書!?」
「うんうん、でもそれは僕達が見ても分からなかったんだけど、
それをお父さんに伝えたら・・・。
僕達の為に、絵本を作ってもらったんだ♪
「気道」の初歩はそれを見て学んだんだけど・・・。
何だか物足りなくなってしまって、
そんな時、この闘技場で神様達が練習していたのを発見したんだ♪」
「え、絵本っ!?そ、そんな本が存在するなんて・・・。
それに・・・み、見たからと言って、そう簡単には・・・?」
(せ、聖書って・・・気道の修練法が書かれた書物の事よね?
それに御二人の為に絵本までっ!?)
アンナは軽い目眩を起こしながらも
そんな言葉が口から漏れていた事に気付かなかった。
無意識に漏れたそんなアンナの声に、
双子の精霊樹は声を上げて笑い始めたのだった・・・。
「あっはっはっはっ!」
「ふふふふふっ♪」
「え、えっ!?な、何故・・・お笑いに?」
「アンナお姉ちゃん、これも練習の賜物だよ?」
「れ、練習・・・ですか?」
「そうよ、パパがよく言っているわ♪
ひたすら反復練習♪・・・これに勝るモノはなしってね~♪」
双子の精霊樹の言いたい事はよくわかる・・・。
よくわかるからこその疑問だった。
「し、しかし・・・その絵本があるにせよ、覗き見ただけではっ!?」
(も、もしかして・・・これは才能・・・だとでも言うの!?)
そんな思いを露知らず、エルナトが話していく。
「僕達はね?お父さんの朝練・・・ってヤツを見てきたんだ」
「あ、朝練?あっ・・・そう言えば、ユウト様が屋敷に居た時、
朝早くから訓練をされていましたね?」
「でしょ~?パパは雨の日だって、
欠かさず朝練をやっているみたいなのよね~♪」
「ミアプラ様?どうしてそのような事までご存知なのでしょうか?」
アンナの質問にミアプラは笑顔を浮かべると・・・。
「ふふふ♪だって~ ・・・
イリアお姉ちゃんとセルカお姉ちゃんが毎日覗いていたし~♪
それに、しっかり見て勉強してるんだって・・・。
セルカお姉ちゃんもそう言ってたよ~?
イリアお姉ちゃんは・・・ちょっと違っていたけどね~♪
でもセルカお姉ちゃんは、パパの動きに合わせて・・・
何だっけ~?そうっ!足運びの練習だってしてたよ~♪」
「・・・イ、イリアさんの思考は簡単に読めてしまいますからね?
セルカは・・・足運びの練習を・・・流石ですね」
「「あははははは」」
「ふふ♪」
それから少し「気道」について雑談すると、
アンナは突然2人に頭を下げ頼み事をするのだった。
「エルナト様、ミアプラ様・・・。
私もご一緒させていただいても宜しいでしょうか?」
アンナの改まった物言いに、双子の精霊樹は驚くのだが、
「ニヤリ」と意味有り気な笑みを浮かべると・・・。
「当たり前じゃないですかっ!一緒にやりましょうっ!」
「わぁーいっ!アンナお姉ちゃんと一緒だぁ~ ♪」
「あ、有難う御座います」
一緒に練習する事になり喜ぶアンナを他所に、
双子の精霊樹は念話で話し合っていた。
(ミアプラ・・・作戦は成功したね?)
(うんうんっ!ばっちり、てっちりっ!・・・ってヤツよね~♪)
(な、何・・・それっ!?どう言う意味なの!?)
(えっ!?知らないの~?前にパパがそんな事を言ってたよ~?)
(そ、そうなんだ・・・?ミアプラだけずるいよ~っ!
一度その意味をちゃんと父さんに聞いてみようっと・・・。
そしてもっと僕も父さんに色々と教えてもらわなくっちゃっ!
「ばっちり、てっちり」・・・お、覚えたぞっ!)
エルナトの知識欲は置いておいて・・・。
アンナの決意も新たに、3人の練習が始まったのだった。
「「「コォォォォォォっ!」」」っと、呼吸音を変える。
目を閉じ集中するアンナだったが、
双子の精霊樹と違い、違和感を感じ始めたのだった。
(ん!?・・・わ、私の呼吸法と少し・・・違う!?)
そう感じたアンナは目を開けると、
双子の精霊樹が放つ気の性質が、明らかに違っている事に気付いた。
(これはどう言う事!?わ、私の気は・・・こんなに澄んでいないわ。
何が違うの!?せ、精霊樹だから・・・?
そもそもの力が違うからなの!?)
戸惑うアンナの気を感じたのか、
双子の精霊樹は揃って目を開いた・・・。
「どうしたの?」
「い、いえ・・・そ、その・・・」
無垢な瞳にアンナは言い淀んでいると、
ミアプラが何かに気付き口を開いた。
「アンナお姉ちゃん?
もしかして・・・違いに気付いた・・・とか?」
核心を突いたミアプラがそう言うと、アンナも頷きながら口を開いた。
「は、はい。でも・・・流石ですね?
私との差を・・・感じました」
「「んっ!?」」
顔を見合わせる2人はアンナへと視線を向けると・・・。
「ひょっとしてお姉ちゃん?何か勘違いしてない?」
「勘違い・・・ですか?」
「うんうん、神様達やパパが同じ気道を使っても、
あまり変わらないのよ?」
「えっ!?ど、どう言う事なのですかっ!?」
話に喰い付いたアンナにエルナトが苦笑しながら答えた。
「もし、人族だからとか、神様だからとか・・・
そんなふうに思っているのなら、間違ってるよ?」
「し、しかし、皆がそれぞれ魔力量が違うように、気道にもきっとっ!」
「フフフ♪」
笑いが漏れたミアプラはそのまま話を続けた。
「気道に種族の差なんて・・・ないよ?
パパが言ってたわ。
その差があるとすれば・・・一歩前へ進めるかどうかだって♪」
「・・・一歩前へ?」
「うん、その一歩前へ進めるかどうかが、大切なんだって♪」
「一歩前へ・・・」
そうつぶやくアンナに、エルナトも続いた。
「気道は呼吸法をどれだけ無駄なく精錬できるかによって変わる。
だから日々の鍛錬を怠ってはいけないんだってさ♪
そして誰かがこの事で悩んでいたら、そう伝えて欲しいってさ♪」
「ユ、ユウト様がっ!?
ま、まさか・・・わ、私がこうなる事を分かってい・・・た?
も、もしそうなら、私にもきっとっ!
・・・日々の鍛錬・・・そして無駄なく精錬・・・
そして、一歩・・・前へ・・・」
そうつぶやくアンナは、これまでの自分の行いを思い出していた。
(ユウト様が私に下さった修練方法・・・
私は焦りのあまり修練もそこそこにしてしまった・・・。
な、なんて私は無知な・・・)
そして何か思い当たると、情けなそうにつぶやいた。
「・・・確かに私は・・・焦るばかりで・・・。
だから師匠は・・・私に・・・それに折角頂いた・・・」
「アンナお姉ちゃん、もう・・・大丈夫なんじゃない?」
ミアプラのその言葉にアンナは・・・。
「お、御二人とも・・・ま、まさか・・・?」
「あはははは♪」
「ふふふ♪」
苦笑する双子の精霊樹にアンナはがっくりと項垂れた。
(・・・全て・・・見透かされていたのですね?
私の為に・・・有難う御座います)
そう思い、顔を上げたアンナの瞳に力が戻っていた。
「・・・御二人とも・・・有難う御座いますっ!」
再び頭を下げそう言うと・・・。
「・・・日々鍛錬・・・肝に命じましたっ!」
その言葉に双子の精霊樹は笑顔を浮かべ喜んでいたのだった。
それから暫くして、アンナは屋敷へと戻る為、
双子の精霊樹に挨拶をし別れた。
(更に・・・一歩前へっ!)
見送り手を振る双子の精霊樹・・・。
そしてそれを見届けた者が背後の建物の陰から出てくると・・・。
「2人とも・・・すまないな?」
オウムアムアは双子の精霊樹の頭を撫でながらそう言うと、
オウムアムアを見上げ笑顔を見せた。
「亜神様?多分アンナお姉ちゃんはもう大丈夫だよ?」
「そうだね?僕もミアプラと同じ意見だよ♪」
「そうか・・・本当にすまないな?
我が師のご家族に迷惑をかけてしまった」
「ふふ♪亜神様も・・・大変ね?」
「あ、ああ・・・そうだな。ははは・・・」
ミアプラの言葉にオウムアムアは頬を掻きながら、
屋敷へ戻るアンナの後ろ姿を見つめていたのだった。
(どうやらこれで落ち着きを取り戻したか?
しかし・・・我ももっと精進せねばな)
そう決意するオウムアムアは、夜空を見上げるのだった。
エルナト ・・・ 初めまして、精霊樹のエルナトです。宜しくお願いします。
ミアプラ ・・・ ミ、ミアプラです。よ、よろしく・・・お願いしましゅっ!
エルナト ・・・ えっと・・・あはは、噛む事くらい誰にでもあるからね?
ミアプラ ・・・ うぅぅ・・・エルナトは、噛まないもん
エルナト ・・・ き、気にする事ないよ?ミアプラは可愛いんだしさ♪
ミアプラ ・・・ ほ、ほんとに?じゃ~噛んでも平気なのね?
エルナト ・・・ あははは、い、いいんじゃないかな~?
ミアプラ ・・・ 良かった~♪ところでアンナお姉ちゃんのお話だね?
エルナト ・・・ もう噛んだ事いいんだね?
ミアプラ ・・・ だって、気にしたって仕方がないもん♪
エルナト ・・・ あはは・・・ミアプラらしいよ。
ミアプラ ・・・ えへへ♪私頑張るもーんっ!
エルナト ・・・ じゃ~話を戻すけど、アンナおね・・・ん?時間っ!?
ミアプラ ・・・ ・・・アンナお姉ちゃんごめんなさい。orz
ってなことで、緋色火花でした。




