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異世界転移 ~魔を狩る者~  作者: 緋色火花
第二章 港町・アシュリナ編
195/406

閑話・イリア 2 進化

お疲れ様です。


じ、自宅に仕事を持って帰ってきてしまった・・・orz

もうこの時期のお決まりパターンとなってしまいました><


って言うか、セルカの閑話・・・書き終えていません><

明日・・・セルカの予定なのですが・・・。


そう、皆さんもうお気付きですね?

つまり・・・ストックがない・・・そう言う事なのですっ!


此処に書き始めたのが去年の7月・・・。

ま、まさかこんな落とし穴があろうとはっ!


ってな事で、頑張ります^^;



それでは、閑話・イリア2をお楽しみ下さい。

あれから3週間・・・岩場の聖域での修行は続いていた。


戦うだけじゃなく、魔力、精霊力、神力についても学んでいたのだった。

勉学の担当は時空神・ミスティの担当・・・。


昼食後の3時間ほどが勉学に当てられたのだった。


「今日はこれくらいにしましょう♪皆さん、お疲れ様でした♪」


そう言うと一同が起立し頭を下げた。


すると・・・。


「ガラッ!」っと突然ドアが開けられ数名が中へと入ってきた。


「イリア、行くわよ」


「はいっ!アリエル師匠」


「セルカ~・・・いっくわよ~♪」


「はいにゃ~♪剣神様♪」


「・・・行くぞ」


「はいっ!オウムアムア師匠」


それぞれがそれぞれの場所へ移動して行く。



誰も居なくなった部屋の中・・・ミスティだけが残された。


「このペースで行けば、間に合うかも・・・しれませんわね」


そのミスティの表情は・・・何かを知っているかのように、

色濃く陰を落としていたのだった。



そして此処は、イリアとアリエルの修練場・・・。


アリエルを先頭にイリアは後ろから着いて行く。


「どうなのイリア・・・勉強の方は?」

訓練時と違い、アリエルの表情も言葉も優しいモノだった。


「はい、今までとは比べ物にならないくらい、

 色んな事が学べています」


「そう♪それは何よりね・・・」

少し口元を緩ませたアリエルは楽し気だった。


少し歩くとアリエルはイリアに向き直ると・・・。


「さて・・・今日もしごくからね?

 しっかりと着いて来なさいよっ!」


「はいっ!宜しくお願いしますっ!」


そう言って頭を下げるイリアは、いつものように魔力を鍛えていく。


「・・・・・」

イリアは直立不動の姿勢で、全身に魔力を駆け巡らせ始めた。


(フフフ・・・いい感じになったわね?)

そう笑みを浮かべるアリエルは、

魔力の耐久値を上げる魔法陣をイリアの足元に浮かび上がらせた。


「ブゥワン」

その白い魔法陣の中で立つイリアには、

今・・・体内の魔力線に膨大な負荷がかかっている。


「・・・うっ」


(・・・こうも早くこの負荷に耐えられるとは・・・

 流石の私も驚くわね?)


イリアはこの3週間、朝練と昼食後の訓練前に、

毎日行っていたのだった。


そして数十分後・・・。


「よしっ!そこまでっ!」


「・・・ふぅ~」


イリアは乱れた呼吸を整え、アリエルの言葉を待った。


「・・・今日は今までの成果を見せてもらおうか?」


「・・・成果ですか?」


「ああ、多少はマシになったからね?

 それでどこまでやれるかを、見ておきたいのよ。

 まぁ・・・久しぶりの実戦だから、武器を使用してもいいわよ?」


「・・・はいっ!」


イリアの返事を聞いたアリエルは、地面に手をかざすと、

ストーンゴーレム3体を出現させた。


「お前の相手だ・・・勝てとは言わないわ。

 私がイリアに求めるのは・・・成果よ?

 やれるなら・・・別にそれでもいいんだけどね?」


薄く笑ったアリエルは瞬間移動で後方に下がると・・・。


「・・・始めっ!」


その言葉が合図となり、3体のゴーレムは動き始めた。

張り詰めた雰囲気の中、動き始めたゴーレムに、

イリアは笑みを浮かべた。


(成果・・・ね♪)


「・・・行きます」

そうつぶやくとイリアは、火球を数発放ちながら移動して行く。


「ボンっ!ボンっ!ボンっ!」

3体全てに1発ずつ命中するが、ストーンゴーレムは当然無傷である。


(まずは牽制からって・・・手堅くいくのね?

 もう少し派手に行くかと思ったんだけど・・・フフフ)


アリエルはイリアの行動を見て笑みをこぼしつつ、

ベンチに座ると、その行く末を見守った。


(・・・この訓練中、陰で特訓していたモノがあるのよね~♪

 いい機会だから・・・実戦で試さなくちゃね♪)


ゴーレムが距離を詰めようと駆け出すが、

イリアは距離を詰めさせず、距離を取り火球で牽制していった。


そんなイリアの行動にアリエルは目を細めていた。


(何故武器を抜かないの?いくら剣が効きにくいとは言え、

 そんな戦い方じゃ・・・)

そう思ったアリエルはイリアへ声をかけようとした時だった・・・。


ゴーレム2体がイリアを追い詰めると、

その底知れないパワーで拳を繰り出してきた。


「!?」


「ドゴッ!」と、鈍い音が聞こえると、

ゴーレム2体の拳は、イリアの少し前でその動きを止めていたのだった。


「・・・一体何が!?」

アリエルが見たモノは、イリアの前に透けた緑色の壁が立ちはだかり、

ゴーレム2体の拳を防いでいたのである。


「・・・精霊(エレメンタル)(ウォール)

透き通ったその壁の向こうで、イリアはそう言って口角を上げると、

奥に居る1体のゴーレムを捉えた。


「へぇ~やるじゃない?前は使えなかったと思ったけど・・・?

 フフフ、魔力じゃなく、この聖域に居る精霊の力を利用して、

 自分の力を使わず防いだのね?

 ・・・悪くないわね♪」


そうつぶやくアリエルを他所にまだ戦いは継続している。


「じゃ~・・・今から試させてもらうわっ!」

イリアは言葉でそうはっきり言うと、

少し離れた1体のゴーレムに突進して行った。


(せ、接近戦!?)

武器も抜かずゴーレム1体に接近して行くイリアに、

顔を(しか)めたのだが・・・。


「・・・行くわよっ!」

「ブゥンっ!」と、唸りを上げる拳をかいくぐり、

ゴーレムの足の間をくぐり抜けると・・・。


精霊(エレメンタル)(アロー)っ!」


「う、嘘っ!?」

アリエルは驚きのあまり声を上げた。

何故なら、弓を精霊力で作り出し、

生成した矢を(つが)え、片膝を着いて構えていたからだった。


「・・・シュートっ!」


「バシュッ!」と、放たれた緑色に光る矢が帯を成し、

ゴーレムの後頭部を撃ち抜いた。


「・・・あと、2体っ!」


笑みを浮かべたイリアに、アリエルはから笑いをしながら、

ベンチに腰を下ろすのだった。


「フフフ・・・やってくれるじゃない?

 思っていた以上の成果・・・ね。

 あと2体・・・じっくりと見せてもうらわ♪」


アリエルが見守る中、イリアは今までにない戦闘を繰り広げていく。


(あの2体・・・離れないわね?)


イリアに迫る2体のゴーレムは連携を取り付かず離れず近づいてくる。


(そう言うつもりなら・・・丁度いいわ♪)


イリアは2体のゴーレムへ牽制の火球を放ちながら、

上へと飛び上がりつつ再び火球をゴーレムの顔面へと放った。


「ボンっ!ボンっ!ボンっ!ボンっ!」と、全てがヒットする。


その内2発の火球がゴーレムの顔面を(とら)えると、

2体のゴーレムはイリアの姿を見失ったが、

このゴーレム達はアリエルの特製・・・。

気配察知を備えたゴーレム達は、瞬時にイリアの場所突き止めると・・・。


「イリアっ!危ないっ!」


ベンチから勢いよく立ち上がり危険を察知したアリエルは、

ゴーレムの動きを止めようとした時だった・・・。


アリエルの目には、イリアの周りの大気が、

ゆらゆらと揺らめいていた事に気がつくと、

咄嗟に向けられたその手を下ろしたのだった。


「・・・魔導装(まどうそう)・・・はぁぁぁぁぁぁっ!」


「!?」


イリアの声が聞こえたのとほぼ同時にゴーレム2体が、

迷う事もなく拳を放った。


精霊(エレメンタル)(ミスト))」


「「ガァァァンっ!」」と、

叩きつけられた地面から土煙と一緒に凄まじい音が鳴り響く。


土煙が舞う中、次第に視界が開けようとした時、

(すで)にそこにはイリアの姿はなかった。


そう、まるで風に流されるように、イリアの気配は消えたのだった。

だがアリエルは薄く笑いながら口を開いた。


「・・・まだ戦闘は終わってないわよ?」


アリエルのそんな言葉に、

ベンチの横から姿を現したイリアが笑みを浮かべると・・・。


「・・・フフ、バレてましたか?・・・ちょっと挨拶にっ♪

 でも・・・とりあえず1体は・・・」


そう言うと、土煙が晴れたその場所で、

ゴーレム1体の身体に大穴が空いていたのだった。


「・・・参考までに聞かせてもらえるかしら?」


「・・・はい」


「あれって・・・?」


「フフ・・・あの穴を空けたのは・・・魔導気の圧縮弾です」


アリエルの視界に入ったその姿は、

何かで生成された防具を装備していたのだが・・・。


「あ、圧縮弾って・・・あんたいつの間に!?

 ん!? イリア・・・お前、そ、それは何を纏っている!?」


「ああ~・・・これですか?」


笑みをこぼしながらイリアはくるりと回って見せ、

1体のゴーレムに視線を移すと、そのまま答えた。


「魔力と精霊力を合わせたモノ・・・。

 参考にしたのは・・・ユウトの・・・魔導気です。

 ですが私は気を扱う事は出来ません。

 だから・・・精霊力と魔力を合わせました。

 まだ正式名称は決まってないんですけどね♪」


(あ、合わせたっ!?)


そう話すイリアの身体からは、

魔力の紫と、精霊力の緑の2つの力が吹き出していた。


「フフフ・・・はっはっはっはっ!

 この短期間で・・・よくやるわね?

 性質の違う力を合わせるだなんてね~?」


アリエルもまた、視線を立ち尽くすゴーレムに移したまま

イリアに顔を向ける事はなかった。


「はい、参考になる人が・・・すぐに傍に居ましたから・・・」


「精霊力と魔力を合わせる・・・フフフ」

(つまりは2つの力を制御したって事よね?

 フフ・・・こんな緻密な制御が出来るようになるとはね~

 それに名称はまだ決まっていないと言っていたな?

 名付けるとすれば、「精魔力」・・・と、言ったところか・・・。)


そんなアリエルの言葉に頷きつつ、

イリアは力強い意思を込めると・・・。


「はい、私が自分の意思でユウトの横に立つ為に・・・」


「・・・なるほど、残りは・・・あと、1体よ」


「・・・はいっ!」


イリアはそう返事をすると、魔導装を解除した。


「・・・身体強化Lv.8」


身体を強化したイリアは、ゴーレム目掛け駆け出すと、

アリエルはゴーレムに向けて手をかざし・・・。


「Lv.8か・・・。完全に覚醒したって事ね?

 ならば私もプレゼントをしなくてはな?」


ニヤリと笑みを浮かべたアリエルは・・・。


「ゴーレム進化っ!ゴーレム・ウォーっ!」


アリエルの声に反応したストーンゴーレムは、

魔力を供給されると、

戦闘に特化したゴーレム・ウォーへと変化したのだった。


通常のストーン・ゴーレムの3倍ほどパワーアップされたゴーレムは、

向かってくるイリアに構えを取った。


(・・・師匠・・・ほ、本気なのっ!?)


「お前には褒美としてそれをプレゼントするわ♪

 だから・・・必ず、倒しなさい♪」


「・・・了解っ!」


突っ込むイリアに構う事もなく、ゴーレムはその拳を放った。


「ゴォォォォっ!」と、言う風切り音を感じながら、

その一撃を躱すのだが、すぐさまゴーレムの膝がイリアを捉えた。


「ガシッ!」


ゴーレムの膝がイリアの腹へと炸裂すると、

その身体はくの字に曲がり派手にイリアは飛ばされていく。


顔を顰めていたアリエルは、その飛ばされ方に違和感を覚えると・・・。


「攻めなさいっ!ゴーレムっ!」


アリエルの命令に飛ばされたイリアを追撃するべく駆け出した。


「ガンッ、ガンッ、ガンッ、ガンッ」と、大地を揺らしながら、

宙を舞うイリア目掛け蹴りを繰り出したその瞬間・・・。


「防いでっ!ブルー・フレイム・スピリットっ!」


イリアの声に従うようにその身体から拳大の「青い炎」が現れると、

放たれたゴーレムの足を迎撃し防いで見せた。


「シュタッ!」と、イリアが着地した瞬間、再びイリアが叫ぶ。


「・・・ブルー・フレイム・・・アームズっ!」


「!?・・・ア、アームズ!?

 アーマー・・・ではないのかっ!?」


イリアの言葉に反応した「青い炎」は、

その身体に纏わり付くと、武装形態に変化した。


金色(こんじき)に縁取られたその蒼き鎧・・・。

だが以前とは違い、より洗練された鎧へと姿を変貌させていたのだった。


(洗練・・・されたかもしれないけど、

 前よりも貧弱そうに見えるのだけど・・・そうじゃないのよね?)


「確かに以前とは形状が違うようだけど、

 でもその貧弱な鎧で、ゴーレム・ウォーの攻撃が防げるのかしら?」


冷めた目で口を開いたアリエルの表情は、

とても厳しいモノだったのだ。


「・・・師匠、見ていて下さい」


「・・・それなら、お手並み・・・拝見・・・ね」


対峙したゴーレムがゆっくりとイリアへと近づいて来る。


普通のゴレームとは違いその強さが目に見えてわかるのだが、

そんなゴーレムを見てもイリアは平然としていた。


イリアは右手を空へと突き上げながらこう叫んだ。


「・・・ウェポンズ・グレート・ソードっ!」


イリアの言葉に反応した青い炎は、

青い光を放つと、挙げられた右手に集まり、

一部が分厚いグレート・ソードへと姿を変え、

残りはイリアの動きを妨げない軽鎧へと姿を変えたのだった。


「・・・ほう~、よくもそこまで・・・」


思わず声を漏らしたアリエルにイリアは構えつつも苦笑していた。


「驚くのは・・・これからですよ?・・・師匠♪」


苦笑しているイリアにアリエルは考察し始めていた・・・。


(夜中に抜け出していたのは、この訓練をする為ね?

 まだ制御は甘いみたいだけど・・・。

 だけど振れるのかしら?そんな重厚な両手剣を?)


イリアの動きや視線、魔力と精霊力の制御・・・。

1つ1つ目を凝らし、その力量を見極めに入った。


再び対峙するイリアとゴーレム・ウォー・・・。

砂塵が対峙する間を吹き抜けた瞬間・・・。


「ドォンッ!ドォンッ!ドォンッ!」と、ゴーレムが駆け出した。

鈍足ながらもその力強い足取りで、イリアに迫って行く。


(さぁ、ここからね?ブルー・・・行くわよっ!)


ブルー・・・イリアはそう呼んだ。


イリアの声に呼応(こおう)するように、

鎧の胸部中央に(かたど)られた金色(こんじき)の炎の紋章が光を放つと、

その光はグレートソードへと集まり、刀身が光を放った。


突進するゴーレム・ウォーに対し、イリアはグレートソードを構えると、

眼前に迫ったゴーレム・ウォーの拳が放たれた瞬間・・・


蒼い閃光となり、気が付けばゴーレム・ウォーの背後で、

イリアはその重厚な両手剣を振り斬った態勢となっていたのだった。


そして・・・。


「ブルー・・・ありがとね♪」

グレートソードに姿を変えた青い炎は、また小さな青い炎に戻り、

イリアの鎧へと姿を変えていく・・・。


「・・・・・な、何が起こった・・・の?」

(まさか・・・エレメンタル・ミストとの併用!?)


ベンチから立ち呆然と立ち尽くしていたアリエルは、

そう・・・言葉をこぼしたのだった。


「ズズッ!」と、ゴーレム・ウォーの胴体が斜めにズレ始めると・・・。


「ボォォォォォッ!」と、蒼き炎をあげて燃え始めた。


「な、何をしたのか見えなかったっ!?こ、この私がっ!?

 だけどっ!ゴーレム・ウォーの特性を侮るなっ!」


そう叫んだアリエルの声が聞こえる少し前・・・。

イリアは何かの気配を察知すると、すぐさま向き直り、


再び・・・。


「ブルーっ!ウェポンズ・ハルバートっ!」


跳躍しながらイリアはそう叫ぶと、跳躍の一番高い所で、

青い炎はハルバートへとその姿を変えた。


「はぁぁぁぁぁぁっ!!」


「ザシュッ!」


縦に斬り裂き着地姿勢のままイリアはゴーレムを見つめると、

そこには、頭部が別れ中から小型のゴーレムが姿を見せていた。

だが、その小型のゴーレムが再び動き出す事はなかった。


「ボォッ!」


(師匠ったら、意地悪ね♪)

小型のゴーレムごと、真っ二つに斬り裂かれたゴーレムは再び燃え始めた。


「ありがと・・・ブルー。終わったわ♪」


イリアの声に青い炎は再び分散すると、鎧の一部へと姿を変えていった。


「ふぅ。・・・私の完敗ね♪」


少し笑みを浮かべつつそう言葉にしたアリエルは、

ベンチから立ち上がると、イリアの元へと歩き始めた・・・。


そして・・・。


「イリア・・・よくやったわ。

 私の想像の範疇(はんちゅう)を超えた戦いだったわ」


「・・・あ、有難う御座いますっ!」


深々と頭を下げるイリアに、アリエルは溜息を吐くと、

苦笑しながら口を開いた。


「はぁ~・・・まさかアレまで察知されて斬られるとはね~?

 折角苦労して作ったのに・・・ね♪」


悔しそうな表情を見せながらも、その声は・・・明るかった。

そんなアリエルに苦笑するイリアは、

とても晴れ晴れとした笑顔を見せたのだった。


「まぁ~・・・色々と言いたい事も、聞きたい事もあるけど・・・。

 それは後でいいわ。

 兎に角・・・イリア・・・お疲れ様。

 そして、よくやったわ♪」


アリエルの(ねぎら)いの言葉に、

今、イリアの頭の中では・・・

これまでの修行が走馬灯のように流れて行った。


「あ、ありがとう・・・ございま・・・す」


そう言って頭を下げるその顔の下に、

いくつもの涙の粒が落ちて行くのだった。



そしてその夜中・・・。


アリエルは修練場に1人・・・来ていた。


ベンチに座ると・・・。

マジックボックスからテーブルと紅茶を取り出しカップに注いだ。


「・・・私が人族から学ぶ事があるなんて・・・ね」


そう言いながら空を見上げると、

まだ起きていた精霊達や妖精達が、楽しそうに飛び回っていた。


紅茶を飲み一息着いたその時・・・。


「・・・私にも頂けないかしら?」


「・・・ん!?」


暗がりから聞こえた声に、アリエルは溜息を吐きつつ、

ベンチの背もたれに体を預けた。


「・・・ミスティ、私に何か用なの?」


「ふふふ・・・イリアさんの映像、見させてもらったわ♪」


そんなミスティの声に、アリエルは眼球だけを動かし、

その姿を見ていた。


「彼女・・・覚醒したのね?」


そう言いながらミスティはアリエルの隣に座ると、

テーブルに置いてあったティーポットを掴み、

自分のカップを取り出すと、その中身を注いだ。


「覚醒・・・と、言うよりも・・・

 私から見れば、あれは・・・そう、進化・・・ね」


「・・・進化!?」


「ええ、そうよ。ステータスを確認した訳じゃないけど・・・。

 イリアはきっと・・・ハイ・エルフに進化しているはずよ」


「・・・そう」


ミスティのその淡白な返答に、アリエルは体を起こし、

訝しげな表情を浮かべると・・・。


「そう・・・って、どう言う意味よ?」


「だって、彼女の五代前の祖先は古代種(エンシェント)エルフなのよ?

 そう言う血筋だもの、限界を超えれば自然と進化するわよ♪」


「・・・って事は何?イリアまだまだ成長するって事?

 はぁぁぁっ!?わ、私・・・聞いてないんだけど?」


「ふふっ・・・だって、言ってませんもの♪」


「ケラケラ」笑うミスティに、アリエルは体を震わせると・・・。


「ちょっ、ちょっとっ!らにふんのよ・・・」

アリエルはミスティの両頬を思いっきり引っ張り伸ばしたのだった。


「あ、あんたねぇぇっ!ほんっとにっ!

 いつもいつも肝心な事はどうして言わないのよぉぉっ!」


「い、いふぁいっ!いふぁいってばーっ!」


静まりかえった岩場の聖域に、ミスティの悲痛な叫びが、

木霊していたのだった。


(古代種って・・・はぁ~・・・センスがあるのも頷ける訳ね・・・)




アリエル ・・・ ま、魔法神・ア、アリエル・・・だ

ミスティ ・・・ 時空神・ミスティです♪

アリエル ・・・ ま、まさかイリアの先祖が・・・ハァ~・・・。

ミスティ ・・・ ふふふ♪よくある事ですわ♪

アリエル ・・・ ないわよっ!ほんっとにっ!ちゃんと教えなさいよっ!

ミスティ ・・・ だって~・・・そんな細かい事を気にするとは・・・?

アリエル ・・・ 普通は気にするわよっ!

ミスティ ・・・ あらっ♪これは失礼致しました♪

アリエル ・・・ こ、こいつ・・・しゃ、釈然としない・・・

ミスティ ・・・ 頑張ってくださいね?アリエル先生♪

アリエル ・・・ ほんっとにっ!あんたの事・・・嫌いだわ

ミスティ ・・・ ふふふ♪



ってなことで、緋色火花でした。

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― 新着の感想 ―
[一言] イリアが進化・・・ 確かにまだまだお話続きそうですね。。。
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