閑話・ラウルの秘密 前編
お疲れ様です。
さて、今回から暫くの間、閑話シリーズとなります。
まずはラウルと白斗のお話からスタートですので、
楽しく読んでもらえると、とても嬉しく思います^^
そして次回のアップは、「活動報告」に記載しておきますので、
そちらの方を御覧下さい。
それでは、閑話シリーズをお楽しみ下さい。
此処は神界に在るラウル専用のラボ・・・。
その空間では、ラウルと白斗が新たな擬体製作の為、思案していた。
「んー・・・」
唸りつつ、ミランダが使用していた擬体の画像を見る1人と1匹・・・。
「なぁ~ラウルはん?えらい人工筋肉の断裂が多いんやけど、
これって神力を使った事の弊害なんか?」
白斗の問いにラウルは一瞬白斗を見ると、
再びその視線は画像へと戻っていった。
「いや、神力を使ったからじゃないよ?
だって、この擬体は神力がないとそもそも動かないからね?」
「そやかてこれって・・・過剰な神力を流さんと、
こんなコゲたような断裂にはならへんのとちゃうん?」
「まぁ~過剰な・・・って、そう言われたらそうなんだけどさ~?
でもこの場合・・・それだけじゃない気がするんだよね~?」
「なんや?はっきりせんのかいな?」
「・・・はっきりしないんだよね・・・これが・・・」
壊れた擬体の画像を見ながら再びラウルは頭を悩ませるのだが、
再び新しい擬体の製作に取り掛かった。
「じゃ~まず新たに擬体を作ってから、検証するとしよう」
そう言うとラウルはマジックボックスから、
擬体となる素材を次々取り出した。
「よしっと・・・」
取り出し終えたラウルは部屋の片隅にある戸棚へと向かった。
そんなラウルの後ろ姿を見た白斗は・・・。
「これって所謂・・・アレ、やんな?
確か・・・。
水35ℓ、炭素20kg、石灰1.5kg、リン800g、塩分250g・・・やっけ?
人体錬成・・・みたいなもんやろか?」
そんな事を口にしながら白斗は素材を見ていくと、
その声に笑いながらラウルは答えた。
「はっはっはっ!白斗君、人を作ろうってんじゃないんだから・・・。
神達が外界に降りるための擬体だよ?」
「せやね」
暫くしてラウルと白斗は戦闘用に特化した擬体を作るべく製作に着手した。
「え~っと・・・まず擬体の骨には~・・・
ドラゴンの骨と~・・・あと・・・何だっけ?」
「なっ!?ちょっ、ちょっと待ってーなっ!ラウルはんっ!」
「ん!?どうしたの~?」
「どうしたの~って・・・
あんさん、いきなりドラゴンの骨とか使うつもりかいなっ!」
「ん?そうだけど?」
「待ちーなっ!いきなりそんなん使うって正気の沙汰やおまへんでっ!」
「えっ!?ダメなの!?」
白斗の抗議もなんのその、ラウルは平然と答えていった。
そんなラウルに溜息を吐きながらも話は続いていく。
「ええでっかっ!?まずは何ランクか下の素材で製作して試してから、
徐々にランクアップさせて行くんがほんまとちゃいますのんか?
ドラゴンの骨とかってめっちゃ貴重なんやろ?
それを惜しげもなく・・・そんなんあかんってっ!」
「えぇぇーっ!?だって・・・そんなの面倒臭いじゃないかぁ~
素材はあるんだからさ~、別にそういうのって・・・良くない?」
「め、面倒ってあんさん・・・それって神としてどうなん?
まずは代えの利く素材から初めて、問題なしと判断してから、
貴重な素材を使うのが常識でっせっ!」
「もう・・・わかったよっ!白斗君はいちいち細かいなぁ~」
「細かないわっ!ほ、ほんまに大丈夫かいな・・・」
そんなラウルに頭を抱える白斗を他所に、擬体の製作は進んでいった。
暫くした後、漸く一体の擬体が完成したので、
様々な問題をチェックしていく。
そしてその結果・・・。
「うむ・・・ほら、白斗君見てよ?
どうしてもこの人工筋肉の素材じゃ、
神力を流せる量が決まってしまうんだ・・・」
「ん~・・・確かにこの素材やったら、さっき試した素材の方がええんやけど、
それやと身長3mくらいなってまうしな~?」
「まぁ~そんなに大きい擬体なんて嫌だしね~?」
そんなやり取りをしていた時だった、
白斗の視界にあるモノが入ってきた。
「なぁ~ラウルはん?それって・・・何でっか?」
白斗の小さな手が示したその先には、
銀色のトレイに置かれた、透き通ったチューブらしきモノがあった。
「ああ、これかい?
これは神界樹の樹液から作った・・・
ん~・・・そっちで言うところの・・・
ゴム製品のチューブみたいなモノだよ?」
「へぇ~こっちにもゴム製品ってあるんやな~?
えっ!?えっ!?なぁなぁラウルはんっ!
それを人工筋肉にしたらええんとちゃいますのん?」
ラウルは銀色のトイレに乗っている神界樹の樹液で作られた
ゴムチューブを手に取った。
「ふぅ~・・・。僕もそう思うのだけれどね~
白斗君いいかい?ちょっと見てておくれよ?」
ラウルはそのチューブの中から一本を選ぶと、神力を流していく。
すると・・・。
「な、なんや!?神力を流したら青く光始めたやんっ!
めっちゃ綺麗やな~?
なんやチューブの中に蛍光塗料を流しとるみたいやんか~」
そんな感動めいたモノが白斗の中で生まれたのだが、
次第にその表情は崩れ、そのチューブは急激に膨張し始めた。
そして・・・。
「パン!」と、弾けてしまった。
「ラ、ラウルはん・・・これは!?」
「ああ、この神界樹の樹液で出来たチューブは、
ある一定の神力を流すと・・・破裂するんだよね・・・
それに・・・ほら、ここを見てごらんよ?」
ラウルはそう言って白斗にチューブのある部分を見せると・・・。
「な、なんなんこれ!?えらい真っ黒に変色しとるやんか!?」
白斗が見たものは、ラウルが神力を流す時に触っていた部分だった。
「な、なんなん!?な、なんでこないな事になっとるんや?」
「それはね?僕が手袋をしないで素手で触ったからなんだ」
「そ、そんなに繊細なもんなんか!?」
「ああ、僕も一度はこの素材で人工筋肉をって思ったんだけどね~
結果はまぁ~この通りだし、素手で触ると黒く変色するしで・・・
全く使い物にならないんだよね?」
白斗はそのチューブを見て思案していくと、ラウルにいくつかの質問をした。
「なぁ、ラウルはん?」
「ん?どうしたんだい?」
「これって神界樹の樹液をそのままチューブにしたんやんな?」
「ああ・・・そうだけど?」
「何かを混ぜたりはしてへんの?」
「してないって言うか・・・出来ないって言うか?
神界樹の樹液の原液と結合する素材なんて、
そうそうあるはずもないしね?」
「へぇ~そう言うもんでっか?」
その話を聞いた白斗は再び思案していく・・・。
(ん~神力を流すと破裂した上、黒く染まる・・・
それってそれだけこの素材が純粋なもん・・・ちゅー事やんな?
それに素材って言うたかて、物理的なもんだけが素材やあらへんしな?)
白斗は唸りつつも思案していくと、ある事を思いついた。
「なぁ、ラウルはん?素材って言うたかて、
それは物理的なもんばかりやないやんな?」
「ん?それはどう言う意味だい?」
「ラウルはんがさっき言うてたやん?
神界樹の樹液の原液と結合する素材なんて~って・・・」
「あ、ああ~、まぁ~僕の知る限りそんな素材は存在しないと思うよ?
これでも手当り次第試してきたからね~?」
それを聞いた白斗はブツブツ言いながら、もう一度思案し始めた。
(ん~・・・それやったら何で樹液なんかで製作可能なんや?
他のモノと結合せーへんかったら・・・
その素材の存在理由ってなんなんや?
それに・・・ん!?・・・ひょっとして・・・? )
白斗の様子を伺っていたラウルは、その表情が変わるのを見た。
「は、白斗君!?何か気がついたのなら・・・教えてくれないか?」
「ラ、ラウルはん・・・その樹液と結合する素材がないんやったら、
神力とか魔力とか・・・物理的じゃないもんとは・・・どうなんや?」
「・・・えっ!?」
「試した事・・・あるんやんな?」
「あははは・・・な、ない・・・ね」
「・・・さよか」
ラウルはこの時、フルフルと無言で頭を何度か振っていたのだった。
「ワ、ワシも自信はあらへんけど・・・
も、もしかしたら・・・って、か、可能性だけなんやけど・・・な?」
白斗は自分自身でも半信半疑ながらも、
何か妙な手応えを感じるのだった。
「・・・それが正解かも・・・ね」
「・・・えっ!?」
「それかもしれないよっ!白斗君っ!」
「な、なんや急にっ!ラ、ラウルはん・・・どないしはったん?」
「いけるっ!その可能性は・・・あるっ!」
ラウルは興奮気味にそう言うと、早速神界樹に瞬間移動すると、
その原液を入手してきたのだった。
「ま、また・・・ぼったくられた・・・な」
「ん?ラウルはん・・・何がでんの?」
「ははは、いやいや・・・こっちの話だから・・・」
「さ、さよか・・・」
そして・・・。
「まずは試しに・・・」
そう言うと、ラウルは原液に神力をゆっくりと注いでいった。
すると徐々にではあるが、神界樹の原液の色が、ゆっくりと変わり始め、
ほぼ透明だった色が、白く変わっていった。
「ん~・・・白くなったと言うよりも・・・濁ったね?」
「せ、せやね?これは・・・失敗でんな?
でも、変色するまでの時間って・・・計ってへんやんな?」
「・・・あっ」
ラウルと白斗はお互いに好奇心に身を任せてしまい、
同じ事をもう一度繰り返す事になったのだった。
そして暫くした後・・・。
「ふぅ~・・・今日はこれくらいにしておくかな?
もう樹液の素材も底を着いたしね~」
「せやね?ちょっと気分転換せな、頭も働きませんわ」
「まずは食事にしよう・・・」
「そうでんな♪」
そう言うと、ラウルと白斗は食事を終了させると、
満腹そうな白斗を見つめ考えていた・・・。
(うむ・・・。彼をあそこに連れて行けば・・・もしかすると?
んー・・・いける・・・かも?ふっふっふっ♪)
「ねぇ、白斗君?まずは樹液を入手しないといけないからさ、
その場所に一緒に行ってくれないかな?」
「ああ~・・・別にええですよ?
樹液は大量に必要になるさかい、ワシも及ばすながら手伝いますわ」
「ふふ・・・実に有り難い♪」
ラウルの提案で白斗は快く引き受けると、
ある場所へ樹液を入手するべく出かけるのだった。
(白斗君が居れば・・・もしかしたら・・・)
ラウルはそんな事を思いつつ神界の門を呼び出した。
「ギィィィ」
神界の門が開かれラウルと白斗が大地へと降り立つと・・・。
(さて・・・ここからが勝負だっ!)
「な、何や・・・ここ?」
「ふふ~ん♪」
(白斗君・・・ここから先は君の双肩にかかっているっ!
私は調べたのだよ・・・彼女はとても・・・犬好きだと言う事をっ!)
白斗は目の前に聳える超巨大な大木に言葉を失っていた。
その様子を見ていたラウルは白斗を肩に乗せると、
指を差し声を張り上げた。
「白斗君っ!これが神界樹・・・なのだぁぁぁっ!
わっはっはっはっ!」
「こ、これが・・・神界樹なんか?
精霊樹なんて比べもんにならんくらい・・・で、でかいんやな~?」
驚きの余りラウルの決めポーズを無視する形となった白斗に、
少し・・・しょんぼりとしたラウルの表情があった。
「ショボーン」
「・・・・ほんまに、すごいでんな~」
感動に浸っている白斗に再び無視される形となったラウル・・・。
「・・・・は、白斗君、どうして・・・突っ込んでくれないんだぁぁぁっ!」
「・・・知らんがな」
白斗がそう言ってラウルに呆れた声を漏らした時だった。
神界樹が白銀色の優しい光を放つと、
ラウルと白斗の前に・・・。
白銀色のショートボブの女性が立ち、
髪の色と同じ白銀色のシルクのローブを纏っていたのだった。
(これはこれはラウル様?再び御用でしょうか?)
そんな神界樹にラウルは苦い表情を浮かべながら口を開いた。
「ひ、ひどいな~・・・。
再びって、そんな事言わないでよね~?」
(はぁ~・・・。ラウル様?
またこんな所で油を売っていると、ミスティ様に叱られますよ?)
「・・・な、内緒にしておいてよね?ねっ!?ねっ!?
って言うかさっ!遊びで来たんじゃないんだってばっ!」
そう言いながらラウルは拗ねて見せるのだった。
(本当にラウル様ったら・・・いつもいつも・・・
あら!?ラウル様の肩の上に乗っている・・・のは?)
不思議なモノでも見るかのように、
神界樹はラウルの肩に乗る白斗に興味津々だった。
「ふっふっふっ~♪実はさ~?
君にも彼を紹介しておこうと思ってさ~♪」
(・・・彼・・・ですか?)
瞬きをしつつ顔を白斗に近づけてきた。
(ち、近い、近いって!こ、こわっ!)
白斗は顔を引きつらせていると・・・。
「ほら、白斗君、挨拶して?」
ラウルの声に頷いた白斗は、神界樹との距離の近さに戸惑いつつも、
頭を下げ挨拶をしたのだった。
「えっと、ワシは地球から来た聖獣・白斗って言います。
今は主の元、このノーブルで活動させてもろうてます。
今後ともよろしゅ~お願いします」
「ぺこり」と下げた頭に神界樹の指先が・・・触れた。
(か、可愛い・・・♪)
「・・・へっ!?なっ、なんや!?」
神界樹の声に戸惑いつつも首を捻りラウルにヘルプを促した。
「・・・白斗君が困っているみたいだよ?」
(神界樹・・・勝負あったな?)
「・・・あっ、はいっ!」
冷静さを取り戻した神界樹は白斗に謝ると、ラウルは話を切り出していく。
「でさ?もう少し君の樹液を分けてくれないだろうか?」
「はい、別に構いませんよ?」
「有難う・・・じゃ~この・・・バケツに注いでおくれよ♪」
(・・・お、大きい・・・ですね?)
「はっはっはっ!今僕はこの白斗君と一緒に、
擬体製作をしているんだよね♪」
(あら!?この可愛らしい・・・白斗・・・様と?)
「「さ、様!?」」
この時、ラウルから白斗へ念話が送られてきた。
(白斗君?とても気に入られたようだね?)
(な、何でやろ?ワ、ワシ・・・別に何もしてへんねんけど?)
(君にはきっと・・・隠された魅力があるんだよっ!)
(か、隠されたって・・・何でワシの魅力・・・隠されとんねんっ!
おかしいやんっ!隠す必要あらへんやんかっ!
ワシの魅力、もっと全面的に出てきたらええやんかっ!)
(まぁ、まぁ・・・落ち着いてよ)
(落ち着くも何もあらへんわ。
ワシ・・・なんか虚しゅうなってしもうたわ)
1人と1匹がそんな会話をしていた頃、
神界樹はラウルの用意したバケツに大量に樹液を注ぎ込んでいたのだった。
そして注ぎ終わろうとした時・・・。
「ご、ごめん・・・もう一杯くらい・・・もらえる?」
(えっ!?)
ラウルは頭を掻き苦笑しながらそう言った。
(構いませんけど・・・代金・・・
コホン・・・こ、こんな大量になんて・・・本当に必要なの?)
(ここからが勝負だっ!)
「あ、ああ・・・。そうなんだよ・・・実はっ!
この白斗君がっ!とんでもない発見をしたのだよっ!」
「ラ、ラウルはんっ!?あ、あんた急に・・・!?」
(しーっ!いいから見ててよ♪)
(ほんまに大丈夫かいな~?
演技がなんか・・・劇団◯季みたいになってるやんっ!)
不安が募る白斗を他所に、ラウルの話は続いていく。
(・・・発見!?)
「ああ、彼はね?この僕にでさえ見い出せなかった・・・
このっ!君の樹液の可能性を僕に示してくれたんだよっ!
こっ、これは・・・そうっ!間違いなくっ!世紀の大発見なのだっ!」
(えぇぇぇぇっ!?ほ、本当なのっ!?)
「本当さっ♪君は以前から気にしていたね?
自分の素材はどんな素材とも交わらない事にっ!
君は悲しんていたね?
自分はこんなにも孤独なのだとっ!
そんな話を聞いたこのっ!聖獣・白斗君がっ!
君のその悲しみを癒やすべくっ!
君の前に・・・舞い降りたのさ♪」
(わ、私の為・・・に?は、白斗様っ!?ほ、本当なのですか!?)
(ワ、ワシ、一体何を見せられてんねんな?
この展開・・・いや~な予感しかせーへんねんけど?
ま、舞い降りたって・・・ワシ、あんさんの肩に乗ってるだけやんかっ!)
この時白斗は、目の前で繰り広げられている茶番に、
開いた口が塞がらなくなっていたのだった。
(は、白斗君っ!話を合わせてくれないとっ!)
(な、なぁ?ほ、ほんまに・・・ええのんか?
ワシ・・・胸の辺りがなんか苦しいんやけど?)
(・・・まさか・・・不治の病だったり!?)
(ちゃうわっ!ボケェェっ!)
と、そんなやり取りが行われていたのだった。
「ははは・・・ほ、ほんまですよ?
神界樹様のその樹液が、新しい擬体製作の要になるかもって、
ラウルとはんと話してましてん」
(は、白斗様が・・私の・・・為・・・に?)
「わ、私のっ!?・・・えっ!?ワ、ワシ別に・・・そんなん・・・」
(白斗君っ!頼むよっ!)
(うぅぅぅ・・・ほ、ほんまに知らんからな!
もうどうでもええわっ!こうなったら・・・やけっぱちやっ!)
「ほ、ほんまですっ!神界樹様のた・・・た・・・め・・・にっ!}
(よしっ!よく言ったっ!)
白斗の言葉に、神界樹は目に溢れんばかりの涙を溜めていた・・・。
(・・・白斗・・・様・・・)
その後、神界樹はのぼせ上がり、あと2杯分の樹液を注ぐと、
白斗をうっとりした眼差しで熱く・・・見つめ続けているのだった。
樹液をたっぷりと受け取ったラウルは深呼吸すると、
神界樹に話を切り出した。
「神界樹・・・おかげで助かったよ」
(い、いえ・・・わ、私はその・・・白斗様の為に・・・)
この時ラウルの心の声は・・・
(ちゃーんすっ!我に勝機ありっ!)・・・だった。
「さて・・・神界樹?お代の方なんだけどさ?」
(お、お代っ!?ラ、ラウルはんっ!代金払ろうてるん!?)
(ああ、しかも・・・かなりぼったくられるんだよね~)
(ほ、ほんまに・・・か?)
ラウルが話をそう切り出した時、神界樹の反応は・・・。
(だ、代金!?えっと・・・その~・・・だ、代金・・・ですよね?)
そんな神界樹の反応にラウルはニヤリと笑みを浮かべると、
ラウルの悪い部分が・・・顔を覗かせた。
「ああ、いつも素材をもらう度に払っている代金の事だよ?
どうしたんだい?あんなに・・・お金が好き・・・・・・・・・」
(あぁぁぁぁぁぁっ!?わぁーっ!わぁわぁわぁぁぁぁー!)
突然大声で叫び始めた神界樹に、白斗は思いっきり顔を引きつらせた。
その白斗の表情に気付いた神界樹は・・・。
(ハッ!)
(コホン・・・。い、いや・・・ですわ、ラウル様♪
未だ嘗て、代金など・・・頂いた事など御座いませんが?)
「えっ!?」
(い、嫌ですよ?ラウル様ったらっ♪おっほっほっ♪
俗に言うところの・・・し、神界ジョークと言うやつですわね♪
お~ほっほっほっ♪)
(ここまで豹変するとは、流石の僕も思わなかったよ?
君・・・それでいいのかい?)
そんなやり取りが終わった後・・・。
神界樹のご厚意で、その他の素材を沢山頂けたのだった。
その素材とは、神界樹の・・・根、葉、花、樹皮、蕾、枝など、
その素材はバラエティーに飛んでいたのだった。
そして・・・別れの・・・時・・・
ラウルと白斗は神界の門をくぐり抜けようとすると、
創造神ラウルは指をパチンと鳴らした。
すると・・・どこからともなく、別れの音楽が流れてくる・・・。
(ふっふっふっ~♪演出はバッチリだっ!)
「じゃ~神界樹、また来るからね?
白斗君・・・行こうか?」
「お、お邪魔しました神界樹様・・・また来ますわ。
ラウルはん・・・後でちょっと宜しいでんな?」
「・・・は、はい」
(ま、また・・・来て頂けるのですかっ!?)
白斗の言葉に、神界樹の悲しみに満ちたその顔に・・・光が・・・差す。
「は、はい~・・・また・・・来たいと思うとりますよ?
これも何かのご縁やよって・・・」
(お、お、おおおお待ちしておりましゅっ!)
「じゃ~ね~♪」
「ほな~・・・さ、さいなら」
(噛み・・・はったな?)
(そう・・・だね?)
(ま、また・・必ずっ!必ずいらして下さいませーっ!)
「バタン」
こうしてラウルと白斗は神界樹の元より無事に帰還するのだった・・・。
「めでたし、めでたし・・・っと・・・」
「めでとうないわっ!あほかぁぁぁっ!」
ラボの中で白斗の声だけがむなしく響くのだった。
ミスティ ・・・ ごきげんよう皆さん、時空神ミスティで御座います♪
極小の犬 ・・・ な、なぁ、ミスティはん?
ミスティ ・・・ はい、どうかされましたか?
豆粒な犬 ・・・ ワ、ワシの名称・・・おかしな事になっとるんやけど?
ミスティ ・・・ あら?はぁ・・・こんな事をする人は・・・一人しか・・・。
白玉 ・・・ ちょっと待てぇぇっ!それはもう食物やんけぇぇぇっ!
ミスティ ・・・ 今回呼ばれなくて、きっと意地悪を・・・。
白玉あんみつ ・・・ そうそうっ!めっちゃ甘くてな?って、ちゃうわっ!
ミスティ ・・・ ふふふ♪本場のノリ突っ込み・・・有難うございました♪
ってなことで、ワシ、白斗やさかいなっ!今後ともよろしゅうな~♪




