閑話・日本 19 同じ夢
お疲れ様です。
閑話・日本の続きですね^^
本家に運ばれた英二と、涼華に話をしに来たいちかと大介・・・。
楽しいと思ってもらえたら幸いです。
ついでにブックマークの登録や感想なんかも頂けると・・・
すっごく嬉しいですw
それでは、閑話・日本 19をお楽しみ下さい。
大介といちかは神野家の執事である塚本 修一に案内され廊下を進んで行く。
「塚本さん、涼華様は?」
修一はいちかの言葉に振り向きもせず廊下を進みながら答えた。
「・・・もうお待ちですよ?」
「・・・手配のほど、有難う御座いました」
「いえ、これも私の仕事ですので・・・」
そして暫く歩いて行くと・・・。
「・・・こちらです」
執務室・・・そう書かれた部屋に案内されたいちか達・・・。
すると修一は執務室と書かれた部屋をノックした。
「コン、コン」
「・・・入りなさい」
「失礼致します」
修一はドアを開けるとこの部屋の主に一礼した。
「お仕事中申し訳御座いません。
只今いちか様と、大介様がお越しになられました」
そう言うと修一は中に入り2人に入るよう促した。
「いちかです。突然の連絡に対処して頂き感謝しています」
「ふむ・・・構わんぞ、中に入れ・・・」
「し、失礼します」
いちかが挨拶を述べ終わると、大介も挨拶を済ませ入室した。
「ふむ、2人ともご苦労だったわね?」
そう言ってスーツ姿の涼華は立ち上がると、2人をソファーへ座るよう促した。
「「失礼致します」」
涼華は修一へ目配せすると、一礼した後・・・退室した。
涼華もソファーへ座り直す頃・・・。
修一が紅茶を運び戻ってくると各々へと配っていった。
そして涼華はその紅茶を一口飲むと、
2人に対しても飲むよう進めた。
ティーカップをソーサーに戻すと涼華は話を切り出していく。
「いちか、英二もお前と同じだと言うのは本当か?」
「・・・はい」
その言葉を聞いた大介は目を見開き驚いていたのだった。
「いちか・・・お前・・・も?」
大介の言葉にいちかは無言で頷いて見せた。
そんな2人を見ながら、再び涼華は口を開いた。
「それにしても・・・。お前達2人が似たような現象に・・・」
涼華は立ち上がるとデスクに向かい、
引き出しの中から一冊のノートを取り出した。
そして再びソファーに座り、そのノートを広げると、
そのノートに何かを書き始めた。
「ふむ、ではいちか・・・もう一度昨日の話を振り返ろうか?」
「はい、分かりました」
涼華は頷くと、ペンを取りノートに書かれている内容を確かめるように、
いちかの話に耳を傾けていく。
「昨夜私は悪夢に魘されました。
その悪夢の内容は、今、この時点でも鮮明に覚えています」
大介は固唾を飲みながら、いちかの話を聞いていった。
「その悪夢と言うのは・・・。
ふと目覚めたら、私は森の中に居ました。
最初は頭がボ~っとして、
状況を把握するのに暫く時間はかかったと思います。
ですがふと・・・。少し先の木々が開けた辺りに、
大勢の人達が居る事に気づきました。
ですがそれは、騒いでいるのではなく・・・泣いていたのです」
すると此処で、涼華がいちかへと話しかけた。
「・・・声は聞こえたの?」
「ラジオにノイズが入るように、あんな感じで声は聞こえていました。
私は人が集まっている場所へと歩いて行くと・・・。
次第にぼやけていた視界とノイズ混じりの音声が、
はっきりと聞こえるようになりました」
この時いちかは目を閉じ、
その光景を1つ1つ思い出しながら話していくのだが、
その表情は次第に曇っていった。
「大丈夫?」
「は、はい・・・。続けます」
一度目を開けたいちかはそう言うと、涼華が頷くのを待って話し始めた。
「その場所へ歩いて行くと・・・。
突然・・・悠斗と言う名前が聞こえました」
「!?」
大介はいちかの口から出た名前に、息が止まるほど驚くのだった。
そんな大介を一瞬チラっと見た涼華だったが、
何事もなかったかのように、再び視線をそのノートへと戻した。
「私はその名前を聞くと駆け出しました。
そこに集まる人混みの中を・・・。
そして辿り着いた場所には・・・血に塗れた悠斗さんが・・・」
大介はこの時・・・。
(こ、こいつは・・・一体何の話をしているんだ!?
そ、それに、涼華様までっ!
夢の話なんだよな?な、なのに・・・なんで・・・?)
驚愕する大介を他所にいちかの話は続いていった。
「すると突然・・・初めて感じるその気配に周囲はざわめきだしました。
私も勿論その気配の重さに驚き、まるで金縛りになったように・・・」
ここまで話した時だった。
「うむ・・・いちか、その後はもういい」
「分かりました」
そんな2人のやり取りに大介は思わず口を開いた。
「お、終わりなんですか?」
大介は自分が言った言葉に驚くと、両手で自分の口を塞ぐのだった。
するといちかが・・・。
「その後は、そいつと私が戦うんだけど、負けちゃってね~
私・・・殺されちゃうんだけど、その死ぬ間際・・・。
その化け物が悠斗さんを・・・食べちゃうの」
「えぇぇぇぇぇぇぇっ!」
突然叫び声をあげた大介に、いちかと涼華が耳を塞いだ。
「あぁぁぁ~・・・す、すみませんっ!」
「・・・大介さん・・・うるさい」
「・・・・・」
「・・・ご、ごめん」
そう大介が謝った時だった・・・。
「ガチャ」
「入るぜ~・・・」
そう言って英二が部屋へと入ってきた。
無愛想に入ってきた英二に、涼華は睨みつけながらこう言った。
「・・・起きたか、英二・・・許可はしてないが?」
「けっ!そんなの面倒臭せーだろ?」
英二がそう言った瞬間・・・。
「カツッ!」と、閉められたドアにナイフが刺さっていた。
「・・・!?あっ・・・危ねーだろうがっ!」
そう怒鳴る英二を再び睨みつけると、
涼華は短いスカートをたくし上げ、ナイフを抜き再び投げつけた。
「カツッ!カツッ!カツッ!」
3本のナイフが英二の頭を囲うようにドアに突き刺さった。
「ゴクリ」
英二は顔を引きつらせながら、ゆっくりと一歩踏み出すと、
大介が座るソファーの後ろに隠れるのだった。
「あっ、危ないって言ってんだろっ!」
再び怒鳴る英二に、涼華は何か言おうとするが、
ふと視線に気付くと・・・。
「いちか・・・何を見ている?」
「・・・ふとももが・・・」
「「「・・・はい?」」」
いちかの視線の先に全員が跡を追った。
すると・・・。
「「「!?」」」
その視線の先には・・・美しい涼華のふとももが露出されていたのだった。
慌てた涼華は咄嗟にそのふとももを隠すのだが、
いちかはまだ見ているようだった。
「・・・い、いちか・・・いつまで見ているのよ?」
照れながらも涼華はそう言うと・・・。
「えっと・・・私初めて見ました」
「・・・何を?」
「リアルでふとももにナイフを隠している人をです」
「!?」
「ププッ!・・・あ~はっはっはっはっ!
い、いちか・・・お、お前、怖いものねぇーのかよっ!」
突然爆笑し始めた英二に、大介は呆れつつも・・・。
「いちか・・・お前はもう少し恥じらいをだな・・・」
と、説教が始まった。
涼華の部屋が騒がしくなり始めると、「コホン」と咳払い1つで静まった。
「・・・3人とも・・・此処で死ぬか?」
涼華の絶対零度の視線が、騒がしかった3人を黙らせた。
「話を戻すが・・・。英二、何をしにきた?」
すると英二が大介の背後から飛び上がると、ソファーへと着地して見せた。
「え、英二さんっ!」
大介の言葉を無視しつつ涼華といちかを見ると・・・。
「・・・いちか、お前も俺と同じ夢を見たのか?」
いちかは英二の言葉を聞くと、息を吐きながらソファーにもたれた。
「はぁ~・・・そうですよ。
多分・・・同じ夢だと思いますよ?」
「・・・何で俺とお前の夢が同じだってわかんだよっ!」
するといちかは視線を大介へと向けた。
「大介さん・・・。
英二さんの背中に、何かの痣のようなモノがあったんですよね?」
「あ、ああ・・・肩甲骨から下にいくつかの痣があったけど?」
「そうですか・・・英二さん、つまりそう言う事なんですよ」
そんないちかの言葉に、英二は驚きを見せていた。
「お、お前も・・・あるのか!?」
「・・・はい」
そう言うといちかは涼華を見ると、黙って頷くのだった。
そしていちかもまた、無言で立ち上がると・・・。
「「!?」」
「ちょっ、ちょっと待てぇぇぇぇっ!」
突然叫んだ英二にいちかは顔を顰めた。
「うるさいですよっ!」
「お、おま、お前っ!いきなり脱ぎ始めるなよっ!」
突然服を脱ぎ始めたいちかに英二は慌て、大介は・・・固まっていた。
「あのですね?私が英二さんなんかに、裸を見せる訳ないでしょっ!
死んでもごめんですしっ!この私の心と身体は悠斗さんのモノなんですっ!」
「そ、そんな事まで聞いてねぇーよっ!」
いちかはにやりと笑みを浮かべると、英二に背中を見せた。
「お、お前・・・それって・・・?」
「はい、恐らく英二さんと同じ傷跡かと・・・」
英二はいちかのそんな姿に固まってしまった大介を揺さぶり起こすと、
いちかの痣と同じモノなのかを確認した。
「ど、どうなんだよ?」
「は、はい・・・お、同じ・・・です」
「・・・まじか」
顔を引きつらせそう言うと、英二の表情は曇っていった。
「何で俺とお前が同じ夢で・・・同じ傷跡を?」
その言葉に一同悩ませていたが、涼華がある仮説を口にした。
「もしかすると・・・英二といちかには私達が知らない接点が・・・?」
突然口から出た言葉に英二といちかは顔を見合わせた。
「俺達の知らない接点・・・?!」
「ノーブルへ行く事以外に何かあるのでしょうか?」
「俺は天照様にスカウトされた訳なんだが・・・
いちかは月読様・・・ん~・・・同じ神ではあるけどよ・・・」
頭を悩ませている面々だったが、
只1人・・・話しに着いて行けない者が居た。
「あ、あの~?話が全く見えないんですけど・・・
説明してもらっても・・・いいですかね?」
「「「・・・あっ!」」」
大介は恐る恐る手を上げそう言うと、3人の顔が強張ってしまった。
「あ~・・・悪り~な・・・大介。
お前が此処に居るって事は、いちかに何か言われたからだろ?」
「はい・・・覚悟して下さいと言われました。
だから俺が此処に来たのは、覚悟を決めてきましたから・・・
ですから皆さん、俺に真実を教えて下さいっ!
お願いしますっ!」
大介の覚悟を聞いた面々は顔を見合わせると、説明したのだった。
説明を聞いた大介は目を閉じると顔を強張らせていた。
「大介・・・こんな話されてもよ、そう簡単に飲み込めないよな?」
気の毒に思った英二は大介の肩を軽く叩いた。
「・・・はい、中々キツイ話なので・・・正直混乱はしています。
それに異世界の創造神や日本の神々・・・その、なんて言っていいか・・・」
「あははは・・・だ、だよな?」
「でも・・・。悠斗さんが突然居なくなった事実や・・・
いちかが一番隊への配属・・・それにこの前の戦い・・・
色々と繋ぎ合わせて行くと、信じない訳にはいかない。
今日は驚きの連続ですよ?
一生分と言ってもいいと思うくらいに・・・」
目を閉じ顔を伏せた大介はガタガタと震え始めたかと思うと、
テーブルの上にいくつもの涙が落ち始めるのだった。
「お、お前・・・な、何で泣いてんだよっ!?」
「「!?」」
涼華といちかも英二の言葉に驚いていた。
「ははは・・・な、何でだろ?
話を聞いただけなのに・・・お、俺・・・こ、怖くって・・・」
「・・・だ、だよな?!わ、わかるぜ・・・お前の気持ちは・・・よ。
とんでもねぇー話を聞かされて、たまったもんじゃねぇーよな?」
するといちかが紅茶を口へと運びながらこう言った。
「・・・覚悟して下さい。
私の言った意味が理解できたみたいですね?」
理不尽とも思えるいちかの言葉に、大介は黙って頷くのだった。
「大介さん、今からでも退出していいですよ?
この話の事を誰にも言わないと約束してくれるのなら・・・ですけどね?」
顔を覆う大介の腕に力が入るのを見た英二は・・・。
「大介っ!もう無理しなくていいからよっ!
だからこの部屋から出て行っていいんだぞ?」
そんな言葉を英二から言われた大介は、顔を上げると・・・。
「パンっ!」
と、自分の顔を思いっきり叩いた。
「「「!?」」」
その行動に驚いていると、真っ直ぐ3人の目を見つめてこう言った。
「いえっ!俺は・・・最後まで話を聞きますっ!
いずれ英二さんも・・・そしていちかも、この日本から・・・
いえ、この世界から居なくなるんですよね?」
先程とは打って変わり、大介は力強くそう言った。
「ああ・・・俺といちかはこの世界から居なくなる・・・
確かにそうだ・・・だけどよ?
お前がこうやって話を聞いてくれているのなら・・・
俺達は何処へ行っても、お前達とは繋がっているからよ?」
「は、はいっ!英二さん達が居なくなるまで・・・
俺は俺に出来る事を、しっかりとサポートさせて頂きますっ!」
大介のそのしっかりとした言葉に、3人は微笑んでいたのだった。
そして・・・。
話に戻った英二達は、その疑問に真剣に向き合っていくのだった。
「ほ、他に何か思いつく理由はねぇーのかよっ!」
涼華の執務室に入ってから3時間ほど時間が経過したのだが、
一向に話の進まない現状に苛立ち始めるのだった。
唸り始めた面々を見ていた大介が、
涼華のノートに目を通しながら声をあげた。
「・・・もしかすると」
その声にいち早く涼華が反応を示した。
「何か気付いた事でもあるのか!?大介・・・」
大介は涼華のノートを何度もページを見て確認していくと・・・。
「まず英二さん・・・」
「な、何だよ!?」
「涼華様のノートに書かれている事なんですが、鬼化が出来るんですか?」
そう聞かれて驚いた英二だったが、苦笑しながら頷いて見せた。
「なるほど・・・じゃ~・・・いちか」
「ん~?何ですか~?」
テーブルに肘を着き、気怠そうに返事をすると・・・。
「お前・・・このノートの期日にある・・・
心臓が跳ねるような感覚ってところなんだけど・・・」
「どれですか?」
いちかは大介が指差すそのページの文章を見ると、
その時に起きた事を話していった。
「確かですね~・・・?悠斗さんの修練場で木刀振っていたんですけど、
その場所に英二さんが来てですね~・・・イライラしたのよね?」
「「はい?」」
突然感想を言い始めたいちかに、英二と大介は唖然とした。
そして勿論・・・涼華もその1人だった。
すると突然いちかは立ち上がると、執務室の窓辺まで移動した。
「お、お前・・・いきなりどうしたんだよ!?」
窓を開けながらいちかは外の空気を吸い込むと・・・。
「考え過ぎちゃって、頭が茹だっちゃったから・・・」
「・・・ま、まぁ~気持ちはわかるけどよ?」
英二が納得してそう言った時だった・・・。
「だからちょっと頭を冷やしますね~?」
「へいへい・・・ん!?ひ、冷やすって・・・?」
そう言うと・・・。
「・・・ヴァージンスノー」
その言葉に再び全員がいちかへと視線を向けたのだった。
するといちかの頭の上から、雪がチラチラと降り始めるのだった。
「「「!?」」」
「お、おおおお・・・おまっ、お前っ!な、何だよそれっ!?」
「いちか・・・それは・・・何だ!?」
「・・・すげー」
各々(おのおの)が思った事を口にする中、いちかは平然と答えた。
「はい!?・・・何って、魔法ですけど?」
「「「・・・・・・・・・・」」」
3人はいちかが何を言ったのか理解出来ていなかった。
呆然とする3人にいちかは首を傾げると・・・。
「いや~だから・・・魔法なんですって!」
「は、はぁーっ!?」
「いちか・・・説明は出来るのよね?」
「説明ですか~?勿論出来ますけど?」
英二と涼華は平然とするいちかに唖然とし、
また大介は・・・。
「お前・・・もはや何でもアリだな?」
そう言って苦笑していたのだった。
すると涼華が再び同じ事を聞いた。
そしてそれは、此処に居る全員の意見でもあったのだ。
「説明してもらえる?」
「はい、いいですよ~・・・」
そしていちかは説明を始めた。
「えっと~月読様にお会いしてから~・・・何度か話したんですけど~
その時に聞いたんですよね~・・・私に魔力があるって・・・」
「まっ、魔力だぁ~?」
「はい、それでその魔力制御ってのを教えてもらったんですけど~」
いちかの話に着いて行けなくなった3人が、思わず話を止めた。
「まっ、待ちなさい、いちかっ!」
「はい?」
「どうしていちかに魔力なんてモノがあるのよ?」
気持ちを落ち着かせながら涼華がそう聞くと、
いちかは上着のポケットからメモ帳を取り出した。
「いちか・・・それ、何だよ?」
いちかはそのメモ帳をめくりながら話始めた。
「これですか?これは月読様に頂いた魔力制御の方法・・・ですけど?」
「なっ、なにぃぃぃぃぃっ!?」
英二はそう叫ぶと勢いよく立ち上がり、いちかからそのメモ帳を奪った。
「やっ、止めて下さいよーっ!折角月読様から頂いた、
私の大事な・・・大事な・・・」
いちかは口では拒否しながらも、その笑顔と態度に、
涼華は疑問を抱いた。
「いちか・・・全部話しなさい・・・
それと、英二・・・それを見せて・・・」
いちかは含んだ笑みを見せ、英二はぎこちない動きで涼華にメモ帳を渡した。
すると・・・。
「こっ・・・これは・・・!?」
驚愕した涼華の目に・・・涙が溢れ始めたのだった。
いちかは「ニヤニヤ」と笑い、英二は呆然とし動きを止め・・・
涼華は・・・涙を溢れさせていたのだった。
不思議に思った大介は、涼華に話しそのメモ帳を見せてもらった。
「えっと・・・日本語で書かれてますね?
あ~でも・・・こっちの神様だから当たり前なのか・・・?
でも・・・ん~・・・この字ってどこかで見た事があるような・・・?」
不思議がる大介に、英二もまた涙を浮かべながら答えた。
「バッ、バッキャローっ!
それは・・・な・・・お前が見た事があるのは当然なんだよっ!
その汚ったねぇー文字はよ・・・悠斗の字なんだよっ!」
「ええぇぇぇぇぇぇっ!」
今日何度目かの叫びを上げる大介に、英二はメモ帳を奪い取ると・・・
「ははは・・・あ、あいつ・・・ちゃ、ちゃんと・・・生きてやがる・・・
な、何だよ・・・心配かけやが・・・って・・・よ・・・」
崩れるように床に膝を着きそのメモ帳を大事そうに両手で握り締める英二は、
大粒の涙を流し始めるのだった。
そんな英二を見たいちかは・・・窓から外の景色を眺めていたのだった。
(月読様・・・ありがとね♪)
天照 ・・・ 昨日に引き続き妾じゃ♪
英二 ・・・ ういーすっ!この物語の主人公の英二っスっ!
天照 ・・・ 英二・・・嘘をつくでないわっ!愚か者めっ!
英二 ・・・ えぇ~?俺、嘘なんてついてないっスよ?
天照 ・・・ 堂々何故そう言えるのか・・・妾には不思議でならんわ
英二 ・・・ だってよ~?この日本の話って、俺が主人公ですよね?
天照 ・・・ う、うむ・・・た、確かに一理あるにはあるがの・・・?
英二 ・・・ なんスかっ!?俺じゃ~不満なんスかっ?
天照 ・・・ いや~不満もなにも・・・の?今回の話は・・・いちか殿なのでは?
英二 ・・・ えぇぇぇっ!なんであいつなんスかっ!
天照 ・・・ うむ・・・うぬはそう言うが、今回に限っては・・・の?
英二 ・・・ うぅぅ・・・。みんなぁぁぁっ!俺への応援頼むぜぇぇぇっ!
天照 ・・・ これも・・・若さよの?
英二 ・・・ ・・・あ~、俺・・・若くないんスけどね?てへっ♪
天照 ・・・ 妾は疲れた・・・の
ってなことで、緋色火花でした。




