閑話・日本 18 英二の見た夢
お疲れ様です。
ま、間に合った・・・。
今回の閑話・・・久しぶりの閑話なんですが、
かなり書き直しました。
グロい表現がリアル過ぎまして・・・><
結局さっきまで書き直してました。
4度も書き直すなんてなかったので・・・疲れましたw
最初に比べるとほとんどグロくないので^^
今日と明日と、英二達日本の話が続きますので、
楽しく読んでもらえると幸いです^^
それでは、閑話・日本 18をお楽しみ下さい。
ある日の朝・・・
「悠斗ぉぉぉぉっ!!!」
英二は悪夢にうなされ叫びながら起きた・・・。
「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ・・・い、今のは・・・ゆ、夢!?」
英二は夢だと認識すると、自分が寝汗で濡れている事に気付いた・・・。
「ったく・・・縁起でもねぇー夢だぜ・・・ありえねぇー」
夢だと分かり安堵する英二だったが、見開いた眼に安堵はなかった。
「・・・はぁ・・・シャワーでも浴びてスッキリするか」
汗で濡れた服を乱暴に脱ぎ捨てると、風呂場へ向かいシャワーを浴びる・・・。
「キュッ!シャアー・・・」
シャワーを浴び頭を冷やす英二は夢での出来事を思い出していた。
(あいつらって・・・誰なんだ?それに・・・悠斗が・・・)
英二は夢で見た光景に何度か頭を振ると、その身を震わせた・・・。
(◯◯◯っ!◯◯◯っ!)
(◯◯◯様・・・う、嘘にゃ・・・こんなの嘘にゃっ!)
鬱蒼とした森林の中に大勢の人達が居た。
視界がぼやけてはいたが、2人の女性達の顔だけは確認できた。
耳の長い女性とケモミミの女性が誰かに縋り付くように号泣していた。
(な、何だよ・・・此処は!?そ、それに、此処で一体何が!?
そ、それと・・・あの人達は何を!?泣いている・・・のか?)
やがて、はっきりしなかった視界がクリアになってきた。
だが未だ声だけにノイズが混じり上手く聞き取れなかった。
(だ、誰なんだ?あいつらは・・・?)
目を凝らした英二は、2人の女性だけが泣いていたと思っていたが、
そこに集まる全ての人達が大声を張り上げ泣いていたのだった。
(何でみんな泣いてんだ?)
(・・・何でだよっ!何で兄貴が死んでんだよっ!)
(◯◯◯様、◯◯◯様、◯◯◯様、◯◯◯様っ!!!)
(う、嘘だよな?・・・◯◯◯様・・・ふ、ふざんけんのは無しだぜ!?)
(うぅぅぅ・・・。わ、私のっ!私の聖魔法がもっとっ!)
派手な鎧とバカでかい大剣を背負った男は膝を着き喚き散らし・・・。
メイド服を着た女性は、何度も同じ名前を呼び呻き・・・。
がたいのいい甲冑を着た男は、涙に濡れながら無理矢理な笑顔を見せ・・・。
銀色に輝く甲冑を着た女性が神に祈るように呻き声をあげていた・・・。
英二は横たわる何かに引き寄せられるように・・・
鬱蒼とした森林の中を歩み始めた・・・。
すると・・・。
(ユウトっ!)
(!?・・・なっ、ゆ、悠斗っ!?
い、今・・・ゆ、悠斗って・・・?)
突然誰かが叫んだその名前に、英二は慌てて駆け出した・・・。
(わ、わりぃーっ!ちょっ、ちょっとっ!どいてくれっ!)
英二は人だかりを掻き分け無我夢中になり割って入って行く。
(・・・なっ!?)
そして英二がそこで見たモノは・・・。
(ははは・・・う、嘘・・・だよな!?
お、おい・・・悠斗・・・。
お、お前・・・・そ、そこで何してんだよ?)
胸の真ん中がぽっかりと空き、血にまみれ横たわっている・・・
そんな悠斗の姿がそこにあった。
(お、おいっ!悠斗っ!てめぇーっ!いい加減に起きろよっ!
お、おいっ!此処に居るみんながドン引きしてるだろうがっ!)
膝を着き肩を揺さぶる英二だったが、
冷たくなった悠斗からの反応は・・・何もなかった。
(お、おいっ!てめぇーっ!起きろよっ!
お、お前のジョークは、いっつも笑えねぇーんだよっ!
悠斗っ!折角こうして・・・こ、この俺が・・・
この救世主の英二様が来てやったってのによぉぉぉっ!)
英二はボロボロと涙を流しつつ悠斗を揺さぶり続けた。
(な、何の為に・・・俺が・・・)
英二もまた縋り付くように泣き喚くが、
それでも悠斗からの返事はなかったのだった・・・。
そんな時だった。
何かの声とその気配に・・・英二は顔をあげた。
(な、何だよ・・・これ・・・)
死んだ悠斗をまるで慈しむように・・・。
とても幻想的な淡い光達が、たくさん飛んでいたのだった。
すると突然・・・。
(なっ、何だっ!?この気配はっ!?)
異様な気配が発せられたかと思うと、その光達は散り散りに逃げて行った。
その異様な気配に振り向いた英二は・・・驚愕したのだった。
黒いシルエットで全体を見る事は出来なかったが、
その真っ赤に染まった縦長の瞳と・・・
その額から突き出ている・・・その角に・・・驚愕した。
(こ、こいつは・・・な、何だよ・・・!?)
その瞳が英二を捉えると、
そいつはニヤリと笑みを浮かべた・・・。
まるで金縛りにあったかのように動けなくなった英二だったが、
その化け物の瞳が横たわる悠斗へと向けられると・・・。
(てっ、てめぇーっ!悠斗を見るんじゃねぇーよっ!)
怒気に包まれた英二はそう言葉を発すると、立ち上がり刀を抜いた。
(てめぇー・・・か?てめぇーがっ!悠斗を殺ったのかっ!)
殺気を溢れさせた英二は、そう言って化け物を睨んだ。
(グフフフフ・・・お前では・・・話にならんな?)
腹の底に響き渡るそのドス黒い声に、英二の肌は泡立った。
だが・・・。
(てめぇーだけは・・・生かしておけねぇーなーっ!)
英二の怒りが頂点に達した時だった・・・。
魂が揺さぶられるように力が溢れ出してきた。
(きたぁぁぁっ!これだっこれっ!)
紫色の気が溢れると、英二の身体も紫色へと変色し、
人としての領域を超えた。
(てめぇーを・・・殺すっ!)
殺気を放った瞬間、英二はその化け物へと駆け出した。
(おらぁぁぁぁぁぁっ!)
駆け出した英二は化け物の攻撃を躱すと、
その腕へと刀を振り降ろした。
(てぇっりゃぁぁぁぁぁぁっ!)
(ガキンっ!)
(!?)
刀が弾かれた英二は咄嗟に身を翻し、
化け物の反撃を紙一重で躱した。
(・・・か、硬てぇーな・・・こいつっ!)
間一髪回避はしたものの、英二の手は・・・未だに痺れていた。
何度か手を振り痺れを取っていると、
その化け物は英二を無視し横たわる悠斗へと・・・再び視線を向けた。
(お、おいっ!てめぇーっ!てめぇーの相手はこっちだっ!おいっ!)
化け物は英二の言葉など聞こえていないかのように、
ゆっくりと悠斗へ向かって歩き始めた。
(や、止めろっ!て、てめぇーの相手はっ!俺だろうがぁぁぁっ!)
そう叫び駆け出した英二は、「コォォォォッ!」と、呼吸音を変えた。
(俺のダチにっ!近づくんじゃねぇーぞぉぉぉぉっ!)
そう叫びながら英二は飛び上がると、その化け物の背中を斬りつけた。
(ガキンっ!)
(またかよっ!じゃー・・・こう言うのはどうだっ!)
操術を使い化け物の前へ躍り出た英二は、剣先に紫色の気を流しつつ、
両足にも溜めていった。
そして・・・。
(・・・奥義・・・豪脚・・・一天突破っ!)
剣先に流した膨大な紫色の気を溜め終わると、
両足に溜められた気を解放し・・・突進した。
だが・・・。
(バキンっ!)
(・・・なっ!?)
英二の放った渾身の一撃は・・・砕かれた。
砕けた刀を見つめる英二は、恐る恐る顔を上げた。
(グフフフ・・・今・・・何かしたのか?)
英二の一撃を喰らった箇所をボリボリと掻きながらニヤけていたのだった。
(!?・・・う、嘘だ・・・ろ)
そう声を漏らした瞬間・・・。
(ガシッ!)
一瞬の隙を突かれた英二は、その化け物に掴まれてしまった。
(はっ!離せぇっ!?)
(雑魚は・・・黙って・・・見ていろ・・・)
ドス黒い声に気を失いかけるも、それは激痛によって掻き消された。
(ぐわぁぁぁぁぁぁぁっ!)
絶叫する英二の背中には、その化け物の鋭い爪が突き刺さり、
血しぶきを撒き散らしていたのだった。
そしてその激痛が一瞬弱まった時・・・。
(!?)
(バキバキバキっ!ゴキッ!)
(かはっ!)
英二はその化け物によって、全身の骨を砕かれ握り潰されたのだった。
(ゴフっ・・・ゴボゴボゴボ・・・)
英二の四肢はあらぬ方向に曲がり、
口からは大量の吐血・・・肋骨は肺や内臓に突き刺さり、
背骨も砕け・・・呼吸は・・・
(ヒュー・・・ヒュー)っと、甲高い音へと変わっていた。
そして目に映った英二の景色は・・・血で真っ赤に染まっていく・・・。
眼が虚ろになった英二を見て笑う声が、
遥か遠くから聞こえてくるようだった。
化け物はまるで汚いモノでも見るように、
英二をその場に捨てた。
(グチャ・・・)
捨てられた英二を見る事もなく、その化け物は悠斗の元へと歩き始めた。
(や、止めろ・・・やめ・・・て・・・くれ)
身体をピクリとも動かせない英二は、心の中でそう言った。
そんな英二の想いを知るはずもないその化け物は・・・。
(・・・我に・・・更なる・・・力をっ!)
(止めろ・・・よ・・・止めてくれ・・・よっ!
そいつは・・・俺の・・・ダチなんだっ!た、頼む・・・
頼むよ・・・なぁ・・・)
その化け物は一度英二へと振り返ると・・・。
「にやり」と笑みを浮かべた。
そして・・・悠斗を頭から・・・
(・・・ガブっ・・・・・・・・・・・・)
(悠斗ぉぉぉぉぉっ!)
真っ赤に染まった英二の目に最後に映ったモノは・・・無残なモノだった。
思い返し頭を何度かシャワールームの壁へと打ち着ける英二・・・。
シャワーの水に混ざるように、額から血が流れ落ちていった。
(・・・たちの悪い・・・夢だぜ・・・ったくよ・・・)
シャワーを済ませた英二は着替えると、食事を取るために食堂へ向かった。
「あ~ああ・・・今日はツイてねぇーかもな~」
溜息を吐きながら廊下を歩いていると・・・。
「おはよう御座いますっ!英二さんっ!」
「!?」
突然声を掛けられた英二が驚き振り返る。
「なっ!?・・・お、お前~・・・大介~・・・」
安堵の息を吐きながら英二は両手を膝に着いた。
「ど、どうしたんですか!?」
心配した大介は、思わず英二を起こそうと背中に触れると・・・。
「痛っ!!」
「えっ!?」
背中を仰け反らした英二が顔を顰めた。
心配する大介の顔が視界に入った時だった。
訝かしい顔をする大介に英二は不思議そうに聞いた。
「お前・・・なんて顔してんだよ?」
その問いに大介は無言のまま英二の背中へと回った。
「英二さん・・・背中・・・どうかしたんですか?」
「はぁ!?せ、背中って俺は別に何も・・・」
思わず抜けた声を出した英二は笑って答えた。
「はっはっはっ!大介~・・・朝っぱらから何言ってんだよ?」
ジョークを言われたと思った英二は、大介の肩を「バンバン」と叩いた。
「痛い・・・痛いですよっ!何するんですかっ!」
「い、いやだってよ?お前が朝からつまらねぇージョークを・・・」
笑いながらそう話す英二に、大介は呆れつつも話した。
「冗談じゃないですよ?だって・・・服に血が・・・」
「!?」
大介の言葉に鋭く反応した英二は、廊下の真ん中でいきなり服を脱ぎ始めた。
「ちょ、ちょっと!英二さんっ!
こ、こんな所で服を脱がないで下さいよっ!」
廊下に居た連中を見ながら慌てる大介だったが、
英二は服を脱ぎ上着を目の前で広げると・・・。
「・・・ま、まじかよ!?」
英二は自分の服の背中を確認すると驚愕していたのだった。
そして・・・。
「・・・だ、大介っ!背中はっ!?俺の背中はっ!?」
鬼気迫る眼差しでそう叫ぶ英二に、大介は恐る恐る背中を見た。
「い、いや・・・別に・・・何も・・・?」
「・・・そ、そうか・・・ははは、な、何だよ~驚かせやがってよ~」
安心した英二は胸を撫で下ろした時だった・・・。
「あ、あれ?・・・英二さん・・・」
戸惑うような大介の言葉に、英二は顔を強張らせた。
「な、何だよ・・・」
「肩甲骨の辺りから縦に数ヶ所・・・痣のようなモノが・・・?」
「えっ!?ま、まじかよ?」
英二は大介の言葉に顔を引きつらせた。
そしてその時・・・
(黙って・・・見ていろ)
「!?」
そう頭の中であの化け物の声が聞こえたのだった。
「うがっ!」
突然英二が唸り声を上げたかと思うと、
しゃがみ込み頭を抱え込んでしまった。
「英二さんっ!どうしたんですかっ!?英二さんっ!」
目を硬く閉ざし頭を抱える英二の姿に、見ていた連中は言葉を失くした。
「だ、誰かっ!医務室にっ!医務室に連絡してくれっ!
それとっ!誰か手伝ってくれっ!」
廊下で見ていた連中が慌ただしく動き出す。
一人はスマフォ取り出し電話をかけ・・・
また一人は大介と一緒に、英二の肩を支えながら立ち上がった。
「大介さんっ!こっちの先生はまだ来てないっスよっ!」
「・・・ま、またあの先生・・・遅刻かよっ!」
医務室に医者が来ていないと分かった大介は、
車の手配と本家に連絡を取るよう叫んだ。
すると・・・。
「・・・呼ばなくていいわよ」
「!?」
その声に慌てていた連中が動きを止め振り返った。
「お、お前・・・」
大介がそう言葉を漏らすと、白鞘の袋を持ったいちかが立っていた。
「お、お前・・・こんな所で何してんだよっ!」
驚きのあまり怒鳴ってしまった大介に、いちかは両耳を塞いで見せた。
「大介さん・・・うるさいですよっ!」
「あっ・・・、そ、その・・・ごめん。で、でも此処は男子寮・・・」
息を漏らしつつ両手を耳から離したいちかは、英二の元までやってきた。
そして英二の顎を摘むようにすると、
「クイっ!」と、顔を上げた。
「お、お前っ!」
「あ~・・・やっぱりねぇ~・・・」
そう言葉を漏らすいちかに、大介は眉間に皺を寄せた。
「お前・・・やっぱりって何だよ?
何か知っているのなら、俺達にも教えてくれよっ!」
少し声を荒げた大介を「キッ!」と睨むように視線を向けたいちかに、
大介はその迫力に思わず喉を鳴らした。
そんな大介に睨みを利かせながら、
いちかは英二の頬をパチンと叩いたのだった。
「お、お前・・・英二さんの顔になんでっ!」
慌てる大介にいちかは溜息を吐きながら答えるのだった。
「はぁ~・・・大介さん・・・慌て過ぎ・・・。
そして、此処に居る男連中も慌て過ぎですよ」
いちかの言葉に、その場に居た連中が文句を言い始めるが、
いちかの鋭い眼光にその言葉を飲み込んでしまった。
だが、大介は違った。
いちかの耳元で、誰にも聞かれないように話してきた。
「何か知っているんだな?」
「・・・はい」
「わかった。じゃ~どうすればいい?」
そう言うと大介はいちかの耳元から顔を離し、
その真剣な眼差しをいちかへと向けた。
「・・・ふぅ・・・。じゃ~そうですね?
本家に・・・いえ、涼華様の所へ行きましょう」
呆れたようにそう言ったいちかに、大介は何度か瞬きしたのだった。
いちかは大介を気にする事もなくスマフォを取り出すと・・・。
何処かへ連絡しているようだった。
そして・・・。
「えぇぇぇぇぇっ!?」
盛大に大声をあげる大介に、いちかは再び両耳を塞ぐのだった。
それから暫くして、いちかと大介は英二を車に乗せ本家へと向かった。
運転している大介は英二の様子を聞いてきた。
「いちか・・・英二さんの様子はどうだ?」
「・・・まだ気を失ってますよ」
「そ、そうか・・・」
何とも言えない空気が車内に漂っていた。
バックミラーをチラチラ見る大介に、いちかは溜息を吐くと・・・。
「大介さんっ!ちゃんと前を見てくださいよっ!」
「わ、悪い・・・ははは」
「もし事故ったりして、私の顔に傷でも着いたらどーするんですか~?」
大介はいちかの理不尽な物言いに顔を顰めるのだった。
何か文句の1つでも・・・そう思った大介だったが、
バックミラー越しにいちかの顔を見ると・・・何も言えなくなった。
何故なら・・・いちかは涙を流していたからだった。
「いちか・・・お前・・・?」
そう声を漏らす大介に、いちかは涙を袖で拭うと・・・。
「だから・・・見ないでってば・・・」
そう力無く・・・答えた。
「・・・ごめん」
大介はそんないちかの顔を思い出しながらも考えていた。
(いちかが涙を!?ま、まさか・・・英二さんの事を!?
い、いや・・・それは天と地がひっくり返っても・・・ないな。
じゃ~どうしてあいつは涙なんかを?)
そう思っていた時、いちかが口を開いた。
「大介さん・・・」
「んっ!?ど、どうした?」
「あの・・・。大介さんの事だから・・・英二さんの事は気になりますよね?」
「あ、ああ・・・そりゃ~そうだろ?
でも・・・それが一体どうしたんだよ?」
そう答える大介にいちかは目を閉じると、少し間を置いた。
「本家に着いたら・・・その場で待つか、中へ入るか・・・
大介さん・・・今、決めて下さい」
「!?」
いちかの言葉に思わず車のブレーキを踏みそうになった大介だったが、
一瞬チラっとバックミラーを見ると・・・口を開いた。
「・・・いちか、俺は中へ入るよ」
「・・・分かりました。覚悟がある・・・って言う事でいいですね?」
「・・・ああ」
バックミラー越しに真剣な眼差しを見せ合うと、
いちかはそれから何も話さなくなった。
そして本家の門をくぐり抜け暫く走り車を停めると、
神野家の執事である塚本 修一とその部下達が出迎えてくれた。
大介はそんな神野家の面々に頭を下げつつ英二が居る側のドアを開けた。
「・・・何でお前、座ったままなんだよ?」
「・・・おかしいですかね?」
「お、お前・・・な・・・」
そんな事を平気で言ういちかにか苦々しい顔をしながらも、
大介は英二を担ぎ出した。
すると・・・。
「此処からは私共が・・・」
「ひぃっ!」
突然背後から聞こえた声に、大介は飛び上がってしまった。
そしてそんな様子を見ていたいちかは・・・。
「はぁ~・・・」っと、溜息を吐いていたのが見えたのだった。
「失礼致しました」
そう丁寧に詫びる修一に、大介もまた頭を下げていたが、
いちかにこづかれると、姿勢を正し直したのだった。
「英二様を・・・」
そう言って部下達に英二を任せると、修一が向き直った。
「では、皆様も参りましょう・・・。こちらです・・・」
言葉少なく案内する修一に、大介は緊張していた。
(お、俺・・・この屋敷に入るの・・・は、初めてだな・・・)
先導し案内を始めた修一の後ろをいちかが歩き始めると・・・。
「・・・大介さん、行きますよ?」
「・・・ああ、分かった」
深く深呼吸する大介は、いちかの隣へ並ぶと、
執事である修一の後を着いて行くのだった。
天照 ・・・ よっ!妾じゃ♪ご無沙汰しとるの~皆は元気かや?
英二 ・・・ ういーすっ!英二っス。
天照 ・・・ なんじゃ、元気がないように見えるのじゃが?
英二 ・・・ だってよ~。まじで出番ないっスもんね・・・あ~あ・・・。
天照 ・・・ なんじゃ?ただ拗ねておるだけなのじゃな?
英二 ・・・ もうちょっと出番あってもいいじゃないつーか・・・
天照 ・・・ うむ。こればかりは緋色殿の匙加減じゃからの~?
英二 ・・・ ですよね~?はぁ~・・・俺も主役やりてぇーな~・・・。
天照 ・・・ まぁ~言うのはタダじゃからの♪
英二 ・・・ 辛辣っ!
ってなことで、緋色火花でした。




