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異世界転移 ~魔を狩る者~  作者: 緋色火花
第二章 港町・アシュリナ編
180/406

147話 光のスピリット

お疲れ様です。


遅れてしまいました・・・。

キーボードが死に、予備のキーボードの電池を買いに行っていました><


それでは、147話をお楽しみ下さい。

(ご、こめんなさい、ユウト様。)

((!?))

その声に悠斗とククノチは驚くのだった。


(今の声って!?)

(そうだぜマスターっ!今の声が聖剣に宿るスピリットの声だぜっ!)


そう話す2人に、再び声が聞こえてきた。


(あ、挨拶が遅れて申し訳御座いません。

 ぼ、僕は聖剣・デスティニーに宿る光のスピリットです)

その丁寧な挨拶に悠斗とククノチは思わず返礼した。


(えっと、俺の名はカミノ・ユウト・・・ユウトと呼んでくれたら嬉しい)

(オ、オイラは・・・えっと・・・ククノチっ!

 樹木のスピリットのククノチだっ!よ、宜しく・・・なっ!)


(ユウト様と・・・ククノチ・・・君だね?)

(く、君っ!?)


光のスピリットの言い方に、何故か激しく動揺するククノチだった。

それを見ていた悠斗はニヤリと笑みを浮かべると、

ククノチをからかい始めるのだった。


(お前~・・・何で動揺してんだ~?)


(ど、動揺なんて・・・して、してねーしっ!

 って言うか・・・このククノチ様がっ!動揺なんてするはずねーぜっ!)


(ほほう~・・・動揺していないと・・・?にゃるほどね~♪)


(マ、マスターっ!い、今のはどう言う意味だよっ!)


(ん?動揺してないんだろ? なら別に気にする事ねーじゃんか♪)


(き、気にしてねーしっ!マ、マスターまじでむかつくぜっ!)


(へぇ~・・・気にしてないんだ?

 って事は~・・・アレですか~?

 所謂(いわゆる)1つの・・・ツンデレってヤツですかね~?)


(ツっ!ツンデレってっ!!

 い、いくらマスターでも言って良い事と悪い事があるぜっ!

 そっちがその気ならっ!・・・分かったよ・・・こうなったらっ!

 マスターっ!表に出やがれっ!ボッコボコにしてやるぜっ!)


(ほぅ~・・・いい度胸だな~・・・いいぞ~?やってやろうじゃんかっ!

 返り討ちにしてやるっ!)


悠斗とククノチはそんな子供染みた会話をしていると・・・。


(あ、あの~?そ、そろそろ僕の話を・・・)

聖剣に宿る光のスピリットが2人を仲裁しようと声を発すると・・・。


((はぁー?))と、理不尽な返答が返ってきた。


(うっ・・・な、何故僕が怒られて・・・はぅ)

2人の威圧に呻き声をあげた光のスピリットに救いの手が差し伸べられた。


(あんた達~っ!)

突然木霊するミツチの声に、悠斗とククノチは安堵の息を漏らしていた。

(おっ!?ミツチ・・・目覚めたんだな?安心したよ)

(ミツチ~っ!お前も無茶するよな~?)


安心する2人を他所に、ミツチから流れて来た言葉は違っていた。

(あ、あんた達ね・・・。もうちょっと静かにしなさいよっ!

 せっっっかくいい気持ちで寝ていたのにっ!)


((!?))

思っていた反応と違っていた悠斗とククノチが固まっていると、

自然と巻き込まれるように、光のスピリットもとばっちりを喰らった。


(あんたもあんたよっ!)

(・・・ぼ、僕ですかっ!?)

(そうよっ!いい?あんたは光スピリットなんでしょっ!?)

(は、はい・・・一応ですが・・・)

(あぁ?)

(・・・・す、すみません)


説明しよう・・・。

ミツチは普段とてもいい子なのだが・・・寝起きが最悪に悪いのだ。

そのとばっちりを喰らう光のスピリットの心中や如何(いか)に・・・。


(あんたは光のスピリットなんだから、もっとしっかりしなさいよっ!

 光ってだけで私達よりも格上なんだからっ!)


(か、格上とか・・・僕は別にそんな事・・・)

(・・・何か言ったかしら?)

この時光のスピリットは、その言葉に殺気が籠もっていることに気がつくと、

何度も何度も頷いて見せるのだった。


(・・・ふんっ!分かればいいのよっ!)

(ど、努力します)


そんな2人のやり取りを、呆然と見ていた悠斗とククノチ。

(なっ?マスター・・・。あいつの寝起きって最悪だろ?)

(あ~・・・信じたくはなかったけど・・・すごいな?)

(オイラなんてあいつの寝起きの時は、おとなしくしているんだぜ?)


その時だった・・・。

悠斗はふとミツチの言った言葉に違和感を感じるのだった。


(ん~・・・なぁ~・・・ミツチ?)

(何よっ!マスターっ!まだ私は光のスピリットと話してるのよっ!

 邪魔しないでよっ!)

不機嫌な感情をそのままぶつけるミツチに、

悠斗は眉を「ピクリ」と動かした。


(それはそれは失礼しましたね~?

 ミツチさんや・・・

 ちょっと(わたくし)めにお聞かせ願いたいのですが~?)


悠斗の言葉が今度はミツチに流れると、

そのミツチは寒気を感じるのだった。


(な、・・・何よ・・・)

(えっとですね~?先程貴女は、「いい気持ちで寝ていた」と、

 そうおっしゃりましたよね~?)


(え、ええ・・・そうよ?レディーにとって睡眠は大切でしょ?)


そう答えた時だった・・・。

悠斗の口調がミツチの返答を聞くと変わってしまったのだ。


(ミツチ・・・お前・・・いつ起きた?)

(ヒ、ヒィッ!)

(答えろ・・・いつ・・・起きた?)


その言葉に込められた威圧・・・

いや、殺気がミツチへとぶつけられたのだった。


(え、えっと~・・・んと~・・・ね?

 う、運命・・・神様にマスター達が~・・・

 か、回復してもらった時に・・・起きたって言うか~・・・ね?)


(じゃ~お前は何か~?俺のフォローもせず・・・ただ寝ていた・・・。

 そう言う事でいいのかな~?)


(ヒィィィっ!ゆ、許してぇーっ!マスターっ!

 ほ、ほんの出来心なのよぉぉぉっ!)


(出来心ね~・・・?)

そう言った時だった・・・。

笑みを浮かべたククノチが、会話の中に突然入ってきた。


(マスター・・・いや、裁判長っ!判決の時間だぜ?)


「くっくっくっ」と笑うククノチに悠斗は答えた。


(判決っ!・・・有罪(ギルティ)っ!)


(い、いやぁぁぁぁぁぁっ!)


悠斗の体の中で、ククノチの悲鳴が木霊するのだった。

それから少しの間、悠斗はミツチに説教するとミツチの心は折れていた。


(ほ、本当に・・・ずびまぜんでしだぁぁぁ)

号泣するミツチを見ていた光のスピリットは、

申し訳なさそうに口を開くのだった。


(あ、あの~?み、皆さん・・・ほ、僕の事お忘れなんじゃ・・・?)

((あっ・・・忘れてた))

(で、ですよね~・・・あははは)


項垂れる光のスピリットに悠斗達は申し訳なく思い謝罪するのだった。


そして・・・。

光のスピリットは悠斗達に説明し始めた。

(僕は運命神・チタニア様によって聖剣に宿るよう命じられたスピリットです)

(命じられたって・・・いつの話しだ?)

(はい、チタニア様が擬体に捕らわれてしまう少し前の話しです)


この時悠斗は首をありえないくらい傾げると、

疑問に思った事を口にした。


(ちょっと待て・・・。

 聖剣は昔に手渡されたモノじゃないのか?)


(はい、以前使用していた聖剣と呼ばれるモノは・・・

 そ、その~・・・言いにくいのですが・・・。

 所謂(いわゆる)時空神様からの・・・その・・・レンタル品でして)


(((レンタル品っ!?)))


光のスピリットによって、衝撃的な事実が発覚したのだった。

その事実に悠斗達はただ呆然とする事しか出来なかった。


それに構わず光のスピリットは話を続けた。

(な、何でも・・・。

 チタニア様のスキルで、今日この時が見えていたらしいのです。

 ですから、それに合わせるように聖剣を作られた・・・と)


悠斗はその話を聞くと、スピリット達を待たせ目を開けた。

「なぁ・・・チタニア?」

「は、はい・・・?な、何でしょうか!?」


悠斗の纏う迫力に、チタニアは喉を鳴らしつつ言葉を待った。

「・・・お前、後で説明しろよ?」

「・・・・・・・・は、はひぃ!」


悠斗の冷めた視線に、運命神ともあろう者が恐怖に震えていた事は、

誰も知らない事だった。


そして再び悠斗はスピリット達と話すべく戻ると、

チタニアの周りに居る人達に、こう言っていたそうな・・・。


「わ、(わたくし)は一体何をしたのですかっ!?

 だ、誰か・・・ご存知の方がいらっしゃるのでしたら、

 ど、どうかこの私めに、教えて頂けませんでしょうかっ!」


何があったかなど分かるはずもないサウザー達は、

チタニアの肉薄にただ驚愕し、沈黙する事しか出来なかったそうな・・・。


つまり・・・。チタニアはパニクっていたのであった。

めでたし、めでたし。


そんな事など露知らず、悠斗が戻ってくると、再び話が始まった。


(なぁ?お前に名はないのか?)

(!?)

突然悠斗に聞かれた光のスピリットは困ってしまった。

するとミツチが口を開き、困っていた光のスピリットに助け舟を出した。


(マスター? この子とバカ勇者って意思疎通って出来ていないのでしょ?

 だとしたら名付けなんて・・・無理じゃない?)


(あ~・・・そうだったな~。ごめん、忘れてたよ)


謝罪する悠斗に光のスピリットは笑って許してくれたが、

名付けに関しては、とても寂しい思いをしていたらしい。


(ほ、僕は勇者様の聖剣に宿るスピリットなのに、

 (いま)だに意思疎通すら出来ない・・・。

 僕は勇者様に心を開いているつもりなのですが・・・

 どうすれば皆さんのようになれるのでしょうか?)


突然子供相談室になってしまった現状に、

悠斗は溜息を吐いていた。


(はぁ~・・・どうすればって言われてもな~?)

(だな~?マスターは俺達の存在を初めから認識出来ていたからな~)

(そうね?私達は意思疎通までそんなにかからなかったし~・・・

 やっぱり個体差ってあるんじゃないの?)


(個体差ですか~・・・?

 やっぱり僕って、素質がないのでしょうか?)


悠斗達は光のスピリットが、勘違いしている事に気付いた。


(お前・・・何か勘違いしていないか?)

(か、勘違いですか?)

(そうだぜ?お前が悪い訳じゃないんだぜ?)

(そうよ?あなたが悪いんじゃなくて~・・・)


(((せーのっ!)))


(((あのバカ勇者が悪いんだっ!)ぜっ!)のよっ!)

(・・・はい?)


光のスピリットは理解出来ていなかったようだった。

悠斗はその説明をククノチとミツチに任せると、

再び目を開けてバカ勇者を探した。


「おい・・・バカ勇者・・・」

突然早足で迫る悠斗に、勇者は尻もちを着き冷や汗を流した。


「おい・・・お前にも後で話があるからな?」

「・・・・・」

「・・・いいなっ!」

「は、はひぃっ!」


周りの者達はデジャヴを感じながら2人を見ていると、

再び悠斗は目を閉じるのだった。


そしてこの後・・・。

「な、なぁ・・・お、俺・・・何やったんだろ?

 なぁ~って!俺が何をやったか教えてくれよぉ~・・・」


恐怖で青ざめた勇者にサウザー達は思わず顔を(そむ)ける中・・・。

勇者の仲間達が答えに困っていた。


「な、なぁ~フォルティナっ!い、一体何だと思う?」

「さ、さぁ~・・・な、何だろうね~?見当・・・着かないわね?」


フォルティナの足に(すが)り付く勇者に思わず溜息を吐いた。


「な、なぁ・・・クトゥナ?俺・・・死ぬのかな?」

「は、はぁ?な、何故死ぬと言う話になるのよっ!

 まぁ~あんたはバカだから・・・色々とやっちゃってはいるけど、

 でもソレとコレとは話が違うでしょ!?」


涙ぐむ勇者に流石のクトゥナも何を話していいのか分からなかった。

またそんな勇者の姿に項垂(うなだ)れるのだった。


だが・・・1人だけ・・・この現状を打破する男がいた・・・。


「な、なぁ~・・・ダンケルっ!

 お、お前なら・・・わかるよな?お前は天才だもんな?」

涙を流し縋り付く勇者に、ダンケルは静かに目を閉じるとこう言った。


「貴方は誉れ高き勇者なのですよっ!」


ダンケルは杖をしっかりと握り締め、背後に太陽を従えながら直立不動で居た。

そのハゲ・・・もとい、ダンケルの姿に、勇者は自然と頭を垂れた。

「ダ、ダンケル・・・」

「いいですかっ?貴方はこの世界で最強の勇者ですっ!

 まずは自分が最強だと言い聞かせなさいっ!」

「そ、そうだ・・・お、俺は・・・最強だ・・・最強の勇者だっ!」


(ひざまず)く勇者は勢いよく立ち上がると、拳を天へと突き上げた。

「俺は最強の勇者だっ!兄貴はきっと・・・それを分からせる為に・・・」


そう言った時だった・・・。

このハゲ・・・再びもとい、このダンケルが(とど)めの一撃を見舞った。


「貴方は最強の・・・バカ勇者なのですっ!

 あの御方の御心(みこころ)などっ!

 この私めにわかるはずもないでしょうっ!

 貴方はバカなのですから・・・バカなままで充分なのですよ?」


「「「「「「「「「「!?」」」」」」」」」」


ダンケルはそう真実を告げると、満足げに悦に(ひた)っていた。

(あ~・・・私はなんと慈悲深いのでしょう♪

 それもユウト様の御力によるもの・・・素晴らしいーっ!)


(あ、あいつ・・・い、言いやがった・・・)

(・・・これぞまさしく真実っ!

 ついでに・・・頭がた、太陽で・・・ま、まぶっ・・・)

(あのハゲ・・・恐れを知らんのか?)

(ハゲだからね・・・?ハゲ・・・だもんね?)

(ハゲ・・・空気読めよ・・・あれじゃ勇者が・・・哀れ過ぎる・・・)

(ハゲ・・・やりますね?)

(ハゲ・・・ユウト様の偉大さに今更気付いたのね・・・)

(こ、このハゲっ!どうしてこんなタイミングで言うのよっ!)

(・・・あ~あ~・・・とうとう言っちゃったわね~・・・)

(・・・あっしには関係ねー事でやすが・・・居た(たま)れねーな~)


その後、勇者は膝を抱えぶつぶつと何かをつぶやいていたのだった。



そして再び戻って悠斗達は・・・。


事の説明を終えたククノチとミツチは、

光のスピリットにアドバイスしていた。


(いい?相手は・・・バカなのよ?バカっ!

 だから自分から色々とアピールしなくちゃ、いつまで経っても、

 貴方の存在に気付かないわよっ!)


(ああ、ミツチの言う通りだぜっ!もっと自分に自信を持てよっ!

 バカが相手だ・・・お前も気合入れていかねーとっ!

 このまま一生意思疎通なんてできねーぞっ!)


(は、はいっ!せ、先輩方のアドバイスに感謝するとともにっ!

 ユウト様に出会えた事を心よりっ!感謝致しますっ!)


それを呆然と眺めていた悠斗が口を開く・・・。


(なぁ・・・お前達?何やってんだ?)


悠斗の存在に気付いたスピリット達は・・・。

(へへーんっ!オイラ達がマスターの偉大さを教えていたんだぜ?

 これでまたユウト教もまた1人・・・力強い味方が加わったぜっ!)

(フフ~ンっ!この子はあのバカにはもったいないわっ!

 だからこの際だから、私達の舎弟にしたの♪)


(・・・・・)


呆れて何も言えない悠斗が、自分を取り戻すのに暫く時間がかかった。

そして我に返った悠斗は、ミツチとククノチを説教するはめになった。

凹みまくる2人を放置すると、光の精霊にも話しかけた。


(まぁ~・・・なんか・・・すまん)

(い、いえ・・・。でも、(あに)さんと(あね)さんは僕の為に・・・)

(待て、待て、待て・・・呼び方がもう既におかしいからな?

 ま、まあ~いいや・・・じゃないと話が進まない。

 って言うか・・・ユウト教って何だよ・・・やれやれ)


悠斗は頭を抑えつつ話を進めた。


(お前はチタニアが選んだスピリットだ。

 バカを支えられるのは、お前しかいないんだぞ?)


(僕に・・・出来るのでしょうか?)


(当たり前だろ?少なくとも・・・俺には無理だからな?

 お前に見捨てられたら、あのバカはそこで終わるからな?)


(・・・そ、そうですよね?

 ぼ、僕がもっとしっかりしなくちゃ・・・ダメなんですよね?

 で、でも・・・まだ僕にはまだそんな自信が・・・)


悠斗は予想以上の光のスピリットの自信のなさに頭を悩ませていると・・・。

視界にミツチとククノチが入った。

(あっ・・・)

何かを思いついた悠斗は光のスピリットに再び口を開いた。


(あのさ?)

(はい)

(少しの間だけだけど・・・。うちのククノチを貸そうか?)


悠斗の言葉に鋭くククノチが反応した。

(ま、待てよっ!マスターっ!どうして俺なんだよっ!)

(いや・・・だってさ?男同士の方が・・・何かと上手く行くんじゃね?)

(ま、まぁ~そう言う事なら?マスターのお願いでもあるしよ・・・)


そう言った時だった・・・。

恥ずかしそうな声をあげたのは光のスピリットだった。

(あ、あの・・・ぼ、僕・・・女・・・です)


何度か悠斗は瞬きをすると・・・。

((えぇぇぇぇぇぇぇっ!))と、悠斗とククノチが叫んだ。


顔を見合わせた悠斗とククノチは・・・。

(お前・・・知らなかったのかよ!?)

(マ、マスターこそ・・・)


こうして悠斗は聖剣に宿る光のスピリットが女だと分かると、

ミツチを暫くサポート役として勇者に着く事を命じるのであった。


そして・・・。


目を開けた悠斗は、事の次第をみんなに説明していった。


「と、言う事で・・・うちのミツチをお前に暫く移籍させるからな?」

突然の申し出に勇者は驚いていたが・・・。

「あ、兄貴がそこまでしてくれるんだ・・・。

 俺に断る理由はねーよ。

 有り難く受け入れさせてもらうよ」


悠斗は勇者の態度に引きつった笑みを浮かべて見せた。

「ただし・・・少しの間だけ・・・だからな?」

「あ、ああ・・・も、勿論わかってるよ」

「絶対に・・・返せよ?」

「わ、分かってるってばっ!」

「言わばだ・・・レンタル・・・移籍・・・だからな?」

「そ、その・・・レンタルイセキってのはよく分からないが・・・?

 ミツチってのが居る間に、意思疎通して見せるぜっ!」


その勇者の言葉に異議を唱えるミツチが、悠斗の体から飛び出してきた。


(バカ勇者っ!ミツチって呼び捨てにしないでよっ!

 ちゃんと、ミツチ様って言いなさいよっ!)


「は、はい・・・も、申し訳・・・ござ、御座いませ・・・ん」

(うぅぅ・・・何で俺が・・・この勇者が・・・こんなヤツに・・・)

勇者が苦々しい思いを心の中で思っていたが・・・。


(・・・ちゃんと聞こえているからね?)

「・・・はい。」と、項垂れるのであった。


勇者との話し合いが終わると、悠斗は視線をチタニアへと移した。


「チタニア?聖剣の事は光のスピリットから聞いたからいいとして・・・だ」

「は、はい」

「今後の事を話さないと・・・ね?」

「・・・分かりました」


悠斗は小さく口角を上げると、

まずは港町・アシュリナに戻る提案をするのだった。


(問題はクリアしたっ!これからだ・・・

 いよいよ俺の冒険者ライフが始まるっ!)


悠斗は沸き立つ気持ちを抑えつつ朝日を眺めていたのだった。

だが悠斗は気付いていなかった。


自分の体の変調に・・・。

そしてソレに気付く者が居るとすれば・・・。


それは悠斗以外・・・全員が、その異変に気付いていたのだった。




ラウル ・・・ ・・・悠斗君。

ミスティ ・・・ 悠斗さん・・・お辛いでしょうね?

ラウル ・・・ でもこの話・・・僕の耳に入っていないのだけれど?

ミスティ ・・・ そうですわね?私が止めましたから♪

ラウル ・・・ 何でだよっ!僕の親友のピンチなんだぞっ!

ミスティ ・・・ それはラウル様が一番よく分かっていらっしゃるのでは?

ラウル ・・・ うっ・・・。そ、それは・・・そうだけど・・・。

ミスティ ・・・ つまりは、そう言う事なのです。

ラウル ・・・ 次は教えてよね?

ミスティ ・・・ 状況によりますわね♪

ラウル ・・・ ミスティのケチっ!



ってなことで、緋色火花でした。

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― 新着の感想 ―
[一言] あ、悠斗、まだ冒険者ライフあきらめてなかったんですよね(笑) 全然色々解決してないように思いますが。。。 でも最初にラウルからしばらく冒険者ライフを楽しんで過ごしてもらえばいいと言われて…
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