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異世界転移 ~魔を狩る者~  作者: 緋色火花
第二章 港町・アシュリナ編
178/405

145話 2人のチタニア

お疲れ様です。


暫くの間、カレーを食べ続けていたら、

いつの間にか、汗からカレーの匂いが・・・orz


カレーくらいですよね?

他の食べ物では聞いた事がないので・・・。

以後、気を付けたいと思いますw



それでは、145話をお楽しみ下さい。

「・・・いい加減に出てこいよっ!覗き見野郎っ!」


殺気を放ちつつ天へ向けたロッドの先端からは、

赤銅色の気がまるで蒸気のように立ち昇っていたのだった。


すると・・・。

「は~い♪今行きますね~♪」と、空から声が響いてきた。

「・・・・・へっ!?」

悠斗はその緊張感のない幼い声に苦々しい顔をしていた。

その声は勿論サウザー達にも届いており、言葉を失っていたのだった。


暫くすると、悠斗の前に神界のゲートが現れた。

(・・・やっぱり神か・・・)

ゲートが開きその中から姿を現したのは、

フェミニンウェーブで、

ふわっとした緩めのカールが特徴的な金髪女性だった。

瞳の色はブルーで、白のワンショルダーのロングドレスを纏い

その左の胸元には、緑色の何かの紋様が装飾されていた。

そしてその肌は、女神特有の白い肌・・・。


その女神の姿に悠斗は自分の目を疑っていた。


(声のイメージと全然違う神がっ!出てきたぁーっ!)

悠斗はそんな感想を抱きつつも鑑定を使用した。


(ピピッ 鑑定不可)

(・・・ですよね?)


鑑定が使用出来ない事を再び確認した後、出てくる素振りがない女神に

悠斗は苛立つ感情を抑えながら声を掛けた。


「あ、あの~・・・?何故出てこないんだ?」

悠斗の問いに少し考える様子を見せたその女神は、

静かに口を開いていく。


「えっと~・・・。

 此処って~・・・聖域ではないので~・・・無理ですね~♪」

「・・・そ、そうですか・・・な、なるほど」

その独特な話し方とトーンで悠斗は調子を狂わせられていった。


「で、では・・・どうして此処に?」

「えっと~ ・・・貴方に~・・・呼ばれた~・・・から?」

「・・・・・」


(な、なんだろ?・・・この女神・・・苦手だ・・・)

顔を少し「ヒク」つかせながら、悠斗は笑みを浮かべていると・・・。


「あの~?もし~・・・良かったらで~・・・いいのですが~?」

「・・・な、何でしょうか?」

「私が~・・・この場所を~・・・聖域化しても~・・・宜しいでしょうか?」

「は、はい、じゃないと・・・い、今、この現状がつらいので・・・」


悠斗は内心苛立ちながらもその女神の提案に乗った。

(い、今までに出会った事がない・・・キャ、キャラだな。手強いっ!)


その女神はにっこりと微笑むと・・・。

「それでは~・・・聖域化・・・しちゃいますね~♪」

ゲートの中で一歩踏み出したその女神は、杖を取り出すと、

空に向かって声を発した。


「聖域にな~れぇ~♪」

すると、辺りが白く光り輝くと、サウザー達が待機する場所まで、

スッポリと円形状のドームを形成したのだった。

(・・・あ、あんな掛け声で聖域化するのか・・・)


少し緑がかったそのその聖域が完成すると、

そのゲートの階段を1歩降りた時だった・・・。


「きゃぁっ!」

「ドサっ!」

「・・・はい?」


その女神は見事に階段を踏み外し顔面から着地したのだった。

悠斗は片手で顔を覆うと、指の隙間を開け覗いた。

(あちゃ~・・・まじか!?これが・・・・女神・・・?)

顔面から着地した女神は、全く動く気配がなかったのだ。


「あ、あの~?・・・だ、大丈夫・・・か?」

悠斗は心配になり一歩踏み出した時だった・・・。


「うぅぅぅ・・・」

唸り声をあげた女神は、ゆっくりと起き上がった。

「だっ、大丈夫・・・な、なのです」

「そ、そうですか・・・あの?鼻から・・・血が・・・」

「!?」

悠斗の言葉に慌てて「クリーン」の魔法を使用すると、

全てなかったことにしたのだった。


「もう~っ!この神界のゲートさんは~・・・めっ!ですよ~?」

何事もなかったかのように平然とし、

神界のゲートに振り返ったその女神はむくれて見せていた。


(・・・あ、あれって怒っているのか?

 今時・・・「めっ!」って言うのも聞かないな~・・・。

 飛んだドジッ娘女神降臨と言ったところだな・・・やれやれ。

 って言うか・・・ゲートにクレームって・・・まともな女神はいないのか?」


その女神は神界のゲートへ物申していた。

「この階段は~・・・急な角度だから~・・・危ないと~

 あれほど~・・・言ったじゃ~・・・ありませんか~っ!」


悠斗はその女神の言葉にゲートの階段を見てみるのだが、

至って普通の階段であり、おかしな点など皆無だったのだ。


(って言うか・・・その階段って2段しかないよね?

 どうやったら落ちるんだよ?)


そう思った時だった。

突然神界のゲートは「バタンっ!」と、激しい音を立てて閉まると、

女神の前から姿を消したのだった。


「もう~・・・すぐに怒るんだから~・・・ゲートさんの意地悪さんっ!」

(えっ!?ゲート生きてたぁぁぁぁぁっ!まじでかっ!?)


そんな悠斗の事など気に留めない女神は再びゲートを呼び出した。

「もう~・・・怒ったりしないから~・・・ごめんね~?」

そうゲートに頭を下げると、その女神は階段を昇り中へと・・・。


「いやいやいやっ!待てよっ!おいっ!こらぁぁぁっ!」

悠斗の叫びに驚いた女神は体を「ビクっ!」と震わせると、

恐る恐る振り返った。


「わ、私に~・・・何か~・・・御用ですか~?」

少し涙目になっている女神に、悠斗は軽い目眩を起こすのだった。

「だ、だ、大丈夫ですかぁ~?」

フラつく足元を何とか堪えた悠斗は、頭を抑えながらも口を開いた。


「い、いや・・・あんた・・・ここに用があって来たんだよな?」

女神は人差し指を顎に当て、空を見つめながら考えると・・・。

「ああ~・・・そうでした~♪」

そう言って満面の笑みを悠斗に向けるのだった。


この時・・・。

サウザー達一同はこう思っていた・・・。


「「「「「「「「「「変な女神きたぁぁぁぁっ!」」」」」」」」」」っと。


「で?俺に殺さないでと言ったのは・・・勿論あんただよな?」

「はい~♪それは確かに~・・・私が言いましたよ~♪」

「・・・だ、だよね?なら・・・どうしてそう言ったのかを聞かせてくれ」

「えっと~・・・」


そう口走った時だった、その女神は突然蹲(うずくま)ってしまった。

「お、おいっ!あんた・・・大丈夫なのかっ!?」

悠斗は何かあったのだろうと女神に向かって駆け出すと、

2段しかない階段を飛び越え、その女神を抱き起こした。


「おいっ!しっかりしろっ!どうしたんだっ!」

(くそっ!今鑑定が使えないっ!ど、どうしたら・・・)


悠斗は負傷しているかもしれないと顔を(しか)めつつ

原因を探っていると・・・。


「ぐぅぅぅ~」と、何かが鳴った。

「・・・へっ?」

「お、お、お・・・」

「お、お、お!?・・・な、なんだ?」

「お、お腹が・・・すきまし・・・た・・・」

「知るかぁぁーっ!ぼけぇーっ!」


「スッパーンっ!」

悠斗はつい勢いで、女神の頭を(はた)いてしまった。

「あぁぁっ!ご、ごめんっ!つい・・・」

女神は叩かれた場所を抑えつつ涙目になっていた。

「ひっ、ひどいです~・・・」


「い、いや・・・思わず叩いた事は謝るけどさ?

 此処に来たって事は何かあるから来たんだよね?

 わざわざ腹が減った事を伝えに来たんじゃないよね?」


「あっ、そうでしたね~?えへへ♪忘れてました~♪」


「ぐっ!こ、こいつ・・・」

悠斗はその女神の言葉に思わず拳に力が入るのだが、

(此処は我慢だーっ!俺なら我慢できるはずだーっ!)

と、何とか(こら)えるのだった。


「コホンっ!り、理由を・・・聞かせてくれ」

冷静さを取り戻した悠斗は女神にそう尋ねると、

女神は微笑みながら立ち上がった。


「お手数かけてしまい~・・・申し訳ありませんでした~♪」

「あ~・・・えっと・・・。い、いえ、俺の方こそすみませんでした」


2人は謝ると顔を上げ握手を交わした。

するとその女神は倒れているチタニアへと顔を向けた。


「チタニアを~・・・取り戻すために~・・・来たのですよ~」

そう答える女神に悠斗はチタニアを見つめながら話した。

「あんた見ていたからわかるとは思うけど・・・

 こいつは何者かの力によって、操られているんだと思う」

「ええ♪知っていますよ~?」


そう答える女神に、悠斗は申し訳なく思いながらも話した。

「すみません、今・・・何故か理由は分からないのですが、

 魔力や神力などが無くてですね?

 鑑定すら使えない始末で、解呪出来ないのです」


「ふふふ~♪分かってますよ~?まずは全て~・・・回復させますね~♪」

そう言うと、女神は杖の先を悠斗へと向けた。


「この人族の~力が~回復しますよ~に~♪」

女神の言葉に反応した杖が白く輝くと、悠斗の全身が白く輝いた。

(う、嬉しいが・・・素直に喜べない自分が居るんだが?)

すると、悠斗の力だけではなく、失った左腕も復活したのだった。

「俺の左腕が復活した・・・。有難う御座います女神様」

素直に頭を下げる悠斗に、女神は微笑むのだった。


「でも、どうやって俺の腕を?」

「えっと~・・・。その貴方の~・・・左腕の~・・・運命を~

 無理矢理~・・・捻じ曲げて~・・・なかった事に~・・・したんですよ~?」

「・・・・・はぁぁぁぁ!?」

「えへへ♪これは~・・・内緒ですよ~?」

「・・・な、内緒って・・・俺、力が戻ったら自分で再生できるんだけど?」

「えっ!?そ、そんな・・・」

何気ない悠斗の言葉にその女神は顔を引きつらせ固まってしまった。


「・・・お、おい・・・女神・・・さん?」

(だぁぁぁぁぁっ!こいつ面倒臭せぇぇぇぇぇっ!)


悠斗はワナワナと震えながら、

この怒りをどこへぶつけるかを考えていたのだったが、

視界にチタニアが入った事で、冷静になる事ができた。


「・・・と、とりあえず・・・こいつをどうするか・・・だな?」

そうつぶやいた時だった。

倒れているチタニアの体が一瞬黒く光った。


「!?」

悠斗は咄嗟に女神を(かば)うように後退すると、

ロッドを構え体勢を整えた。

(何だ・・・?あの黒いモヤは・・・?)


チタニアが宿っていた擬体から黒いモヤのようなモノが吹き出すと、

やがてそのモヤは人型へと姿を変貌させるのだった。


「フッフッフッ・・・アァ~ハッハッハッ!

 さっさと私を封印してしまえば良いものを・・・フフフ。

 相変わらずのダメ女神で助かりましたわ♪」


「この女神様には悪いが、やっぱり始末しておくか・・・」

「・・・ちっ」

小さく舌打ちしたチタニアは、その黒く染まった眼光を悠斗へと向けた。


(鑑定・・・ピピッ。

 良かった・・・完全に力は戻ったようだな?)

悠斗は力が戻った事で、安堵の息を漏らすと、チタニアの鑑定結果を待った。


(鑑定終了しました。

 運命神・チタニア (黒) 170cm 黒髪ロングヘア)


(・・・(黒)って何だ!?

 とりあえず・・・鑑定の続きは後だな・・・)


そう思った瞬間、チタニアは赤い大鎌を拾い上げると、

ブラッドサイズに魔力を送り始めた。


「今度こそっ!貴様を葬り去って差し上げますわっ!」

怒りの形相に染まったチタニアが魔力を凝縮していく中、

一瞬悠斗は背後の女神を意識したのだった。


(悪い・・・今度は()らせてもらう)

「コォォォォォっ!」と、呼吸音が変わると、

先程と同じように悠斗の体からは赤銅色の気が溢れ出した。

(やっぱ・・・これって・・・?)

赤銅色を確認した悠斗は銀のロッドの先端をチタニアへと向けた。


「フフフ・・・先程のようには参りませんわよ?」

「さぁ?どうかな?」


「「!?」」

チタニアと悠斗は突如として駆け出した。

「シュッ」とブラットサイズが空を斬る中、悠斗はロッドを使い、

ブラッドサイズの力を左右へと流して行く。

「・・・どうした?」

悠斗はチタニアの攻撃に違和感を感じつつ背後へ回り込むと、

そう声を漏らした。


「・・・こ、これはっ!?」

背後に回られた悠斗に構う事もなく、チタニアは激しく動揺していた。


「お、おい・・・どうしたんだよ?」

悠斗はチタニアの動揺を感じ取ると、その肩越しに前方を覗き込んだ。

「・・・な、何だ・・・?」


覗き込んだ悠斗は、その前方で起こっている現象に驚いた。

「!?」

そこには、先程まで固まっていた女神がチタニアへ何かを行っているのが見えた。


「お、おいっ!女神っ!何やってんだっ!」


チタニアの背後から飛び出した悠斗はそう叫ぶと、

光り輝いた左の(てのひら)を突き出し、片膝を着き、

右手を緑色の装飾された紋様に手を当て何かを念じていた。


(何だ?あの左の掌に浮かぶ紋様は!?)

その女神の突き出された左の掌には、

胸に装飾されていた紋様と同じモノだった。


驚いた悠斗は、チタニアへと視線を向けると、

光り輝く女神の掌に、ジワジワと吸い寄せられる姿があったのだ。


「や、やめなさいっ!チタニアっ!」

「はっ!?チ、チタニア・・・!?」

鑑定によれば・・・。

悠斗と戦ったのはチタニア(黒)と呼ばれていた事を思い出した悠斗は、

チタニア(黒)を吸い寄せている女神へ鑑定を行った。


(鑑定っ! ピピッ)

(鑑定終了しました。

 運命神・チタニア (白) 160cm 金髪フェミニンウェーブのロング。

 (黒)と引き裂かれた事によって、本来の力を失った女神。

 神力は少ないが守りに優れ、補助魔法に秀でている。

 かなりのゆる神で、神界のトップアイドル)


悠斗はその鑑定結果に愕然とした。

「・・・ま、まじでか?ゆ、ゆる神・・・って何!?アイドルって何っ!?」

そう声を漏らす悠斗に、額に汗を滲ませたチタニア(白)は、

その視線を感じると微笑んだのだった。


「一体どうなってんだよ・・・?」

悠斗がそう声を漏らした時だった・・・。

チタニア(黒)がブラッドサイズを地面に突き刺し、

ストッパー代わりにしつつ、悠斗に顔を向けた。


「・・・い、異世界人っ!・・・いえ、ユウト様っ!

 私をたすけ・・・て・・・いた・・・だけませんか・・・」

チタニア(黒)懇願する中、悠斗は冷めた口調で答えた。


「何言ってんだ?元々お前達は・・・2人で1人なんだろ?」

「なっ、何故・・・それを!?」

「・・・鑑定を使ったからね」

「な、ならば・・・ですっ!

 それなら・・・ばっ!・・・な、尚更・・・・たすけ・・・て・・・」

「往生際が悪いんじゃないのか?」

「ち、違うの・・・ですっ!信じてーっ!

 い、今一つになって・・・しまった・・・ら・・・」


チタニア(黒)の言葉を聞いた悠斗は、その叫びに違和感を感じとった。

悠斗はチタニア(白)へと視線を向けると、「コクリ」と頷いたのだった。


「どう言う事だよ?」

そうつぶやく悠斗だったが・・・。

「あっ!そう言えば・・・こいつの鑑定って途中だったよな?」

チタニア(黒)へと視線を移した悠斗は、

その背後で波打つ黒い紐状の何かが一瞬見えたのだった。


「なっ、何だ!?」

もう一度目を凝らし確認しようとするがそれは見えなかった。

(・・・鑑定っ! ピピッ)


再び鑑定を行った悠斗は、その結果に眉間(みけん)(しわ)を寄せた。


(鑑定終了しました。

 運命神・チタニア (黒) 170cm 黒髪ストレートのロングヘア

 (白)と引き裂かれ「◯✕の卵」を植え付けられ擬体に侵食された神。

 自分の意思に反して操られている。

 神力が豊富で魔法と剣術に秀でてはいるが、体力は並程度である。

 今現在(白)の力の影響で(黒)自身の意思は目覚めている)


「・・・め、面倒臭せーっ!」

悠斗はその結果に大きく項垂れるのだった。

すると、チタニア(白)から声が発せられた。


「あの~?・・・実はですね~?」

「・・・あ、ああ」

「今~・・・こうして~・・・私が~・・・抑えている~・・・間に~」

「おいっ!とっとと話せぇぇぇっ!」


悠斗はチタニア(白)のスローテンポ過ぎるその口調に、

苛立ち怒鳴ってしまった。


「うっ・・・うぅぅぅぅっ」

涙ぐみ左手の吸引力が落ちたチタニア(黒)が慌てて話した。


「わ、私が代わり話ますわっ!・・・

 い、今なら・・・そ、そいつの力が弱まって・・・おりますからっ!

 ・・・か、簡単に・・・説明いたし・・・ますっ!

 私の・・・背中から・・・伸びているっ!

 見えない・・・触手を・・・断って・・・くだ・・・さい・・・

 そ、それが擬体と・・・繋がって・・・わ、私の・・・神力をっ!」


「しょ、触手って言われてもっ!

 ・・・やれやれ、はぁ~・・・お前・・・まだ、持つよな?」

「は・・・はい」

青ざめた顔で笑って見せたチタニア(黒)の瞳は・・・

黒く染まっていなかった。


悠斗は先程見た波打つ紐状の物体を思い出した。

「あれって・・・気の所為じゃなかったって事かっ!?」


慌ててチタニア(黒)の背中を見るが、やはり何も見えなかった。

「・・・やっぱり見えないかっ!」

焦る悠斗にチタニア(黒)が憔悴(しょうすい)しながらも口を開いた。


「あ、貴方の・・・あの・・・禍々しい・・・力であれば・・・。

 うぅぅぅっ・・・また・・・

 やつに・・・支配・・・されて・・・しまいます

 は、はや・・・く・・・早くっ!」


呻きながら話したチタニア(黒)は、徐々にその瞳を黒く染めていった。

「お、おねが・・・い・・・たす・・・けて」


悠斗は大きく頷くと、「コォォォォォっ!」と、呼吸音を変えた。

操術を使用した悠斗はチタニア(黒)の背中を凝視すると・・・。


(・・・これ・・・か!?)

チタニア(黒)の背中から伸びる紐状のモノが、棚引いているのが見えた。

その紐状のモノは、擬体と繋がっていたのだった。


(この紐状のモノが、こいつの神力を吸収しているのかっ!?)


「は、はや・・・く・・・」


悠斗は悲壮感に包まれたチタニア(黒)の声に応えこう叫んだ。


「クロっ!今助けてやるからなっ!」

悠斗の力強い言葉に、チタニア(黒)は苦しみながらも笑みを浮かべた。


「そこの擬体・・・いつまで死んだフリしてんだよ?

 お前・・・もう、バレてるからな?」

まるで冷気でも纏っているかのような、悠斗のその言葉に、

「カタカタ」と操り人形のような音を立て、

その擬体がゆっくりと立ち上がった。

 

そして・・・。

「グバっ!グバババババっ!」

黒く変色したその擬体の鳴き声が、

簡易聖域化されたその空間に響き渡っていたのだった。


「・・・潰す」

そう声を漏らす悠斗もまた・・・その左眼を赤く染めていたのだった。



ラウル ・・・ あ~・・・あの子のテンポは僕も苦手だな~

ミスティ ・・・ ですわね。普通にイライラしてしまいますわ。

ラウル ・・・ 2人は本当に反りが合わないみたいだね~?

ミスティ ・・・ 昔は仲良くしようと努力も致しましたが・・・

ラウル ・・・ 僕としては、もう少し上手くやってもらわないとさ~?

ミスティ ・・・ 無理かと・・・?これでもかなりの努力をしたのですよっ!?

ラウル ・・・ 悠斗君が悲しむぞっ!

ミスティ ・・・ うっ・・・うぅぅぅ・・・ど、努力、い、いた・・・致します。

ラウル ・・・ うんうんっ!分かってもらえて僕は嬉しいよん♪

ミスティ ・・・ ・・・・・・・・・・うぅぅぅ。



ってなことで、緋色火花でした。

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― 新着の感想 ―
[一言] 個性的なキャラクターありがとうございます(笑) こういうゆるふわなキャラって作品中ではかわいいけど、 現実に目の前にいたらめっちゃイライラしますよね。。。 ちなみに今後ずっと彼女たちは悠…
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