144話 覗く者・・・。
お疲れ様です^^
最近ストレス過剰気味で、
某動画サイトで「水曜どうでしょう」を見ています^^
いや~・・・年月が経っても面白いですね^^
忘れてました。
次回のアップは活動報告内にて掲載しております^^
それでは、144話をお楽しみ下さい。
「ちっ!流石に当たらないよな~・・・」
その口調とはうらはらに、悠斗は鋭い眼光をチタニアに向けるのだった。
悠斗はそう言いながらも口元は笑みを浮かべていた。
チタニアに悠斗の口元が見えていたかは謎では在るが、
悠斗が放った槍は、チタニアの頬を掠め後方の大岩を粉砕していた。
「・・・ちっ!本当に・・・しぶとい異世界人ですこと・・・」
ゼノとクトゥナの近接戦闘班とミレイとダンケルの遠距離戦闘班が戻り、
ミレイ達を守るフォルティナとシーバが息を切らせながら戻ってきた。
「はぁ、はぁ・・・い、一応・・・戻っては来ましたけど・・・
俺達に何か御用でも?」
ゼノは両手を膝に着き明らかに疲弊していたのが目に取れた。
そして勿論、その他の者達も同様だった。
(やっぱり限界だったみたいだな・・・)
悠斗は笑顔を浮かべると、マジックボックスから神水を取り出し、
全員に手渡した。
その水に喉を「ごくり」と鳴らせながら飲み干していく。
「ぷぅはぁぁぁっ!」っと、
ゼノ達は緊張の為にカラカラになっていた事に、今更気付くのだった。
(ははは、俺達ってこんなに喉が乾いていたなんてよ・・・)
ゼノは共に戦った者達を見ながらそう思っていた。
そして改めて悠斗に視線を向けたのだが、
既にゼノ達の前から姿を消していた。
「あ、あれ!?ユ、ユウト様が・・・」
そう声を漏らした時、レダは「クイっ」と、顎で合図をしていた。
振り返ったゼノは、右腕を振りながら歩いて行く悠斗を見て、
追いかけようとしたのだが、その背中は「ついて来るな」・・・。
そう言っているかのように見えたのだった。
気が付くとゼノの傍に、サウザー達が歩み寄っていた。
「やはりこうなるのか・・・」
ポツリとつぶやいたサウザーは顔を顰めていた。
すると悠斗の背中を見つめていたクトゥナが口を静かに開いた。
「確かに私はあの男の回復を見越しての作戦だった・・・。
でも・・・あの腕じゃ・・・これでは無駄死に・・・」
「ユウト様は死にませんっ!
私達にもそうはっきりおっしゃいましたっ!」
拳を握り締め威圧を混ぜてそう言ったステアもまた、
溢れる気持ちを堪えているように見えた。
そんな時だった・・・。
意識を失っている勇者の体からククノチが現れた。
(・・・マスター、オイラはおいてけぼりかよ?)
突然聞こえた声に、一同がその声に振り向いた。
(ミ、ミツチ・・・様ですか!?)
サウザーは恐る恐る尋ねると、その淡く緑色に光るククノチが
驚きの声をあげた。
(えぇぇぇぇっ!?な、何でオイラの声が聞こえるんだよっ!)
その言葉にサウザーはミツチとの一件の説明をした。
(・・・そう言う事か~・・・でも全員が聞こえているとはな~・・・)
「いえ、全員では御座いません。
え~・・・そ、その・・・何とお呼びすれば?」
サウザーにそう言われ、まだ自己紹介するのを忘れていたククノチは・・・。
(あ~・・・言ってなかったっけ?
オイラの名は、ククノチっ!樹木のスピリットのククノチだっ!)
ククノチの元気な声にサウザー達の顔が綻んだ。
そしてサウザー達もそれぞれ名乗り終わると、悠斗の背中を見つめながら、
サウザーは重い口を開くのだった。
「ククノチ様・・・。我々はまたあの御方の力に頼ってしまいました。
出来る事なら・・・と、思いは致しますが、
情けない事に、我々ではどうしようもなく・・・」
己の無力を感じ苦悶に歪むサウザーに、ククノチは笑っていた。
(はっはっはっ!サウザーのおっちゃんよ♪
あんまり気にする事じゃねーぜ?)
「・・・お、おっちゃん!?」
(はっはっはっ!
オイラ達のマスターは嫌々戦っているんじゃねーからな~?
ただ、自分の望みを阻むやつらが許せないだけなんだぜ?
だからよ~あんまり気にすんなよな~おっちゃんっ!)
「・・・は、はぁ・・・そ、そう言うモノ・・・なのですか?」
(おうよっ!)
その言葉に全員が救われた気持ちではあったが、
心の奥底に渦巻く無力さに、上手く笑う事ができなかった。
そしてチタニアとの決戦に挑む悠斗は・・・。
(って言うか・・・何でじぃちゃんが出てきたんだろ?
誰かが何かしてくれていたみたいだけど・・・。
あとは・・・はぁ~・・・覗き見しているヤツは誰なんだ?
ついさっきまで気付かなかったけど・・・俺に何が起こってんだよ?)
そう考えつつも、悠斗の足取りは力強く進んで行った。
そして・・・。
「よう・・・待たせたな?」
マジックボックスからロングソードを取り出した悠斗は笑みを浮かべた。
「はぁ~・・・貴方・・・一体何者ですの?化け物染みたタフさですわね?」
悠斗はチタニアの言葉に呆れつつ、剣で肩を数回叩き苦笑していた。
「ははは・・・化け物って・・・その言い方っ!
それに・・・俺のしぶとさは祖父の折り紙付きなんだ♪」
「フフ・・・その祖父とやらに一度お会いしたいものですわね?」
「じぃちゃんにか?それは無理だな・・・もう死んでるからさ♪」
「・・・それはそれは・・・残念です・・・わっ!」
そう言い終わると、2人は激突した。
「はぁぁぁっ!」
「うぉりゃっ!」
「ガキンっ!ギチッ!ギチギチギチっ!」
突然始まった鍔迫り合いに、サウザー達は固唾を呑んで見守った。
「あ、貴方・・・か、片腕でっ!?」
「・・・ははは、まだまだっ!」
「ギンっ!」と、響かせチタニアの剣を弾いた悠斗は、
チタニアの腹を蹴り飛ばした。
「ぐほっ!」
「・・・ちっ!威力を去されたかっ!」
チタニアは悠斗の蹴りが当たる寸前に後方へと飛び、
その威力を去したのだった。
(・・・や、やりますわね)
悠斗は透かさず追撃に移るも、チタニアが魔力弾を放ち
距離を取って見せた。
「・・・さ、流石と言っておきますわ」
「・・・クズ女神のくせに・・・やるじゃんか?」
「・・・無礼なっ!」
怒りに顔を歪ませ魔力弾を放ちながら、悠斗に詰め寄って行く。
「この魔力弾・・・面倒だなっ!」
「フフフ・・・」
「・・・火球っ!」
「・・・んっ!?」
火球で迎撃しようとした悠斗だったが、何故か火球が出現しなかった。
慌てた悠斗は魔力弾が当たる寸前、ギリギリで躱す事が出来た。
「うわっ!」
(火球が出ない!?)
悠斗は焦りながらも自分に宿る魔力量を調べた。
すると・・・。
(・・・ま、魔力量・・・6!?・・・6って何だっ!6ってっ!!)
ふとチタニアに視線を向けると、チタニアが不気味な笑みを浮かべていた。
「フフフ・・・お困りのようですわね?
何があったのかは知りませんが、
貴方の魔力はもはや・・・フフフ・・・ハァ~ハッハッハッ!」
「・・・・・」
「では・・・行きますわよっ!」
「!?」
声も高らかに笑い始めたチタニアは悠斗に肉薄した。
迫るチタニアに、悠斗はまだその現状に混乱しつつも、
襲いかかる剣を捌いていった。
「ギンッ!ギンッ!ガキンっ!」
「ハァ~ハッハッハッ!いかがなされたのですか~?
ご自慢の剣技が鈍っておりますわよ~?」
「ちぃぃぃっ!」
剣を捌いていく音が鳴り響く中、悠斗は自分に鑑定を使った。
(か、鑑定っ!)
(ピピッ・・・鑑定不可)
(なっ!?)
チタニアの剣を捌きつつ知らされたモノは・・・
音声も聞こえずただ・・・鑑定不可と言う文字だけだった。
「ザザァァァァっ!」と、地面を滑りチタニアとの距離を取る。
(何がどうなってんだっ!)
そう思ったところで、この現状は何も変わらない・・・。
「ほんっと・・・貴方のしぶとさには脱帽致しますわ」
そう声を漏らすチタニアの表情は、不機嫌極まりないモノだった。
「・・・前にも言ったけど・・・」
「・・・なんですの?」
「チタニア・・・お前は絶対に許さないからなっ!」
そう吠える悠斗に、チタニアは再び笑い始めた。
「アァ~ハッハッハッ!魔力もない今の貴方に・・・
そんな貴方に一体何が出来ると言うのかしら?」
「・・・・・・」
(今の俺に出来る事はなんだ・・・?)
顔を顰め、押し黙る悠斗にチタニアはご満悦なようで、
ペラペラと口を開き話始めた。
「いいですか?たかが人族の・・・しかも異世界人如きに、
この運命神であるっ!この私がっ!」
話始めたチタニアを見た悠斗は「チャ~ンス」と笑みを浮かべると、
目を閉じ思考し始めた。
そして自分の中に宿る力を調べていく。
(魔力・・・6・・・神力・・・5・・・精霊力・・・0
ま、まじか・・・って言うか、これだけしかわからないのは何故なんだ?
やれやれだな?原因があるとすれば・・・あれかな~・・・?
「精霊剣」・・・多分アレだよな~・・・はぁ~)
顔を伏せ剣を構えたまま微動だにしない悠斗に、
チタニアの口上は終わりを見せないでいた。
(あと、気になる事があるとすれば・・・だ。
あのクズ女神・・・途中から神力を使わないのは何故なんだ?
あとは~・・・上から見ている・・・誰か・・・だな?
微弱な力しか感じないけど・・・一体誰なんだ?
・・・全くっ!わからない事ばかりだな)
そう考えていた時だった・・・。
悠斗が微動だにしない事に気付いたチタニアが目を見開いた。
「・・・何か、企んでいるようですわね?そうはさせませんわっ!」
一足飛びに悠斗に詰め寄ったチタニアは攻撃を開始した。
悠斗は気を張り巡らせ剣の結界に入った違和感に対処していく。
「ガキンっ!」
「なっ!?な、何故・・・わかるのですか?」
チタニアの驚いた声に、悠斗は右目を薄く開けると・・・。
「ん?そんなの簡単だろ?
本来在るはずの神力が消え失せ、やたらと匂う邪悪な魔力・・・。
そんなモノを匂わせていたら、不意打ちなんて意味はないだろ?」
「・・・な、なんだとっ!?」
「それとも・・・それが本来の力・・・って事なのか?」
「お、おのれ・・・言わせておけばっ!」
「!?」
悠斗は自分の口から出た言葉を復唱していた。
(・・・本来の力が・・ない?本来の・・・?・・・んんんん!?)
すると突然両目を見開くと・・・。
「あぁぁぁぁぁっ!」と、突然叫び声を上げた。
「!?」
その叫びに飛び退いたチタニアは背筋に寒気が走った。
「とっ、突然・・・なんですかっ!?」
「ふっふっふっ・・・はっはっはっはっ!
あ~・・・全く・・・俺は何やってんだっ!」
笑いながら天を仰いだ悠斗は、チタニアに向き直ると、
剣を逆手に持ち返え、自分の顔を殴った。
「バシッ!」
口元から血が流れる姿に、チタニアは口を開き唖然としていた。
「あ、貴方・・・気でも・・・触れたのですか?」
「はっはっはっ!そうかもな~?でも・・・スッキリしたよ」
「なっ、何を言って・・・?」
悠斗はチタニアに威圧を放つと不敵な笑みを浮かべた。
「くっ!な、何を今更この状況でっ!」
「なぁ~チタニア?何だろうなぁ~?」
「な、何がですの!?」
「新しい力を得た俺は、いつの間にかその力に溺れてしまっていたみたいだ」
「ど、どう言う事ですの!?」
悠斗は「くるり」と、チタニアに背中を向けると、
サウザー達に手を振って見せた。
そして背を向けたまま話の続きをした。
「何で俺のじぃちゃんが出て来たのか・・・
そして何が言いたかったのか・・・何となく分かった気がする・・・」
「あ、貴方・・・さっきから何を言って・・・」
「ははは・・・じぃちゃんの言った言葉・・・
飾りに過ぎん・・・か・・・。
ちょっと修練したぐらいで調子に乗ってしまった・・・。
そんな付け焼き刃みたいな力で、神を倒せるはずもないよな~?」
思いにふけっている悠斗に、チタニアは苛立ち始めた。
「お黙りなさいっ!さっきから何を訳のわからない事をっ!
いくら時間稼ぎをしようとも無駄ですわっ!
貴方は・・・今此処で・・・死ぬのですっ!」
「・・・・・ふっ」
チタニアは剣を捨てると、赤く染まった大鎌を取り出した。
「この神器はブラットサイズ・・・
貴方を死へと誘う武器ですわ♪」
赤い大鎌を構え駆け出したチタニアは、
背を向けたままの悠斗にその大鎌を振り降ろした。
「我が身を呪って死になさいっ!」
「コォォォォォォっ!」
「ガキンっ!ギリッ・・・ギチッ!」
「!?」
真っ二つになっているはずの悠斗が、
チタニアの赤い大鎌を逆手で持った剣で防いでいた。
「バカな・・・魔力を纏っていないただの剣で、
私のブラッドサイズが・・・!?
た、ただの剣如きに・・・?何故ですっ!
い、いえっ!違いますわね?・・・その剣に纏う・・・禍々しい・・・」
そう声を漏らした時だった・・・。
「気道一之書・操術そして・・・気刃剣・・・。
これが俺、本来の戦い方なはずだったな・・・ははは」
悠斗の体から発せられる赤銅色の気が、ゆらゆらと立ち昇っていた。
「・・・そ、それは何ですっ!そ、その禍々しいモノはっ!」
「・・・さぁーな?チタニア・・・お前の正体・・・見せてもらおうか?」
「ヒィィィィィっ!」
咄嗟に飛び退いたチタニアは、魔力を大鎌に凝縮し始めた。
「お、お前のような異世界人如きにっ!
こ、この・・・わっ、私が恐怖する事などっ!!」
赤い大鎌が紫色へと変色すると、顔を引きつらせたチタニアは、
悲鳴をあげたかのように絶叫した。
「お、おおお前はもう終わりなのよぉぉぉぉぉっ!」
チタニアが叫ぶ中、悠斗は自分の体から溢れ出る赤銅色の気を見ていた。
「何だよ・・・これ?
ははは、もうこれって・・・気道じゃなくね?
合一もしてないのに・・・阿修羅モードなのか?」
苦笑している悠斗にチタニアの叫びは更に増していった。
「アァァァ~!ハッハッハッハァァァァァっ!
全て・・・全て消えてしまいなさいぃぃぃぃぃっ!」
発狂するチタニアに向き直った悠斗は、腰を落とすと静かに構えた。
「来いよ・・・クズ女神」
そう言った時だった・・・。
{・・・殺さ・・・な・・・いで・・・ね?}
突然頭に流れてきた声に、悠斗は天を仰いだ。
「!?・・・あ、あんたか?ずっと上から見ていたのは?」
{ああ~、やっと繋がりました~♪
はい~♪そうですよ~♪
行動不能に・・・お願い・・・しま・・・すね?}
「まじかっ!?こ、この状況で!?
・・・はぁ~・・・わかったけど、約束は出来ないぞ~?」
{はい~♪なるべく・・・お願いしますね~?}
「・・・勝手な事をっ」
悠斗が何者かと会話していた時だった。
「キィィィィェェェェェェっ!」
「!?」
発狂しながら駆け出したチタニアに悠斗は口角を上げた。
「さぁ・・・行こうか・・・」
悠斗の言葉に魂が揺さぶられゲートを開くと、
力強く蹴り出し駆けて行く。
「コォォォォォォっ!」と、更に呼吸音が高域に鳴り響くと・・・。
「シねぇェぇぇぇェぇぇェっ!」
涙を垂れ流しながら紫へと変色した大鎌が振り下ろされた。
{殺さないでね~?}
(あぁぁぁっ!もうっ!わかったよっ!)
その言葉が悠斗の脳裏を掠めると、剣を手放しつつ、
マジックボックスから銀のロッドを取り出した。
悠斗は迫る大鎌には目も暮れず、
チタニアの手元へロッドの先端で強烈な突きを繰り出した。
「ガキンッ!」
手元を突かれた大鎌は、その軌道を変え轟音を立てつつ地にめり込んだ。
「ドシャッ!」
「!?」
ほんの一瞬だった・・・。
軌道を変えられた大鎌に気を取られたチタニアは、
視線を悠斗に戻した時・・・既にその場に悠斗の姿はなかった。
(・・・いないっ!?)
「・・・こっちだ」
「!?」
チタニアは飛び退こうとしたが間に合わなかった。
「バキっ!」と、背後から衝撃が伝わると、
チタニアの腹から血に似たオイルが流れ出し、
悠斗の銀のロッドが顔を覗かせていたのだった。
「・・・バ、バカな・・・!?わ、私・・・の、ぎ・・・たい・・・が・・・」
「ガランっ・・・ドサっ!」
「・・・さぁ、クズ女神・・・擬体から出てこいよ?」
ブラッドサイズを落とし、
前のめりに倒れたチタニアから銀のロッドを引き抜いた。
一度倒れたチタニアを確認した悠斗は、銀のロッドで空を斬ると、
くるりと回転させその先端を天へと向けて吠えた。
「・・・いい加減に出てこいよっ!覗き見野郎っ!」
殺気を放ちつつ天へ向けたロッドの先端からは、
赤銅色の気がまるで蒸気のように立ち昇っていたのだった。
ラウル ・・・ いよいよ登場しそうだね~
ミスティ ・・・ そう・・・ですわね?
ラウル ・・・ 何だい?相変わらず仲が悪いんだからさ~・・・
ミスティ ・・・生理的に・・・無理ですわっ!
ラウル ・・・ 言い切るね~もうちょっと悠斗君の為にも仲良くしておくれよ?
ミスティ ・・・ ・・・は、はい。善処致しますorz
ってなことで、緋色火花でした。




