137話 コメディー・パート
お疲れ様です。
今年もまた正月が来なかった緋色で御座いますw
いつになったら緋色に正月が来るのでしょうか?
そんな訳で働いておりますw
それでは、137話をお楽しみ下さい。
「おい、そこのクズ女神・・・今のうちに、神に祈っておけ・・・」
そう言葉を吐き捨てた悠斗の体が、ブレてチタニアの前から消えていた。
「フンっ!戯言を・・・!?」
(ヤ、ヤツはどこへ・・・?)
そう考えた瞬間、チタニアは気配を感じると、真下へと視線を落とした。
「遅せーよ・・・おらぁっ!」
「ドスっ!」と、悠斗の一撃が腹部へと突き刺さった。
「ぐはっ!くぅぅ・・・」
唾液を流し腹を抑え身を屈めていたチタニアは、悠斗へと視線を向けると、
不敵な笑みを浮かべながらチタニアを見下ろしていた。
「・・・おい、どうした?こんなモノか?」
先程の不敵な笑みは消え悠斗の表情は、とても無機質なモノに変わっていた。
(お、おのれ・・・。ゆ、油断したわ・・・)
唾液が流れた口を軽く拭ったチタニアは、鋭い眼差しを向けていた。
「・・・人族にしてはやるようですね?
ラウルが連れて来ただけの事はある・・・
と、言ったところかしらね?」
「・・・・・」
チタニアの言葉に反応を示さない悠斗・・・。
「貴方はなんの為に人族の味方をするのですか?
私は神なのですよ?
それに逆らってまで・・・とても信じられませんわね」
「そんな事、今はどうでもいい・・・
ただ、お前が俺の敵・・・ってだけだ」
「敵?私がですか?神である私が敵などと・・・
フッフッフッ・・・。思い上がるなっ!人族っ!」
怒りを顕にしたチタニアは、凄まじい神力を放った。
突風とも思えるほどの神力を受けた悠斗は笑みを浮かべていた。
「へぇ~・・・すげーな?」
「フフ・・・今更命乞いですか?無駄・・・よ」
冷笑を浮かべるチタニアに、悠斗も口角を上げて見せた。
「命乞いなんてするかよ・・・その必要もない・・・」
「いいでしょう。来なさいな?殺して差し上げますわ♪」
悠斗は少し低く身構えると、一足飛びにチタニアの懐に潜り込んだ。
だが、悠斗のその行動はチタニアによって見透かされ、
ニヤリと笑みを浮かべたチタニアはカウンターを取りに来た。
「フフっ・・・わかっていましたわ♪」
そう笑みを浮かべたチタニアは、一瞬にして剣を取り出すと、
そのまま悠斗の頭上から振り降ろした。
「かかったのは、お前だ」
悠斗もまたニヤリと笑みを浮かべると・・・。
「雷身っ!」
一瞬にして「ブブゥン・・・バリバリ」っと、雷を纏うと素早く背後を取り、
チタニアと同じように剣を取り出し横に薙いだ。
「せゃぁぁっ!!」
一瞬悠斗の剣によって斬り裂かれたかに見えたチタニアだったが、
悠斗が斬ったのは残像だった。
「・・・ふっ・・・残像だ・・・ってヤツか」
そう言いつつ、悠斗は背後に移動していたチタニアを
振り向かず眼球だけがその姿を捉えていた。
「ほぅ~・・・今のが見えたのですか?」
「・・・ああ、どうって事ない速さだったよ」
「フフッ、言いますね?宜しい・・・行きますわよ?」
「・・・来いよ」
チタニアは悠斗へと迫ると、もう1本の剣を取り出した。
「はぁぁっ!」と、左右両方に持たれた剣が真上から再び悠斗を襲う。
「おらぁぁぁっ!」
片方を剣で去しつつ片足を振り上げ、チタニアの肩を蹴り、
チタニアの剣撃を防いで見せた。
「ちっ!」と、舌打ちするチタニアに悠斗は再び口角を上げた。
「神も・・・舌打ちするんだな?」
「・・・減らず口を」
そう吐き捨てると、チタニアは無数の火球を出現させ移動しながら、
火球を放ち悠斗を襲っていく。
「へぇ~・・・そう来たか」
笑みを浮かべた悠斗は、余裕でチタニアの攻撃を躱して行く。
雷身を纏っている悠斗にとっては、造作もない事だった。
そして全てを躱しきった瞬間、2人は接近し近接戦闘へと持ち込んだ。
「ガキンっ!ガチ・・・ガチ、ガチ、ギチッィィ・・・」
激しく激突した2人の剣からは、凄まじい鍔迫り合いの音が響いていた。
2人は顔を近づけながら笑みを浮かべ余裕を見せる。
「や、やりますわね?」
「・・・まだ肩慣らしさ」
お互いの全身に力が込められた瞬間、2人は後方へと飛び退いた。
「・・・人族のくせに・・・なかなかなモノですわね?」
「お前も、クズ女神のくせに・・・やるじゃんか」
悠斗の言葉に顔をひきつらせ、2人は凄まじい気迫を見せていた。
そんな2人を地面に押し付けられたまま見ていた勇者は・・・。
「あ、あれが・・・ほ、本当の・・・ユウトなのか・・・。
お、俺の時・・・は・・・。ハッハッ・・・」
地面に押し付けられ苦痛に顔を歪ませながらも、
勇者は立ち上がろうとしていた。
(い、今の俺なら・・・雷帝を纏えば・・・こんなモノなどっ!)
互角以上に神と戦う悠斗の姿を見た勇者は、
運命神に立ち向かう勇気をもらった気がしていた。
「こ、来いっ!雷帝っ!」
勇者がそう叫んだ時、「ピシャッ!」と、落雷が勇者に落ちた。
「ぐぉぉぉっ!」
勇者は体中に「リヒテンベルク図形」を刻みつつ、
その苦痛に耐えていた。
「お、俺だっ・・・て・・・。俺だってぇぇぇっ!」
「シュゥ~」と、蒸気を立ち昇らせながら、勇者は立ち上がった。
(このクソ女神のおかげで、今までよりも強くなったんだ。
この程度の力じゃ・・・今の俺を抑える事なんて出来るかよっ!)
拳を握りチタニアを見据える勇者は、その拳に背負う聖剣を握らせた。
「ユウトっ!お前だけ楽しんでいるんじゃねーぞっ!」
そう叫ぶと一足飛びにチタニアへ向かって駆け出した。
悠斗は勇者の姿を横目で「チラっ」と見ると、微かに笑っていたのだった。
そしてその勇者に顔を向けたチタニアは妖しく笑って見せると・・・。
「邪魔をするなっ!下郎っ!」
そう叫ぶと、駆け出した勇者の足元へ魔力弾を放った。
「ドンッ!」と、低い地鳴りを上げたかのような音が、
勇者の手前で爆発し大地を深く抉っていた。
「なっ!?・・・ふ、深い・・・」
その穴の深さに呆然とする勇者に、チタニアは魔力弾を掌に出現させた。
「死ぬがいい・・・愚かなる者よ・・・」
「寿限無っ!」
悠斗の叫びが聞こえた時、チタニアは勇者目掛け魔力弾を放った。
「えっ!?」
虚を突かれた勇者は、脳が思考を拒否すると、
その体が硬直し動けなくなってしまった。
「ちっ!」
そう舌打ちした悠斗は、瞬間移動で勇者を押しのけると、
その魔力弾を手の甲で弾いた。
「バシっ!」と、弾かれた魔力弾は、遠くの森の中で爆発した。
あっけに取られた勇者は我に返ると、悠斗に頭を下げ詫びていた。
「す、すまねー・・・お、お前の邪魔をするつもりは・・・」
悔しさを滲ませながらも勇者は神に立ち向かおうとしている・・・。
そんな姿を見た悠斗は・・・。
「気にするな・・・。だけど、油断はするなよ?
お前じゃ、息をする間もないくらい切迫してくるぞ?」
「あ、ああ・・・。俺にも何か出来るはずだ・・・。
だからユウト・・・手伝わせてくれ」
「ははは・・・ああ、構わないよ?宜しくなっ!」
(しかし・・・ん~。このままじゃ、間に合わないな・・・)
ある事を気にしていた悠斗は、その時間の無さを感じ取っていた。
(そうだ・・・ミツチ!)
悠斗は突然水のスピリットであるミツチに声をかけた。
(ん?マスターどうしたの?
なるほどね~・・・あぁ~そう言う事ね?)
(今が丁度いいタイミングだと思うからさ・・・頼めるか?)
(それはいいけど・・・大丈夫なの?
神が相手なら、当然アレを使うのよね?)
心配するミツチに悠斗は少し含んだ笑みを浮かべると・・・。
(大丈夫だよ♪時間は稼ぐからさ♪)
(わかったわ♪それじゃ~行ってくるわね♪)
(頼んだっ!)
ミツチは悠斗の体から飛び出すと、一目散に飛び去って行った。
そんな悠斗の態度に一度は拒否させる事を思っていた勇者にとって、
今までにない高揚感を感じていたのだった。
「ふぅ~・・・」と、軽く息を吐くと、悠斗は雷身を解いた。
「お、おい・・・どうしてそれを解くんだよ?」
すると悠斗は顔をチタニアに向けたまま小声で答えた。
「お前も一度雷帝を解いておけ・・・。
特にお前の場合はスタミナがないんだろ?
少しでも温存しておけ」
「わ、わかった・・・」
悠斗のその纏う気迫に、勇者は思わず従ってしまった。
勇者は悠斗の横に並ぶと、同じような小声で話しかけてきた。
「で・・・?まずはどうするんだ?」
「まずも何もない・・・戦いの中で、相手の動きを予測して戦う。
ただそれだけだ・・・。
だけどお前にそれが出来るとは思ってない。
だから・・・」
「・・・だ、だから?」
悠斗の言葉に思わず固唾を飲んでしまった勇者は、
その悠斗の言葉を待った。
すると・・・。
「まぁ~自分でなんとかしろ♪」
「・・・はぁ?・・・はぁあぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?」
勇者の声が辺り一面に響き渡っていた。
「お、おいっ!何とかって・・・なんなんだよっ!
無責任じゃねーのかよっ!」
「あのな~?勝手に割り込んで来たのはお前だろ?
そんなヤツの面倒なんか見れる訳ないじゃんっ!」
悠斗は勇者をからかいながらそう言って見せた。
勇者は顔を引きつらせながらチタニアに向かって歩き始めると・・・。
「わかったよっ!お前に出来たんだっ!俺に出来ない訳がねーっ!」
鼻息荒くそう叫びながら聖剣を天へ突き出し吠えた。
「来いっ!雷帝っ!我が身に纏て力となれっ!」
そして勇者は再び雷帝を纏うと、背後に居る悠斗に声を掛けた。
「いいか?ユウト・・・。
お前にはまだ見せていない技があるんだ・・・。
まずは黙って・・・俺を見ていろっ!」
(あっ、良い事思いついた・・・)
そう語る勇者に悠斗は顔を伏せ笑いを堪えていた。
「プッ・・・が、頑張って・・・ププッ」
笑いが堪えきれず漏れる声に、勇者は振り返り怒鳴ろうとすると・・・。
「来たぞっ!」
「うぅ~わぁおっ!あ、危ねぇーっ!」
悠斗の声に背後から迫る魔力弾を感じた勇者は間一髪聖剣で弾いた。
「はっはっはっ!寿限無~本当に大丈夫なのか~?」
笑っている悠斗に勇者は一度詰め寄ろうとするが、
目を閉じ集中すると、踵を返し、チタニアへと駆け出した。
「見てろよっ!」
「・・・頑張れ~♪」
(しっかりと時間を稼いでくれよ~♪)
背後でからかう悠斗の声を聞きながら、
勇者はチタニアに接近し攻撃を放とうとした。
「喰らえっ!このクソ女神ーっ!」
そう叫びつつ飛び上がり振りかぶった勇者に、
悠斗は顔を抑え顰めていた。
「愚か者・・・」
「ドンっ!」と、チタニアへ飛びかかって行く勇者に、
衝撃波を当てたのだった。
「ぐはっ!」
吹き飛んだ勇者は、そのまま悠斗の場所まで飛ばされて戻ってきた。
雷帝を剥がされ地べたにうつ伏せに倒れている勇者に、
悠斗は身を屈め軽く息を吐いた。
「ププッ・・・おかえり~?早かったな?忘れ物か~?」
肩を揺らし笑いを堪えた悠斗の笑顔が、勇者を見下ろしていた。
「た・・・ただいま」
羞恥に晒され、顔を赤らめた勇者は立ち上がると、
「パン、パン」と、汚れを叩き取り除いていった。
「・・・こ、これからだ・・・これから・・・俺に任せろ」
(いやいやいや、どう見ても無理ゲーだろ?
あいつ・・・まじで気づかないのか?
今時の勇者って、ある意味すげー・・・だけどな・・・)
恥ずかしそうにしていた勇者に悠斗は近づくと、
「ゴンっ!」と、拳を落とした。
「いっ、いっ、痛ぁぁぁぁぁっ!」
再び蹲る勇者に、悠斗はその頭を掴むと、
足が宙に浮くほど軽々と持ち上げた。
そして、盛大に怒りで引きつらせた笑みを見せていたのだった。
「なぁ~寿限無~・・・?お前、ふざけてんのか~?
それともまじバカなのですかぁ~?」
勇者の頭を掴んだ悠斗の手に力が込められていく。
「痛い・・・痛い・・・いたたたたたたたたたっ!」
強烈な痛みを味わった勇者は「す、すみませんでした」と、
素直に謝るのだった。
「あのな~?敵を目前にして、どうして飛び上がるんだよっ!
軽く当てられただけで飛ばされるだろうがっ!
踏ん張りの利かない空中に飛んでどーするんですかー?
バカなのですか?まじバカなのですか?
それとも俺達をバカにしているのかっ!」
早口で説教された勇者は今にも泣き出しそうだった。
「い、いや~だってよ・・・。飛び上がって斬るのって、
かっこ・・・いい・・・だろう・・・が・・・」
その言葉を真顔で言った勇者に、悠斗はチタニアへ視線を向けた。
「はぁ~?お前って、まじバカなのかっ!勇者ってみんなそうなのか?
なぁ~チタニアっ!もうこいつ殺していいぞっ!
勇者にバカはいらないよなぁー?
ああぁぁぁっ、そっかっ!このバカを選んだのは・・・
お前だったよなーっ!?
だったら・・・しょうがないなっ!うんうんっ!
あのクズ女神が選んだ勇者だからな~・・・バカなのは仕方がないなっ!」
ここぞとばかり毒を吐きまくる悠斗に、勇者は慌てふためいていた。
そして恐る恐るチタニアへと振り向くと・・・。
「ヒィッ!」
(ぎゃぁぁぁっ!すげー顔してるっ!目が・・・目が・・・
すげー血走ってるぅ~っ!ヤベェー・・・あれは絶対にヤベェーっ!)
勇者は汗を滝のように流しまともにチタニアが見られなくなっていた。
「で・・・?寿限無・・・どうするんだ?」
「えっ?どうするって・・・」
「戦うのか見学しているのか・・・どっちなんだ?」
「そ、そりゃ~戦うに決まってるが・・・」
「決まってねーよっ!お前が勝手に決めるなよっ!
あぁ~もう・・・」
悠斗は勇者の頭を軽く叩くと・・・。
「行って来いよ・・・その為に、わざとらしくふざけたんだからさ♪」
「そ、そうなのか?」
「ああ、見てみろ・・・あいつはもう冷静に対処出来ない。
怒りで魔力の集中も散漫になるだろうからな~
やるなら今だなっ!うんうんっ!お前なら出来るっ!
お前ならヤれるのだぁーっ!さぁ、やっておしまいっ!」 (棒読み)
「な、なるほどっ!よしっ!わかったっ!俺に任せてくれっ!
ヘッヘッヘッ!見てろよ~クソ女神めっ!
俺ならやれるぜっ!」
悠斗の言葉にまんまとはめられた勇者は、意気揚々と歩いていく。
そんな勇者の後ろ姿を見た悠斗はこう思っていた。
(・・・んな訳ねぇ~・・・あぁ~あいつ、死んだな・・・)
と、心の中で「南無阿弥陀仏」と、唱えていた。
そんな事も露知らず、勇者は聖剣を抜き構えた。
「フンっ!俺だって勇者の端くれだ・・・
たった今っ!俺は・・・あんたを倒すっ!
そしてっ!俺様の伝説が今っ!始まるっ!」
「・・・・・」
何も言わず勇者を見つめるチタニアに笑みを浮かべて見せた。
(ユウトの言う通りだぜっ!あいつ・・・すげーヤツなんだな!?
ラウル様の使徒ともなれば、格が違うな。うんうん、納得したぜっ!
と、年下だが・・・こ、今度からユ、ユウト兄貴と呼ぼうかな?
ふむ・・・そう呼んだほうがいいかもしれんな)
そして悠斗は、余裕を見せている勇者を見て再び片手で顔を抑えていた。
(あ、あのバカっ!・・・雷帝纏ってねーじゃんかっ!)
そんな悠斗の嘆きを他所に、勇者はチタニアへと駆け出した。
(ユウトあ、兄貴の作戦通りだぜっ!クソ女神っ!覚悟しろよっ!)
「はぁぁぁっ!俺様必殺のぉぉぉっ!豪雷爆斬っ!」
一瞬、チタニアを斬り裂いたかのように見えた勇者は、
その手応えの無さと、重大な事を思い出していた。
(あっ、雷帝纏うの・・・忘れてた)
そしてその瞬間、再びチタニアの衝撃波で飛ばされた勇者は、
再び悠斗の元へと地面を滑りながら戻ってきた。
「・・・・・」
(・・・やれやれ)
悠斗は再びしゃがみ込むと、ボロボロになっていた勇者にヒールを使用した。
傷が癒えた勇者は勢いよく立ち上がると・・・。
「ちっ!運のいいクソ女神だぜっ!」
何故か偉そうな勇者に、悠斗は深く溜息を吐いた。
(バカって・・・本当に居るのな?それが勇者って一体・・・)
そう思い気迫に満ちたの勇者を見ていた。
(お前の自信はどこから来るんだっ!どこからっ!!
あ~・・・こいつがまじ勇者なのか~・・・
ラノベフアンの皆さんごめんなさいっ!
実際の勇者は・・・バカでしたっ!)
「ユウトあ、兄貴・・・。兄貴の作戦・・・失敗だぜ」
数回瞬きした悠斗は顔を覆っていた。
「だ、だろうな?」
(誰が兄貴だ、誰がっ!)
その言葉に勇者は振り向き首を傾げていた。
すると今まで外へと飛び出していたミツチが悠斗の体の中に入り戻ってきた。
(たっだいまーっ!)
(おかえり、ミツチ・・・で・・・?どうだった?)
(うん♪問題なしよ♪もう復活したわ♪)
(ありがとな)
(えへへ♪)
ミツチからの報告を聞いた悠斗は、真剣な眼差しをチタニアに向けたのだった。
「さてっと、コメディー・パートはここまでだな」
そう言うと、マジック・ボックスからロングソードを取り出した悠斗は、
ショートソードとロングソードを構え剣気を込めチタニアと対峙した。
そんな時だった・・・。
この男が膠着した重苦しい雰囲気の中、
悠斗に近づくと声をかけてきた。
「あ、兄貴・・・。コ、コメディー・パートって、何だ!?」
シリアスに決めていた悠斗に、勇者の容赦のない言葉が浴びせられた。
顔を引きつらせながら、悠斗は剣を地面に突き刺すと・・・。
「お前は、もう帰れぇぇぇぇっ!!」と、絶叫する悠斗の姿があった。
「・・・まだなの?」と、律儀に待つ運命神の姿もそこにあった。
ラウル ・・・ んー・・・勇者って一体なんだろう?
ミスティ ・・・ で、ですわね?チタニアもよくあんな人族を・・・。
ラウル ・・・ 次世代の勇者はもっと選別してから決めないとな~
ミスティ ・・・ そうですわね?まずは魂の選別から始めましょう♪
ラウル ・・・ うちの世界って人材不足だからね~・・・困ったモノだよ
ミスティ ・・・ ラウル様がただしっかりと選んでいないだけなのですけどね♪
ラウル ・・・ ・・・・じ、次回募集する時はちゃんとするからっ!
ミスティ ・・・ 本当ですか?そう言う事でしたら、まずここにサインを・・・。
ラウル ・・・ サイン?いいよ~・・・はっ!な、内容を読まずサインするところだった。
ミスティ ・・・ ・・・・ちっ
ってなことで、緋色火花でした。




