136話 それぞれのやれる事・・・。
お疲れ様です。
この寒波のせいで今も風がすごい事になっています><
皆さんも風邪には気をつけて下さいね^^
ブックマークや感想など、宜しくお願いします^^
次回のアップは今年も「活動報告」でお知らせ致します^^
それでは、136話をお楽しみ下さい。
「ミレイさん・・・私・・・Aランクです」
そう告げたステアにミレイはニヤリと笑みをこぼしたのだった。
「それならっ!・・・何とかなるわね」
「何とかなるのね?」
「ええ・・・今から概要を話すわ」
そう言うとミレイは全員を集めその概要の説明を始めるのだった。
「いい?まずは私の魔法であの障壁を限界まで中和させるから、
貴女達3人は、全力であの魔法障壁を壊しなさい」
ミレイの言葉に3人は少し疑いを持っていた。
「ミレイ・・・さん?運命神が張った魔法障壁なのでしょ?
それを簡単にどうにか出来るって言うの?」
そう疑問を投げかけたステア同様、
フォルティナとクトゥナも同意していた。
するとミレイは微かに笑って見せると・・・。
「フフ、私達は手出し出来ないと踏んで、
なんの細工も施されていない魔法障壁に・・・
フッ、意味なんてはないわ♪
ただ、適当に張ったモノとは言え、流石運命神ってところね?
おいそれとは壊させてくれないほどのモノよ」
「私達が力を合わせれば・・・何とかなるって事ね?」
「ええ、貴女達に期待しているわ」
全員が頷くと、ミレイはサウザー達を少し下げさせ、
魔法障壁に向き直った。
「私は今から魔力を制御して、この障壁を中和させるっ!
その後は・・・恐らく動けなくなるから、
私に構わず貴女達は前に進みなさいっ!」
すると、サウザーが1人フォルティナの元へ歩いて行った。
「君は素手であの障壁に立ち向かうつもりかね?」
フォルティナの武器は悠斗に砕かれていた事をすっかりと忘れていた。
「あっ・・・そ、そうだった・・・ちっ!」
舌打ちをするフォルティナに、全員の表情に陰が差した。
「この武器を・・・私の武器を使い給え・・・」
そう言ってサウザーは、腰から鞘ごと引き抜いた剣を差し出した。
「よ、宜しい・・・の、ですか?」
「ああ、素手で立ち向かわせる事など出来んからな?
それに、この私の剣は鋼鉄で出来ている・・・
勇者パーティーの者でも、そう容易くは壊れないだろう」
フォルティナに優しく微笑んだサウザーに、片膝を着き、
両手でサウザーの剣を受け取ったのだった。
サウザーはそのまま視線をミレイへと向けると・・・。
「ミレイ君・・・あの障壁は頼んだよ?
それにユウト様達には、こちらの音や声は届いていないと見えるからね、
それらを考慮して挑むんだよ?」
「はい、全力で挑みます」
そして一度微笑んで見せたサウザーは、ゼノ達の元へと戻って行った。
「さーてっ!行くわよーっ!」
「「「おうっ!」」」
ミレイは地面に杖を突き刺すと、その杖へ向かって魔力を注ぎ始めた。
「はぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」
(この障壁に属性はいらない・・・
だけど、純粋な魔力でしか中和出来ない。
フフッ・・・腐っていても・・・神は神・・・ね。
やっかいなモノを片手間で展開させるんだからっ!)
魔力を制御し始めた時だった。
クトゥナは何気に見た障壁の向こう側で、
勇者が地面に這いつくばっていたのが見えた。
(な、何をやってるのよっ!?こんな時にアイツは・・・)
首を傾げ溜息を吐いたクトゥナは、数回頭を振ると、
ミレイの作戦に集中しなおした。
地面に突き刺した杖に、ミレイの魔力は注ぎ込まれて行くと、
徐々にその杖は黒く染まっていった。
それを見ていたクトゥナは、その膨大な魔力量に驚いていた。
(ただの魔法使いでこの魔力量!?う、嘘でしょ?
この人の実力って・・・勇者パーティークラスじゃないっ!)
流れ出る汗を無視しながら、
ミレイは杖に注ぎ込まれる魔力を緻密に制御していく。
(ま、まだよ・・・ここで慌てたら・・・失敗する・・・。
急ぎながら慎重に・・・もっと細かく制御しないと・・・。
焦るな・・・私・・・私ならやれるっ!
ユウト様が見ている前で・・・失敗なんて出来ないわっ!)
大量の魔力を繊細な制御で杖に流し込んでいくミレイだったが、
急激な魔力減少により、視界が歪み始めていた。
(う、嘘・・・ま、魔力が・・・た、足りない・・・?
も、もう少しなのに・・・)
魔力枯渇により倒れそうになった時だった。
ミレイの背中で「パリン」と、何かが割れる音がした。
すると、ミレイの体が紫色に輝くと、
枯渇した魔力が半分ほど回復していたのだった。
「だ、誰か知らないけど、助かったわっ!」
魔力を注ぎ込みながらそのままの姿勢で声を上げたミレイに、
その後方から声が返ってきた。
「それは魔力の回復薬よっ!
前に「癒やしの森」で、神獣様に頂いたモノの1つなの。
貴女は貴女が出来る事を・・・。
私は私に出来る事をするわっ!だから・・・」
そう言ってレダは奮闘するミレイに声をかけたのだった。
「フフ、感謝するわっ!レダっ!」っと笑ったミレイは・・・。
「3人ともっ!準備してっ!」
「いつでもっ!」
「任せなっ!」
「・・・はいっ!」
(ユウト様、今・・・参ります)
そして魔力を注がれた杖が黒く輝き終わると、
一瞬にして紫色の激しい光を放った。
「で、出来たっ!みんな・・・行くわよっ!」
そう叫んだミレイは杖を引き抜くと、
そのまま魔法障壁へ向けて投げつつ詠唱を始めた。
そして・・・。
「ガツっ!」と、投げた杖が障壁に刺さった瞬間・・・。
「マジック・ニュートライズっ!」
その声に反応すると、
魔法障壁に突き刺さった杖からミレイの魔力が浸透し始め中和して行く。
そしてその障壁は無色透明から、白く染まり始めた。
しかし、その侵食速度は徐々に落ち始め、
明らかにその速度が落ちて行った。
「えっ!?た、足りない・・・の?嘘・・・
侵食して行く速度が・・・ちっ!」
(お、おかしい・・・絶対におかしいわっ!
わ、私の魔力量が・・・減っている・・・?何故?)
その障壁が白く染まっていく部分は少なく、
今攻撃しても、破壊する事は出来ないと判断したミレイは・・・。
(このままじゃ・・・の、残された手は・・・あと、1つ・・・
でも私の魔力量が・・・。
それに魔力が減少して行く原因も・・・まだ・・・)
自分自身の魔力が減ると言う原因に、色濃く戸惑ってはいたが、
目を閉じ集中すると・・・。
「それならっ!」と、魔法障壁へと駆け出した。
魔法障壁に直接触れ、魔力を流し侵食速度を上げ始めた。
「ぐぁっ!痛っ・・・はぐぅぅっ!」
その魔法障壁に直接触れた衝撃で、ミレイの両手の皮膚は
熱傷や裂傷により皮膚が焼け掌が切れ始めていた。
「ミ、ミレイっ!」
「わ、私に・・・私に構わないでっ!
や、やれる事を・・・みんなはやれる事をっ!」
苦悶に満ちた表情を誰もが見せつつ、拳を握り堪え、
己の役割を全うする為に耐えていた。
(か、必ず・・・こ、この障壁だけはっ!)
その時だった・・・。
激痛の末、感覚がなくなり始めた時、
ポトっと何かが落ちる音がした。
ミレイは音の不自然さに視線を落とすと、
自分の指が数本落ちていた事に気付いた・・・。
(ハハ・・・やっぱり・・・ね。
通りで手に感覚がない訳だわ・・・。
でもっ!こ、これくらいの・・・ことで・・・
私はっ!ひ、引き下がれないのよっ!)
「はぁぁぁぁぁぁっ!」
それでもお構いなしに魔力を流し込むその後姿に、
全員がサポート出来ない悔しさに顔を歪ませていた。
「い、いい・・・?わ、私の事は気にせず・・・
最高の一撃を・・・叩き込みなさいっ!いいわねっ!」
「わ、わかった。あんたの努力を無駄にはしないよっ!」
「・・・貴女の覚悟・・・見せてもらったわ。
だから今度は私達が見せる番よっ!」
「・・・任せて」
そう叫んだミレイは、最後の仕上げに取り掛かった。
「はぁぁぁぁぁっ!くっ・・・気が・・・遠く・・・
で、でもっ!・・・うぅぅぅ・・・
まだまだぁぁぁっ!はぁぁぁぁっ!」
限界以上に魔力を流したミレイは、障壁が一気に白く染まるのを見た。
「い、今よっ!壁をっ!断ってぇぇぇっ!」
そう叫んだミレイに反応した3人は、
それぞれが持つ威力のある技を3人同時に放った。
「戦剣の狂撃っ!」
フォルティナは・・・。
渾身の魔力を込め、真っ赤に染まった鋼鉄の剣を振り降ろし・・・。
「戦兎の爆飛剣っ!」
クトゥナは魔力を凝縮した短剣を投げ刺さった瞬間に大爆発した。
そしてステアは・・・。
「はぁぁぁっ!貫けっ!天鴉っ!」
飛び上がり放たれた短剣の一撃は、
ステアの魔力を圧縮した貫通属性を持つ技だった。
その3つの強烈な攻撃に、白く染まった魔法障壁は、
凄まじい爆発音と共に・・・。
「きゃぁぁぁっ!」
ミレイはその威力に巻き込まれ吹き飛ばされた。
そして魔法障壁を固唾を呑んで見守っていると・・・。
「パキ、パキ、パキ・・・バリンっ!」と、音を立てて崩れ去った。
「「「ミレイっ!」」」と、すぐさま叫ぶ3人だったが、
砕けた障壁の中から、エルバドが連れてきていた連中が、
狂気に染まった笑みを浮かべながら現れた。
「へっへっへっ、や~っと・・・俺達の出番だな?」
「ああ、待ちくたびれたぜ」
「運命神様の頼みなら、受けない訳にはいかねーよな~」
「はっはっはっ!強化もしてもらったとあっちゃ~ヤらねーとな?」
男達の1人が吹き飛ばされ意識を失ったミレイに目を止めた。
「おっ!?あんな所に・・・運命神様に逆らったバカが居るぜ」
「いいね~・・・じわじわ嬲ってやろうぜ・・・」
「ハッハッハッ!神に楯突くとどうなるか、見せしめにしてやる」
「・・・お前ら全員、ミンチ確定だな?」
男達が数人、地面に転がるミレイへと近づこうとすると・・・。
「・・・させない」
危険を察知したステアが素早くミレイを抱きかかえ離脱し、
そのままサウザーの元へ連れて行った。
「ちっ!あの女・・・速ぇーな?」
「まぁ~後で存分に可愛がってやるか・・・」
男達を尻目に、サウザーの元へと戻って来ると・・・。
「彼女を・・・ミレイを、お願いします」
「ああ、任せておきたまえっ!レダ君。まずは応急処置だ」
「はっ!」
レダはサウザーに抱えられたミレイの怪我の具合を確かめていく。
「こ、これは・・・」
「ど、どうだね?な、何とかなりそう・・・かね?」
サウザーの問いに、レダは思わず顔を顰めてしまった。
それほどミレイの容態はとても危険な状態だった。
両手の指が数本焼け落ち、
皮膚は剥がれ熱傷と裂傷・・・ひどい有様だった。
「ふむ、そ、そうか・・・その表情で予想は着いたが・・・。
レダ君っ!まず大切なのは命を優先する事だっ!
その先はまた考えればいいっ!だから急ぎ応急処置をっ!」
「・・・わ、分かりました」
レダは顔を顰めながらもヒールを数回使用し、
精一杯の処置をしたのだった。
「うむ、とっ、とりあえず血は止まったよう・・・だね?
レダ君・・・良くやったっ!本当に良くやってくれたっ!
ミレイ君はこれで時間を稼ぐことができた。
感謝するぞ・・・レダ君・・・。
よしっ、では、私はミレイ君を連れて後方に下がる・・・。
後は頼んだよ?」
「はい・・・承知致しました」
そう言ってサウザーはミレイを抱えたまま、
ゆっくりと後方へ下がるのだった。
(私はなんて無力な男なんだ・・・。
こんな若者達と共に戦う事が出来ないとはっ!)
悔しさを滲ませながら、サウザーは顔には出さず下がって行く。
「バカヤロー・・・なんて無茶な事を・・・。
行くぜ・・・レダ、あいつの努力に報いないとな?
ここからが俺達の出番だぜっ!」
「ああ、彼女の為にも・・・私達がっ!」
意識を失いサウザーの腕の中で下がっていくミレイを見送ったゼノとレダは、
障壁が張られていた場所まで駆け出した。
そして30名ほどを相手に、ゼノ達の戦いが始まった。
時を少し遡って睨み合う悠斗とチタニアは・・・。
悠斗はチタニアが薙いだ方向から魔力の渦を感じ取っていた。
「ん?・・・魔法障壁ってやつか?」
その声にチタニアは眉をピクリと動かした。
「ほう~・・・よく気がついたものね。
あのクズと違って、どうやら優秀な人族のようですね?
どうかしら?私とともに・・・栄華でも極めてみないかしら?」
(い、いや・・・待て、他にも・・・何かあるな?)
その物言いに悠斗は溜息を吐くと、再びチタニアを睨みつけた。
「ごめんだねっ!栄華だ?・・・興味ないよ・・・。
神が言うセリフとも思えないな・・・がっかりだな」
「・・・そう、残念ね?貴方となら・・・上手くヤレると思ったのに・・・」
チタニアの物言いに、悠斗は何か妙な引っかかりを感じ取った。
「・・・なぁ、ヤレるって・・・どう言う意味だ?」
「フフ・・・勘のいい子は好きよ?そうね・・・教えてあげるわ♪
創造神ラウルを・・・殺すのよ・・・♪
フフフ・・・素敵でしょ?」
チタニアはこの時、憎悪に染まる悠斗に隙きが生まれると思っていた。
顔を伏せ肩が小刻みに震えていた様子を見ていたチタニアは、
妖艶な笑みを浮かべていた。
(あなたが黒く染まった時、あなたは既に私のモノになるのよ?
フフフ・・・。
ラウルの悲しみに染まった顔が見られるのね?)
しかし・・・悠斗はチタニアの思い通りにはならなかった。
(にゃるほど・・・魔力を奪う結界みたいなモノがあるのか・・・
へぇ~、思っていたより・・・用心深いヤツだな?)
魔力の減りを感じた悠斗は、先程のチタニアの話と相まって、
突然笑い始めたのだった。
「ふふふ・・・はっはっはっ!ラ、ラウルを殺すって~?
まじかーっ!まじでかーっ!?
はっはっはっ!まじ・・・ウケるな・・・」
大笑いした悠斗だったが、その笑いの後・・・殺気を込め睨んだ。
「な、何を笑っているのかしら?」
思いにもよらない悠斗の反応に、チタニアは顔を引きつらせていた。
「はっはっはっ!だってさ~・・・?
あいつは殺してもぜーーーったいに死なないと思うんだけど?
そんな簡単に殺せるんだったら、
ミスティがとっくの昔に殺してるってっ!
あんたも知ってるだろ?
あいつは地球のG並みにしぶといんだっ!」
「・・・人族の分際で私にタメ口とは・・・
神を敬う心はあなたにはないのかしら?」
そう声に出した時、悠斗の雰囲気ががらりと変わり、
殺気がチタニアを包み込んでいた。
「な、なんだ・・・こ、この殺気はっ!これを人族が!?」
「いいか?お前如きじゃ、ラウルはヤレない・・・
そして、俺はお前を絶対に許さない・・・
神を敬う・・・?何だそれ?
人の運命を弄んでいるヤツに・・・
神の資格があるとでも思っているのかっ!
お前・・・絶対に許さないからなっ!ふざけるなっ!」
「フン、まぁ~いいわ。それよりアレを見てみなさいな?
私の魔法障壁を壊そうと無駄な努力をしているわ♪」
(あ、あれは・・・ミレイ・・・か?
ああ~・・・予想はつくけど、危ない事するな~
まぁーでも・・・そう言うの・・・嫌いじゃないな♪)
ミレイを見た悠斗は、呆れた顔を見せながらも、
心の中ではミレイにエールを送っていた。
そして、人を玩具としか思っていないチタニアに、悠斗はこう言った。
「ミレイは必ずあの障壁を壊すからな?」
「フフフ・・・人族如きが私の障壁を壊す・・・と?」
「ああ、あいつは俺達の影響を受けて、
努力しまくっているからな~・・・。
まるでうちのセルカみたいなヤツなんだ♪」
チタニアにはセルカと言う者の名など知るはずもなかったのだが、
楽しそうに障壁の向こうに居るミレイを見つめていたその顔に、
ピクリと眉を動かしたのだった。
「・・・いいでしょう、ならば私も手を打つと致しましょう」
そう言うとチタニアはエルバド達の方へ振り返ると、
その瞳の中に現れた魔法陣で、エルバドが連れてきた者達を洗脳した。
だが、エルバトとドリューの他、
戦えない者達は、足元から出現した鎖で拘束されてしまっていた。
「くっ!な、何だっ!何だこの鎖はっ!何故私がっ!」
「ぐぅぅぅっ!お、親父ーっ!」
そう叫ぶエルバド達にチタニアは睨みを効かせると・・・。
「虫ケラの言葉に私が耳を貸す・・・とでも?
殺さないだけ有り難いと・・・いえ、涙を流し感謝しなさいっ!」
「そ、そんな・・・それが、それが神の行いだとでもっ!」
「黙れっ!虫ケラっ!」
チタニアはエルバドを一喝した瞬間、目を光らせると、
エルバドは苦悶の表情を浮かべ倒れた。
そしてそのエルバドが倒れた辺りから、血が流れ出していた。
「お、親父っ!」
「きゃぁぁぁぁぁっ!」
ドリューの叫びと、その家族の悲鳴が響き渡っていた。
そんな者達を無視するチタニアは・・・。
「お前達・・・障壁の前であの者達を迎え討ちなさい」
「お、仰せのまま・・・に・・・」
チタニアに洗脳された者達は、片目が真っ黒に染まっていた。
ゾロゾロと障壁の前へ向かう者達を見て男が吠えた・・・
「や、止めるんだっ!同じ人族同士が争うなっ!」
立ち上がり駆け出そうとした勇者をチタニアは睨みつけると、
「ドサッ!」と、地面に抑え込まれてしまった。
「ぐわっ!うぅぅぅぅ・・・動け・・・な・・・い」
地面に這いつくばった勇者を見下ろすチタニアは声も上げ笑っていた。
「フフフ・・・ハハハ・・・クズにはお似合いの姿ですわね?
それに、今のその者達は・・・。
あなた程度くらいには強化してあるのよ?
フフ・・・あの人族達が勝てると思っているのかしら?
ねぇ~?聞いてるの?ねぇ~・・・?
フフフッ・・・ア~ハッハッハッ!ハァ~ハッハッハッ!」
そう言って勇者を、声も高らかに嘲笑っていた。
その様子を黙っていた悠斗が口を開いた。
「おい・・・チタニア、いや、クズ女神・・・いい加減にしろよ?」
怒気を織り交ぜた殺気がチタニアを襲った。
「くっ!ひ、人族・・・如きがっ!」
「その人族如きに・・・お前は倒されるんだよ」
怒気を織り交ぜた殺気とは異なり、
チタニアは背筋が凍り付くほどの冷たさを感じ取っていた。
(こ、こやつは本当に・・・人族なのか!?
ラウルのヤツめ・・・何か小細工でも・・・?
まぁ~いいわ・・・。
念の為に魔力吸引の結界を張っておいて良かったわ♪)
そして2人の緊張が張り詰め、悠斗の筋肉が「ピクリ」と動いた時だった。
「バリンっ!」と言う音と共に、
爆発音と爆風が悠斗の居る障壁内にまで駆け抜けて行った。
すると・・・。
「へっへっへっ!野郎共っ!運命神様の御依頼だっ!
思いっきり嬲ってやろうぜーっ!」
「「「「おうっ!やってやるぜっ!」」」」
歪んだ笑みを浮かべた男達は、サウザー達の前に立ち塞がって行く。
だが悠斗は、そんな連中にも目も暮れず、
運命神チタニアを睨みつけていたのであった。
(・・・あいつ・・・ヤバイな・・・何とかしないと・・・ね)
「おい、そこのクズ女神・・・神への祈りを済ませたか?」
そう言葉を吐き捨てた悠斗の体が、ブレてチタニアの前から消えていた。
ラウル ・・・ ラウルです。しかしなんだね~。ミレイ君ってすごいね?
ミスティ ・・・ ミスティです。そうですわね?今回とても関心致しました。
ラウル ・・・ ただのモブキャラかと思ったら・・・本当に驚いたよ♪
ミスティ ・・・ ラウル様もた・ま・に・は・・・誰かを褒めるのですね?
ラウル ・・・ し、失敬だな~君はっ!僕は創造神なんだよ?当然じゃないかっ!
ミスティ ・・・ 普段からちゃんと仕事さえしてくくれば・・・。
ラウル ・・・ うぅぅ・・・そ、それは言いっこなしにしてよ~
ミスティ ・・・ ふっふっふっ♪
ラウル ・・・ ・・・とてもその笑顔が怖いんですけど?
ってなことで、緋色火花でした。




