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異世界転移 ~魔を狩る者~  作者: 緋色火花
第二章 港町・アシュリナ編
168/404

135話 神へ立ち向かう者達

お疲れ様です。


今回はの話のメインはサウザー達です^^

楽しく読んでもらえると幸いです^^



それでは、135話をお楽しみ下さい。

「・・・人の運命を(もてあそ)びやがって・・・」


そう言いつつ奥歯を噛み締めた悠斗は、かなり苛立っていたのだった。


チタニアと呼ばれた女性は、勇者パーティーの僧侶で、

その名をリアーナと言った。

だがしかし悠斗は、その女性をチタニアと呼んだ。


「お、おい・・・ユウト?ど、どうしてリアーナが・・・

 そ、その・・・運命神様なんだよ?」

恐る恐る悠斗に問いかけた勇者を見ていたリアーナは、

醜い笑みを浮かべていた。


「こんな鈍い男を勇者にしたのは私の過ちね・・・

 まっっったく使えない男だわ・・・」

眉間に(しわ)を寄せ吐き捨てるようにそう言った。

その物言いに悠斗は不機嫌な表情をして見せていた。


「あら?あなた・・・怒っているのかしら?

 こんなクズ勇者にそんな価値はなくてよ?」

その言葉に悠斗は眉を「ピクリ」と動かした。


「な、なあ・・・ユウト。

 俺はチタニア様にそう言われても仕方がない男なんだ・・・

 だから、神と争うのは・・・止めろっ!

 勝てるはずねーだろ?」


そんな気弱な発言をした勇者に、

悠斗は再び眉を「ピクリ」とさせると・・・。


「お前っ!悔しくないのかよっ!」

悠斗に一喝された勇者は驚いていたが、「チラリ」とチタニアを見ると、

顔を背け拳を握り締めているだけだった。


「悔しいもなにも・・・よ。

 ほ、本当の事だから・・・し、仕方がねーだろ」

悠斗は勇者の言葉に無言で近づくと、その胸ぐらを掴み捻じりあげると、

そのまま勇者を背負投げ地面に叩きつけた。


「ぐはっ!」

強烈な痛みが勇者の体に広がった。

「て、てめー・・・ゴホッゴホッ・・・な、何しやがるっ!」

激しく抗議する勇者に、悠斗は冷たい視線を向けた。


「・・・お前、勇者だろ?

 こんなヤツに好き勝手言われて・・・なんで怒らないんだよっ!」

そう言い放つと、悠斗の怒りが体から電流が放電されたのだった。

「お、お前・・・どうして・・・そんなに怒って・・・?」

その勇者の問いに、再びチタニアに向き直ると・・・。


「嫌なんだよ・・・。運命に翻弄(ほんろう)されるのは・・・さ。

 もう・・・嫌なんだよっ!」

「ユ、ユウト・・・お前・・・」

「神々の好き勝手で人の人生を弄ぶ・・・そんな事、許されない・・・。

 あっていいはず・・・ないんだよ。

 人は神々の玩具(おもちゃ)じゃ・・・ないっ!」


そう言い切った悠斗の背中は、小さく震えていた。

それを見た勇者だったが、神に対して勝てる見込みもない戦いに、

悠斗を向かわせたくはなかったのだ。


「で、でもよっ!相手は神だぜっ!勝てるはずねーだろうがっ!」

「・・・寿限無?お前・・・一度でも神と戦ったのか?」

「そ、そんな事・・・ある訳ねーだろ?」

「・・・そう、だろうな・・・」


言葉をそう区切ると、悠斗はチタニアの元へ歩み始めた。

「ユウト・・・ど、どうするつもりなんだよっ!」

「相手が誰であろうと・・・ぶっ飛ばすっ!」

振り向きもせずそう言い放つ悠斗に、勇者は気弱な言葉を口にした。


「無理・・・だぜ・・・」

そんな小さな声が聞こえたのか、悠斗も小声でつぶやいた。

「・・・お前には・・・な」

「えっ!?」


悠斗の背中が大きく見えた勇者は、もう何も言えなかった。

だが・・・。

(本当に戦うのなら・・・俺も一緒に・・・)

そう心の中で漏れ出た言葉であったが、

その勇者の体は恐怖で震え上がっていた。

(ははは・・・な、情けねーな・・・体が動かねーよ)


勇者を置いてチタニアの前に立つと、悠斗は殺気を放った。

「くっ・・・」

顔を一瞬引きつらせながらも、悠斗を睨んでいた。

「私に何か用なのですか?先程あのクズ勇者との会話で、

 私と戦うと聞こえたのですが・・・?

 ・・・本気・・・なの?」


「・・・当たり前だろ?

 お前がどこの誰であろうと・・・俺は自分の言葉は曲げない。

 じゃないと・・・俺は俺で居られなくなる」


「フフフ・・・たかが人族の分際で・・・神に立ち向かうと?」

「もうそのセリフは聞き飽きた。例え負けても悔いはない・・・」

「・・・そう」


睨み合う2人を悠斗の中から見ていたミツチとククノチは・・・。


(ヤ、ヤバイだろっ!神と戦うなんてっ!)


(でもククノチ・・・?

 マスターって闘神・カロン様に勝ってたはずよ?)


(い、いやでもよっ!まずいだろっ!絶対にまずいだろっ!)


(あんた・・・覚悟を決めなさいよっ!

 マスターはやると言ったら、絶対にやるんだからっ!)


(た、確かにそうなんだけど・・・)


(私達はいつでもマスターのサポートが出来るようにしておかないと、

 何か合ってからじゃ、間に合わないわ)


(わかった・・・わかったよっ!やればいいんだろ?やればっ!

 オイラも覚悟を決める・・・)


(すまないな、2人とも・・・有難う)


スピリット達の会話を聞いていた悠斗は、そんな2人に礼を述べた後、

チタニアは右手で空を薙いでいた。


「何やってんだ?」

「フフ・・・ラウルの犬は知らなくていい事よ♪」

「・・・犬・・・だと?」

「フフフ・・・」



そしてサウザー達はざわめきの中に居た・・・。


「ま、まさか・・・そんなまさか・・・神と・・・闘う?

 ユ、ユウト様は、い、いいい・・・一体何を言っておられるのだ・・・?)

サウザーは恐怖のあまり混乱していた。

だがそれは、このノーブルの世界で生きる者達にとっては、

当然の事でもあった。


神へ剣を向ける行為は万死に値する・・・。

それがこのノーブルでは当然の事実だったからだ。


運命神と睨み合う悠斗を見ていたゼノもまた、

その恐怖に足を震わせていた。

「ユウト様・・・すまねーが、俺は手助け出来ないみたいだ・・・。

 あ、足が・・・恐怖で(すく)んでいやがる・・・。

 な、情けねーが・・・役に立たない臣下ですまねー・・・」


足を震わせ苦虫を噛むゼノを横目で見ていたレダは・・・。

「ユウト様に何があったのかは知らない・・・。

 でも、あんなユウト様・・・今まで見た事ないわ。

 あの怒りに満ちた表情・・・正直、私は怖い・・・そう感じるわ」


するとステアが苦しそうな表情を浮かべながらも、

一歩・・・また一歩と、悠斗に向かって歩み始めた。


「ユ、ユウト様は・・・わ、私が一生をかけて・・・

 お、お仕え・・・し・・・ま、守るべ・・・き御方・・・です。

 ですか・・・ら・・・」

荒く息を吐き額から汗を吹き出させながらも・・・、

悠斗の元へ歩き始めたのだった。


そしてフォルティナやクトゥナ達も・・・。


「クッ、クトゥナっ!な、何とかして止めないとっ!

 ユウトが殺されてしまうっ!」

「わ、わかってるわよっ!出来るならとっくにそうしているわっ!

 だ、だけど・・・あ、足が・・・私の足が・・・」


フォルティナはクトゥナの足元に視線を落とすと、

ありえないほど足が、ガクガクと震えていたのだった。

「あ、あんた・・・」

そう声を漏らすフォルティナもまた、ガクガクと震わせていたのだった。


そんな者達を見ていたミレイは・・・。

(わ、私にも何かきっと・・・そう・・・。

 きっと出来る事があるはずだわっ!

 そう思えるのは・・・フフ、ユウト様を見てきたおかげかしらね?)


密かに苦笑するミレイは、他の者達よりも少し余裕があった。

それは、悠斗が起こした奇跡を見てきたからでもあった。


するとシーバが震える声でこう言った。

「あ、あああっし達・・・に、には・・・。

 と、ととと止められ・・・ね、ねーでさ。

 か、神と・・・平然とむ、むむ向き合ってるユウト様を、

 ほ、本当にす、すげー・・・すげー御人だと・・・あっしは思ってやす。

 だ、だけどよ・・・あ、ああ相手は神ですぜっ!?

 いくらユウト兄貴でも・・・か、勝てるはず・・・ねーでさ」


全員が恐れ(おのの)いている中、サウザーはガタガタと震えながらも、

一歩・・・また一歩と・・・2人に向かって歩みだした。

「ス、ステア君・・・ま、待ちたまえ」


「サウザー様っ!?」

ゼノは無様に歩き始めたサウザーに思わず声をかけた。

すると、ぎこちなく振り向き引きつった笑みを浮かべていた。


「わ、わわ私はっ!

 い、今・・・あ、あの御方をう、失う訳には・・・い、いかんのだ。

 私は・・・ユ、ユウトさ、様に・・・な、何もお、お返ししておらん。

 い、異世界から来た・・・しょ、少年に・・・

 こ、この私がっ!アシュリナ領主のっ!このサウザー・アシュリナがっ!

 お、恩を、か、返せていない・・・のだ・・・。

 だ、だから・・・だからっ!こ、このまま・・・

 このまま引き下がる事は出来んのだっ!」


恐怖と己の無力さを感じつつも、涙を浮かべ力一杯叫ぶサウザーに、

ここの居る全ての者達が敬意を払っていた。


「フフフ・・・流石サウザー様ね?

 このステアとご一緒に・・・あの方の元へと・・・参りましょう」

「う、うむ・・・。ス、ステア君・・・と、共に行こうっ!」


悠斗の元へと歩み始めたサウザーとステア・・・。

その後姿には決意が現れていたかのようだった。


「ははは・・・さ、流石領主なだけはあるぜ・・・

 それにステアまで・・・ははは・・・なのによっ!

 それに比べて俺達はっ!」

顔を伏せたままそう叫ぶと、ゼノは力強くその一歩を踏み出した。


「お、俺はっ!ユウト様の臣下に必ずなると決めた男だっ!

 ユウト様がおっしゃった様にっ!俺も自分の言葉は曲げねーっ!

 いや・・・曲げたくねーっ!だからっ、俺もっ!」


チタニアと悠斗の殺気が広がるこの場所で、

ゼノは力強くその一歩を踏み出すのだった。


「ゼノっ!」

突然声をあげ叫んだのはレダだった。

拳を力強く握り、その身を震わせていた。

「・・・レダ?」

「か、勝てる見込みは・・・な、ないのだぞ?」

「へへっ・・・わかってるぜ、そんな事ぐらいよ」

「それでも、行くのか・・・」

「ああ、俺はユウト様の臣下になると決めたんだぜ?

 こんな事くらいで、ビビってちゃっ!・・・ダメ・・・だろ?」


力強い言葉を発した後、情けないくらいひ弱な表情を見せたゼノに、

レダもまた同じ様な表情をして見せた。


「ならば・・・私も共に行こう」

「・・・いいのかよ?お前は聖騎士なんだぜ?

 神に仇なすのはご法度なんだろ?」


聖騎士であるレダは、神に忠誠を誓った者だけが、

聖騎士として名乗る事を許された者達である。

つまり、悠斗の味方をする事は・・・神への裏切り行為となるのである。


「フフ・・・構わぬよ?

 私が聖騎士になったのは、誰かを守る為なのだからな。

 今、ここで立ち向かわねば・・・。

 私は私で居られなくなるのよ?

 ユウト様も先程そう言っていたわよね?

 だから私も・・・皆と闘うわっ!」


「はっはっはっ!じゃ~いっちょっ!暴れるとするかっ!」

「ああっ!」


悠斗へ向かって歩む者達を見ていたミレイは・・・。


(そんなに固まっていたら、ただの的になるだけでしょっ!

 だけど・・・ここからのサポートなんて意味ないわね?

 さて・・・どうしようかしら?

 それよりもまず・・・あのバカ達をなんとかしなくちゃね)


そんな事を思いつつもミレイは、サウザー達の元へと駆け出した。

そしてサウザー達を追い抜くと、両手を広げ立ち塞がると・・・。


「ま、待ってっ!皆さんはただ無防備にこのまま行くって言うの?」

ミレイの意図が理解できない者達がお互いの顔を見合わせていた。


「ミレイ君、君の言いたい事が分かりかねるのだが?」

「このまま行ったら、そこの魔法障壁で全員黒コゲよ?」

「「「「!?」」」」


そう言ってミレイは自分の背後を振り向かず、親指で場所を示していた。

「あ、あそこにその・・・魔法障壁があるのかね?」

「ええ・・・あと10歩くらいで全員めでたくあの世行きね?」

平然と答えるミレイにゼノが口を開いた。


「なんでお前にはそれが分かるんだよ?」

「だって私・・・これでも凄腕の魔法使いなんだけど?」

そう答えるミレイにレダもまた口を開いた。

「すまないけど・・・。私はこれでも聖騎士なのよ?

 それなのに私には見えていないのは、何故かしら?」


引きつった笑みを浮かべたレダはそう問うと・・・。

「聖騎士ね~・・・?

 聖騎士と言っても、貴女・・・?まだランクが低いのでしょ?」

「なっ!?」

「あの障壁はね?少なくてもAランクじゃないと認識すら出来ないわ」

レダにとっては衝撃な一言だった。


「わ、私のランクは・・・Bだ」

「なら、見えなくて当然ね?」

「くっ」

悔しさを滲ませていたレダを見ていたフォルティナとクトゥナが、

サウザーの元へとやって来た。

「話しているところすまないが・・・私達も一緒に連れて行ってくれ」

フォルティナの言葉に驚くサウザー達ではあったが、

快く2人を迎え入れたのだった。


「ははは、構わないよ?

 でもいいのかね?君達は勇者パーティーだろ?

 神に仇なす事は・・・」

悲しそうな表情を見せるサウザーに、クトゥナが答えた。

「構いません・・・。

 どうせ私達は捨てられたのですから・・・」

そう言って勇者の方へと視線を移していた。


「そうか・・・ならば共に行こうではないか?」

「「有難う御座います」」

頭を下げた2人に、サウザーは2人の肩を軽く叩くのだった。

「で?」っと、ゼノが先程の話に戻した。


「ふぅ~・・・。あの障壁なら、誰かに手伝ってもらえたら、

 何とかできると思うわ」

そう言うとミレイは視線をフォルティナとクトゥナに移すのだった。

「私達ならなんとか出来るのか?」

「ええ・・・。2人のランクは・・・Sくらいよね?」

「「「「!?」」」」


ここに居た者達は驚き、フォルティナとクトゥナへ視線が向けられた。

「あ、ああ・・・確かに私とフォルティナのランクはSだが?」

「丁度良かったわ・・・。でもあと一人・・・」

そう言うとミレイは顎に手を当て考え込んでしまった。

すると・・・。


「ミレイさん・・・私・・・Aランクです」

そう告げたステアにミレイはニヤリと笑みをこぼしたのだった。

「それならっ!・・・何とかなるわね」

「何とかなるのね?」

「ええ・・・今から概要を話すわ」


そう言うとミレイは全員を集めその概要の説明を始めるのだった。






ラウル ・・・ ういーすっ!ラウルでーすっ!

ミスティ ・・・ ラウル様、いかがなされましたか?

ラウル ・・・ だってぇ~っ!全然出番がないんだもーんっ!

ミスティ ・・・ まぁ~・・・それはそうですが・・・。

ラウル ・・・ サウザー君達ばかりじゃないかっ!と、僕は異議を申し立てたい。

ミスティ ・・・ ですがそれは、物語の進行上どうしても・・・。

ラウル ・・・ わかるっ!それは分かるんだけど・・・うぅぅぅ

ミスティ ・・・ ラウル様・・・。

ラウル ・・・ って言う事で、僕は温泉に浸かってくるよん♪あとよろ~♪

ミスティ ・・・ わ、私もお供致しますっ!それでは皆さん、ごきげんよう♪



ってなことで、緋色火花でした。

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― 新着の感想 ―
[一言] 本来敵わない相手に皆で協力して立ち向かう姿は素晴らしいですね♪ どうやって戦うのか、楽しみにしています♪
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