134話 介入
お疲れ様です。
か、肩こりが・・・orz
と、最近の悩みなのですが、どうにかならないかと思ってます。
まぁ~・・・ならないんですけどね><
それでは、134話をお楽しみ下さい。
「ああ~、えっと~今の俺って・・・雷身だからね♪」
悠斗のその聞き慣れない言葉に、勇者は首を傾げていたのだった。
悠斗が発した言葉は、後方に居たサウザー達にも聞こえていた。
「だ、誰か・・・?今、ユウト様がおっしゃったその何だ・・・
ライシン・・・とは何か説明出来る者はいるか?」
サウザーは振り向き全員の顔を見ながら聞いてきたのだが、
雷身を知る者は1人も居なかった。
そして傍に居た勇者達の仲間にも目を向けるのだが、
フォルティナとクトゥナは首を振っていた。
「誰も知らないとは・・・」
サウザーからこぼれ出た言葉に、レダが口を開いた。
「私は聖騎士ではありますが、
その様なスキルや魔法は聞き及んだ事は御座いません」
「そうすると・・・。ユウト様が使われているモノは、
ラウル様が与えられた力なのかもしれんと言う訳か・・・」
「「!?」」
サウザーの言葉に鋭く反応を見せたのは、
フォルティナとクトゥナだった。
「サ、サウザー殿っ!い、いや、様っ!
ラウル様と言うのは・・・もしや創造神様ではっ!?」
「す、すると、ユウトって、まさか・・・。
まさかっ!創造神様の使徒なのですかっ!?」
2人はサウザーを襲わんとする程詰め寄りその答えを待っていた。
「ははは・・・」と、苦笑いするサウザーに、
事情を知る者達は頭を抱え項垂れていた。
すると意を決したように、ゼノがサウザーの隣に並ぶと・・・。
「あ~その何だ・・・。
今更取り繕うのも正直無駄だと思うから言うけどよ・・・。
その通りだ。ユウト様は創造神ラウル様の使徒だ」
「や、やはり・・・ユウトは・・・」
「ケタ違いに強いのは、そう言う事だったのか・・・」
ゼノの話に納得した2人だったが、今度はレダが歩み出て来て口を開いた。
「ゼノ・・・それは正確ではないだろ?
ここまでバレてしまったんだ、きちんと話すのが筋ではないのか?」
「んー・・・。まぁ~確かにな?」
視線をフォルティナとクトゥナに移したレダは訂正していく。
「正確には、ユウト様は便宜上、ラウル様の使徒と言う事になっているが、
本当は、創造神ラウル様と同等の存在・・・らしいわ」
「「!?」」
レダの話にもはや2人の口は開いたまま塞がらなかった。
固まってしまった2人に、サウザー始めゼノとレダが苦笑すると、
現在戦闘中の悠斗と勇者に視線を移すのだった。
そして時は少し戻って・・・。
「な、何だ・・・その、ライシンってやつは!?」
首を捻る勇者に悠斗は答えた。
「ああ~、雷身って言うのは、お前と同じようなモノだよ」
「同じ・・・?同じとは?」
「俺も今、雷を纏ってるって事だけど?」
平然と話す悠斗に、勇者は全身を凝視した。
だが、なんの変化も見て取れない悠斗の姿に首を傾げる。
「別に変わった様子は・・・」
そうつぶやく勇者に悠斗は薄く笑うと、
「はっ!」と、小さく気合を入れて見せると・・・。
「バリバリっ!」と、音を響かせながら、
悠斗の体から放電されたのだった。
「・・・納得したか?」
「バ、バカな・・・い、雷の属性は、ゆ、勇者の・・・」
あまりの衝撃に勇者は少し後ずさってしまった。
「お、おい・・・他にも雷属性を持っている人はいるだろ?」
「・・・ほ、他にも?他にも居るだとっ!」
「た、多分・・・だけ・・・ど?」
勇者にそう言われ、急に不安になる悠斗・・・。
その様子を内から見ていたスピリット達は腹を抱えて笑っていた。
(フフフ、あっはっはっはっ!勇者以外に雷属性が居るですって~?)
(はっはっはっ!そんなヤツ居る訳ねーぜ~♪)
(フフ・・・もし居るとしたら~・・・マスターくらいよね?♪)
(わっはっはっ!そうだな?
マスターは自分の事を一般人だと思ってるって事だろ~?
ははは、マスターが普通の人な訳ねーぜっ!)
それを聞いた悠斗は渋い顔をしつつスルーしたのだった。
(勝手な事を・・・やれやれ)
「それで?戦いはどうするんだよ?」
悠斗の言葉に我に返った勇者は、顔を顰め叫びながら突進してきた。
「嘘を言うんじゃねーっ!」
「バリバリ」っと、音を響かせながら悠斗に拳を振り上げるのだが、
冷静さを失った勇者の攻撃は届かない。
「お、お前も擬物だろっ!」
「お前っ!失礼なやつだなっ!」
擬物と言われてイラっとした悠斗は、腹部ががら空きになった勇者に、
軽く当て身を放った。
「ぐはっ!」
ただの当て身に、全身に電流が駆け巡った。
くの字に折れ曲がり、早足で後ずさる勇者・・・。
(お、俺の雷よりも・・・きょ、強力だとっ!?
な、何がどうなっていやがるっ!頭が変になりそうだぜ・・・)
その攻撃の威力に顔を上げた勇者は・・・。
「本気を・・・見せてやるっ!
そして驚愕しろっ!神に選ばれた俺の力をっ!」
「御託はいい・・・来いよ」
勇者の本気に悠斗は手招きで応えた。
「てめー・・・吠え面かかせてやるっ!」
「バリバリ」っと、響かせながら2人は格闘戦に持ち込んだ。
「うおりゃっ!」
「はぁっ!」
お互いの攻撃を弾き弾き返され熾烈を極めた攻防が
繰り広げられていく。
だがしかし・・・。
勇者の欠点であるスタミナが瞬く間に消費されていく。
雷帝を纏った勇者はその途轍もない力の代償に、
スタミナと気力を奪われていくのだった。
言わば諸刃の剣なのである。
互角の戦いを見せていた勇者だったが、
スタミナ減少に伴って、悠斗の攻撃に付いて行けなくなっていた。
「バシっ!」
「ちっ!やるじゃねーかっ!」
「バキっ!」
「ぐはっ!ま、まだだっ!」
「ドコっ!」
「がはっ!ま、まだ・・・やれる・・・」
「ベキっ!」
「・・・お、俺は、こ、こんなもんじゃ・・・」
その攻撃のキレが無くなったのを感じた悠斗は、
勇者の拳を「ガシっ!」っと掴むと、哀れんだ瞳を向けていた。
「・・・もう止めよう」
「!?・・・はぁ、はぁ、はぁ、はぁ」
悠斗の思いがけない言葉に、顔を腫らした勇者は腕に力を込めた。
だが、悔しさから握り締められた拳にはもう・・・
力が残っていなかったのだ。
しかも、雷帝を纏っていた姿も、いつの間にかその効力を失っていた。
「う、嘘・・だろ?お、俺は・・・勇者だ・・・勇者なんだ。
ど、どうしてこんなガキに俺が・・・?」
悠斗の圧倒的な強さに、勇者は膝から崩れると、
ワナワナと震え始めたのだった。
「・・・もういいだろ?」
そう声を掛けた悠斗に、勇者はボロボロと涙を溢れさせながら・・・。
「お、俺はぁぁぁぁっ!お前如きにぃぃぃぃっ!」
そう叫びながら立ち上がると、キレの無くなった拳を悠斗に放った。
「パチン、パチン」と、勇者の拳が悠斗の頬に当たる。
「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ」
動かずその拳を受け止める悠斗の顔は、とても悲しい表情をしていた。
何も言わずただ・・・。
力を消耗した勇者の拳を受け止めているだけだった。
「う、嘘だ・・・。はははは・・・嘘だ・・・。
俺は神に選ばれた勇者なんだ・・・負けるはず・・・ねーんだ」
そう呻くように漏れ出た言葉に悠斗はただ、黙って見つめていた。
「そ、そんな目を・・・そんな目を俺に向けるなぁぁぁっ!」
フラフラとよろめきながら、勇者は拳を振り上げ殴り掛かってきた。
悠斗は目を閉じ勇者の拳をまた受け止めようとした時だった。
{・・・力を授けましょう。そしてその男を・・・殺しなさい}
冷たく凍えそうなその声に、悠斗は目を見開いた。
「死ねぇぇぇぇぇっ!」
涙に濡れ、そう叫びながら迫る拳が「バリバリ」っと音を立てると・・・。
(ヤバイっ!雷身っ!)
「ドゴーンっ!」と、轟音を轟かせた。
「ぐはっ!」
悠斗は直撃し殴り飛ばされると、
そのまま後方で爆発音を響かせながら土煙を上げていた。
「えっ!?」
勇者は自分に何が起こったのか、全くわからなかった。
それどころか、いつの間にか雷帝が勇者の全身を纏い、
失ったスタミナも戻っていたばかりではなく、
今まで感じた事もない力が宿っていた。
「お、俺に一体何が・・・?
はっ!ユ、ユウトっ!あいつは・・・どうなったんだっ!」
土煙が舞う場所に、勇者は一瞬で移動すると、
まだ視界の悪い中、悠斗を探すのだった。
(な、何があったかはわからねー・・・
だけどよ、こんなのは俺の力じゃねーんだ・・・)
「ユウトぉぉぉぉぉっ!」
土煙の中、勇者は悠斗の名を叫ぶと・・・。
まだ晴れぬ土煙の中、「ガラガラ」っと、何かが崩れる音がした。
「ユ、ユウトかっ!?」
恐る恐る悠斗の名を呼ぶ声に、返事をしたのは悠斗の声ではなく、
再び「ガラガラ」っと、何かが崩れる音だった。
項垂れ両手の拳に力が入った時だった・・・。
「痛っつ、つつつつつっ!」
「!?」
その声が悠斗の声だと確信した勇者は、その声の元へと駆け寄った。
「ユウトっ!」
「うっさいっ!聞こえてるよっ!」
「・・・す、すまん」
心配して駆け寄った相手に何故か怒鳴られた勇者は、
(・・・理不尽だ)とは感じたものの、
悠斗が生きていた事に驚くのと同時に、
(・・・あれを食らっても死なないのかよ?)とも思った。
暫くすると、土煙が漸く晴れたその場所で、
悠斗は地面に胡座をかき、頬杖を着いてふてくされていた。
「・・・お、お前・・・。何やってんだよ?」
「ん?座ってるんだけど?」
「いやいや、それは見れば分かるんだが?」
「・・・・・」
この状況の中で、ふてくされている悠斗の姿に、
勇者は顔を引きつらせていた。
「あっ、そうだ・・・。
ユウト、さっきの攻撃の事なんだが・・・」
勇者がそう言い始めると、悠斗は鋭い視線を向けた。
「・・・あ~・・・いい拳だったけど・・・あれはな?」
不機嫌な声を漏らす悠斗に、勇者は深く頭を下げた。
「すまんっ!」
「はぁ?」
突然頭を下げ詫びる勇者に、今度は逆に悠斗が戸惑った。
「な、なんであんたが謝るんだよ?」
「・・・い、いや・・・。あ、あれは俺の力じゃ・・・」
頭を下げつつ目を硬く閉じた勇者に、悠斗は思いかげない事を口にした。
「あぁー、もうっ!今のは勝手に運命神が介入してきただけだろ?
寿限無に責任はないだろうがっ!」
「い、いや、まぁ~そうなんだけどよ・・・えっ!?」
突然運命神の名を出された勇者は困惑していた。
「ん?寿限無・・・気付いてなかったのか?」
「・・・な、なんの話だよ!?運命神って・・・どう言う事だよ!?」
「お前さ~・・・まじで気付いてないのかよっ!」
そう怒鳴りつつ立ち上がる悠斗に、勇者は後ずさった。
「・・・う、運命神・・・チ、チタニア様が!?」
勇者がその名を口にしたのと同時に、座り込んでしまった。
「チタニア・・・んー、確かそんな名・・・だっけか?」
そう言いつつ悠斗もまた、勇者と同じように座り込んだ。
「チ、チタニア様が・・・どうしてお前を殺せと言ったんだ?
ま、まさか・・・お前っ!何かしたのかっ!」
「してねーよっ!って言うか、まだ一度も会った事ないしっ!」
悠斗の言葉に勇者は数回瞬きをすると・・・。
「な、なぁ・・・ユウト?チタニア様・・・い、いや・・・。
他の神に会ったような口ぶりなんだが・・・?」
勇者の言葉に、悠斗はニヤニヤと笑うラウルの顔を思い出していた。
「・・・あるも何もさ?
俺はラウルに呼ばれてこの世界に来たんだけど?」
「へっ?」
間抜けな声を漏らす勇者に悠斗は少し面倒臭そうに・・・。
「い、いや・・・。だからさー
俺はラウルに呼ばれて異世界から来たんだよっ!」
「えっ!?い、異世界・・・?呼ばれて・・・?」
「ああ」
「そ、それって・・・ほ、本当の事なのか?」
「・・・ああっ!」
勇者にとってはあまりにも衝撃的な事実に一瞬固まると・・・。
「ええぇぇぇぇぇぇぇぇっ!」
近距離で突然の叫び・・・。
悠斗は思わず両手で耳を塞ぐのだった。
そして手を離すのと同時に、勇者の頭に拳を落とした。
「ゴンっ!」と、物凄い音がサウザー達にも聞こえるほどの威力に、
勇者は頭を抱え悶絶していた。
「◯△□✕÷!!」
「うっさいっ!寿限無っ!」
この時、後方に居たサウザー達は・・・。
「・・・ユ、ユウト様と勇者は・・・一体何をしているのだね?」
サウザーの目の前の光景に頭を悩ませていた。
「何か話し込んでおられるようで・・・」
シーバは額に汗を滲ませながらそう口を開いた。
すると・・・。
「ゴンっ!」と、物凄い音が見守る者達にまで届くと・・・。
「!?」
「ゆ、勇者に・・・拳が・・・」
サウザーは再び、悠斗のゲンコツによって、
地面に横たわり悶絶する勇者の姿に固唾を飲んだ。
「・・・サウザー様、と、とりあえず・・・
ユウト様がご無事だった事を喜びましょう・・・」
レダのフォローにサウザーはぎこちなく頷いて見せたのだった。
そして・・・。
「お前がラウル様の・・・い、いや、貴方様が創造神様の使徒・・・。
なるほど・・・。強い訳だぜ・・・」
急に畏まる勇者に、悠斗はジト目を返すと溜息を吐いた。
「あー、今更敬語って・・・別にそう言うのはいいから・・・。
それよりも今は・・・っと・・・」
そう言うと、立ち上がり辺りを見渡していた。
その様子に首を捻る勇者も立ち上がると・・・。
「何を探してんだよ?」
「え~っと・・・どこへ行ったんだろ?居るはずなんだけど・・・」
「・・・だから~何を探しているんだよっ!」
「まじでどこへ行ったんだ?さっきまでそこに居たんだけど・・・。
あっ・・・ほら・・・居た居たっ!」
そう言うと、勇者の首に腕を回すと、ヘッドロックの体制を取った。
「なぁ、寿限無パーティーの僧侶の名は?」
「痛いっ!は、離・・・せ・・・よ?
ん?僧侶ってうちのリアーナの事か?」
「リアーナって言うのか・・・にゃるほど♪」
悠斗は勇者を解放すると声を張り上げた。
「リアーナっ!それで隠れているつもりなのかっ!」
悠斗の声に全員が勇者パーティーのリアーナを探した。
先程まで居た場所から姿を消していたのだった。
「・・・いいところを邪魔しやがって・・・」
射抜くような視線を隠れているリアーナへ向けて放つと、
いつの間にかエルバド達の背後に居たリアーナが前へ出てきた。
「・・・あんた、チタニアだろ?」
突然悠斗から告げられた名に、この場に居た全員に緊張が走った。
「おい・・・運命神っ!もうバレてるからな?」
悠斗は威圧を込めてそう言うと・・・。
「フフフ・・・アハハハ・・・ア~ハッハッハッ!」
甲高い笑い声が、辺り一面に響き渡った。
「・・・人族・・・。どうして分かったのかしら?」
見下すような眼差しを悠斗へ向けたのだった。
「・・・人の運命を弄びやがって・・・」
そう言いつつ奥歯を噛み締めた悠斗は、かなり苛立っていたのだった。
ラウル ・・・ お疲れちゃ~ん♪ラウルだよ~
ミスティ ・・・ こほん・・・。ミスティで御座います。
ラウル ・・・ って言うかさ~?僕の出番がないんだけど~?
ミスティ ・・・ わ、私も・・・御座いませんので・・・。
ラウル ・・・ だよね~?主役の僕が出ないなんてっ!ありえないんだけどっ!
ミスティ ・・・ 主役・・・なのですか?
ラウル ・・・ えっ!?ち、違うの?僕はてっきりダブル主演かとっ!
ミスティ ・・・ ありえません。主役は悠斗さんお一人で充分ですわ♪
ラウル ・・・ ふんっ!し、真の主役は僕だもんっ!
ミスティ ・・・ はいはい、そうですね・・・はぁ・・・。
ラウル ・・・ て、適当っ!?
ってなことで、緋色火花でした。




