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異世界転移 ~魔を狩る者~  作者: 緋色火花
第二章 港町・アシュリナ編
159/404

126話 勇者の名と神獣達の紋章

お疲れ様です。


こんな寒い日に、夜キャンしたい今日この頃・・・w

焚き火の炎を見ながら・・・いいですね~w


年末ですが・・・仕事頑張ります><


またしても忘れていました。

次回のアップは、活動報告に記載しております^^



それでは、126話をお楽しみ下さい。




悠斗達はここ、アシュリナの冒険者ギルドで、

「勇者一行」についての会議が行われていた。


「ユウト・・・お前、勇者の名を知らないのか?」

「・・・知る訳ないじゃんっ!俺って異世界人だぞ?」

「・・・ははは、ユウト様が知らないのは仕方がないでしょうな」


サウザーは汗を拭いながら、勇者について話をした。

「勇者の名は・・・。

 ペネトレー・マハナ・エル・ドリエント・マカフォリアス・マグナ・

 シルオルティウス・カローナマイトス・イサ・レゼントです」

「・・・・・・・・・・」

勇者の名を聞いた悠斗は、黙り込んでしまった。

不思議に思ったサウザーは悠斗に声をかけた。


「ユウト様?大丈夫ですか?」

「・・・あ、ああ」

その反応に悠斗以外全員が顔を見合わせた。

首を捻るサウザーは再び悠斗に声をかけていく。


「ユウト様・・・も、もう一度言いましょうか?」

「・・・はい」

「で、では・・・コホン。

 ペネトレー・マハナ・エル・ドリエント・マカフォリアス・マグナ・

 シルオルティウス・カローナマイトス・イサ・レゼントです」


 「・・・・・・・」


またしても反応のない悠斗を見て不安になってしまうサウザーは、

項垂れる悠斗の顔を覗き込もうとした時、

悠斗の口が「ぶつぶつ」と何かを言っているのが見えたのだった。


「・・・・ペ、ペネトレー・・・・マ、マハ・・・・やれやれ。

 だぁぁぁぁっ!!なげーよっ!その長い名に意味があるのかっ!

 名だけで二行使うってありえないだろっ!

 寿限無(じゅげむ)かっ!えっ!寿限無なのかっ!」


「に、二行って・・・?」

ステアは悠斗の言葉の意味がわからなかった。


突然悠斗が狼狽(ろうばい)し始めるのを見た全員が、

言葉無く固まってしまったのだった。


「ないわー・・・まじ、ないわー・・・」

と、頭を抱える悠斗の姿がここにあった。


少し悠斗が落ち着いたのを見計らっていたサウザーが声をかけた。

「ユ、ユウト・・・様?だ、大丈夫・・・です・・・か?」

「ま、まぁ~なんとか・・・で?そのペネトレー・・・なんちゃらは

 いつこの街に到着するんだ?」

「ユウト様・・・

 ペネトレー・マハナ・エル・ドリエント・マカフォリアス・マグナ・

 シルオルティウス・カローナマイトス・イサ・レゼントです」


「・・・うぅぅぅ。もうバカ勇者の名前なんてどうでもいいっ!

 もう一噌(いっそ)の事・・・寿限無にしようっ!」

「じゅ、じゅ・・・げ・・・む?」


サウザーを含め、残りの者達も何も言えなくなっていた。

「でっ!?その寿限無はいつ到着するってっ?」

妙な迫力にサウザー達は気圧されてしまったが、

咳払いをすると、悠斗に説明を始めるのだった。


「「勇者一行」は・・・。

 この街から南へ80kmほどにある港町で揉め事を起こして出ると、

 丁度中間地点である宿に滞在しております。

 恐らくそこからは、高速馬車でこの街へ来ると思われますので、

 ・・・明日の昼過ぎには到着するかと・・・」


その話をし終わると、ステアがサウザーの話のフォローをした。

「ユウト様、勇者一行は時間にルーズだと聞き及んでおります。

 従って、朝一番・・・と、言う事はないかと思われます」


「・・・なるほどね。

 じゃ~ステア?聞きたいんだけどさ・・・。

 その勇者一行がこの街に到着して、まず最初にやる事ってある?」

悠斗の言葉にステアは少し考え込むと・・・。


「恐らくですが・・・まずは酒場ではないかと?」

「酒場ねぇ~・・・」

「はい、今までの街での噂を考慮しますと、

 まずは到着早々、酒場で夜通し酒と女を(あお)り、

 その翌朝、領主などの力を持つ貴族や豪族、

 そして商人などの屋敷に寄って、

 金銭を要求する・・・と、言ったところかと・・・」

「まじか?最低なヤツだな・・・」

「・・・はい」


悠斗はステアの話を聞くとサウザーに声をかけた。

「サウザーさん、貴方はその寿限無一行をどうしたいんですか?」

(ユウト様・・・もはや勇者一行とは言わないのですね?)

と、ステアがそう思う中、サウザーが返答した。


「そうですね・・・。

 私はこの街に危害が及ばないのであれば・・・と」

「危害ですか~・・・それって生温(なまぬる)い気もするけど?」

「そう思われるかも知れませんが・・・」

曖昧なサウザーの物言いに、ウェズンも口を開いた。


「その危害ってのが曖昧過ぎて分からないのですが?」

「・・・そうね、金銭を巻き上げる事も危害に入りますから・・・」

「ああ、そうだな?真面目に頑張っている領民が、

 バカを見るってのはよくある話だからな」


勇者一行に対して、穏便に済ませられるならと、

そう考えるサウザーの気持ちは、ここに居る全員が分かるのだが、

それは都合が良すぎる話でもあった。


「た、確かに私は甘いのかも知れない・・・

 だが、金銭で済むのなら・・・私が全力で補填する。

 領民の命がそれで済むのなら・・・私は・・・」


テーブルを強く叩き、悔しさが滲み出ているサウザーに、

全員が何も言えなくなってしまった。


だが、悠斗は違った。

「サウザーさん、金銭で済むと言う話じゃないよ?

 搾取された者達の心の傷は一生・・・消えないはずだしね?

 それに、補填するって言っていたけどさ、

 もしその補填を上回るような事になったらどうするんだ?」


「そ、それは・・・ほ、他の貴族に・・・頼むしか・・・」

「それで間に合うの?」

「・・・・」


悠斗に現実を考えさせられたサウザーは、

膝の上で拳を握っていたのだった。

その様子を見かねたウェズンが、悠斗に声をかけた。


「ユウト・・・無理な話をするんだが・・・」

そう言いかけたウェズンに、悠斗は笑顔で答えた。

「いいよ・・・俺が・・・ヤろ・・・いや、俺が何とかしてみるよ」

悠斗は言葉を切って言い直した事に、ウェズンは頭を下げた。

「神に対して剣を向ける行為・・・すまんな?」

ウェズンの表情からは悔しさが見て取れたのだった。


「ユウト様・・・俺達にも何か出来る事は?」

そう話を切り出したゼノの目は真剣そのものだった。

「ウェズンも今、言ったろ?

 勇者に剣を向ける行為は・・・神へ剣を向ける行為だってさ?」

「し、しかしですね?ユウト様にだけそんな重荷をっ!」

「んー・・・ゼノ?お前の気持ちはよく分かったけどさ、

 お前達はサウザーさんの力になってやってくれ。

 それがこの街の為・・・だと思うよ?」


悠斗の気持ちに全員が胸を熱くするのだった。

そしてまたその全員が、己の無力さを痛感していた。


「ほ、本当に申し訳ないっ!」

涙を流しながら言葉を漏らすサウザーの姿がとても印象的だった。

「・・・寿限無一行を見てから決めるよ」

「・・・分かりました」


絞り出すように返事をするサウザーの肩を叩くと、

悠斗は立ち上がり「じゃっ!」とだけ言って退室していった。


会議室に残った者達は、口々に無力な自分を呪っていた。

「わ、私にもっと力があればっ!」

そう呻くサウザーにウェズンが答えた。

「俺だって同じだ・・・だが相手は、勇者だ・・・俺達では歯が立たん」


「俺だってよっ!ユウト様にこんな重荷を背負わすなんて・・・

 納得いってねーよっ!

 だってそうだろ?あの人は異世界の人なんだぜ?

 縁もゆかりもないこの世界の為にっ!わざわざ来てくれんたんだっ!

 何も出来ない自分が・・・己の無力さをこんなに痛感したのは・・・

 お、俺は・・・初めてかも・・・しれない・・・」


思いの丈を話すゼノの気持ちは、痛いくらいに分かっていた。


「ユウト様がもし・・・もし万が一、闇に落ちたとしても、

 私はあの方にだけは、剣を向けません。

 そしてもし、受け入れてもらえるのなら・・・

 私の全身全霊を持って、あの方に仕えたいと思います。

 例えそれが・・・神に剣を向ける行為だったとしても・・・」


ステアの言葉に、衝撃を受けたのだか・・・

その気持ちは、ここに居る全員の気持ちでもあった。


だから・・・

「もしもだ・・・。もしもそんな事になったら・・・

 このサウザー・アシュリナっ!私も共に神に剣を向けようっ!

 そして今、私は自分の名に誓おうっ!」


その言葉に全員が立ち上がると、

悠斗がこれからどうなろうとも、忠誠を誓うと全員が宣言したのだった。

「ユウト様にっ!」

「「「ユウト様にっ!」」」


そんな話が会議室で行われていた頃・・・。

悠斗は張り出された依頼表を見た後、冒険者ギルドを後にしていた。

 

「もうすっかり日が暮れたな~・・・」

(あて)もなくブラつく悠斗は、通りを行き交う人達を見ていた。

(みんな楽しそうだな・・・いい顔してる♪)

痛む左手を上着のポケットに入れながら歩いて行く。


すると、前に一度セルカと立ち寄った串焼き屋が目に止まった。

(あ~・・・そう言えば、腹減ったな)

噴水の広場にある屋台へ悠斗は肉の焼ける匂いに釣られ近づいた。


「へいっ!らっしゃいっ!」

串焼き屋の親父さんがそう言いながら悠斗の顔を見ると・・・

「あ、あんたはこの前セルカと一緒に来たにーちゃんじゃねーか?」

そう言いつつも、親父さんはセルカを探していた。

「ん?セルカはいねーのかい?」

「ああ、今セルカとは別行動なんだ」

「そうか・・・で?今日はどうした?」

親父さんはそう言いながら、パタパタと串焼きに風を送っていた。


「えっと~・・・その串焼きを・・・そうだな?

 3本ほどもらえる?」

「あいよっ!ってか、3本でいいのか?」

「ああ、今日はそれでいいんだ」

「わかった・・・3本だな?

 今、美味いところを焼いてやるからよ~?

 そこのベンチにでも座って待っててくれや・・・」


気さくに話してくる親父さんの言葉に甘えると、

悠斗は店横のベンチに腰を降ろした。


悠斗は(おもむろ)にマジックボックスからアイテムバッグを取り出すと、

その中身を片手だけでチェックしていく。


(そう言えば・・・

 プロキシオン達から色々なアイテムをもらったんだっけ?)

中身のチェックを始めた悠斗は、

似たようなモノが3つもあると気付くと、そのアイテムの1つを手に取った。

(何だ・・・これ?)

アイテムバッグから取り出したモノは、

竜の顔が掘られたペンダントだった。

白銀の竜の細工はとても見事で、ひと目見ただけで、

その価値が高いモノだとすぐに分かった。


(鑑定・・・してみるか・・・)

(鑑定終了しました。

 鑑定結果・・・。白銀竜の紋章。

 紋章の力を発動すると、スキル・・・白銀の息吹ブレス)を習得。

 白銀の息吹は、習得者の四肢より発動する事が可能。

 白銀の息吹は、あらゆるモノを氷漬けにする。

 ただし、1度目以降は習得者の神力を消費する。

 習得後・・・体の一部位に紋章が刻まれるとアイテムは消失する。

 また、その刻まれた紋章が白銀竜の証となる)


(氷系か・・・まじか。すごいモノをもらったな・・・ありがとなラムダ)


悠斗は心の中でラムダに礼を言うと、残りのペンダント2つを取り出した。

1つは白い翼をモチーフに作られたペンダント。

そしてもう1つは・・・

(な、なんだ・・・?犬の足形・・・か?)


(鑑定・・・)

悠斗は一度に2つのペンダントを鑑定した・


(鑑定終了しました。

 鑑定結果・・・。古代狼の紋章。

 紋章の力を発動すると、スキル・・・古代狼の爪牙(そうが)を習得。

 古代狼の爪牙は、習得者の四肢より発動する事が可能。

 体術及び、身体能力が一定時間向上する。

 ただし、1度目以降は習得者の神力を消費する。

 習得後・・・体の一部位に紋章が刻まれるとアイテムは消失する。

 また、その刻まれた紋章が古代狼の証となる)


(へぇ~・・・。プロキシオンのスキルは身体強化みたいなモノか?

 サンキュー・・・プロキシオン。

 だけどな~・・・足形の紋章か~・・・ちょっと、恥ずかしいんだが?)


(で、最後にっと・・・。

 鑑定結果・・・。白凰の紋章。

 紋章の力を発動すると、スキル・・・白凰の飛翔を習得。

 白凰の飛翔は、習得者が自由に飛行する事が可能。

 高速飛翔で時間制限はなし。

 ただし、1度目以降は習得者の神力を消費する。

 習得後・・・体の一部位に紋章が刻まれるとアイテムは消失する。

 また、その刻まれた紋章が白凰の証となる)


(まじか?まじで空を飛べるのかっ!キタァァァァッ!!

 まじ、マーベラスっ!・・・ロゼッタっ!)


悠斗は神獣達の心遣いに感謝していた。

(今度会ったら、みんなにお礼を言わないとな・・・有難う)


3つのアイテムを鑑定し終わったところで、

串焼きの親父から声がかかると、アイテムを全て首から掛け、

屋台へと串焼きを取りに行った。


代金を払い終えると、広場の真ん中にある噴水近くのベンチに座った。

この場所は以前、セルカと共に座り、肉を頬張った場所である。


(なんでみんなは、このベンチに座らないんだろ?

 何だか勿体ないな~・・・いい場所なのにさ~)

そう思いつつ、悠斗は肉を頬張った。


(うっ、うまっ!! 親父さん・・・まじ鉄人っ!

 こ、この芳醇(ほうじゅん)な味と香り・・・ん~実に素晴らしいっ!)

美味しそうに頬張る悠斗の姿を見た人達が見ていると、

悠斗は肉を頬張りながら、親父さんの屋台に指を差した。

「ふがっち・・・ふがふよっ!」(あっちにあるよっ!)


「よ、よく分からねーが、サンキューにーちゃんっ!」

と、見ていた人達が親父さんの店へと駆け出した。

悠斗はそんな光景に視線を移しながらも肉を頬張っていく。


3本とも食べ終わった悠斗は、アイテムバッグから水を取り出すと、

覚えのある気配と、その他のいくつかの視線に気がついたのだった。


その覚えのある気配を追って視線を向けると・・・。

「ユウト様・・・またこんな所で食べているのですか?」

呆れた声で近づいて来たのは荒波の旅団の魔法使い、ミレイだった。




ラウル ・・・ うむ・・・悠斗君は神獣達からアイテムを・・・なるほど。

ミスティ ・・・ 悠斗さんは神獣達と、とても仲が宜しいですから^^

ラウル ・・・ 僕も何か超レアにアイテムでも送ろうかな?

ミスティ ・・・ お止め下さい。ラウル様のようになられても・・・。

ラウル ・・・ ん?僕に何か言いたい事でもあるのかい?

ミスティ ・・・ 言っても聞いてもらえませんので・・・。

ラウル ・・・ 頑張って話してくれれば、言う事を聞く日が来るかもよ?

ミスティ ・・・ ラウル様はかまってちゃんって事ですわね?

ラウル ・・・ ぼ、僕を全力で構いなさいよっ!

ミスティ ・・・ 過労死してしまいますので・・・無理ですわね?

ラウル ・・・ ・・・無情だ



ってなことで、緋色火花でした。

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― 新着の感想 ―
[一言] 勇者の名前、みんなはなぜおぼえられるのでしょう??? ノーブルの人は記憶力がいいとか?(笑) 神の加護を受けた者同士が戦うとどうなってしまうのでしょう。 でも悠斗にはそれ以外にも色々加護…
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