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異世界転移 ~魔を狩る者~  作者: 緋色火花
第二章 港町・アシュリナ編
158/406

125話 新たなる能力と謎の敵

お疲れ様です。


寒波が来襲しましたね・・・。

明日、原付きのメンテなのですが・・・大丈夫かな?

今から少し心配な緋色でした。



それでは、125話をお楽しみ下さい。

徐々に力を失いつつある異形な目玉の背後から声が聞こえてきた。

「やれやれ、また・・・お前か?

 まぁ~・・・でも、試すには丁度いいか・・・な?」


そう聞こえた時、一瞬だけ悠斗は自分の思考の海に潜った。


(ミツチ・・・聞こえたな?)

(うん♪聞こえたよ♪アレを・・・やるのね?)

悠斗は体の中に宿るスピリットのミツチに語りかけた。


(制御のほうはオイラに任せておきなよ♪)

(ああ・・・頼むぞ?ククノチ)

(へっへーんっ!)

(万が一の時は・・・ミツチ・・・お前に任せた)


(精一杯頑張るわっ!

 でも・・・3人の精霊力を合わせても、それでもまだ足りないわ。

 その分は・・・どうするの?)


(足りない分は・・・ちゃんと考えてあるよ♪)

(ふふ♪それなら大丈夫そうね?)


(じゃ~・・・やるぞっ!)

((おうっ!!))


悠斗は心の中で2人のスピリット達と話し終えた。

思考の海に潜った時間は、僅か・・・5秒ほどだった。


思考の海から戻ってきた悠斗は、

分身ザルの追跡中に、ある訓練をしていた事を、

思い返していた。


悠斗は精霊種との親和性が異常に高い。

それを活かした新たなる力の開発に取り組んでいたのだ。

悠斗の中に宿る2人のスピリットに協力してもらう事によって、

得られた新しい・・・能力(ちから)


(・・・まだ未完成だけどっと・・・)


「精霊力・・・解放っ!」


悠斗がそう発すると、全身から白銀の光が吹き出しのだった。

「ぐぁっ!・・・な、何度やっても・・・な、慣れな・・・いな」

異形なる目玉の背後で、顔を(しか)める悠斗の姿があった。


(グギャァァァ!ナ、ナニ・・・ヲシタッ!)

「・・・お前達はなんだ?」

異形なる目玉の背後から、顔を(しか)めつつ悠斗が問う。

(ギャァァァ!・・・ハ、ハナ・・・スコト・・・ハ・・・ナイ)

「そうか・・・なら、消えろ」

そうポツリとつぶやくと、悠斗は目を閉じ集中した。


(・・・白き・・・炎よっ!)

悠斗が目を開くのと同時に異形なる目玉から、

白銀の炎が吹き出した。


「くっ・・・きつっ!」

悠斗はその力に一瞬視界が歪んで見えた時だった。


(マスターっ!ちゃんと考えているって・・・コレかよっ!)

(ははは・・・精霊の力だけで足りないなら・・・

 神獣達の力もって・・・そう思ったんだよね)


(・・・無茶しないでよっ!マスターっ!

 私達は平気でも、マスターはただじゃ済まないわよっ!)


(ま、まぁ~・・・やるだけやってみないと・・・ね)

(しょうがねぇーなっ!おいっ!ミツチっ!

 オイラ達で全力でフォローするぜっ!)


(わ、分かってるわよっ!バカククノチっ!)


白銀の炎に焼かれていく異形なる目玉は、

まるで拷問を食らっているかのように絶叫していた。


(ギャァァァっ!ア、アツイっ!コノ・・・ワ、ワタシガ・・・

 ヒ、ヒトゾク・・・ナ、ナドニっ!ウギァァァァァっ!)


「もう・・・しゃべるな。鬱陶しい」

悠斗は異形なる目玉の背後から、嫌悪の眼差しを向けると、

掴んでいたその手に力を込めて・・・握り潰した。


(ギャァァァァっ!・・・ア、・・・アス・・・ラ・・・サマ)


白銀の炎で焼かれた異形なる目玉は悠斗の手の中で(ちり)となった。

悠斗は(てのひら)を見つめると・・・


(アス・・・ラ?それがボスの名か?

 なんだろ?何処(どこ)かで聞いたコトがあるような・・・?)


そう思いつつ、悠斗は拳を握り締めると、激痛が走った。

「痛っつ・・・!」

悠斗は自分の手を見た瞬間、掌が焼けただれていた事に気付いた。

「ははは・・・もっと修練積まなくちゃな」

そうボヤいた時、ゼノ達が悠斗の元へ駆け寄ってきたのだった。


「ユウト様っ!あ、あれは一体・・・何だったんですかっ!」

ゼノは悠斗に迫ると己の中の疑問を最優先でぶつけてきた。

すると、ステアがゼノの頭を殴りつける。


「ゼノっ!貴方はバカなのですかっ!

 今は一刻でも早く、ユウト様の治療をするのが先決でしょうにっ!」


「い、痛てーよっ!ステアっ!それは分かってるからよっ!

 も、もう少し手加減してくれてもいいじゃねーかよっ!

 痛て、ててて・・・」


そんな2人がやり取りしていると、ウェズンが大笑いしていた。

「はっはっはっ!お前達・・・まるで夫婦みたいだな~?」

ウェズンの言葉に2人は赤い顔をして目を背けてしまった。


悠斗はそんな光景に少し笑うと、負傷した手にヒールをかけた。

完治したかと思われた左手を握ると、激痛が再び走った。

「痛っつっ!」

その激痛で悠斗の膝が一瞬崩れたが、何とか(こら)える事が出来た。


「お、おいっ!ユウトっ!回復したんじゃねーのか?!」

ウェズンは見た目完治している左手を見て目を細めた。

「なぁ、ユウト・・・見た目は何ともなってねーぞ?」

此処に居た全員が悠斗の手をまじまじと見ていた。


「んー・・・。俺が無茶したせいだとは思うんだけど・・・」

(これってやっぱり・・・?)

心で漏らしたその疑問に答えたのはスピリット達だった。


(マスター・・・いくら何でも無茶し過ぎだぜ?)


(そうよ、そうよっ!ククノチの言う通りよっ!

 覚えたての精霊力なのに、それなのに神獣の力も使うなんてっ!

 いくら私達が制御したって、これじゃ~意味ないじゃないのっ!)


(いや、だってさ?・・・いけそうな気がしたんだけど・・・)


言い訳じみた物言いに、スピリット達は呆れてしまっていた。

(ミツチ・・・マスターはこう言う人なんだぜ?

 これはある意味、手遅れってヤツなんだと思うぜ)


(はぁ~・・・。もう言うだけ無駄って事が分かったわ。

 でも、マスターの左手の原因を探らなくちゃ・・・

 ククノチ、手伝ってもらえる?)


(おうっ!勿論いいに決まってるだろっ!)

悠斗を一人残して、ミツチとククノチが原因を調べる事になった。

そして2人のスピリット達が、その場から移動しようとした時・・・。


(マスター・・・今日はもう無茶すんなよ?

 それと、暫く原因を調べるのにかかると思うから、

 それまではおとなしく・・・なっ!)

(次からは・・・気をつけてよね?)


(はい・・・ごめんなさい)

スピリット達に怒られた悠斗は、言い分はあるのだが、

今回は素直にミツチとククノチに謝ったのだった。


心の中で会話していた悠斗は、ウェズンの声に反応して戻ってきた。

「あっ、悪い・・・で?どうした?」

まるで他人事のように話す悠斗に、ウェズン達も呆れていた。

「お、お前なぁ~?自分の体の事だろ?」

「あははは・・・そうだね。一応これでも少しは反省しているんだけどね?」

反省の様子が全く見て取れない悠斗に、ゼノが口を開いた。


「ユウト様?もう少し自分を大切にしたほうが・・・」

「・・・大切にか・・・そうだね」

ゼノの言葉に悠斗は少し悲しげな目をした。

そしてその目は、何かを思い出しているような目だった。


「ユウト様・・・?どうかされたのですか?」

悠斗の状態に気付いたステアが心配そうな表情で覗き込んできた。

「あ、いや・・・何でもない」

「・・・そうですか」

「まぁ~今回は慣れない力を使った挙げ句、

 違う力も同時に使っちゃったからね~・・・

 無茶をしたとは思ってないんだ、出来ると思ったから使ったんだけど、

 認識が甘かったね」


そう話す悠斗を見た3人は、

どこか悠斗が命を粗末にしている気がするのだった。


(最初に会った時から、こいつは自分の命を軽く見てやがる。

 何故かは俺にはわからねーが、こいつにも色々と事情があるのだろう)

ウェズンはこのギルド本部で出会った時、何故かそう直感していたのだった。


(ユウト様の戦い方は正直ヤベェー・・・。

 ベルフリード家とやり合った時もそうだった。

 自ら死地へ向かって行ってしまう。

 本人は気付いていないようだが、ユウト様からは死の匂いがする)


ゼノもまた悠斗と出会った時の事を思い出していた。

戦っている時の異常に冷めた目・・・。

その眼差しにゼノは本能的にそう直感していたのだった。


(ユウト様は死地を求めている気がするわね・・・。

 異世界より神によって送り込まれた救世主だものね。

 ユウト様を守る者が必要だわ・・・。私にもっと力があれば・・・)

ステアは元、暗殺者・・・。

それ故に、死地へと赴く悠斗の行動が理解できた。

しかしそれをステアは()とはしなかった。


冒険者ギルドの会議室に、重苦しい空気が漂っていた。

「・・・な、なに?この雰囲気・・・?

 みんな怖い顔しているんだけど・・・大丈夫?

 みんなはちゃんと寝ているの?無理はダメだぞっ!」


悠斗は空気を読んでいて、実は全く読んでいなかったその発言に、

全員のこめかみが「ピクリ」と脈打った。


「てめー・・・ユウトっ!みんなお前の事を考えてだなっ!」

「そうだぜっ!ユウト様っ!みんなあんたの事を心配してんだぜっ!?

 そ、それなのに、あ、あんたって人は・・・はぁ・・・」

「・・・ユウト様、もう少し空気を読んで下さい」


それぞれが言いたい事を言うと、3人は同時に深い溜息を吐くのだった。


「えっ?・・・悪いのって・・・俺なの?」

「「「はぁ~???」」」

「・・・す、すみません」


3人の迫力に気圧(けお)された悠斗は、素直に頭を下げるのだったが、

その時、頭を下げたその視線に、サウザーが倒れていたのだった。


「あぁぁぁっ!サウザーさんの事・・・忘れてたっ!」

「「忘れてたのかよっ!!」」

本気でそんな事を言った悠斗に対し、

ゼノとウェズンは、思わずシンクロして突っ込んでしまった。


それを見ていたステアはポツリと・・・。

「・・・だと、思いました」

冷静に悠斗を見ていたステアは出来るメイドさんだった。



そして此処は、とある失われた種族の地底宮殿。


「・・・御館様(おやかたさま)申し上げます」

石で出来た重く大きな扉を開け、一人の男が入ってきた。

「・・・何かあったのか?」

そう答える男は、見事な彫刻が施された石の王座に鎮座していた。

扉から入って来た男は、王座に座る者の前に膝を着くと、頭を垂れた。


「はっ、只今報告が入りました」

「・・・うむ」

「サウザー・アシュリナと言う領主に取り憑いていた、

 ギョルスの反応が先程消失致しました」

頭を垂れる男がそう報告すると、鎮座した男が目を細めていた。


「・・・これで2体目か・・・この世界の者の中にも・・・

 能力(ちから)を持つ者が居ると言う事だな?」

「はっ、左様で・・・」

「うむ、面白いではないか・・・暫く見物するとしよう」

「はっ、かしこまり・・・」

「ただしっ!」

「は、はっ!」

「・・・誰も手出しする事は許さんからな?」


そう言って鎮座する男は、口角を上げていたのだった。

不思議に思った男は問う・・・。


「何故で御座いましょうか?」

「・・・我々の力はまだ戻ってはおらぬ。

 そしてギョルスを倒した者が居るとなると・・・

 将来が楽しみではないかっ!はっはっはっ!」


鎮座する男は、気分が高揚し高笑いした。

「た、楽しみとは・・・またなんとも・・・」

その高笑いに含まれた威圧に、頭を垂れた男は冷や汗を流していた。

「誰かはわからぬが、それはそれで面白いからな?

 もっと力を付けて、俺の前に現れて欲しいものだな・・・」


鎮座する男は、将来相見(あいまみ)えるであろうその者に、

期待をするのであった。



そして・・・。

ここは再び港町アシュリナの冒険者ギルド会議室。


異形なる目玉に取り憑かれていたサウザーは、

それから暫くして意識を取り戻した。


ウェズンは事の説明をサウザーにしていく。

そして自分がおかしなモノに取り憑かれていた事を知ると、

苦悶の表情を浮かべて、頭を抱え込んでしまったのだ。


「サウザー様・・・仕方ないですよっ!」

ゼノは落ち込んだサウザーを励ますのだが、効果はなかった。

「サウザー様・・・ユウトが居なかったら、俺達は今頃どうなっていたか・・・」

その言葉に「はっ」としたサウザーは顔を上げ、悠斗に謝罪した。


「ユウト様、これまでどれほど貴方様に救って頂いた事か・・・。

 それなのにまた・・・また救って頂き、誠に感謝しておりますっ!」

サウザーは悠斗の傍に寄ると、膝を着き頭を垂れた。

「サウザーさん、別に気にしなくていいからね?

 前に一度、あの目玉には会った事があったからさ・・・

 相手の強さも分かっていた事だし、そんなに気にしなくてもいいよ?」


「し、しかしっ!わ、私は領主としてっ!なんと不甲斐ない・・・」

涙を浮かべるサウザーに悠斗は膝を着くと、

サウザーの肩にそっと手を置いた。


「まだあいつらが何者なのかは分からないけど・・・

 必ず俺が潰しますから・・・だからもう・・・」

悠斗の暖かな手がサウザーに伝わるとゆっくりと顔を上げた。

「はい、宜しくお願いします」


サウザーを立たせ席へ座らせると、ウェズンが口を開いた。

「前に一度戦ったって事で間違いないんだな?」

「まぁ~ね。あの時は神に取り憑いてかなり苦戦はしたけどさ、

 でもまぁ~あの目玉本体は、そこまで強いって訳じゃないよ」


悠斗の言葉に全員が唖然としていた。

すると、ゼノから声が漏れるのだった。


「か、神に・・・とり・・・つい・・・た?」

「ああ、武神カロンってやつなんだけど?」

「「「「武神・カロンーっ!」」」」

今日何度目かのシンクロを聞く事になった悠斗だったが、

本人は相手が神であろうが関係ないとの事だった。


そしてある程度、カロンとの闘いの話が済むと、

明日到着予定の「勇者一行」についての会議が行われたのだった。


紅茶を口に含み潤わせた悠斗は、

カップの中の紅茶を見つめポツリとつぶやいた。


「勇者か・・・あっ・・・名前すら知らないな・・・」

「「「「はぁー?」」」」


そして再び冒険者ギルドの会議室に、シンクロした声が鳴り響くのだった。

(い、いや・・・知らなくて当然だと思うんだけど?)

と、思う悠斗だった。




ラウル ・・・ オッス!オラ、ラウル・・・わくわくすっぞっ!

ミスティ ・・・ ミスティです。今回も宜しくお願い致します。

ラウル ・・・ スルーは、止めてくれないかな?流石にキツイので・・・。

ミスティ ・・・ なら、ふざけるのは止めてください。

ラウル ・・・ お茶目な一面を見せたくてさ?

ミスティ ・・・ 真面目な面をあまり拝見した事がないのですが?

ラウル ・・・ み、見せないようにするのも大変なんだけどね~♪

ミスティ ・・・ で、先にその真面目な一面とやらを見せて頂けませんか?

ラウル ・・・ そ、そそそそんな気安くは・・・み、見せられないのさっ!

ミスティ ・・・ 年に一度くらい真面目になって下さい・・・。

ラウル ・・・ うぅぅっ・・・み、見せられるもん。僕だってやれば出来るもんっ!

ミスティ ・・・ まぁ・・・無理でしょうけどね・・・。



ってなことで、緋色火花でした。

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― 新着の感想 ―
[一言] 少ーしずつ色々解明されていきますね。 悠斗の天然ぶりは相変わらずですね♪ そしてラウルのぼっち臭も相変わらず(笑)
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