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異世界転移 ~魔を狩る者~  作者: 緋色火花
第二章 港町・アシュリナ編
152/406

閑話 双子の精霊樹 1 力の制御

お疲れ様です。


いや~・・・この時期になると、

年末だと思わされてしまいますね・・・orz

まぁ~私にとっては、年末も祝日も関係ないのですが・・・><


さて、今回は双子の精霊樹の話となります。

そして明日は、閑話シリーズのラストとなりますので、

楽しんで読んでもらえたら幸いです。



それでは、閑話 双子の精霊樹1をお楽しみ下さい。

悠斗が旅立つ早朝、双子の精霊樹はパティーナと共に居た。


「宜しいのですか?ユウト様のお見送りに行かなくても?」

双子は手を繋ぎ悠斗の旅立ちを精霊樹の傍からただ見ていた。

悠斗から視線を反らすこと無く、ただ真っ直ぐと・・・。


「うん、僕達は此処でいいんだ・・・。

 無理にパパになってもらったし、それに・・・」

「それに?」

寂しそうな目で遠くに居る悠斗を見つめていた。

すると、エルナトの言葉の続きをミアプラが続けた。

「それに・・・私達はパパの子だもん。

 心配かけてちゃ旅立ちにくいもんね?」

「御二人とも・・・」


健気な双子にパティーナは涙を滲ませていた。


悠斗が旅立ち、岩場の聖域からその姿を消した時、

エルナトは不意にパティーナに顔を向けた。

「ねぇ、パティーナ?」

「はい♪何で御座いましょうか?」

「僕達も戦いの訓練をしたいんだ・・・」

「はぁ?」

突然戦いの訓練と言われたパティーナは耳を疑った。


それを察したミアプラがパティーナを見上げ答えた。

「私達も戦闘訓練がしたいわ」

「ど、どうしてまたそのような?」

「パティーナは私達を守ってくれるのよね?」

「はい、ユウト様のご命令・・・いえ、ユウト様がそう望まれたからです」

「私達はパパの子・・・。だから強くなりたいの」

パティーナは驚いたのだが、ミアプラの眼差しに強い意思を感じた。


「し、しかしですね・・・?」

パティーナがそう言いかけた時・・・


「その子達の好きにさせてやればいいじゃんよ~?」

その声に三人は上空を見上げた。

「ちゃりーすっ!」

見上げたその視線の先には、

浮遊し鈍く光った金髪をかき上げていたキナリがいた。

その隣にはキナリの物言いに、

顔を引きつらせていたラムダも居たのだった。

「あっ、あんたっ!」

パティーナの軽蔑するような声など聞こえていないかのように、

手を振りながら三人の元へ降りてきた。


「ようっ!精霊樹殿っ!おはようっ!」

野太い声で挨拶をするラムダに、双子の精霊樹は唖然としていた。

「ラ、ラムダ様・・・まだ御二人は・・・」

「ああ~わかってるって、ちゃんと挨拶するからよ~?

 儂の名は神獣・白銀竜のラムダだ、宜しくな?」

双子の精霊樹はお互いに顔を見合わせると・・・


「初めまして、僕の名はエルナトです。

 ラムダさん、今後とも宜しくお願いします」

「お、おうっ!ず、随分しっかりとした精霊樹殿だな?」

エルナトのしっかりとした挨拶に、ラムダも驚いていた。

その様子を見ていたパティーナは「クスクス」と笑っていたのだった。

「わ、私・・・ひゃわ・・・うぐっ」


緊張しすぎて思わず噛んでしまったミアプラは、

真っ赤な顔をして俯いてしまった。

するとエルナトがミアプラの手を握ると・・・

「大丈夫だよ?僕達はパパの子・・・なんだからさ?」

その言葉にミアプラは頷くと大声で・・・


「お、おはようございますっ!私の名前はミアプラですっ!

 パ、パパはカミノ・ユウトと言いますっ!」

「よくできたね?ミアプラ♪」

そう言ってエルナトは優しくミアプラの頭を撫でた。

その光景にパティーナとラムダはとても癒やされていたのだったが・・・


「あれ~?二人とも~?イケメンな僕に挨拶はないのかな~?

 はっはっはっ~・・・教育がなってないよね~?

 全くっ!親の顔が見たいもんだよっ!」

いくら精霊樹と言えど、二人はまだ生まれたばかりである。

ソレを知っているはずのキナリに、パティーナは静かに・・・キレた。


「あ、あんた・・・親が誰か・・・知っているはず・・・よね?」

「ああ~、勿論知っているさ♪

 たかが人族風情のヤツだろ?はっはっはっ!」

「あんたが人化出来たのは・・・誰のおかげかわかっているわよね?」

「ん~?誰だっけな~?ああ、確か・・・ユウ・・・なんとかだっけ?

 あいつのおかげで人化出来た訳じゃ~ないよ?

 イケメンの僕には元々、人化出来る才能があったんだ。

 ふんっ!それなのに・・・たかが人族がいい気になっちゃってさ~?」


言いたい放題話すキナリに、パティーナは震えながら拳を握っていた。

そしてラムダもまた、あからさまに不機嫌な顔をしていた。

キナリの物言いにミアプラはパティーナの袖を掴み震え、

エルナトはキナリを睨んでいたのだった。


「大丈夫ですよ?御二人とも・・・」

優しく微笑むパティーナは二人の頭を撫でると、

呻くような声で・・・


「チャージっ!」

我慢の限界を振り切ってしまったパティーナ・・・。

そしてその声を聞いた双子の精霊樹は、

パティーナの全身から放たれる魔力に一歩後ずさった・・・。


パティーナはラムダに睨みを効かせると、

その視線に気付き静かに頷いて見せた。

ラムダはただ・・・「自業自得だな」と、つぶやいただけだった。


全身から溢れ出す魔力を右腕に凝縮していく中、

キナリはあれからずっと一人でしゃべり続けていた。

そしてパティーナは・・・全てを振り切った。


「きっ、貴様・・・っ!!黙れぇぇぇぇぇっっっ!!!

 ホーン・・・ブレイカーぁぁぁぁぁっ!!」


魔力を凝縮した青白く輝くその拳は、パティーナの怒りと共に、

キナリの腹部へと放たれたのだった。

まるで灼熱と化す鉄を打ったかのような音を立てると、

キナリは呻き声すら上げる事が出来ず、くの字に折れ曲がったのだった。


(殺してしまっては、ユウト様にご迷惑が・・・)

咄嗟にパティーナは攻撃の質を貫通から打撃に変換し、

殺傷力を落としたのだった。


だがそれとは別に、パティーナの後方で異常なほどの魔力が圧縮されていた。

その魔力に驚いたパティーナとラムダ。

振り返ると、涙を流しながら魔力を圧縮する双子の精霊樹がいた。

「御二人とも・・・いけませんっ!」

「そ、それはやべぇっ!」

パティーナとラムダは慌てて双子の精霊樹を止めようとしたが・・・

「ダメだっ!間に合わねぇっ!」

「ダメェェェっ!!」


「パパをバカにしないでぇぇぇっ!」

「お前は消えろぉぉぉっ!」

エルナトとミアプラ自身の魔力の圧力によって、

その美しい緑色の髪は逆立ちなびいていた。


そして異常とも思える二人の魔力を圧縮すると・・・

「「ツイン・エレメンタル・バーストっ!」」

精霊の魔力を凝縮したエネルギーが、キナリへ向けて放たれた。


「ヒ、ヒィッ!」

その魔力砲に腰を抜かしたキナリの前に人影が・・・。

「ドカーンっ!」

至近距離で放たれ爆発し巻き上がる土煙。

そしてその土煙が晴れると・・・

亀のように地面に伏せ頭を抱えて縮こまっていたキナリの前に、

左腕を突き出し防ぎきった女神がいた。


「・・・ふぅ。間に合いましたわね?」


土煙が舞うキナリの前に居たのは、時空神ミスティだった。

「ミ、ミスティ様っ!」

「時空神様っ!」

ミスティは驚くパティーナとラムダ、そして双子の精霊樹に微笑みかけた。

「・・・ミスティ様、どうして・・・邪魔した・・・の?」

体を震わせ拳を握るエルナトにミスティは近づいて行く。

そしてエルナトの前にしゃがみ込むと・・・


「悠斗さんは・・・。いえ、貴方の父親はそんな事望んでいませんわ♪」

その言葉にエルナトの目からは、涙が溢れ出した。

「ミスティ様・・・」

その声の先に視線を移すと、ミアプラがエルナトの傍に寄り添い・・・。

「・・・この人に・・・パパの・・・パパの悪口を言われたのっ!」

目を真っ赤に腫らしたミアプラの想いがミスティには伝わった。

「・・・二人共」


突然の出来事に、ただ呆然としていたパティーナは我に返り、

双子の精霊樹に駆け寄ると抱き締めたのだった。

「危ない事はなさらないで下さいっ!御二人に何かあったら、

 私は・・・私はっ!」


二人を抱き締めたパティーナは二人の顔を見ると、安堵の息を漏らした。

するとミスティが優しく二人の頭を撫でながら口を開いた。

「いいですか?無闇矢鱈(むやみやたら)に命を奪ってはなりません。

 命とは尊いモノ・・・なのです。

 先程も言いましたが、お二人の父親はそれを望みませんわ♪」


ミスティの言葉にエルナトは俯いたまま答えた。

「パパの事・・・馬鹿にされた・・・それでも・・・ですか?」

ミスティに訴えるように言葉にしたエルナトは納得していないようだった。

そんなエルナトにミスティは振り返り、キナリを見つめながら答える。


「二人共、見てみなさい・・・。

 あのような醜態を晒す者を、悠斗さんが相手にされるとでも?」

恐怖に涙するキナリの姿を見た二人は、そっと息を吐いた。

「・・・そうね。パパはあんなヤツ・・・相手にしない」

悔しさを堪えたミアプラがそう答えた。

「・・・あんな小者に僕はなりたくない」

目を閉じ悠斗の笑顔を思い出すと、エルナトは拳の力を抜いたのだった。


「ふふふ♪流石は悠斗さんの子ね?

 でも、力の制御は勉強しなくてはなりませんわね?」

優しく微笑むミスティに、双子も「にこり」と笑って見せた。

そして二人は顔を見合わせ頷くと・・・


「「・・・ごめんなさい」」

二人揃って謝ると、双子の精霊樹はパティーナにもたれかかるように、

そのまま眠ってしまったのだった。


「エルナト様っ!ミアプラ様っ!」

慌てふためくパティーナにミスティは声をかけた。

「大丈夫ですよ?二人は緊張の糸が切れただけですわ♪

 あれだけの力を放ったのですから、眠って当然ですわね♪」

「じ、時空神様・・・」

「パティーナ・・・お二人を寝室へ・・・」

「はい、わかりました」


そう答えると、パティーナは二人を抱え寝室へと向かったのだった。

「・・・真っ直ぐに成長してほしいものですわね♪」

二人を抱えたパティーナの後ろ姿にそう言葉を漏らしたミスティは、

振り返ると先程とは打って変わって、鋭い視線をキナリへと向けた。


「ミ、ミスティ様っ!」

慌てふためいたキナリはミスティの前へ駆け寄り平伏(ひれふ)した。

そしてやや遅れて片膝を付いたラムダも頭を垂れると・・・。


「ラムダ・・・この者の教育は貴方に任せたはずですっ!」

「も、申し訳御座いません」

ミスティの威圧にラムダは言葉が出なかったのだった。

そしてキナリもまた、ミスティの威圧で「ガタガタ」と震えていた。


「キナリと言いましたわね?」

「はっ、はいっっっっ」

「・・・次はありませんわよ?」

「・・・は、はい」

ミスティの威圧がこの瞬間、殺気へと変わっていたのだった。

地面に顔を擦り付けるようにしていたキナリは、

あまりの恐ろしさに意識が飛びそうになっていたのだった。


「ミ、ミスティ様、そ、そのくらいに・・・」

横に平伏すキナリの様子を感じ取り、ラムダは声を上げた。

「・・・ラムダ、私はこれから食堂へ行かねばなりません。

 この者の教育、宜しく頼みましたわよ?」

「ははっ!仰せのままに・・・」

「キナリとやら・・・次は・・・」


ミスティはそう言い残し、会議を行なっているであろう食堂へと

転移で即座に移動していくのだった。


残されたラムダはゆっくりと立ち上がると、

ミスティの殺気で汗まみれになっている事に気づいた。


「・・・ミスティ様の殺気・・・尋常じゃなかったな」

そう言葉を漏らしつつ視線をキナリへと移すと・・・

「こ、こいつ・・・気絶してやがる」


ラムダは深い溜息を吐くと、

気絶したキナリを抱え屋敷へと飛んで行ったのだった。


そして翌朝・・・

パティーナはミスティから呼び出されると、

エルナトとミアプラの戦闘指導を任されたのだった。


「あの子達の力は膨大ですわ。

 ですから今のうちに、しっかりと訓練させませんと・・・

 いずれその力に振り回されてしまいますわ」

「で、ですが私では・・・」

あまり戦闘経験がないパティーナの申し出ももっともなのだが・・・。


「心配いりませんわ♪プロキシオン達にも頼んでおきますから・・・。

 それに、貴女も戦えるようになりませんとね?」


「・・・お役に立てるかどうかは分かりませんが、

 わ、私も一生懸命励みたいと思いますっ!」


パティーナの力強い言葉にミスティは微笑むと、

プロキシオンを交え、今後の教育方針を検討していった。


そしてその日の午後から、エルナトとミアプラの訓練が始まるのだった。




ラウル ・・・ はっはっはっ~♪久々の登場~♪みんなのラウルだよ~♪

ミスティ ・・・ ・・・ミ、ミスティです。ご無沙汰しております。

ラウル ・・・ さて、僕が居ない間に色々と話が進んでいるようだね?

ミスティ ・・・ はい。問題は多少御座いますが、スムーズに進行しております。

ラウル ・・・ ん?スムーズに・・・って、なに?

ミスティ ・・・ ・・・言葉の綾・・・と、言うモノですわ♪

ラウル ・・・ へぇ~・・・。ところで双子の様子はどうなんだい?

ミスティ ・・・ はい。力の制御がまだ出来ませんので、まずはそちらを・・・

ラウル ・・・ なるほどね~・・・。まぁ~僕の方は順調だから♪

ミスティ ・・・ ・・・おかしいですわね?ミランダからは何も・・・。

ラウル ・・・ さーてっ!気合い入れて行ってみようっ!

ミスティ ・・・ ・・・はぁ~・・・。



ってなことで、緋色火花でした。

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― 新着の感想 ―
[一言] 双子ちゃん、かわいいですね♥︎ どんな修行をするのでしょう?♪ しかしこんな子供達まで戦いに巻き込まれていくのかと思うとせつないですね。。。 そういえば今回は悠斗のシーンがなかったです…
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