表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界転移 ~魔を狩る者~  作者: 緋色火花
第二章 港町・アシュリナ編
147/406

閑話 強さの序列

お疲れ様です。


・・・机に伏して寝てました^^;

時間過ぎてなくなった・・・。


今回も閑話シリーズです。

食堂にてあれやこれやと話す会となっております^^



それでは、閑話 強さの序列をお楽しみ下さい。

悠斗が旅立つ朝・・・

イリアとセルカはその旅立ちを見守っていた。

「ユウト・・・」

そうつぶやくイリアの拳に力が入っていた。


「・・・我慢する事にゃいと思うにゃ?」

「ううん・・・これは私が決めた事だから・・・

 必ず強くなった姿をユウトに見てもらいたいの、だから・・・」

「・・・にゃら、強くにゃるしかにゃいのにゃ♪」

「ええ、必ず・・・」


岩場の聖域を出る悠斗にイリアは心の中で誓いを立てた。

(必ず強くなって見せるわ)

悠斗が旅立ちラウルとミスティがゲートを通って消えて行った。

二人は部屋の片隅で思いにふけっていると・・・


「ちょっと貴女達、いつまで寝ているのよっ!」

突然ドアを開け入ってきたのはプロキシオンだった。

「・・・起きてますけど?」

何かを堪え己を奮い立たせている事を察したプロキシオンは、

優しく微笑むと、イリアとセルカの頭を撫でるのだった。

「もう・・・貴女達・・・」

「クシャクシャ」っと頭を撫でられた二人は、

嫌がる素振りを見せるも、プロキシオンの優しさに感謝していた。


「ほらっ!さっさと旧・食堂に来なさいよ?」

「はーい」

「はいにゃ♪」

部屋を出て行くその後姿に懐かしさを感じていた。


「ねぇ、セルカ?プロキシオンって・・・お母さんみたいよね?」

「にゃっはっはっ♪私達のお母さんなのにゃ~♪」

「ふふふ♪」

いつの間にか笑顔になった二人は食堂へと向かって行った。


旧・食堂では・・・

アリエルが四大精霊達に指示を与えると、

各々(おのおの)が担当区域へと戻って行った。


今、この旧・食堂に居るのは・・・

今日の朝食担当の一人・・・ロゼッタとプロキシオン。

テーブルに座る、アリエル、オウムアムア、アマルテアの5名である。


しかしウンディーネだけはその場に留まると、

アリエルと話し合っていた。


「アリエル様・・・本当にユウト様をお一人にしても宜しいのですか?」

生涯傍に居ると誓ったウンディーネは、

この状況に納得していなかったのだ。


「お前の気持ちはわかる・・・私も正直これで良かったのかと、

 今でも思ってはいる。

 このままユウトばかりに任せる訳にはいかない・・・

 ユウトが此処に残ってしまえば、また頼ってしまう。

 もう甘えてばかりじゃいけないのよ・・・」


「・・・確かにそうだと思います。

 だからと言って、ユウト様をお一人にするのは・・・」

そう答えるウンディーネに、「ケラケラ」と笑うモノが居た。


「・・・何が可笑しいのですか?ロゼッタ」

今日の朝食担当であるロゼッタは、

二人のやり取りを聞いて笑っていたのだ。

「何がって・・・そりゃ~あんたがバカな事を言っているからよ?」

見下すように含んだ笑いを見せるロゼッタに、

普段あまり感情を見せないウンディーネの目は怒りに満ちていた。


「私はただ・・・ユウト様がお一人では危険だと・・・」

「それが可笑しいってんだよっ!」

「なっ、何を・・・」

「いいかい?客観的にどう見たって、

ここの誰よりもユウトの方が強いでしょ?

 そんなヤツに護衛でも付けようってのかい?」

正論を言われ言い淀むウンディーネにロゼッタは追い打ちをする。


「私を含め此処に居る連中が最優先でしなければならないのは、

 少しでも強くなって、ユウトの足を引っ張らない事でしょ?

 あんたは何を履き違えているのさ?

 護衛する者が、ユウトより弱くてどうするのさっ!

 そんな戯言(たわごと)を言う暇があったら、

 ちょっとは強くなって見せなっ!」


「・・・・」

何も言い返せないウンディーネは小さく頷き頭を下げると、

自分が守る泉へ戻って行った。


バツの悪いこの空気の中、アマルテアが口を開いた。

「ロゼッタの言う事はもっとも・・・ね」

ロゼッタは皿を拭きながら背中越しにアマルテアの言葉を聞いた。

「ふむ、だが我は少し言い過ぎだと思うのだが?」

オウムアムアの言葉にロゼッタは皿を拭く手を止めた。

「亜神殿?何が言いたいんだい?」

「我はウンディーネの申す事にも一理あると言っている」

「・・・へぇ~お優しいのね?」

「師匠より弱くとも、手となり足となる事も出来よう?」

「・・・まぁ、そう言われるとそうなんだけど」


正論を言われたロゼッタは再び皿を拭いていく。

すると扉が開き、プロキシオンを先頭にイリアとセルカかぜ入ってきた。


「ちょっと、何?この雰囲気の悪さは・・・?」

異様な空気が漂う食堂にプロキシオンが反応すると、

事の説明をアリエルが話して聞かせた。


「なるほどね~・・・それでこの空気って訳ね?」

「やれやれ」と素振りを見せるプロキシオンに、

イリアとセルカも苦笑いしていたのだった。


イリアふと食堂を見渡すと・・・

「あれ?白斗が居ないみたいなんだけど?」

イリアの質問に紅茶に口を付けたアリエルが答えた。

「ああ~、白斗ならラウルと一緒に神界に行ったわよ?」

「ラウル様と?」

「擬体の改良にどうしても白斗の能力が必要らしいわ」

「あの駄犬にも使い道があったのかにゃ?」


セルカは喧嘩友達でも白斗が居ない事に、

少し寂しさを感じていたのだった。

その意図を察したプロキシオンは、セルカを見て「クスリ」と笑っていた。


そしてイリアとセルカはテーブルに着くと、遅い朝食を取る事になった。

ふとアマルテアはクッキーを食べながら、こうつぶやいた。

「ユウト様・・・今頃何をしているのかしら?」

悠斗が旅立ってから、まだほんの2時間足らず・・・

食堂に居た全員がアマルテアに呆れていた。


「師匠の心配をして何が悪いと言うのだっ!」

全員の反応にアマルテアは抗議すると、

アリエルは可哀想な子を見るような目で答えた。

「・・・剣神・・・貴様が哀れすぎる・・・」

「アリエルっ!無礼だぞっ!」

「無礼なものか・・・剣神と言えば優雅で冷静、

 礼節を重んじる神だったはず・・・だ」

「・・・今でも私は変わらないわよっ!」


その言葉に一同の動きが止まった。

「えっ!?な、何?みんなどうしたのよ?」

その言葉にある者は食事をする手が止まり、ある者は紅茶を吹き出し、

そしてある者は・・・皿を落とした。


「ちょっと・・・みんなどうしちゃったのよ?」

「おい、剣神・・・。本気で言っているのか?」

アマルテアはアリエルの言葉を聞くと、周りに居る面々を見た。

「私・・・何も変わってないわよ・・・ね?」

「貴様は変わり過ぎだ・・・」

アリエルの言葉に全員が無言で肯定していた。


「嘘・・・でしょ?兄弟子っ!私は変わってしまったのですかっ!」

「・・・・・・・う、うむ」

兄弟子(あにでし)っ!どうかこの私めにお教え下さいっ!」

アマルテアは椅子から勢いよく離れると、

オウムアムアの前に跪き、頭を垂れたのだった。


それを目撃して一同は、あの誉れ高き剣神の姿とは思えなかったのだ。

その行動に耐えられなくなったアリエルが口を開く。

「け、剣神・・・貴様一体どうしてしまったのだ?」

「な、何が・・・よ?」

「な、何がって貴様・・・亜神に頭を下げているではないかっ!」


アリエル達純粋な神々にとって、亜神とは異端なる神。

その異端に頭を垂れる事などありえなかったのである。


「アリエル・・・兄弟子は異端なる神であったとしても、

 ユウト様が選ばれた弟子なのよ?

 そんな人を見下す事など、私にはできないわ」

「なっ、なんだ・・・と・・・」


唖然とするアリエルに全員が言葉を失った。

「私が一番に想うのは・・・師匠のユウト様よ。

 末弟である今の私は剣神とは言え、序列3号弟子の身分。

 2号弟子であるオウムアムア殿を尊敬するのは当然な事よっ!」


アリエルはアマルテアの言葉に軽く立ち眩みを覚えた。

「そ、その・・・3号弟子と言うのはなんなのよ?」

「えっ?私は3番目の弟子だからだけど?」

「ならば普通3番弟子と言うのではないのか?」

「まぁ~そうなんだけど、ラウル様が3号弟子って言っていたから」

「・・・・」


アリエルが言葉を失ってしまった時、プロキシオンがオウムアムアに聞いた。

「ねぇ、亜神ちゃん?1号弟子って方もいるのよね?」

「ああ、プロキシオンよ。1号弟子ではなく・・・一番弟子だ」

「えっ?えっと・・・どうして1号弟子じゃないのよ?」

「うむ。ラウル様がおっしゃるには、かっこいいからだ・・・と」

「・・・・」

アリエルに続きプロキシオンまで言葉を失ってしまった。

ラウルの発言は様々な場所で色々な影響を与えてしまうのだ。


「だがこうも言っていた。序列は大事なのだと・・・」

そうオウムアムアが言った時、イリアが思い出しながら口を開いた。

「そう言えば・・・ユウトが前に言っていた事があるわ」

その言葉に「ピン」と来たセルカも口を開く。

「にゃ~♪アレのことかにゃ?」

「ええ、ユウトの言っていた・・・聖域ランキング♪」

「「「「「聖域ランキング~?!」」」」」


イリアの発言に見事シンクロした面々。

詳しい内容を聞くとこうだ・・・。


少し前のある日・・・

悠斗とラウルが楽しそうに話をしている時の会話で

序列は大事と言う話と、仲間内で強さのランキングを決めると、

向上心が働き、上を目指せるのではないか?

そう言う話がされていたらしい。

悠斗は少人数でやっても意味がないとの言葉にラウルは、

「じゃ~聖域に居るみんなでしようじゃないか?楽しそうだよね~」

悠斗的には、この場限りの楽しい会話だと思われたが、

しかしラウルは違っていた。


悠斗と別れた後・・・

「うむ。聖域ランキングか・・・いいね~♪」

焚き火の前で「ニヤリ」と笑う怪しい笑みは、

焚き火の炎がラウルの笑みを更に怪しくされていたらしい。


先程も言ったが・・・

ラウルの発言は様々な場所で色々な影響を与えてしまうのだ。


「うむ。聖域ランキングとは・・・

 しかしそれでは、目先の強さに固執してしまうのでは?」

オウムアムアは聖域ランキングの危険性を懸念していたのだった。

それに対しアマルテアは・・・

「しかしオウムアムア殿?指標は必要かと思われますが?」

「うむ・・・確かにな」

すると黙って様子を伺っていたロゼッタが話に加わる。

「確かに指標は必要だよ?

 自分の強さに溺れる者も出るかもしれないけど、

 それは当人の怠慢が招くことだからね?」


一同がロゼッタの発言に頷くと、アリエルも口を開く。

「定期的に・・・と、言うのであれば、意味があると思うが?」

「私は賛成なのにゃ♪もっと強くなって、牛女をギッタギタにするのにゃ♪」

「な、なんで私なのよっ!っていうかっ!牛女って言わないでよっ!」


一同笑っていたのだったが、2名ほどがセルカの発言に喰い付いた。

そして、その視線はイリアの胸へと注がれた。

「あ、あの・・・アリエル様、ロゼッタ?

 と、とても視線が怖いのですが・・・?」

顔を引きつらせその視線の先に、イリアは胸を覆い隠した。


「牛・・・女・・・ねぇ~・・・」

ロゼッタの視線に殺意がこもっていた。

「ロゼッタ・・・私も手を貸そう・・・」

そう言ったのはアリエルだった。

そしてアリエルの視線もまた・・・。


するとアマルテアが提案してきた。

「胸は兎も角・・・」

「「はぁ~?!」」


そう言った時、殺気が練り込まれた視線がアマルテアに向けられる。

しかしアマルテアはその視線に飲み込まれる事なく話を続けた。


「2ヶ月後・・・聖域内ランキング・・・やりましょう。

 勿論・・・参加したい者だけでいいと思います。

 暴力が嫌いな者も居るでしょうからね?

 だけど、今は敵と対抗出来るだけの人材が必要なのです。

 より多くの強き者を集めねばなりません」


「うむ。我も同意しよう。

 戦う事で己の長所や短所もはっきりするだろう。

 序列と言うモノは、己の鍛錬次第でどうとでもなろるだろうしな?

 怠慢はすぐさま反映されるだろう」


オウムアムアとアマルテアの発言にアリエルが口を挟んだ。

「二人共待て。その序列を決めると言うのであれば、少し待て」

アリエルの発言に一同が耳を傾ける。

「私達も戦うとなると時間がかかる可能性がある。

 だからまず・・・アナザーのメンバーだけで行うのが良いのではないか?」


今は時間的余裕はない。

神同士が熾烈を極めると、それこそ時間が足りなくなる。

アリエルはそれを懸念していたのだった。


食堂に居る全員が頷き納得した時食堂のドアが開いた。

そして中に入ってきたのは・・・


「その話・・・私も賛成ですわ♪」

ミスティの登場に一同は驚いたのだが・・・


(あの登場の仕方は・・・ドアの前でスタンばっていたわね)

アリエルはジト目でミスティを見ており・・・


(にゃはは♪少し前からドアの前に気配があったのにゃ♪

 タイミングを図っていたのにゃろうけど・・・

 スタンばっていたのは明白なのにゃ♪)

セルカは気付いていたのだが、面白くなりそうだと思い黙っていた。


(あら~時空神様も、そんなお茶目さんな事するのね?

 スタンばって居るなんて・・・可愛いところもあるじゃない♪)

プロキシオンは時空神の可愛い行動に頬を緩ませていた。


(ミスティ様ってこう言うところがあるのよね~?

 スタンばっているなんて・・・ふふ♪)

イリアはミスティとの付き合いも長くなり、その行動に納得していた。


(ミスティ・・・スタンばってるのバレバレだから・・・

 どうしてあんなドヤ顔で登場出来るのよ?

 私には・・・無理だわ~・・・恥ずかしくて無理っ!)

ロゼッタは・・・もう何も言うまい。


この場に居る全員が同じ事を思っていた。

それは・・・もう「スタンばっていた」と、言う事だった。


そしてミスティの心の声は・・・

(この絶妙なタイミングっ!スタンばっていて正解だったわね♪)だった。


つまり・・・皆さん大正解だった。


そしてこの時、この瞬間悠斗は・・・

癒やしの森の調査が終わりある近くの森へと足を進めていた。

そして遅めの朝食を取ると、ふと木の上にある実の存在に気付いた。

「アレって・・・」

そうつぶやくと鑑定を使用した。


「ん?パイモモって・・・?」

詳しく鑑定すると、もちもちとした手触りで柔らかく、

お菓子の原料となる木の実・・・だ、そうだ。


悠斗はジャンプするとその木の実をもぎ取った。

そしてこの時、その木の実を狙う者と視線が絡み合う。


「サ、サルっ!?」

飛び上がった目の前にサルが、こめかみをヒクヒクさせていたのだった。

すると目の前に居たサルが体を震わせると、

そのサルは分身して数十体となっていた。


悠斗はその光景に驚き油断してしまったのだった。

その瞬間、パイモモを奪われそのサルは逃走した。


「あっ!こらぁぁぁっ!それは俺のもんだぞっ!」

悠斗は咄嗟に木の枝に掴まると、鑑定を使用しそのサルを見た。


「分身ザル・・・数十体の分身になり、モノを奪う。

 奪うとそのまま逃走する。攻撃力は低いが、集団である」

「・・・にゃるほど♪」


因みに、この木に実っているパイモモの実はたくさんあるのだが・・・

「それは俺のだっ!」と、悠斗は(たぎら)せていたのだった。


ニヤリと笑う悠斗は「パイモモ」奪還のため駆け出した。


アシュリナへ行くのは何時になるのだろうか?

と、思う今日この頃だった。



ミスティ ・・・ ドヤ顔のミスティですorz

アリエル ・・・ ・・・もう引きずらなくていいんじゃないか?アリエルです。

ミスティ ・・・ まさかドアの前に居たのがバレていたなんて・・・

アリエル ・・・ あはは、それはまぁ~今更言っても・・・な?

ミスティ ・・・ 次回頑張りますわっ!

アリエル ・・・ 何をだよっ!



ってなことで、緋色火花でした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] うわー、こんな細かいエピソード書いてたら先が長くなりそうですね(笑) でもこういうの、好きです♪ 毎週末お休みなのが残念です。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ