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異世界転移 ~魔を狩る者~  作者: 緋色火花
第二章 港町・アシュリナ編
146/404

閑話 日本 神界 2 内通者

お疲れ様です。


今回は閑話・日本の神界の話です。

えー・・・今回実はとても不幸な事がありまして・・・

それは活動報告の方でお話させていただきますW


とても暇な方がいらしたら、暇つぶし程度にお読み下さいW


それでは、閑話・日本・神界 2をお楽しみ下さい。

天照は稲穂と別れると神界へと戻ってきた。

別邸に戻ると天照は縁側に腰を下ろし、

悠斗が穂高の為に作った紅葉の髪留めを手に取った。


「そなたの妹御(いもうとご)はとてもしっかりとした子じゃったぞ?」

憂いに満ちた表情を浮かべ紅葉の髪留めに語りかけていた。

「うむ、そうじゃ?・・・そなたの妹御に何かしてやろうかの~?

 一体何をしたら喜んでくれるのか・・・ふむ・・・」


空を眺め思案していると・・・

「姉上・・・」

「・・・月読か?何用じゃ?」

縁側で(くつろ)ぐ天照の前に月読が姿を現した。

「言わずともお分かりになるのでは?」

「ふむ・・・妾には検討もつかぬの?」

「お戯れを・・・」

月読の問いに答える様子もなく、ただ景色を眺めていた。


「姉上・・・英二様に一体何をされたのでしょうか?」

「ほう?英二に何かあったのかえ?」

「まだそのような事をおっしゃるのですかっ!」

天照は溜息を吐くと、つぶやくようにこう言った。

「うぬには分からぬよ」

そのつぶやきに月読は表情を強張らせた。


「ならばおっしゃって下さいっ!姉上のお考えをっ!

 私には今の姉上がとても恐ろしく感じますっ!」

「ほぅ~?妾が恐ろしいのかの?はっはっはっ!」

「何故お笑いになるのですかっ!」

天照は笑った後、冷めた目を月読に向けた。


「可笑しくて当たり前であろう?

 それが分かるぬのなら、妾に口を挟むでないわ」

「・・・・」

下界の事を全て姉である天照に任せていた月読にとって、

天照の憂いなど計り知れない事だったのだ。


「今更謝罪したところで、許してもらおうとは思っておりません。

 しかしながら、英二様にされた事は、

 例え神であったとしても、許されるものでは御座いません」

「許されぬ・・・か。それはそうじゃろうの?

 しかしの?妾はそれでも通さねばならぬ事情があるのじゃ。

 今は話せぬが、いずれ話す日が来るゆもしれんの?」


月読は思いつめた表情を浮かべる天照を見て、

その心の奥底に眠る悲しみを見た気がしたのだった。


「分かりました。いずれと言われるのであれば・・・

 私は姉上を信じて待つ事に致します」

「うむ・・・すまぬの?」

「いえ・・・」


沈黙が続く中、「ざわっ」と、空気が震えると、

突然月読は眉を釣り上げ顔を引きつらせた。

そして一言「天誅」と、つぶやきながら指を「パチン」と鳴らした。


「ん?どうしたのじゃ・・・?

 それに何故顔が引きつっておるのじゃ?」

「少し待って頂けますか?」

「う、うむ」

月読は(ふところ)から紙と筆を取り出すと、

何かを書くと再び指を「パチン」と鳴らした。


「・・・一体何をやっておるのじゃっ!」

「おほほほ・・・どこか突然失礼な物言いをされましたので、

 贈り物の1つでもと思い、鉄アレイを送ったのです・・・おっほほ」

「う、うぬも相変わらずよの?

 鉄アレイとな?まだ凝りずに鍛えておるのかの?」

「おほほ・・・嫌ですわ姉上・・・筋肉は正義なのですよ?」

「う、うむ・・・妾にはよく分からぬのじゃが、

 これ以上突っ込んでも意味はないようじゃの?」


天照は心の中で月読に対して合掌しながら、

鉄アレイを送られた者に同情したのだった。

その送られた者が英二だとは知らずに・・・


そして再び月読の気が怒りで膨れ上がると・・・

「ま、また・・・かの?」

「・・・はい♪」

その冷めた笑みに呆れていると、下界から神力を纏った声が聞こえてきた。

いや、正確には怒鳴り声だった。


「月読よ?今の声は・・・桜・・・かの?」

「おほほ・・・姉上、気のせいですわ♪」

「そ、そうか・・・の」


天照もまた引きつった笑みを浮かべた時、

耳を(かす)かにかすめる音に気がついた。

「月読よ?妾はそろそろ奥に戻ろうと思うのじゃが?」

「分かりました姉上。私は此れにて失礼致します」

「うむ・・・またの」

「はい」


天照は立ち上がると部屋に戻っていき、月読もまた戻って行った。


天照は月読が帰った事を確認すると障子を閉めこう言った。

「もうよいぞ?」

そうつぶやくと暗がりから人影が浮かび上がった。

「失礼致します」

「うむ、ご苦労じゃの?」

顔に布を巻いた女性と思われる者は、天照に礼を取ると頭を垂れたのだった。


「で・・・?ラウルの様子はどうなのじゃ?」

「はい、相変わらずでは御座いますが、

 悠斗様の為に精力的に動いておられます」

その言葉に天照は何度か頷き座敷に腰を下ろした。


「うむ・・・その動きと言うのは、擬体の事じゃな?」

「はい、例の黒い液体に対抗する手段として制作しております」

「・・・うむ。なるほどの・・・まさかとは思うが、

 こちらの事には気付いておらぬじゃろうの?」

「はい、それにつきましては問題無いかと思われます」

「気取られる訳にはいかぬからの?くれぐれも用心するのじゃぞ?」

「はい」


天照は扇を取り出し広げると話を続けていった。


「して・・・例の神達の動向は?」

「はい、まだ主だった動きは見せてはおりませんが、

 水面下では、こちらの思惑通りに動いているものと思われます」

「うむ・・・まぁ~あやつらは放っておいてもいいじゃろうが・・・

 朱羅(アスラ)の動向は気になるの~?」

天照は扇を「パチン」と畳むと、空をただ見つめ思案していった。

すると頭を垂れた女性は天照に「朱羅」について話を始めた。


「朱羅の動向ですが・・・」

「ん?何か分かったのかの?」

「はい、朱羅は・・・「嘆きの森」へ向かったようです」

「ほう~・・・あの森へ・・・?なるほどの」

天照はそう言うと思いつめた表情を見せた。

その時、無意識に天照はこうつぶやいた。


「穂高の所とは・・・の」

その言葉に頭を垂れた女性は「ピクリ」と反応したのだった。

(穂高って・・・あの?どうしてその名が?)

思わぬ名が天照より飛び出し困惑するのだが、

その女性は決して顔には出さなかった。


「それにしても朱羅のヤツめ・・・

 妾の予想を上回るほど強くなりおったの・・・

 今の悠斗様では・・・ふむ・・・勝てぬの・・・」

「しかしながら天照様・・・」

「なんじゃ?」

「悠斗様にはあしゅ・・・いえ、赤銅色の御力が御座いますが?」


天照は頭を垂れる女性が思わぬ事を口にしかけ、

眉が「ピクリ」と釣り上がっていた。

「失礼致しました」

「うむ、構わぬが・・・次はないと思うがよいぞ?」

「はい」

「うむ・・・悠斗様のあの力は、まだ第一段階じゃからの?

 その程度の力では、立ち打ちなど出来ようはずもないの」


悠斗の力が及ばないほどと聞き、その女性は不安の色を濃くした。

「ふっふっ・・・裏切り者である、そなたが心配するのかえ?」

「・・・・」

「まぁ~良いわ。そなたも立場と言うモノがあるじゃろうて?

 そなたは陰ながら尽くすが良かろう♪」

「はい」

その女性は天照の大義の為、助力すると決めたのだが、

天照の無慈悲な振る舞いに、心を鬼と化し耐えていたのだった。


(私が自分で決めた事・・・まだこの方の真意は見えてこない・・・

 それが見えるまでは・・・でも・・・)

苦悩するその女性の心は泣いていたが、自分を殺す事で、

無表情を貫く事が出来ていたのだった。


「して・・・先程の話なのじゃが?」

「先程の・・・と、言いますと?」

「擬体の事じゃ・・・。擬体の戦闘特化と言う発案は悠斗様なのかえ?」

「はい。その事に気付いた悠斗様が、ラウル様に報告し、

 ミランダを被検体とする事で、確証を得る事になったのです」

「ふっふっふっ♪流石は悠斗様じゃの?

 戦闘においては普段の天然さは何処(いずこ)かへと行ってしまうのじゃな?」


楽しそうに悠斗の話をする天照。

しかし天照の瞳の奥底には、深い悲しみが宿っていた。

そしてその悲しみは怒りの炎となり、

無慈悲な神へと変貌を遂げたのだった。


「天照様・・・何故悠斗様をノーブルへ?

 戦闘がずば抜けている事は分かるのですが・・・」

「そうじゃの・・・。妾の為であり、あやつの為でもある。

 じゃがの?最終的な判断は、あの御方がそれを望まれたからじゃ。

 無論、妾もそれを望んだから・・・の」

「・・・あの御方とは?」

「ふっふっふっ・・・。それはいくらそなたの頼みでも言えぬのじゃ。

 すまぬの?じゃがこれもまた・・・運命(さだめ)なのじゃ」

「・・・運命・・・ですか?」

「うむ」


薄気味悪く微笑む天照の瞳は悲しみに満ちていた。

そんな天照を救いたい気持ちでいる女性だが、力不足は否めなかった。

(やはり悠斗様でなければ・・・)

眉間にしわを寄せ、己の力不足に自己嫌悪するのだった。


すると・・・

「こらぁぁぁっ!月読ーっ!」

突然外から怒鳴り声が聞こえた天照は、その女性にこう言った。

「よいかの?ラウルの監視は怠る事のないようにの?

 それと、悠斗様の事はくれぐれも・・・の?」

「はい。承知しております」

「うむ、では・・・行くがよい。また報告を待っておるからの?」

「はっ!」


天照との話を終えたその女性は、一瞬にしてその場から消え去った。

天照は障子を開けると、怒鳴り散らす者を探したのだった。


「・・・おい、うぬは何をしに此処に来たのじゃ?」

「あっ・・・天照。あんた此処で何をしてるのよ?」

「な、何をって・・・此処は妾の屋敷じゃっ!」

「あっ・・・そうだったわね?月読の神力を此処で感じたから、

 てっきり此処に隠れているのかと思ったわ」

悪びれる素振りすら見せず、淡々と話す桜に呆れていた。


「良いかの?此処は妾の屋敷・・・

 まずは非を詫びるのが先ではないのかの?」

「私とあんたの仲でしょ?」

「・・・桜よ?そなたは妾の部下なのじゃぞ?」

「まぁ~そうね?・・・ところで月読はどこなのよ」


話を聞き流す桜に溜息を吐きつつ項垂れた。

「ん?あんた大丈夫なの?」

「・・・誰のせいじゃ、誰の・・・」

「えっ?私?・・・何か分からないけど・・・ごめんね」

「わ、分からぬのに、謝られても・・・の」


古い付き合いでもある桜に、いつもこの調子で振り回される天照。

ふと感傷に浸る天照に桜は真剣な眼差しでこう言った。


「あんたが何を企もうと、英二を殺させはしない・・・いいわね?」

「ふんっ、うぬの好きにすれば良いではないかの?

 妾は妾の道を行くだけじゃ・・・

 邪魔をする者が居れば踏み潰すまでじゃ」

「・・・わかったわ」


天照は桜にそう言うと、踵を返し部屋に戻ろうとした。

「ねぇ・・・」

「なんじゃ?」

振り向きもせず返答する天照に桜は真顔でこう言った。

「・・・月読はどこよ?」

「知るかっ!」

「ピシャッ!」と、障子を閉めた部屋の中で、

天照は拳を握り「わなわな」と震えていたのだった。


そして屋敷の外では・・・

「月読ーっ!ちょったあんた出て来なさいよっ!

 英二は兎も角、私が死んだらどう責任取るのよっ!月読ーっ!」


そう騒がしく叫ぶ桜の声に天照は深く溜息をつくと・・・

「・・・英二を殺させはしないと言っておったろうに・・・

 何を言っておるのじゃ、あやつは・・・」


項垂れる天照は「ぶつぶつ」言いながら、部屋の奥に消えて行くのだった。


「月読ーっ!」

暫くの間、桜の叫びが響いていたのだった。


天照 ・・・ よっ!皆の者、元気かの?妾じゃ♪

月読 ・・・ あ、姉上っ!はしたないですよっ!あっ、月読です。

桜 ・・・ ども・・・犬神の桜です。今回骨っ子1年分で呼ばれました・・・

天照 ・・・ に、しても・・・人数多過ぎじゃろ?どうなっておるのじゃ?

月読 ・・・ もはやカオス・・・ですわね?

桜 ・・・ で?此処で何を話すのよ?

天照 ・・・ このメンツで一体何を話せと言うのじゃ?コレ・・・無理じゃろ?

月読 ・・・ 此処に来るよりも家で筋トレしていた方が・・・

桜 ・・・ 白斗~?見てる~?姉ちゃんだぞ~?

天照 ・・・ ・・・無理じゃな?

月読 ・・・ 無理ですね?

桜 ・・・ 白斗~?やっほ~♪姉ちゃんは元気だぞ~♪



ってなことで、緋色火花でした。

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― 新着の感想 ―
[一言] どんどん話が深くなりますね。。。 アスラって、ふりがながないと読めませんでした(笑) 月読が筋トレ好きとは意外です。 保存失敗されたのはお気の毒でしたね。。。 めげずにこれからも面白い…
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