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異世界転移 ~魔を狩る者~  作者: 緋色火花
第二章 港町・アシュリナ編
139/406

116話 譲れないモノ

お疲れ様です。


今、マンションの防水&塗装工事中で

ベランダの荷物を室内に・・・orz

お、恐ろしく狭くなってしまいました><


・・・最悪です><


いつものお知らせです。

次回のアップは、いつも通り活動報告に記載しておきますので、

そちらをご覧下さい。




それでは、116話をお楽しみ下さい。

悠斗はラウル達と話し合うためミスティの回復を待った。

エルナトやミアプラも、岩場の聖域に居る全ての者達の時間を動かした。


そして全ての者達の時間が正常に動いた時、悠斗の異変に気付いた者達は

その光景に唖然としていたのだった。

「ユ、ユウトに子供が居たなんてっ!」

と、誤解を解くのにそれから暫くの時間を消費した。


そして此処はこの岩場の聖域に新たに建造された屋敷の中。

オウムアムアとアマルテアがラウルの指示の下、建造した屋敷だった。


その屋敷を見た悠斗は一言こう言った。

「手間のかかる事を・・・」

その一言にラウルが猛烈に抗議を始めたのだが・・・

「・・・ラウル・・・仕事しろよ?」

真顔で・・・いや、少し冷めた目でラウルを見つめていた。

「ゆ、悠斗君?し、仕事は~・・・しっかりとやってますからっ!」

その言葉に悠斗の視線は自然とミスティへと向けられたのだが、

ミスティはただ首をフルフルと振るだけだった。

「・・・仕事、してるもん」

悠斗の横で拗ねるラウルを他所に、オウムアムアが声を掛けてきた。


「師匠?あの精霊樹達を置いてきてしまって、よろしかったのですか?」

オウムアムアは会議だからと残してきた精霊樹達の事を気にしていたのだが。

「・・・今は子供らしくするのが一番だろ?」

「しかしながら、我は・・・」

「オウムアムア?」

「はっ」

「お前、すぐに老けるぞ?」

「・・・ふ、ふけっ・・・?」

悠斗はオウムアムアに笑みを浮かべながら肩を竦めて見せた。

その仕草にオウムアムアは苦笑するしかなかった。



そして屋敷の中の応接間に入ると、主要なメンバーが席に着いた。

そのメンバーとは・・・


創造神ラウル・時空神ミスティ・剣神アマルテア・魔法神アリエル

亜神オウムアムア・・・神達5名。


神野悠斗・イリア・セルカ・白斗・・・アナザー4名。


アンナ=アシュリナ・・・1名。


古代狼プロキシオン・白銀竜ラムダ・白凰ロゼッタ・・・神獣達3名。


風の精霊シルフ・火の精霊サラマンダー・水の精霊ウンディーネ

地の精霊ノーム・・・四大精霊達。


計17名による代表会議が行われた。


ラウルは全員に紅茶が行き渡ると席を立ち会議を始めた。

① 岩場の聖域の拡大と緑化について。

② 黒い液体の警戒と対抗策について。

この2点について、17名による会議が始まった。


① 岩場の聖域の拡大と緑化については、

現状を進めていく事で一致した。

精霊樹も生誕したばかりなので、今は成長と共に緑化を進めていく。

そして②については、ラウルが悠斗に説明を求めた。


「悠斗君、黒い液体の対策について話してもらいたいんだけど?」

悠斗は軽く頷くと、ラウルが着席すると同時に立ち上がり

今後の対策案を述べていく。


「黒い液体についての概要は説明した通りなんだけど、

 対抗策は俺の気道だけではないと確信する事ができたよ」

「悠斗君、その対抗策をまだ知らない者達に説明してあげてくれないか?」

悠斗は頷くと説明を始めた。


「俺の気道以外にも、あの黒い液体を討伐する事は出来る。

 その方法は、あいつの核を破壊する事だ」

ざっくり説明する悠斗に、その情報を知らない者達がざわめいた。

「えっと~・・・あいつは不死じゃない。

 だからダメージを蓄積させる訳なんだけど・・・。

 核をどうやって見つけるか・・・それが重要だね」


そう説明した悠斗は、ウンディーネに視線を送ると、

黒い液体とミランダが戦った一部始終を見せつつ説明していった。

「あいつの核を見つけるには、単純的な力で削る事・・・。

 魔力や神力耐性を持ってしまっていた場合、

 ただ単純に威力ある攻撃で、液体を弾き飛ばすしかない」


するとアマルテアが静かに挙手をして質問してきた。

「師匠・・・。しかしながら私達神にとっては、

 私やカロンの時のように・・・」

そう話すアマルテア達神は、不安な面持ちで居た。


「ああ~・・・それなら心配ないよ?」

悠斗は気楽な口調でそう答えるのだが、説明を求めると・・・

「ん~・・・今はまだ話せないな・・・。

 結論が出るまで待っていてもらえるかな?」

「・・・わ、わかりました」

「あははは、そんな不安な顔をするなよ?

 ただ確率を100%にしたいってだけだからさ~」


悠斗の自信溢れる笑みには、此処に居る全員が信じていたのだった。

すると悠斗のパーティー・・・

アナザーのメンバーが何かをコソコソ話し合うと挙手をした。


悠斗は少し首を傾げつつも代表して挙手をするイリアを指名すると・・・

「ラウル様、それと・・・ユウト。お願いがあるんだけど?」

悠斗はアナザーの仲間達を見ると、全員が大きく頷いていた。

「・・・なんだ?」

イリアの緊張がまるでこの場に居た全員に移ったかのように、

緊迫した空気が流れていく。


一呼吸置いて、イリアは話を始めた。

「私達に特訓する時間をもらえないかしら?」

それを聞いたミスティが真っ先に口を開く。

「イリアさん・・・説明はあるのかしら?」

「はい、勿論です」

そう言い切ったイリアの話を聞くべく悠斗は着席した。


イリアは悠斗が着席するのを確認すると、席を立ち話を始めた。

「私達全員・・・勿論ユウトを除いてですけど・・・

 自分の弱さを痛感しました。

 このままではユウトの足を引っ張る事になります。

 ですから、この聖域で皆さんの御力をお借りして特訓したいのです。

 お願いしますっ!どうか私達に御力をお貸し下さいっ!」

イリアは一同に頭を下げると、セルカと白斗もまた頭を下げた。


「つまりそれは、私達に鍛えて欲しい・・・って事でいいのかしら?」

ミスティは抑揚のない声でイリアの目を真っ直ぐ見つめていた。

「は、はい。もうこれ以上・・・ユウトに甘えられないのです」

ミスティはイリアの意思を確認すると、セルカや白斗に視線を送った。


「私も特訓を希望するのにゃっ!」

「ワシもやっ!ワシはもうあんな情けない思いをするのはごめんやっ!」

真剣な眼差しでミスティを見るセルカと白斗。

「分かりました。アリエルと少し相談させて下さい」

そう言うと、ミスティとアリエルは念話で話を始めた。


それから少しの間、話が終わるまで緊迫する空気が流れた・・・


「・・・いいでしょう。3人共・・・それだけの覚悟があるのなら?」

悠斗を除いたアナザー全員が大きく頷くのだった。

ミスティは最終確認のつもりでラウルに視線を送ると、

ラウルも微笑みながら大きく頷くのだった。


許可が下り喜ぶ者達を見ていた悠斗が口を開く。

「特訓はいいんだけどさ・・・?」

そこまで話すと一度言葉を切った。

圧迫感を感じたイリアは喉を一度鳴らすと口を開いた。

「・・・な、何?」

「えっと・・・。イリア?仲間の亡骸はどうするんだ?」

悠斗の言葉に少し目を見開くイリアだったが、呼吸を整えると、

悠斗に向かって真っ直ぐ話をした。


「ええ、それはわかっているわ。だから当然悩んだけど・・・

 でもね?私達はこのままじゃ居られないの」

「うん、そうだね?その気持は俺にもちゃんと伝わっているけど・・・」

先程よりも強い圧迫感を感じたイリアだったが、

譲れないモノもあったのだ。


「私達は貴方と一緒に歩いて行く為・・・。

 その為には、どうしてもそれだけは譲れないの」

そう言い切るイリアに少し呆れながらも悠斗は口角を上げていた。

「わかった・・・。だけどさ?亡骸はどうするんだよ?」

「それなら考えているわ。私の集落に手紙を明日にでも送ります」

イリアの話に一応の納得をした悠斗だったが・・・


「じゃ~さ?俺の方からも条件がある」

「じょ、条件?!」

悠斗の「条件」と言う言葉に重さを感じた一同が黙ってしまった。

「特訓の期間は、最大で2ヶ月だ。

 だけど俺は、後1ヶ月で「嘆きの森」へ向かうからな?」

「えっ?・・・そ、それって、どういう事?」

動揺するイリア達に構わず、悠斗は話を続けた。


「そのままの意味だよ?特訓が終わっていても、いなくても・・・

 俺は「嘆きの森」へ向かうって事だよ?」

「えっ?で、でもそれじゃ、特訓が・・・」

「バンッ!」

悠斗はイリアの言葉を聞くと、強くテーブルを叩いて立ち上がった。


一同が悠斗の迫力に硬直する中、言葉を発した。


「イリア・・・いや、セルカも白斗も・・・。

 お前達が自分の意志で決めた事だ。

 だから俺がなんと言おうと、その意思を貫けっ!

 自分の言葉は曲げるなっ!譲れないモノがあるんだろっ!」

悠斗は鋭い眼光で3人を見ると、一同に対し頭を下げそのまま退室した。


扉を閉める瞬間・・・

悠斗が笑ったのを感じ取っていたラウルもまた口角を上げていた。


イリアは力なく椅子に座ると膝の上で拳を固く握っていた。

そんな重苦しい中、オウムアムアが口を開いた。


「師匠はイリア達の事を思っての発言だ・・・

 だからお前達は師匠の期待に応えねばならん・・・

 ・・・やり遂げて見せる事だな?」


その言葉に笑みを浮かべたラウルが話を続けた。

「あははは・・・実に悠斗君らしいよね?

 あの言葉は彼なりの優しさって事だよ?

 悠斗君に着いて行けば、間違いなくつらい戦いの連続になるからね?」

ラウルの言葉に、ミスティとアリエルも頷くのだった。


「分かりました。私は2ヶ月間・・・特訓したいと思います」

イリアの力強い言葉を聞いたセルカや白斗もまた同様だった。

(悠斗君は本当に優しいね?でも君を一人では行かせないからね?)


そんな意思を持って事に望む者達の中に、

苦悶の表情を浮かべる者がいた。


この世界が危険に包まれていく現状の中、

全盛期の力を失ったばかりではなく、その行動力さえ失ってしまった。

その者は己の情けなさに苦悶の表情を浮かべていた。


各々(おのおの)が、真剣な表情を浮かべ語り合う中、

神獣達はその者に気を取られ言葉を発せられなくなっていたのだ。

そしてラウルもまた、プロキシオン達神獣達と視線を合わせつつも、

どうするべきか思案をしていたのだった。


「あ、あの・・・」

覚悟を決めたものの、絞り出した声はとても小さく弱々しい声だった。

(・・・私は何を甘えているのっ!此処まで来てまだ・・・っ!)

己に喝をいれた者は、勢いよく立ち上がると気持ちを声に出して話した。


「わ、私も特訓させて頂けませんかっ!」

その者の言葉に、知る者は唖然としていた。

「・・・ふむ、もう一度言ってもらえるかい? 」

ラウルの声が全員の緊張を解くと、その者はもう一度声を挙げた。

「私も・・・私も特訓したいですっ!お願いしますっ!」

そう言って頭を下げると・・・

「・・・アンナさん?一体どうして?」

イリアはアンナの思いがけない行動に戸惑ってはいたが、

その理由を聞きたいと思っていた。


「・・・私もきっと何か出来るはず・・・

 誰かに言われたからではなく、自分でそう決めたのですっ!

 わ、私にだって、譲れないモノの1つや2つありますっ!」

するとアンナの気配を見守っていたプロキシオンが口を開いた。

「ねぇ~、アンナちゃん?」

「はい」

「貴女は領主の奥様なのでしょ?危ない事はもう・・・」

プロキシオンはアンナの事情を知っているだけに、

これ以上は・・・と、悲しい表情を見せた。


「いいえ、プロキシオン様・・・これはノーブル全体の問題なのです。

 誰の妻だろうが、どこの誰だろうが、そんな事は関係ありませんっ!

 私も元・S級冒険者ですっ!

 少なくとも、全盛期の強さに近づけたら・・・と」

アンナの意思を見た一同はそれぞれ話を始めた。


(・・・流石アンナさん・・・だな)

退出したはずの悠斗は、閉じられた扉にもたれ掛かり、

アンナの話を聞いていたのだった。

そしてラウルも悠斗の存在を認識していた。

(あははは、悠斗君もアンナ君の事に気付いていたんだね?)


悠斗はそのまま屋敷を離れ、食堂へ向かって行く。


屋敷の一室では、イリア、セルカ、白斗、アンナ達の意見を聞き、

それぞれの伸ばしたい力を特訓する事になった。

全員が退出すると、部屋にはラウルとミスティの二人が残っていた。


「さて・・・ミスティ。僕はこれから彼に会いに行ってくるから

 後の事は君に任せるからね?」

「・・・彼を使うのですか?」

「ああ、彼にはその義務もあるしね?」

「私はあまり気乗りはしませんが・・・」


紅茶に口を付けるミスティは軽く息を吐くと憂鬱そうな顔をした。

席を立つラウルにミスティもまた席を立つと・・・

「・・・行ってくるよ」

「・・・承りました」

ミスティはラウルに対し深々と頭を下げた。


ゲートが現れ神界へと戻っていくと、

ミスティは軽く息を吐き部屋を出て行くのだった。




ラウル ・・・ 悠斗君の仲間達も大変だね~?

ミスティ ・・・ あの子達も思うところがあるでしょうから・・・

ラウル ・・・ しかまぁ~そう思える精神力は素晴らしいよね?

ミスティ ・・・ そうですわね?誰かさんにも見習って欲しいですわ

ラウル ・・・ (・・・く、雲行きが怪しくなってきた)

ミスティ ・・・ どうされましたか?

ラウル ・・・ あはははっ!これから特訓に期待しようじゃないかっ!

ミスティ ・・・ ・・・・・・・・・ですわね



ってなことで、緋色火花でした。

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― 新着の感想 ―
[一言] またまた話長くなりそうな展開ですね(笑) それぞれのこれから。 また細かいお話、楽しみにしています♪ 英二君&桜のその後も楽しみにしています♪
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