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異世界転移 ~魔を狩る者~  作者: 緋色火花
第二章 港町・アシュリナ編
138/406

115話 パパになりました。

お疲れ様です。


今日はいつもより寒い気がしますが、

そんな私はキャンプに行きたい今日この頃です。


肉・・・食べたいw



それでは、115話をお楽しみ下さい。

二人の精霊樹は二人のスピリットと話し合い、

この現状に結論付けると別れを告げ、悠斗の体から帰還した。

そして悠斗に事の真相を伝えると、悠斗は項垂れてしまった。


(そう言えば・・・ミスティに神力か魔力って言われていた気が・・・)

(ふふ♪ユウト様って慌てん坊さんなのね?)

(そうみたいだね~♪でも僕としては、

 そういう御主人様の方が、とても好感が持てるよ~♪)

二人の精霊樹にそう言われると、照れて見せるユウトだったが、

あの時、どんなに慌てていたかを思い出した悠斗にとっては、

恥ずかしい出来事だった。


(まじで・・・恥ずかしいんですけど?)

(でも、そのおかげで僕達はこうして生まれて来たからね~?)

(そうよ?ユウト様はユウト様らしく・・・それが一番です♪)

(いやいや、俺は別にドジっ子って訳じゃないからね?)


笑い合う悠斗達は、お互いの距離感が縮まった事を認識すると、

今後について話し合う事にした。


(ところでさ?今って時間は止まっているんだよな?)

(はい♪見て分かるとは思うけど、例え創造神様であっても、

 今は私達、精霊樹の理が強いから♪)

(へぇ~・・・それは素直にすごいとしか言いようがないな~?)

(あっはっはっ。違うよ?ユウト様?

 創造神様が最初にそうしておいてくれたからなんだよ?)

(そうね?それがラウル様のお優しいところね♪)


そう言って二人の精霊樹は、ラウルを尊敬の眼差しで見つめていたのだった。

そんな二人を悠斗は微笑ましく見つめていると、

二人の精霊樹は真顔になり、悠斗に頼み事があると切り出したのだった。


(僕達二人に名前を付けてほしい・・・)

(名前?)

(はい、ユウト様の中の二人のスピリットに名前があるのに、

 私達に名前がないとあっては・・・)

(あははは、体裁を気にするんだな?)

(一人なら兎も角、二人居るんだから名前がないと困るよね?)

二人の頼みにもっともだと思った悠斗は考え始めた。


悠斗は腕を組み空を見上げ考えていく・・・

それから少しして、何かを思いついたように二人に向き直った。


(そうだな~?じゃ~こう言う名前はどうかな?君はエルナトだ♪)

(エルナト?エルナトか~・・・その名前に決めた理由は?)

(理由か~・・・えっと、俺って星座だったり、星だったりって、

 見た目と違って好きなんだけどさ?

 俺の居た世界で「おうし座」って星座があるんだけど、

 その星座にある星から名前を取ったんだ」


男の子の精霊樹は、空を見上げ少し考えると・・・

(いいね~♪ユウト様の世界の星座にある星の名前か~

 うんうんっ!僕は気に入ったよっ!今から僕はエルナトだっ!)

(あははは、気に入ってもらえたみたいで良かったよ♪)

(うんうんっ!ユウト様・・・ありがとっ♪)

そう言って喜ぶエルナトを見た女の子の精霊樹は・・・


(ユ、ユウト様~。は、早く私にも名前を付けてよ~!)

(わ、わかったから、ちょっと待てって♪)

頬を膨らませ詰め寄る女の子の精霊樹に微笑ましく思っていた。

(・・・名前って大切なんだな~)

そう思う悠斗に「こくっこくっ!」と頷く女の子の精霊は

悠斗の服の袖口を掴んでいた。


(さっきエルナトの名前を思い浮かべた時、一緒に浮かんだ名前があるんだ)

(えっ!ほ、ほんとにっ!?・・・なに、なに?)

見た目通りに子供のような反応を示す女の子の精霊樹。

その姿に悠斗も癒やされた。


(では、発表しますっ!)

(・・・ん?)

悠斗はまるでアカデミー賞でも発表するように、

手の中に白い封筒があるかのように、二人に見せると、

その封をハサミで切っている姿を見せた。

そしてその封筒の中から、一枚の紙を取り出した・・・。


(こほんっ!では、発表します・・・)

悠斗は頭の中でドラムの効果音を流していく。

(発表しますっ!・・・君の名前は・・・ミアプラだ♪)

(ミ、ミアプラ?・・・わ、私の名前にもエルナトと同じ理由が?)

(ああ~、そうだよ♪)

(お、教えて~、ユウト様~♪)

父親に甘える子供のように悠斗に抱きついてくるミアプラに微笑むと・・・


(ミアプラって言う名前はさ?僕の世界にある、

 「りゅうこつ座」って星座にある星の名前なんだよ?)

(私もミアナトと同じ星の名前なんだ~♪やったね♪)

ミアプラはそう言いつつ、エルナトを見てウインクして見せた。

その仕草にエルナトも「クスクス」と、笑っていたのだった。


二人は悠斗の前に並びお互いの顔を見合わせ、

何やらコソコソと話始めた。


(ど、どうした?)

少し心配になった悠斗を他所に頷き合うと・・・

((せ~のっ、パパ・・・ありがとうっ!))

(・・・へっ?!)

間の抜けた声を出した悠斗は、言葉を失っていた。


(ねぇ~?パパ~?僕達の話・・・聞いてる~?)

(ふふ♪もうパパったら~♪恥ずかしがり屋さんね~?)

再び二人から言い放たれた単語に、悠斗は我に返った。


(パ、パパぁぁぁぁ?)

エルナトとミアプラは悠斗をからかうように、「パパ」を連呼する。

(お、俺は、パパじゃないよぉぉぉっ!)

そう叫びつつ逃げる悠斗をエルナトとミアプラは悠斗を追いかけて行った。

((パパ~♪))


それから暫くの間、悠斗は二人からパパと叫ばれつつ、

追いかけ回されていたのだった。


(ぜぇ、ぜぇ、ぜぇ・・・パ、パパ・・・は、速いよ・・・)

(そ、そうね・・・ぜぇ、ぜぇ、ぜぇ・・・て、手加減してよ、もうっ!)

息を切らし地面に両手を着く二人に、悠斗は満面の笑顔を向けていた。

(つ、次は・・・お、追いつくもんっ!)

(ミ、ミアプラ・・・パ、パパには・・・勝てない・・・気がするんだけど?)


悠斗は微笑みながら二人に歩み寄ると、しゃがみ込んで二人に話す。

(二人は生まれたばかりなんだから無理すんなよ?)

そう言われたエルナトとミアプラは頷くと、地面に仰向けになり、

呼吸を整えつつ疲れを癒やしていった。


(さてっとお二人さん?そろそろラウル達を・・・)


苦笑気味に笑う悠斗に頷いたエルナトは、指を「パチン」と弾くと、

精霊樹の理により、時間停止させられていた二人だけが動き出した。


ラウルとミスティは辺りをキョロキョロ見渡し悠斗を探した。

「おーいっ!こっちだよ~ラウルーっ!」

ピョンピョン跳ねながら手を振る悠斗に、ラウルとミスティは駆け寄ってきた。


地面に仰向けに倒れている子供達を見たラウルとミスティは・・・

「だ、大丈夫かっ!君達っ!」

「だ、大丈夫なのっ?!あなた達っ!」

そう言って、息も荒く倒れた二人に駆け寄ると・・・。

「ひ、ひどいじゃないかっ!悠斗君っ!」

「減滅・・・減滅しましたわっ!」


そう言われる悠斗は渋い顔を二人に返すしかなかった。

「い、いや・・・これはさ・・・?」

そして勢いよく立ち上がったラウルは悠斗の胸ぐらを掴み、

怒りに満ちた顔を向けた。


すると・・・

「パ、パパに何をするんだぁぁぁぁっ!」

「パパに手を出さないでぇぇぇぇっ!」

倒れていた子供二人がラウルの後方で叫ぶと、

二人から放たれた高周波が・・・

「ゲフッ!」

一瞬のうちにラウルは吹き飛んでしまった。

「ラ、ラウル様っ!」

ラウルに気を取られたミスティは、強烈な視線を感じると

背中に冷たい汗が流れていった。


「ゆ、悠斗さん・・・こ、これは一体?」

ミスティは顔を引きつらせながら、ぎこちなく視線を向けると、

悠斗は頭を掻きながら項垂れていった。


「ははは・・・俺、パパになりました」

「・・・・・・・・・・はい?」

そう苦笑する悠斗に二人の子供がミスティの前に立ち塞がった。

「「パパを虐めるなぁぁぁぁっ!」」

二人の子供がそう叫ぶとその声が高周波となり、ミスティを襲った。

突然の攻撃にミスティは片膝を着くと「クッ」と唸る。


「二人共っ!止めるんだっ!」

悠斗は声を少し荒げつつ二人の子供の口を塞いだ。

「ふがぁぁっ!ふんがっ!」

「ふみぃぃぃっ!ふみぃっ!」

「いいから二人共落ち着けっ!」

悠斗の言葉に冷静さを取り戻した二人は悠斗の腕の中でおとなしくなった。


「悠斗さんこれは一体・・・?」

ミスティの疑問に悠斗は苦笑すると、先程までの出来事を話した。


「まぁ~そういう訳なんだ・・・」

「そうでしたの・・・知らぬ事とは言え、申し訳御座いません」

深々と頭を下げるミスティを見ていたエルナトとミアプラは、

悠斗に謝るよう諭され、二人も頭を下げた。


「ごめんなさい・・・時空神のおばさん」

不用意なミアプラの無垢な言葉に、時空神は敏感に反応した。

いや・・・せざるを得なかった。


「おっ、おばっ、おばっ、おばっ、お、お、おばさんっ!?」

生まれたての二人から見ればそうなのだろうが、

あまりにも残酷な一言だった。


狼狽(うろた)えるミスティを不思議に思った二人は、

不安そうな顔を悠斗に見せた。

(だ、大丈夫・・・だから・・・な?た、多分・・・)

(パパ・・・どうして念話なの?)

(あはは・・・生きていれば色々とあるんだよ?)

(そっか~僕達もこれから頑張って生きて行かないとね♪)

(ああ・・・)

(パパっ!私も頑張るっ!)

(偉いぞ~二人共っ!)


まるで本当の家族のような雰囲気を(かも)し出す悠斗達は、

すっかりミスティの事など忘れていた。


そんな雰囲気を察したミスティは、拳を握りプルプルと震えていた。

「ゆ、悠斗さん・・・?私の事をお忘れではありませんか?」

低く絞り出すかのように言葉にしたミスティの言霊は、

温かくなった悠斗の心に極寒を呼んだ。


「・・・さ、さむっ!!

 ミ、ミスティ・・・あははは・・・わ、忘れてなんかないぞ?」

「・・・・・・・」

「ま、まじだってっ!なっ?・・・なっ?」

「わ、分かりましたわ」


怒りが収まりつつあるミスティに、無垢なる者の容赦ない追撃が炸裂する。

「ねぇ、パパ?時空神のおばさんは大丈夫なの?」

「ミ、ミアプラっ!」

「お、お・・・おば・・・さ・・・ん?は、はぅぅぅぅ~・・・」


ミアプラの追撃で止めを刺されたミスティは、

あまりのショックに仰向きに倒れると、そのまま気絶してしまった。


エルナトは空気の読めないミアプラを注意する。

「駄目だよ?ミアプラ?」

「何が駄目なの?」

「お前さ~?さっきの時空神様の反応を見て分からなかったのか~?」

「時空神様の反応?」

全く空気の読めないミアプラに、エルナトは深く溜息を吐くと、

悠斗を見上げ肩を(すく)めていた。


「あははは、まぁ~まだ分からなくても仕方がないんじゃないのか?」

「はぁぁ~・・・パパって甘いよね?」

エルナトにそう言われ苦笑する悠斗の傍に、突然ラウルが現れると・・・


「はっはっ~んっ!悠斗君も案外子煩悩だったって訳だね?」

「ラ、ラウル・・・い、生きていたのか・・・?」

「あっ、当たり前じゃないかっ!僕は創造神なんだよ?

 見くびってもらっちゃ~困るよ?」

「・・・ならさ、見くびられないようにしろよ」

冷たい眼差しを向ける悠斗に、ラウルは顔を引きつらせた。


「あは、あははは・・・と、ところで悠斗君?

 この二人の事をちゃんと僕に紹介してもらえないかい?」

ラウルは立場が危うくなると、急に話を変えてくる・・・

それがノーブルにおける絶対神でもある「創造神ラウル」だった。


悠斗は呆れた表情を見せつつ、事の説明をラウルに話した。

そしてついでに、ミスティがどうして仰向けに倒れているのか・・・

その説明もついでにしたのだった。


「そう言う事だったのか~・・・ふむふむ」

「ああ、どうやら俺の血液中に、赤銅色の気が混ざっていたらしい」

「そのようだね?(とど)めとばかりに、精霊樹に気を流し込んでいたしね?」

苦笑しながら悠斗を見るラウルは、これからどうするかを思案していた。


「ねぇ、ラウル様~?」

突然声をかけられたラウルは視線を向けると、

無垢なる表情でラウルを見上げる幼女に警戒すると身構えた。


「ラ、ラウル?お前・・・どうして身構えているんだ?」

「えっ?!だ、だってさ?見構えないと、僕もミスティの二の舞に・・・」

「ふぅ~・・・お前なぁ~?創造神なんだろ?もっとしっかりしろよっ!」

そう訴える悠斗にラウルは少し厳しい目を向けた。


「失礼だなっ!僕は創造神なんだぞっ!馬鹿にするなっ!

 無垢なる子供の暴言に耐えられるほど僕は強くはないっ!

 自慢じゃないが、打たれ弱い事で有名なラウル様だぞっ!

 それに僕の心は硝子のハートなんだっ!ミスティと一緒にするなっ!」


そう言い切るラウルに悠斗は目眩を起こしそうなほど、

立ち眩みしたのだった。


「本当にそれでいいのか・・・創造神?」

「・・・僕を甘く見ないでくれたまえっ!すっごく弱いんだぞっ!」

「・・・へいへい」


項垂れながらエルナトとミアプラの元に行く悠斗は・・・

「いいか~?あんな大人になるんじゃないぞ?」

「わかってるよ、パパ♪」

「あははは、エルナトは賢いな~♪」

「うぅぅ・・・わ、私も賢いもんっ!」

「あははは・・・ミアプラはお兄ちゃんであるエルナトを見習うんだぞ~?」

「ん~?お兄ちゃん?エルナトはお兄ちゃんなの?」


悠斗は二人に出会った時の事を思い出していた。

(んー・・・確かあの時、エルナトの方が半歩分前に居たからな?

 だから~・・・うんうん、間違いないな・・・兄だっ!)

悠斗はそう結論付けると、二人にエルナトが兄だと伝えた。


「そ、そんな理由で私は妹になったのね・・・」

あからさまに項垂れるミアプラを横目に見ながら、

エルナトは対象的に満面の笑みだった。


「どっちが先かなんて、関係ないんだぞ?

 二人で支え合って生きていくんだっ!

 ほら・・・見てみろっ!あの木を・・・

 2本の木がお互いを支え合っているだろ?」


「パパ・・・あの木って、私達なんだけど?」

「・・・・・・・・そ、そうでした」

「あははははっ!パパって面白いね~♪」

「・・・ははは、ありがとな♪」


そう言って二人の頭をごしごしと撫でる悠斗の心は癒やされていくのだった。

(さてっと・・・これからどうしようかな?)


茶番だと分かりつつも癒やされていく悠斗だったが、

これから先の事をみんなと話し合う必要がある事を、

ラウルに提案するのだった。








ラウル ・・・ 悠斗君が・・・パパに・・・

ミスティ ・・・ わ、私が・・・お、おばっ、おばっ、おばっ・・・

ラウル ・・・ お、落ち着くんだっ!気をしっかり持てっ!

ミスティ ・・・ ・・・ラウル様、先立つ不幸をお許しください。

ラウル ・・・ い、いや・・・そんな事くらいじゃ死なないからね?

ミスティ ・・・ そんな事?今、そんな事っておっしゃいました?

ラウル ・・・ い、いや、ぼ、僕は言ってないよ?・・・言ってない・・・

ミスティ ・・・ ・・・あっそっ!!!



ってなことで、緋色火花でした。

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― 新着の感想 ―
[一言] 色々笑えて、ほっこりするエピソードでした♪ こういう癒しキャラは必要ですね♪ 厳しい状況の中、悠斗にとって心癒される存在ができて良かったです♥︎
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