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異世界転移 ~魔を狩る者~  作者: 緋色火花
第二章 港町・アシュリナ編
134/404

111話 それぞれの難題

お疲れ様です。


今回から再び本編に戻ります^^

111話・・・ですね^^


皆さんももうご存知かとは思いますが、展開は遅いです。

かなり・・・遅いです^^;

ですがこれからも頑張っていきますので、応援宜しくお願いします^^


ブックマークの登録してくれた方、本当に有難う御座います^^

これからも楽しんでいただけると幸いです^^


それでは、111話をお楽しみ下さい。

悠斗はセルンと別れてから、岩場の聖域へ向けて歩いていた。

走る訳でもなく、瞬間移動する事もなく・・・


「ちょっと強引だったよな・・・」

そうポツリと言葉が漏れた時、背後から突然声をかけられた。

「悠斗君?」

「!?」

不意に声を掛けたられた悠斗は身を(ひるがえ)すと、

ショートソードを引き抜いた。

「ラ、ラウル?!」

驚きを隠せない悠斗だったが、ラウルも同様に悠斗の反応に固まっていた。

「ゆ、悠斗君・・・?一体どうしたんだい?」

「あ、ああ・・・ごめん。ちょっと考え事を・・・」

「考え事って、本当に大丈夫なのかい?らしくない反応だったけど?」

悠斗は息を吐くとショートソードを納刀した。


「んー・・・どうやら重症のようだね?もし良かったら、話してくれないかい?」

ラウルの言葉に苦笑しながらも、ポツポツ話を始めた。

「セルン君か・・・」

「ああ・・・強引に仲間に誘ってしまったんだ・・・」

「彼女には彼女の理由があるからね・・・」

「ああ、分かっているんだけどさ・・・」

(悠斗君にとってセルン君もまた大切な人なんだね?

 だからこそ、その落ち込みも半端ないって訳か・・・困ったね)


ラウルは今まで悠斗がこれほど落ち込む姿を見たことはなかった。

しかしラウルは少し微笑ましく思っていた。

「なぁ、ラウル?」

「何だい?」

「俺のやった事は正しかったのかな?自分じゃよくわからなくて・・・さ」

「そうだね~。僕は悠斗君の行動は当然だと思うよ?

 セルン君は今の君にとって、とても大切な存在なのだから、

 彼女の身に危険が及ぶのを恐れての行動だったんだからさ」


悠斗は癒しの森に視線を向けると、少し切なそうな顔を見せた。

(・・・あれで良かったんだと思いたい。

 大切な存在か・・・確かにそれは言えてるな)


「ねぇ、悠斗君?そろそろ岩場の聖域へ向かいたいと思うのだけれど?」

「あ、ああ・・・そうだな。じゃ~行きますか・・・」

ラウルは悠斗に優しく微笑むと、ゲートを出現させ中へと消えて行った。

荒野に吹く風は悠斗の憂いを吹き飛ばそうと、

いつもより強く吹いていたのだった。



そして此処は癒しの森から離れた荒野。

セルンはまだ枯れぬ涙を拭いながら歩いていた。


「ごめんなさい・・・ユウト。本当にごめんなさい」

セルンは悠斗の存在がここまで大きくなっていた事に気が付かなかった。

しかし今日、悠斗の話を聞いていた時、

どれほど大きな存在になっていたのかを、気付かされる事になった。


(私・・・ユウトの事を・・・?)

気付かなかった、いや・・・気付かないフリをしていた。

自分の抱えている問題に、悠斗を巻き込みたくなかったのだ。

(私のやる事は決まっている・・・けれど、ユウトの敵にはなれないわ。

 でも・・・弟の為にも私は・・・ユウトと・・・)


いつの間にか涙も止まり、今にも降り出しそうな天気の中、

セルンは一人、荒野を歩いて行く。

暫く歩くと、廃墟になった小屋に辿り着いた。

その廃墟はセルンの隠れ家の一つだったのだ。


その廃墟のドアに手をついた時、「ポツ、ポツ」っと、雨が落ちてきた。

「・・・降り出したわね」

廃墟の中に入り、ランプの明かりに火を灯すと、

セルンはお湯を沸かし始めた。


季節はもうすぐ冬、港町アシュリナがある地方は冬の訪れが早い。

セルンは暖炉に薪を入れると、魔法で火を着けた。

ボロボロになったソファーにシーツをかぶせると、

腰を降ろし湯が湧くのを待つ。


暖炉の中で踊る火を眺めながら、

セルンは再び悠斗の事を思い出していると・・・


「ドンッ、ドンッ!」と、突然ドアを叩く音がした。

セルンは気だるく立つとドアの元まで行った。


「・・・誰?」

「俺だ・・・ラハトだ」

セルンはドアのロックを外すとドアを開け、中へ入れた。


※ ラハト 人族・180cm・男・鞭と暗器を使う暗殺者

  頬に昔、熊人族に着けられた3本の爪痕がある。

  セルンと同じ「グローリー」のメンバー。

  だが彼はセルンと同じ、グローリーへ対抗する、

  レジスタンスのメンバーでもあり、その有能さは折り紙付き。


「雨まで振ってきやがったぜ~。それに冷え込んできやがったな?」

ラハトは体を擦りながら暖炉の火へと向かって行き、体を温め始めた。

「予定より早いわね?何かあったの?」

「分からないが・・・何かあったらしい・・・」

「あったらしいって、どういう意味よ?」

「俺みたいな下っ端に分かる訳ないだろ?」


セルンはラハトに温かい紅茶を出すと、

自分は悠斗からもらったコーヒーを入れた。

セルンはコーヒーを一口飲むと、ラハトが話始めるのを待った。


「ふぅ~・・・生き返るぜ・・・なぁ?ワインとかないのかよ?」

「あるけど、あんたに出すのなんて・・・い・や・よっ!」

「へいへい」


二人は少しの間、静寂の間に身を置いた。

ワインはもらえなかったものの、

紅茶の温かさに有り難みを感じたラハトだった。


ツンケンとし、何もしゃべらないセルンに視線を移した。


「・・・聞いた話でもいいか?」

「・・・ええ」

セルンはラハトに視線を向けると話を続けた。

「最初に言っておくが、それが何かは俺にもわからねー・・・

 だがな?上の連中は大騒ぎでよ?」

「大騒ぎ?」

「ああ、セルン・・・お前、黒い液体って聞いた事はあるか?」

「!?・・・黒い液体って・・・」


セルンはラハトの言葉に目を見開いたのだが、

ラハトは紅茶のカップに視線を移していた。


「ああ、黒い液体・・・名称までは詳しく分からなかったが、

 相当ヤバイモノだって事は分かった」

「私も聞いた事があるわ」

「はっはっ・・・流石潜入部隊の隊長さんだな?すげーな?」

「アレでょ?魔力耐性を持っているって・・・?」

「ああ、そうらしいな?」

セルンはコーヒーに口を付けながら考えていた。


(やっぱりユウトの言っていた話って本当だったのね?

 だとしたら・・・この世界が滅ぼされる可能性があるって事ね)


セルンがそう考えていた時、ラハトが周りを警戒しながら近付いてきた。

「此処は大丈夫なのか?」と、小声で話しかけてくると、

セルンは黙って頷いた。


「セルン・・・お前の弟の居場所はまだ分からない・・・

 だが、手がかりは見つけたぞ?」

「・・・ほんとなの?」

「ああ、それと・・・例の解毒薬を作っている場所も分かった」

「それが本当なら・・・」

「ああ、だがな?今はまだ動かない方がいいぜ?」

「でしょうね」


コーヒーを飲みながらもラハトの会話に耳を傾ける。


「それでよ・・・これからどう動くんだ?」

「そうね・・・。仲間を少しでも多く見つけないとね?」

「確かにそうなんだが・・・」

「分かってるわよ?事を起こして内通者が居た・・・なんて事になったら、

 流石に笑えないわ」


ラハトはセルンの言葉に笑みをこぼしていた。

「はっはっ、そりゃ~そうだぜ?だからってよ?」

「・・・分かってるわよ」

セルンの表情を見ていたラハトは、薄く笑うと本題を切り出した。


「なぁ~セルン?アシュリナの領主を味方に付けられないか?」

「・・・子爵を仲間に?」

「ああ、俺達だけで事を起こすには、あと何年かかるかわかったもんじゃない。

 だから領主を後ろ盾にしてしまえば、思っていたよりも早く、

 俺達が動けると思うんだがな?」


セルンはアシュリナ邸の面々を思い出していた。

(・・・巻き込みたくはないわね)

「その話は今度何人かで話し合いましょ?下手に動くと悟られるわ」

「でもよ?事は早いに越した事はないぜ?セルンの弟の事もあるしよ?」

「ええ、だけど・・・」


話を途中で切ったセルンを見ていたラハトは・・・

「・・・何かあるんだな?」

「・・・ええ」

「ヤ、ヤバイ・・・のか?」

「いえ、私に力を貸してくれる人はいるわ・・・それも最強クラスのね」

「さ、最強?」

「ふふ♪」


含んだ笑いをするセルンの表情はとても優しく楽しそうだった。

その反応を見たラハトはある名前を口に出した。


「な、ならよっ!リヒテルの野郎に対抗出来るんじゃっ!」

「リヒテル・・・そうね・・・」


※ リヒテル 身長192cm・男・双剣使い。

  いわく憑きの元・勇者で人を超えた力を持つ。

  グローリーの幹部の一人で、悪魔と契約した噂もある。



「ど、どうしたんだよ?力は五分くらいって事なのか?」

「そうじゃないわよ・・・ただちょっとね、

 その人ってありえないくらい忙しいのよね?」

「忙しいって・・・何だよそれ?」

「ふふ♪」


セルンは悠斗の笑顔を思い出すと、自然と笑みがこぼれていた。

しかし、リヒテルの名を思い出すと、その化け物染みた強さに、

万が一と言う事も考えていたのだった。


(私が見る限りで言えば・・・五分ね。

 ユウトをこんな事に巻き込む訳にはいかない・・・

 なら、どうして・・・私は彼の事を話したの?)


セルンの様子を見ていたラハトは口を開いた。

「セルン?その人ってまさか・・・お前の・・・?」

「こ、恋人なんかじゃないわよっ!ち、違うんだからねっ!

 勘違いしないでよーっ!馬鹿ラハトっ!」

真っ赤な顔をして怒鳴るセルンに、ラハトもたじたじになってしまい、

もう苦笑いするしかなかった。


「ははは・・・あ~・・・お前?マジで惚れてんだな?」

「ばっ、馬鹿言わないでよっ!」

「・・・そんな顔を赤らめてよ?何の説得力もないぜ?」

「・・・・・」

セルンは口をパクパクさせながら、最終的には両手で顔を隠してしまった。


「お前さんの気持ちは分かるけどよ?

 一度俺をそいつに会わせてもらえねーかな?」

「・・・それは無理ね」

「何だ・・・?訳ありって事か?!」

「ええ」

「なら・・・仕方がねーが・・・残念だ」


パチパチと暖炉の炎が音をたて静寂の廃墟から木霊していた。

「ああ、それと・・・みんなはどうしてる?」

突然口を開いたセルンにラハトは少し戸惑うが・・・

「とりあえずみんなは、お前の指示通り展開している」

「そう・・・それなら問題ないわね」

「ああ、だが圧倒的な戦力差はどうしようもないな・・・」

「だからと言って、焦っては身を滅ぼす事になるわ」

「ああ、それは充分理解している・・・勿論、みんなもな?」


セルンとラハトは、今後の展開を話していくのだった。

グローリーに悟られないよう、慎重に慎重を重ねて・・・

「・・・難題が有り過ぎるわね」

「まぁ~ 今に始まった事じゃないけどな?」

「・・・そうね」


廃墟の窓に打ち付ける雨は、ひどくなる一方だった。



そし再び悠斗とラウルは・・・

ゲートから現れた悠斗とラウルは、岩場の聖域に降り立つと・・・


「な、なんじゃこりゃぁぁぁぁぁっ!」

悠斗の叫びが岩場の聖域に響いていった。

その叫びに全員の視線が集まると、まるで練習でもしたかのように、

「おかえりなさい♪」と、言われ戸惑ってしまっていた。


「な、なぁ~ラウル?こ、これって・・・みんな何をしているんだ?」

「何をって悠斗君?見てわからないのかい?」

「・・・地面を耕しているみたいだけど?」

「なーんだ、分かっているじゃないか?」


何度も瞬きをする悠斗に、イリアが笑いながら声を掛けてきた。

「えっとね~これは地の精霊ノームさんの指示で行っている事なのよ?」

「へぇ~・・・そうなんだ?」

「硬くなった地面をね?一度耕す事によって・・・・えっと、なんだっけ?」

「・・・はい?」


説明内容を忘れてしまったイリアの顔は、ドヤ顔から没落した。

それを見かねたプロキシオンが話の続きをしはじめた。


「全くイリアちゃんったら・・・はぁ~・・・。

 続きは私が話すわね?」

「うっぅぅ・・・お、お願いします」

項垂れるイリアを他所にプロキシオンが続けた。

「当然、耕す事によって、硬くなった土に酸素を取り入れたり~

 柔らかくする事によって、種が根付きやすいようにしているのよ?」

「なるほどね~・・・確かに・・・」

「その後は、ノームちゃんが土に栄養補給をしたり~

 ウンディーネが神水を巻く事によって、成長速度を上げてもいるわ」


ウンディーネの名前を聞いた悠斗は視線を向けると、

悠斗を見ていたウンディーネが大きくこちらに向かって手を振っていた。

それに応えるべく悠斗もまた、手を大きく振って見せたのだった。


ラウルの案内で、悠斗は聖域の様子を見て回った。

そして食堂へ戻ってくると、ミスティが悠斗にコーヒーを差し出した。

「悠斗さん、少しお願いがあるのですが?」

「ん?お願い・・・ですか?」


ミスティの笑顔に身を震わせた悠斗は・・・

(ぜーーーったい、面倒な事を押し付けられる気がするっ!)

全力で悠斗の表情が引きつると、ミスティが遠慮せず話を続けた。

「あのーですね?こちらの聖域に「精霊樹」を植えても宜しいでしょうか?」

「・・・せ、精霊樹?」

「はい♪有難う御座います♪」

「いやいやいやっ!ちょっと待ってよミスティさんっ!

 俺・・・まだOK出してないんだけどっ!」

「ふふふ♪」

「ちょ、ちょっとっ!聞いてます?!ねぇーてばっ!

 せ、精霊樹って何?意味わかんないんだけどっ!

 俺にだけ難題を押し付けるのはやめてくれぇぇーっ!」


悠斗の意見を無視して岩場の聖域は、

緑化に向けてどんどん進んで行くのだった。

「みんな俺の話を聞いてくれーーーっ!」

そう叫ぶ悠斗の声は、むなしく聖域に響くだけだった。


そしてその様子をテーブルの上から白斗が・・・


「主・・・せめてそこは、「何だい?難題ってっ!」くらい

 バチコーンっ!て、言わさなあかんやんっ!シッシッシッ♪

 ちゅーかっ!ワシの出番こんだけかいなっ!

 プリチーな白斗ちゃんに冷たいんちゃうのぉぉぉっ!」


「黙るのにゃ・・・駄犬っ!私も出番なかったのにゃぁぁぁっ!」

「うっさいわっ!ボケーっ!」

相変わらず仲のいい二人だった。


ラウル ・・・ ・・・悠斗君も青春だね~♪

ミスティ ・・・ そう・・・ですわね

ラウル ・・・ あれ?反応悪いんだけど、もしかして?

ミスティ ・・・ 登場回数は少ないのに・・・うぅぅぅ

ラウル ・・・ べ、別に泣かなくてもいいじゃないかっ!

ミスティ ・・・ ・・・嘘泣きですわ

ラウル ・・・ 君?そんな事していると、君のフアンが居なくなるよ?

ミスティ ・・・ ラウル様よりは確実に多いので大丈夫ですわ♪

ラウル ・・・ うっ、そ、それはリアルな話じゃないかぁぁぁっ!

ミスティ ・・・ ふふふ♪

ラウル ・・・ えっと・・・僕のフアンの方募集していますので♪

ミスティ ・・・ そんな奇特な方・・・くるといいですわね♪

ラウル ・・・ ・・・来るっ!僕は読者を信じているっ!



ってなことで、緋色火花でした。

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― 新着の感想 ―
[一言] セルンはいつも良い雰囲気出してますね♥︎ 精霊樹って、どういうものなんでしょう? ワクワクします♪ ちなみにラウルのファンではありませーん!(笑)
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