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異世界転移 ~魔を狩る者~  作者: 緋色火花
第二章 港町・アシュリナ編
130/404

109話 悠斗の苦悩と固執

お疲れ様です。


此処で言う事でもないのですが・・・

休みがほしいと思う今日この頃・・・

皆さんいかがお過ごしでしょうか?


朝夕冷え込んできましたので、風邪などひかないように^^



それでは、109話をお楽しみ下さい。

癒やしの森へ行っていた悠斗達は、ミランダを伴い戻ってきた。

すると、そこにはもう・・・主要な者達が揃っていたのだった。


「おかえり悠斗君、いきなりだけど皆に紹介しておくよ」

「了解」

ラウルはそう言うと、主要な者達を紹介していく。

「まず・・・っていうか、もう知ってるよね?」

そう言ってラウルは二人の前に立った。

「久しぶりだね♪」

悠斗は二人の神獣に手を差し出した。


「よっ!ユウト~元気そうで何よりだな?」

「ああ、ラムダこそ♪」

プロキシオンの親友の一人で、白銀竜のラムダ。

(いかつ)い顔に似合わずとても温和な性格をしていて、

悠斗に再び会えた事に喜んでいた。


「ユウト~元気そうね~?ほんとに大変だったみたいね?」

「ああ、本当に大変だったよ。ロゼッタも元気そうで良かったよ♪」

プロキシオンの親友の一人で、白凰のロゼッタ。

ロゼッタの白い炎はとても幻想的で、悠斗はその白い炎を忘れられなかった。

そしてまたロゼッタも唯一である信用できる人族の悠斗に、

再び会えた事をとても喜んでいた。


二人と別れてから、あまり時間は経っていなかったのだが、

とても懐かしく感じられた。

三人はとても楽しそうに話を始めたのだが、ふいにラウルがそれを止めた。

「すまない・・・まだ紹介したい者達がいるんだよ」

「おいおい、ラウル様?それはないだろ?儂の楽しみを奪うなよ?」

「そうよっ!ラムダは兎も角、私まで邪魔なの?」

「おい、儂の事は兎も角って何だよっ!」

「うるさいわねっ!」

喧嘩を始めた二人を他所に、ラウルは「すまないね?」と、

そう言って、悠斗を引っ張って行ってしまった。


「え~っと、居た居た・・・」

ラウルは誰かを見つけると手を振りながら声を掛けた。

「「「ラウル様・・・」」」

そう言ってラウルの傍に来た者達は、ラウルに礼を取ると・・・

「ラウル様?お話に合った人族とは、もしかして?」

「ああ、そうだよ?彼の名前は悠斗君だ・・・宜しくね?

 悠斗君・・・紹介するよ。

 この者達は、四大精霊の者達なんだ」

「ああ~・・・なるほど」


ラウルからそう言われると、悠斗は四大精霊に挨拶をした。

「俺の名前は、神野 悠斗です。今日は集まって頂き有難う御座います」

そう言って挨拶をする悠斗の背後に、ウンディーネが控えていた。

それを不思議に思っていた四大精霊達も、

疑問を抱きつつ、悠斗に挨拶をした。


「私は風の精霊・・・シルフよ?この森を救ってくれてありがとね♪」

「俺は自分の出来る事をしたまでだよ」


※ 風の精霊シルフ 四大精霊の一人。性別 女

  148cm 肌は白く線は細い。羽はとても薄いが丈夫に出来ている。

  風魔法を得意とするが、他の属性魔法が使えない訳ではない。


そう言って、シルフは悠斗と握手をすると・・・。


「俺は火の精霊・・・サラマンダーだ。ありがとよ」

少しぶっきらぼうなサラマンダーは、悠斗に拳を見せると・・・

「ははは・・・それが挨拶ってことだね?」

悠斗はサラマンダーと拳を突き合わせ、それを挨拶とした。

「分かってるじゃねぇーか・・・宜しくな」

「ああ、こちらこそ宜しく」


※ 火の精霊サラマンダー 四大精霊の一人。 男

  160cm 肌は赤黒く筋肉質 常に炎を纏うが通常時は触れても熱くはない。

  火の魔法を得意とするが、水系の魔法は使えない。

  

「地の精霊・・・ノームだ。感謝するぞ・・・人族よ」

「感謝はいらないよ?助け合わないとね」

「うむ・・・人族にしておくのは、実におしい男じゃて・・・」

そして最後にノームも悠斗と握手した。


※ 地の精霊ノーム 四大精霊の一人。 男

  140cm 肌の色は浅黒く、白く長い髭と長い帽子がトレードマークで杖を持つ。

  土魔法を得意とするが、重力系の魔法も得意。


その後にもラウルは悠斗を連れ回し、

ユニコーンやペガサス達、他の神獣達とも交流を深めた。

そして再びアリエル達の元へ戻ってくると・・・


「さーて・・・とりあえず状況を説明しようかな?

 とりあえず悠斗君はお疲れだろうからさ?少し休んでおきなよ」

「有難うラウル、助かるよ」

悠斗はウンディーネと共に席を外すと、

最初に訪れたロッジのウッドデッキで、ウンディーネとお茶をする事にした。

そのデッキの上からは、ラウル達が会議をする場所が見下ろす事ができた。


そしてラウルは、イリア達の戦闘映像を映しながら、事の説明をしていった。

「・・・この様に・・・・・・・我々としては・・・」

と、会議は順調に進んでいたのだが、内容が内容だけに、

その話し合いも長く続いていく。


悠斗はマジックボックスから、コーヒーのセットを取りだすと、

その準備を始めていった。


「ユウト様、少し宜しいでしょうか?」

突然口を開いたウンディーネの声は、どこか緊張していた。

「ん?別にいいけど・・・どうしたんだ?」

ウンディーネは少し顔を伏せるも、顔を上げ悠斗に質問した。


「実は・・・」

「もしかして・・・イリアの事?」

少し驚く様子を見せたがそのまま質問を始めた。

「はい、イリアの事なのですが・・・?」

「あはは・・・どうしてそんなに緊張しているんだよ?

 聞きにくい事なのか?」

「本人に直接聞くのが筋・・・なのでしょうけど・・・」

悠斗はお湯をカップに注ぎながらも苦笑して話した。


「イリアのスピリットの事・・・かな?」

「はい」

驚く様子もなく、ただ静かにそう答えた。


「俺やイリアにもよく分からないって言うのが本音なんだけどね?」

「・・・分からないのですか?」

「ああ、俺の場合はさ・・・。何となく分かっただけって言う、

 そんな曖昧な感じだからね?

 それに、イリアの中に居るあのスピリットについては、全然わからないよ?

 ただ・・・何となく・・・そんな感じだったからね」


ウンディーネは悠斗に答えに戸惑っていた。

「他のスピリットは見えているのにですか?」

「そうだね。セルカのスピリットを見る事は出来たけど、

 イリアのは見えなかったな~ ・・・ただ・・・さ」

「・・・ただ?」

「んー・・・。ただ、懐かしい気配を感じただけ・・・それだけなんだ。

 それは何故かは分からないけど、俺はイリアの中に居るスピリットを

 とても懐かしく感じたんだよ」

「・・・懐かしくですか」

「ああ」


ウンディーネは一通り悠斗に質問すると、そのまま黙ってしまった。

悠斗はそんなウンディーネを見て、コーヒーに口を付けながら薄く笑っていた。


暫くしてラウルが「休憩しよう」と、言う声が聞こえると、

先程挨拶を交わした四大精霊の精霊達が、悠斗の所に集まってきた。


「ユウト・・・だったかしら?」

風の精霊シルフが悠斗に声を掛けてきた。

「休憩・・・みたいだね?」

悠斗はそう返答すると、みんなに紅茶を配るべくその準備を進めていくと、

ミスティが悠斗の代わりを務めてくれた。

感謝を述べつつミスティに任せると、悠斗は椅子に座りコーヒーを口にした。


休憩が終わるまでの間、悠斗は四大精霊達の質問攻めに合い、

顔を引きつらせる場面が幾度となく訪れるのだったが、

ウンディーネが間に入り、悠斗は解放されたのだった。


そして再びラウルが招集を掛けると、会議が再会された。

しかし先程とは様子が代わり、悠斗の横にはミランダが座っていたのだった。


「なぁ~ミランダ?会議には参加しなくていいのか?」

「私は事情を知っているからいいのよ。

 それよりも・・・どうして水の精霊がユウトの隣に居るのよ?」

ミランダは悠斗の傍に椅子ごと移動して、小声で耳打ちしてきた。


「えっと~、それはさ・・・」

ミランダの問いに答えようとした悠斗の言葉を遮るように、

ウンディーネが割って入ってきた。


「ミランダ様、それは私がユウト様の従者になったからです」

ウンディーネの答えにミランダは悠斗を見ると・・・

「本当なの?」

「んー・・・本当だよ」

「へぇ~・・・あのウンディーネがねぇ~」

驚きと言うよりも感心したような声を漏らしていた。

納得したミランダは、擬体の製作者がラウルだと言う話や、

新しくなった邪神槍の改良点などの話をした後・・・


「ねぇ、ユウト?癒しの森での話の事なんだけど?」

そう切り出したミランダの表情は真剣だった。

「その話か・・・。さっきも言ったけど、何も確証はないからね?

 少しずつでも調べて行かないと・・・」

「そうね・・・派手に動き回れないのがつらいところよね?」

「だな~・・・」


その話が終わると、二人は暫くの間沈黙していた。

聞こえるのは、下で会議をする者達の声とざわめきだった。

その沈黙の時間を悠斗が楽しんでいると、再びミランダを口を開いた。


「ねぇ、ユウト?」

「ん?」

「・・・貴方、また強くなってない?」

「んー・・・どうなんだろ?」

「どうなんだろ?って・・・。ステータスの確認をしてないの?」

「・・・・」

コーヒーに口を付けると、そのまま沈黙してしまった悠斗に、

ミランダは呆れていた。


「確認・・・してないのね?」

「んー・・・。ステータスを気にしちゃうとさ、固執しちゃうだろ?

 それが嫌なんだよね・・・」

「・・・本音は?」

「・・・まじで面倒臭いから、ラウル達からのメール以外は見ないのだっ!」

「み、見ないのだっ!って・・・貴方ねぇ~?ほんっとにっ!呆れるしかないわね」


ミランダは紅茶に口を付けながら、横目で悠斗を見ていた。

(・・・どうしてこんな短期間で強くなったのかしら?

 それに・・・異質な力を感じるんだけど?)


ミランダの視線に気付いた悠斗は、少しぶっきらぼうに口を開いた。

「・・・今度は何ですかぁー?ミランダさーん?」

「ゴフッ」と、少しむせてしまうミランダだが・・・


「ユウト?貴方のその力・・・」

ミランダはそう言いかけるのだが、悠斗はその言葉を遮った。

「あ~・・・その話か? 正直まっっったく使いこなせる自信がないですけど!?」

「・・・どうしてキレてんのよ」

「だってさ~・・・全然意味わかんないっ!何・・・アレ?

 すっげー怖いんですけど?

 発動条件も分からなければ、制御すら出来ない・・・

 意味分かんないってーの・・・あ~あぁ~・・・」


悠斗が逆ギレしているのを見たネランダは、内心可愛く思えた。

しかし、そんな悠斗の力になれない自分が歯がゆかったのだ。


「だから、何でキレるのよっ!」

「キレてませんよぉ~だっ!ただちょっとソレ風に見せているだけなんですぅ~」

「あ、あんたねぇ~・・・」

「せめてさ?せめて・・・だよ?

 発動条件でも分かれば、ワンチャンいけるかもしれないけどさ~?

 ワンチャンどころか、ゼロですよ?

 全くもって・・・皆無とくれば、逆ギレの一つや二つしますよ?」


悠斗はそう思ってはいたが、あの装備さえ纏う事が出来れば、

(刀が使える)・・・そう思っていた。

自分の実力が発揮できない悠斗にとって、これからの戦いに苦戦するのは必至だった。

その事を考えると、悠斗の顔は無意識に険しくなっていくだけだった。


「あんた・・・顔が怖いわよ?」

ミランダにそう言われて始めてそれに気付いた悠斗は慌てた。

刀に固執していた自分にがっかりもした。


(ははは・・・情けね・・・)

悠斗は顔を「パチン」と、挟み込むように顔を叩くと頭を振り反省した。

「・・・・・・きっかけさえ、あれば・・・ね」

思わず口に出た自分に、顔をしかめるしかなかった。

「きっかけね~・・・私に手伝える事ってある?」

そう声をかけてくれたミランダに少し癒やされた気がした。


「有難う。でもさ、さっきも言ったけど・・・

 何も分かってないからね?

 もし、何か分かった時は・・・宜しく頼むよ」

そう言ってミランダに悠斗は微笑んで見せた。

「い、いいわよ・・・」

そう言いつつもミランダは異質な力に寒気を覚えたのだった。

(ユウト・・・その力は使わない方がいい気がするわ・・・出来る事・・・ならね?)


そう思いながらミランダは、悠斗の横顔を見ていた。


そして・・・

ラウル達の会議が終了すると、主要なメンツが悠斗の元に集まった。

「さて、悠斗君。これからの事だけど・・・」

そう悠斗に話を切り出すと、ラウルはこの森の事や癒しの森の事を話した。


「つまり、すぐには復活出来ないって事?」

「ああ・・・創造神の僕でも、当然出来ない事はあるんだよ。

 それにさ、直ぐにはってだけで、多少時間はかかるけど必ず元通りになるからさ」

ラウルの言葉に安心した悠斗だったが、疑問も生まれた。


「ん?でもさ?プロキシオン達は何処に住むんだよ?

 それに森の動物達も・・・いくら何でもあの森には・・・」

「動物達はそうでもないよ?何故ならロゼッタに浄化の炎を使ってもらうからね」

ラウルの言葉に自然と視線がロゼッタに集まった。


「私に任せなよ?浄化の炎は森へダメージは与えないわ」

「そうなのか?でも・・・癒やしの森の被害は・・・?」

悠斗の疑問に今度はミスティが答えた。


「悠斗さん幸いではありますが、癒やしの森の被害は、

 この場所に比べれば大した事はありませんわ。

 しかしながら、聖域化は暫くの間出来ませんが・・・」

「大した事って・・・それに聖域化出来ない?」


「はい、デビルトロールが暴れたのは、この空間だけですわ。

 暴れる前に、プロキシオン達がこの場所へ(いざな)ったのですから・・・。

 それと聖域化出来ない理由の方ですが・・・。

 それは単純に、癒しの森を統治しているプロキシオンのダメージによるモノです」


「ダメージって、俺が回復したけど・・・?」

「ダメージを負ったのは、プロキシオンの神力の方ですわ。

 いくら悠斗さんの御力でも、そこまでは・・・」

「・・・そっか。理が俺の範疇を超えていたって事か・・・」

(神力のダメージって何だ?)

そう思いつつ、力不足を感じる悠斗に、此処に居る全員がその気持を察した。


「ユウトちゃん・・・」

心配そうな顔をするプロキシオンを見た悠斗は、

申し訳なさそうな声で「ごめんな」と、謝った。

「ユウトちゃんのせいじゃないわよ。私がただドジっただけだもの」


そんな雰囲気を和らげる為に、ラウルは悠斗の肩に手を乗せると・・・


「で~・・・そこで頼みがあるんだけど?」

「頼み?」

少し戸惑った顔をする悠斗に、ラウルは「ニヤリ」と笑って見せた。

(・・・ああ~・・・嫌な予感がするんだけど?

 いや、むしろ・・・嫌な予感しかしない・・・)


悠斗がそう思っているのを確信すると、ラウルは更に笑って・・・


「岩場の聖域で暫くの間、プロキシオンとウンディーネを置いてやってくれないかな?

 それと~ついでにさ?」

「つ、ついでに・・・な、何?」

「あの岩場の聖域を緑化しちゃおうっ!」

「・・・・・・・・・」


悠斗はラウルが何を言っているのか、全く理解出来ていなかった。

その言葉を理解するのに暫くかかると・・・


「はぁぁぁぁぁぁぁっ?!」

神界の狭間の空間で、悠斗の声は木霊したのだった。






ラウル ・・・ いよいよ僕達が活躍する時が来たようだね~♪

ミスティ ・・・ そうですわね♪暫く活躍する場がなかったですものね♪

ラウル ・・・ だよね~♪フッフッフッ!活躍して目立つぞぉぉぉっ!

ミスティ ・・・ 私も僭越ながら・・・♪

ミランダ ・・・ ちょっとラウルっ!待ちなさいよっ!

ラウル ・・・ へっ?ミ、ミランダ・・・どうしたんだい?

ミランダ ・・・ あんた・・・私に不良品をっ!

ラウル ・・・ はぅっ!・・・そ、その話は・・・また別の機会にでも?

ミランダ ・・・ がるるるるるるるっ!

ラウル ・・・ ぎゃあーっ!助けてぇーっ!悠斗くーんっ!



ってなことで、緋色火花でした。

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― 新着の感想 ―
[一言] 緑化ですか。。。 創造神の腕の見せ所ですかね? 新たな精霊たちとの関係、イリアのスピリット、悠斗のステータス、岩場の緑化。。。まだまだワクワクがいっぱいですね♪ ただ時々「あれ?そもそも…
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