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異世界転移 ~魔を狩る者~  作者: 緋色火花
第二章 港町・アシュリナ編
128/405

107話 可能性と問題

お疲れ様です。


ギリギリ間に合いましたw

今回は仕事の都合で間に合わないかとドキドキしましたが・・・

本当に良かった^^;


え~・・・今回の話は107話ですね^^

イリアの覚醒の話の続きですね^^


ブックマークや感想など、宜しくお願いします^^

英二の話の後編は、活動報告の方へ記載しておりますので^^


それでは、107話をお楽しみ下さい^^

「・・・もうあんたには負けないわ」

新たな力を身に着けたイリアは視線を離さずつぶやいた。


「ブルー・フレイム・スピリット」


(目覚めたわね・・・)

そうつぶやくとミランダは背を向け、セルカの元へ歩いて行く。

長い銀髪をかき上げ微笑みを浮かべながら・・・。


黒い液体は体を小刻みに震わせながら、イリアを威嚇してくる。

「あんた・・・もう話せなくなったの?分裂すると、知能が下がるのかしら?」

ゆっくりと歩みながら、イリアはそう言った。

ゆらゆらと全身に透き通った青い炎を纏わせながら近付いてくる。


「ギュァァァっ!」

泣き叫ぶように黒い液体はガタガタと震えだした。

「可哀想とも思わない・・・あんたに対して慈悲もない・・・」

そう話すイリアはまるで悠斗のように無表情だった。


「ジャリ・・・ジャリ・・・ジャリ」っと、歩んでいく。

「前にユウトがこう言ったわ・・・お前の罪を数えて・・・死ねってね」

イリアはそう独り言でもつぶやくように・・・。

(青き炎よっ!私と共にっ!)


「はぁぁぁぁぁっ!」

イリアは魔力を体中に巡らせると、

体に纏っていた青い炎が防具へと具現化していく。


「ブルー・フレイム・アーマー」

その姿は金色で縁取られた青き鎧に姿を変えた。

胸元には、金色が(かたど)られた炎の紋章が輝き、

頭部の両サイドには、炎をあしらった飾りが施されていた。

その鎧からはゆらゆらと透き通った青い炎が纏っていた。

そして・・・イリアの双眼もまた・・・碧眼と化していた。


その変異の様子を見た黒い液体は・・・

「グギャャァァァっ!」と、発狂するかのように叫んだ黒い液体は、

その身を槍のような姿に変え、イリアに突っ込んできた。

「・・・無駄よ」

イリアは腰に飾られた鈍く光る金色の鞘から、

剣を静かに引き抜くと目を閉じ集中していった。


(目を閉じていてもわかるわ・・・その禍々しい気配が・・・

 そして・・・私に抱く絶望が・・・)


突っ込んできた黒い槍に対し上段に構えると一気に振り下ろした。

音もなく、ただ静寂がその場を包み込む。


イリアによって斬られたその黒い槍は、まるでバターでも切るかのように、

真っ二つになり、イリアの背後で青く燃えて塵と化した。


「有難う・・・ブルー・スピリット」

剣を納刀し青い炎に礼を述べると、その炎は一瞬揺らめき踊るように消えた。

イリアは静かに振り返り、セルカとミランダの居る所まで戻っていく。


笑顏で迎えるミランダの顔もまた、姉のように優しい微笑みを投げかけていた。

「よく・・・やったわね」

「あ、有難う御座いますっ!」

にっこり笑うミランダは、イリアを優しく抱きしめた。

心を落ち着かせたイリアは、セルカの傍にしゃがみ込むと状態を確かめていく。

「精霊・・・」

イリアが「精霊鑑定」を使おうとした時、ミランダが声をかけた。


「体は何ともないわ・・・だけどね?」

「・・・セルカが目を覚まさない理由があるのですかっ!」

「あるわ。この子はもう・・・」

険しい顔をしながら、ミランダは途中で言葉を止めてしまった。

その苦悶に満ちた顔に、イリアはそれを察すると涙を溜めていくのだった。


「ま、まさか、そんなっ!」

イリアの目から大量の涙が次々と溢れ出し、

目覚めないセルカの頬を濡らしていく。

「・・・イリア?今はそっと・・・してあげなさい」

ミランダはイリアの肩に手を置くと、優しく声をかけた。

「で、でもっ!ミランダさんっ!セルカがっ!」

ミランダはイリアから顔を背けた。


感極まったイリアはセルカを抱き締め泣きじゃくった。

「セ、セルカァァァっ!」

イリアの悲しみの声は、天高くまで響き渡る。。


すると・・・

「ぷっ・・・ぷっぷっぷっ」と、今まで必死に笑いを堪えていたミランダが笑い始めた。

度々顔を背けたのは、笑いを堪えた顔を見せない為だったのだ。

「ミ、ミランダ・・・さん?」

「あ~っはっはっはっ!もう~ダメっ!我慢出来ないわっ!」

突然爆笑しはじめたミランダに困惑するイリアを他所に、

ミランダの爆笑もまた、天高く舞い上がっていた。


「なっ、なんで・・・?どうして笑うんですかっ!」

本気で笑うミランダにイリア激怒すると・・・

「し、死ぬのにゃゃゃっ!」と、今まで目を覚まさなかったセルカが

顔を真っ赤にして、イリアの胸の中でもがき苦しんでいた。


「セ、セルカァァァっ!」

目を覚ましたセルカにイリアは喜び歓喜すると、再び抱き締めた。

「ふんがぁぁっ!ふがっふがっ!」

ミランダは、涙を流しながら抱き締めたイリアの肩を叩くと・・・

「イ、イリア?・・・セルカが・・・まじで死んじゃう」

ミランダの言葉に視線を落とすと、セルカが胸の中で再びもがき苦しんでいた。


「ご、ごめんっ!」

慌てて離すイリアはセルカに何度も謝っていた。

呼吸を整えたセルカはイリアに冷たい声でこう言った。


「にゃん度目なのにゃ?その胸・・・

 やっぱりもぐ方が世の為、人の為なのにゃっ!」

「どうして私の胸が危険物扱いなのよっ!」

「私がにゃん度もにゃん度も死にかけたからなのにゃぁぁぁっ!

 シャァァァァっ!シャァァァァァっ!」


セルカは四つん這いになり、イリアを威嚇しはじめた。

「って言うかっ!どうして起きてたのに、目を覚まさなかったのよっ!」

イリアの言葉に、セルカはミランダを見てしまった。

そしてイリアはセルカの視線を追うようにミランダを見ると・・・


「あっ、やばっ!」そう言って、身を翻し逃げようとしていた。

「ミランダさんっ!」

怒気を纏ったイリアの声に、ミランダは体を「びくっ」とさせると、

慌てて振り返り、頭を掻きながら言い訳を始めた。


「あっはっはっ・・・えっと・・・ですね?

 これは~・・・し、しん・・・か・・・そうっ!神界ジョークですっ!」

ミランダの言い訳に、セルカまでも冷たい表情でミランダを見ていた。

「それ・・・まさか言い訳・・・とかじゃないですよね?」

イリアの言葉にシーンと静寂が埋め尽くしていく。


「・・・・あはははは」

もう笑うしかなくなったミランダは背中を見せ逃走すると、

それを追いかけるイリアの姿がそこにあった。


「おい、駄犬・・・無事で何よりなのにゃ」

木の陰から様子を見守っていた白斗とアンナは照れくさそうに出てきた。

「なんや・・・気付いとったんかいな?」

「当たり前なのにゃ、駄犬の辛気臭い気配にはうんざりするのにゃ」

「うるさいわ、ボケっ!」


いつもの言い合いより、少しトーンダウンしている二人。

それはお互いに足を引っ張ったという現実が二人をそうさせていたのだった。


白斗はアンナの肩から瞬間移動でセルカの肩に乗ると・・・


「駄犬・・・い、いつ目覚めたのかにゃ?」

「イリアはんが、青い炎を鎧に変化させるくらいから・・・やな」

「にゃ~・・・無事で良かったのにゃ」

「ね、猫娘も・・・な。それとな?・・・

 足引っ張ってしもうて・・・すまんな」

「それは言いっこなしなのにゃ。私も同じなのにゃ」

二人の視線は逃げるミランダと追いかけるイリアを見つつ、

表情を崩さずに話していた。


(せ、聖獣様とあんなにお話出来るなんて・・・)

そう思いながら、アンナは白斗とセルカが話す様子を見ながら、

聞き耳を立てていた。

薄暗くなってしまったこの癒しの森に、漸く安らぎが訪れた。



そしてここは神界にある、神獣達や妖精達が住まう狭間の空間・・・

ラウルが用意したモニターから、

癒やしの森での戦闘の一部始終がそこに映っていた。


「ふぅ~・・・」

息を吐きながら座ったまま背伸びをする悠斗。

「まぁ~何とかなったから良かったけどさ?見ていてハラハラしたよ」

ラウルもまたそう言いながら、息を深く吐いていた。

「そうですわね?あの子達を成長させるのはいいのですが、

 ちょっと過酷過ぎたのではありませんか?」

ミスティはそう言って視線を悠斗に送ると・・・


「まぁ~流石に焦る場面もあったけどさ?

 あの二人が、本気で俺について来たいのであれば・・・ね」

悠斗はそう言うと、紅茶で喉を潤していた。


「気持ちはわかるけどさ~?僕もちょっと過酷だと思うよ?

 それにそんなに急がなくてもさ?」

ラウルとミスティは二人で頷き合っていたのだが、その他の神達は違っていた。

それに気付いたラウルは・・・


「えっ!?そう思っているのって・・・僕とミスティだけなのかい?」

「あ、あなた達・・・そうなの?」

ラウルもミスティも驚きが隠せなかった。

そんな二人の問いにアリエルが先に答える。


「二人共、ユウトと共に・・・そうなれば、危険が必ず付き纏う。

 これくらいの試練を乗り越えられないようであれば・・・

 と、私はそう思うわね」

「我もアリエル殿と同意見です。あの二人は・・・いえ、イリアに至っては、

 師匠に甘え過ぎる場面を幾度か見た事がありますので、

 あれくらいの壁を乗り越えてもらわないと、後々足手纏かと・・・」

「そうね・・・確かにイリアって子には、そういうイメージがあるわね?

 剣の腕もまだまだ未熟・・・私が鍛えあげたいですね」


アリエル、オウムアムア、アマルテアの三人が、それぞれ同意見だった。

それでも二人は「いきなり厳しすぎる」と言い、

神達で口論となっていた。


紅茶を飲みながら、悠斗と神獣達はその様子を眺めていた。

「ユウトちゃん、実際貴方はどう思っているのかしら?」

「ん?俺はさっき言った通りだよ?」

「そうなの?」

「ああ、俺に着いて来るのなら・・・って思うしさ。

 それに素質があるのに、怠けているのはちょっと・・・ね?」

するとウンディーネが話に入ってきた。


「ユウト様?イリアさんは力に目覚めたからいいとは思いますが、

 これではセルカさんに劣等感が生まれてしまう恐れが・・・」

「んー・・・。俺は別にセルカの心配はしていないよ?」

「えっ?それってどう言う意味なの?」

「はい、私もプロキシオンと同意見です。説明を求めます」


悠斗は一気に紅茶を流し込み、カップをテーブルに置くと話を始めた。

「イリアの場合は完全に怠慢だった・・・ただそれだけなんだけど、

 セルカはさ?あいつはかなりの努力家なんだよね~♪

 それにさっき映っていた、セルカの攻撃を見たろ?」

「え、えっと~確か・・・何だったかしら?」

「瞬影双剣・・・ね」

「ああ~それよ、それっ!」

「イリアの技・・・碧爆斬は未完成なのに対し、

 セルカの技は完成されていた。しかもさ、俺と行動していても、

 その努力を永続出来る力を考えるとね」


悠斗の言葉に二人も頷くのだが・・・

「でもユウトちゃん、イリアちゃんの方が素質は上なのよね?」

「・・・私も同意見です」

「あははは、二人共~一体セルカのどこを見ていたんだよ?」

悠斗が大笑いしながら二人にそう言うと、ラウル達もまた悠斗に視線を集めた。

その視線に少し焦りながらも、悠斗はラウルにお願いし、再生してもらった。


一通り記憶された映像を見直すが、セルカに変わった様子が見受けられなかった。

ラウルは少し首を捻りながら再び再生すると・・・


「ああ~っ!そう言う事なのかっ!」

モニターのリモコンを持ったまま勢いよく立ち上がると、

悠斗の顔を見てこう言った。


「・・・悠斗君っ!ズバリ・・・スピリットだね?」

「正解♪」

二人の話に全員が戸惑いを見せ、ラウルからリモコンを奪うと、

何度も再生して見ていた。

だが・・・

「私には・・・分からなかったですわ」

ミスティは見つける事が出来なかったのを悲しんでいた。

「ユ、ユウトちゃん・・・一体どこに映っているのよっ!」

「我にも・・・残念ながら・・・」

「私にも、見えん」

「師匠~・・・全然・・・見えません」

他の神達には見つける事が出来なかったのだが・・・


「ユウト様・・・納得致しました」

表情がわからないウンディーネなのだが、

何故か嬉しそうにしていたのが分かった。

「あの虹色に輝くスピリットって綺麗だよね~♪」

そう言って嬉しそうにする悠斗の言葉に、全員が身を乗り出した。


「どっ、どっ、どっ、どう言う事なんだいっ!悠斗君っ!」

「悠斗さんっ!虹色と言うのは本当なのですかっ!」

ラウルやミスティが興奮する姿に気圧されながらもその質問に答えていく。

そして説明が終わると、最後にこう言った。


「ラウル・・・流石にお前になら、あの虹色が見えるだろ?」

ラウルは顔をしわくちゃにしながら涙を流した。

「ぼ、僕には・・・そんな詳しくは見えていないんだよぉぉぉっ!

 僕は創造神なんだぞぉぉぉっ!どうして悠斗君の方が見えるんだよぉぉぉっ!

 まるで・・・そう、まるで悠斗君の方が神に相応しいみたいじゃないかぁっ!」


今までラウルの言葉に相槌を打っていた連中が、

何故かその時だけ反応を示さなかった。

「えっ?どういう・・・こと?えっ?えっ?み、みんなまさか・・・

 まさか本当にそう思っているんじゃっ!」

急に焦り始めたラウルに助ける者など現れなかった。

そんなラウルを気の毒に思った悠斗は、話を続ける事にした。


「虹色って何かあるの?」

するとウンディーネが挙手をして答えた。

「ユウト様、虹色のスピリットとは、

 次の世代となる神が宿るスピリットなのです」

「ま、まじか・・・」

「はい、ですから私達四大精霊よりも数段格が上になる存在なのです」

「セルカ・・・っぱねぇーなっ!」

悠斗はセルカの成長と可能性をとても楽しみにする事にした。


そして、セルカの話やイリアの話が一段落すると・・・

「これでユウトちゃんも安泰・・・って訳ね?」

プロキシオンの言葉に、まだ落ち込んでいるラウル以外全員が頷いた。

「えっ?安泰って・・・

 俺的にはやっかいな問題を抱えて困っているんだけど?」

悠斗の言葉に全員が首を捻った。


「ユウト・・・このメンツに問題があるって?」

アリエルの疑問は全員の疑問だった。

「あるよ?一番困った問題が・・・ね」

(本当は2つ・・・なんだけどね。やれやれ・・・)

そう言うと溜息を吐き頭を抱えていた。


「すまないが・・・我々にはその問題に検討がつかん」

「え~っと・・・その問題ってさ・・・白斗の事なんだよね」

「「「「「「白斗ーっ!?」」」」」

「す、すまないがユウト・・・説明してもらえるか?」


代表してアリエルが悠斗に説明を求めるのだが、

悠斗がかなり面倒臭そうな顔をしていた。


「ユ、ユウト・・・面倒臭いのは・・・わ、分かるっ!

 分かるんだけどな?そ、そこを何とかって・・・頼んでいるんだが?」

「・・・分かったよ。ふぅ~」

悠斗はふか~く溜息を吐くと、何故白斗に問題があるのかを説明していった。

とてもとても面倒臭そうに・・・。


ラウル ・・・ イリア君の覚醒・・・そしてセルカ君の可能性・・・

ミスティ ・・・ イリアさんは覚醒しましたが、セルカさんの覚醒もまた・・・

ラウル ・・・ そうだね~♪本当に悠斗君の仲間達はすごいよね?

ミスティ ・・・ はい♪本当に今後が楽しみですが・・・

ラウル ・・・ どうしたんだい?

ミスティ ・・・ 白斗の事が心配ですわね?

ラウル ・・・ 確かにそうだね。まぁ~大丈夫だとは思うけどさ・・・

ミスティ ・・・ 今後の展開も気になりますので、録画はしていきませんと♪

ラウル ・・・ 本音はそこ・・・なんだね?

ミスティ ・・・ はい♪

ラウル ・・・ ははは・・・



ってなことで、緋色火花でした。

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― 新着の感想 ―
[一言] 色々話が複雑になってきたので、こういう解説シーンもありがたいですね♪ セルカが今後意外なレベルに成長するのは楽しみです。 たいてい主人公の成長に周囲は置いていかれて、 ただ応援するだけの…
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