104話 もう一体の黒い生物
お疲れ様です。
ストックが・・・ヤバイ事になっていますが、
今後とも頑張りたいと思っている今日この頃ですw
まぁ~ヤバイと、言うか・・・ないんですけどねw
それでも頑張りたいと思います^^
さて・・・104話です。
今回はイリア達のお話ですので、楽しんで頂けたら幸いです^^
ブックマークや感想など、宜しくお願いします^^
モチベーション上げたいのでw
それでは、104話をお楽しみ下さい。
悠斗と神達は紅茶を飲みながら、事の詳細を話していった。
その詳細を聞いたプロキシオンは、やはり驚いていた。
「それではやはり、神力も魔法も・・・?」
「ああ、君達では歯が立たなかった・・・のではなく、
我々神達もまた、歯が立たなかったんだよ」
ラウルの言葉を噛み締めながらも、対抗手段がない現実に顔を歪ませた。
それを見ていた悠斗はプロキシオンに声をかける。
「なぁ~プロキシオン?対抗手段がない訳じゃないよ?」
「でもそれって・・・ユウトちゃんだけが苦しくなるんじゃ・・・?」
「ま、まぁ~・・・今のところはね?それと後一つ・・・思っている事があるんだ」
「ユウトちゃん?思っている事って?」
悠斗は少し険しい顔をしながらプロキシオンの問いに答えた。
「あいつらって、お互いを食い合う事ってないのかな?
って言うか・・・吸収したり融合したり・・・とかさ?」
その答えに神達も険しい顔になった。
だが、そんな神達を見ながらも話を続けていく。
「もし、それらが出来る可能性があるのなら・・・
核ってヤツはどうなるんだろ?最悪、増える可能性があるよね?」
「悠斗君、つまりそれって・・・」
「ああ、一つの核を斬っても、それで終わらないって言う可能性があるんだ」
「・・・・・・・」
あまりの内容に深刻な表情を浮かべる面々に、
悠斗は頬を「ポリポリ」掻きながら困っていると、オウムアムアが口を開いた。
「神獣殿?そう嘆く事も御座いませんぞ?
我々が師匠から、「気道」を学べば良いのです」
その言葉に光明を見たプロキシオンは悠斗の手を力強く握り締めた。
「ユウトちゃんっ!その気道という技は、私達にも習得出来るのかしら?」
光明にすがりつく思いで、プロキシオンは悠斗に懇願すると・・・
「んー・・・正直分からない。だけど望みがない訳じゃないんだ」
「師匠っ!それは誠ですかっ!」
「ああ、前に岩場の聖域で槍の構えや基礎錬をやった時の事を覚えているか?」
「はいっ!忘れるはずも御座いませんっ!」
「あの時・・・お前が俺に突っ込んできた時にさ?
お前の体から、気が漏れ出ていた事があったんだよ」
悠斗にそう聞かされたオウムアムアは椅子から勢いよく立ち上がると、
悠斗の前に行き、片膝を折って頭を垂れた。
「師匠、是非っ!我に気道の伝授をっ!」
「いや、だから~・・・俺は少し休みたいんだってばっ!」
悠斗はそう言いながら、視線をラウルに向けた。
するとラウルは突然悠斗から視線を向けられ紅茶を吹いてしまった。
「ぶはっ!な、何だい?ゆ、悠斗君っ!びっくりするじゃないかっ!」
「なぁ~ラウル?俺ってば、気ままに自由に生きていいって言ったよね?」
少し殺気が漏れる悠斗に、ラウルの顔から汗が流れた。
「あ、ああ・・・い、言ったけど・・・さ」
「・・・何?」
「言ったけど・・・でもさ?」
「でもさって・・・何?」
悠斗から怒気が見え始めた頃、ミスティが割って入った。
「ふふふ♪悠斗さん?駄目ですわ・・・そんな怒気を漏らしては♪」
「・・・まぁ~良いんだけどね?でもさ?ちょっと働きすぎだと思うんだけど?」
「確かにそれはそうなのですが・・・」
「この状況って労働局は許さないよ?」
「労働局って・・・?」
ラウルは現れた時、悠斗に鑑定を使っていたのだが、
悠斗の心や体は疲弊していた事に気付いていた。
(悠斗君の状況はわかっているけれど・・・でも一体どうすればいいんだ)
ラウルはこの状況下である以上、どうする事も出来ない現実に苦悩していた。
しかしそれはラウルだけではなく、
一緒にこの戦いを乗り切ったプロキシオンやウンディーネにも言えた事だった。
「ねぇ、ラウル様?ユウトちゃんにお休みを頂けませんか?」
まるで悠斗の母親のように懇願してくるプロキシオンに、流石のラウルも苦悩した。
「気持ちは分かるっ!分かるんだけどさ?でもヤツらがどう動き出すか、
こちらとしても悠斗君を休ませたい。だけど遊んでいる訳にもいかないんだよ」
「ほ~・・・ラウルよ?どの口がそれを言うのだ?
貴方はスノボーとやらで、遊び呆けていたではないか?」
「うっ!そ、それは・・・あははは」
アリエルの攻撃に言葉を詰まらせると、言い訳を始める創造神がそこに居た。
ミスティ含め、全ての者がラウルの怠慢に嘆いていた。
悠斗は苦笑しつつも違う事を考えていた。
(あいつらに何もなければいいけどな~・・・一応保険もあるけどさ)
そう思いつつ、悠斗は長い銀髪をなびかせた女神を思い出していた。
そしてその頃、癒しの森周辺では・・・
「み、みんな、もう少しよ・・・」
イリア達が身体強化を最大限に使用し、
目的地である癒やしの森まで後わずかな距離まで迫っていた。
イリアと白斗、そしてセルカともう一人・・・
「み、見えた・・・わ・・・」
癒しの森まで馬車で飛ばして5時間の道のりをわずか2時間ほどで駆け抜けた。
その間、ポーション類を使用し此処まで乗り切ったのだった。
「ほんまやったら、岩場の聖域から来たほうがええんやけどな・・・」
そう漏らす白斗の視線の先には、サウザーの妻であるアンナが居た。
「ほ、本当に・・・はぁはぁ・・・ごめんなさい。
はぁ、はぁ・・・わ、私が着いて行くと言ったばかりに・・・」
一同は愛想笑いをするので精一杯で、笑うだけの体力は残っていなかった。
そしてイリア達が癒しの森の手前に到着すると、白斗により回復魔法で復活する。
「ほんまにお疲れさんやったけど、本番はここからやで?」
「そうだにゃ・・・ここからが大変なのにゃ」
森へ侵入すると同時に、襲ってくるであろうフォレストウルフ達に、
警戒しなければならなかった。
その言葉を聞いたアンナは、装備を預けていたイリアから受け取ると、
装着し、久しぶりにその感触を確かめていた。
「うふ♪この感じ・・・久しぶりね♪」
アンナの顔が綻んでいる様子を見ていた白斗は注意を促した。
「アンナはん?あんさん実戦は久しぶりなんやろ?
気をつけな~大怪我しまっせ?」
「わ、わかってますよ~聖獣様、引退してそれなりの年月が経ってますけど、
これでも私は日々、トレーニングはかかした事はないのですよ?」
少し拗ねながらも心配ないと答えるアンナにイリアもまた注意を促した。
「アンナさん?トレーニングはトレーニングですからね?
実践の感覚が戻るまでは、あまり無茶しないでくださいね?」
「もうっ!イリアさんまでっ!」
「にゃはははっ!自分の身は自分で守るのが基本なのにゃ♪」
新人扱いされるアンナが拗ねる中、セルカは通信用の魔石で悠斗に連絡を入れる。
だが、悠斗から返信どころか通じている雰囲気すらなかった。
「にゃ?ユウト様と連絡とれないのにゃ?」
「私も試して見るわ・・・」
イリアも通信用の魔石を取り出し試すがセルカと同様、通じなかった。
「ねぇ、白斗?」
「ほいほい、ワシが念話を送ってみますわ」
そう言って森の中に入って行くのだが、癒しの森の変わりように一同は固まった。
「な、なんでんの・・・これ?」
「動物の死骸だらけにゃのにゃっ!」
「・・・この森で一体何が起こっているのよ」
動揺が隠せないイリア達とは違い、一人冷静に辺りを調べ始めたアンナは、
イリア達に落ち着くよう伝えた。
「みんな少し冷静になりなさい、今は状況を把握する事が先決でしょ?
驚くのは後にして、気配察知と鑑定を使いなさいっ!」
元S級冒険者だけあって、冷静に状況を把握し、イリア達に指示を与えていく。
「にゃ?」
セルカは気配察知を使用すると、ゆっくりとこちらに向かってくるモノを捕らえた。
「み、みんな?・・・にゃにかがこっちに向かってくるのにゃ・・・」
「何かって?」
アンナとイリアは鑑定を進めながらセルカに聞くと・・・
「にゃ、にゃにか・・・ヤバイ気がするのにゃ・・・」
喉を「ゴクリ」と鳴らしながら、セルカに緊張が走る。
セルカの様子を見た白斗は瞬間移動を使用し、セルカの肩に乗ると・・・
「こ、これって・・・な、何や?」
白斗の緊張した声に、流石のイリアもセルカの元へ駆けつける。
「みんな・・・戦闘体制よ」
イリアの声にアンナはガントレットの装着帯を締め直すと、呼吸を整えた。
「確かにこの雰囲気・・・尋常じゃなさそうね?」
そう言って、イリア達の横に並ぶとアンナは静かに構えた。
「ガオーンっ!」と吠えながら、一匹の黒く染まった狼がイリア達を突然襲った。
「散開っ!」
アンナの指示で全員がその場から飛び退く。
「なんなのにゃっ!こいつはっ!」
「・・・今まで見た事ないわね」
「なんやよう分からんけど、こいつはヤバイでっ!」
「いい?無茶せず見極めるのよっ!」
「ウゥゥゥ」っと、唸る黒い狼にイリア達は距離を取り観察する。
黒い気配が周りを包み込み、イリア達にプレッシャーを与えていくと・・・
「来るでっ!」
白斗の声にイリア達全員が緊張を走らせ、黒い狼は低い体制のままイリアに突っ込んできた。
「はぁぁぁっ!」
イリアは気合とともに、狼にロングソードを振りかざすも、その機動力に空振りに終わる。
サイドステップで交わした黒い狼は着地すると同時にイリアに再び襲いかかるのだが、
「ガキンっ!」と、鈍い音と共にイリアから距離を取った。
「か、硬いわ・・・ね」
アンナはそうつぶやくと黒い狼を睨んだ。
イリアに再び遅いかかった瞬間、アンナは黒い狼の腹に渾身の一撃を放つが、
その硬い毛と皮に阻まれ、ダメージを与える事ができなかったのである。
「た、助かりました、アンナさんっ!」
「そういうのはいいから・・・集中しなさいっ!あの体毛や皮膚は尋常じゃないわ」
「はいっ!」
アンナの言葉を聞いたイリアは・・・
「見てなさいよっ!」
剣を正眼に構えると、目を閉じ意識を集中して青い炎に語りだす。
「青い炎よ・・・私に力をっ!」
イリアの願いに応えるように出現した青い炎は・・・
「青き炎よっ!我が剣に纏て力となれっ!」
その様子を見ていた黒い狼は「ウゥゥ」っと、唸ると視線をセルカに移した。
「猫娘っ!今度はこっち狙ってるでーっ!」
「わかってるのにゃっ!特訓の成果を見せるのにゃっ!」
そう言うと、セルカも体制を低くするとこうつぶやいた。
「瞬身」
そうつぶやいた瞬間、駆け出したセルカは黒い狼の背後を取ると、
腰に装備された双剣を抜き、左右同時攻撃を放つ。
「「ガキンっ!」」と、二人の鈍い音がすると、その硬さに顔をしかめつつ後退した。
「か、硬いのにゃ・・・」
全員が全く攻撃が通らない相手に衝撃を受けながらも、黒い狼の攻撃に備えた。
すると、今まで目の前に居た黒い狼は、突然目の前から姿を消した。
「あ、あれ?」
「居ない・・・?」
「ど、どこなのにゃ?」
三人が瞬時にして姿を消した黒い狼に驚き、呆然と立ちすくんでいると・・・
「危ないっ!」
白斗の声に全員がその身を「ビクッ」と震わせた瞬間、
「ガキンっ!」と、アンナの真横で強烈な音が響いた。
「なっ、・・・」
言葉を詰まらせたアンナの目の前には、白斗によって攻撃を防がれた、
黒い狼の姿がそこにあった。
「なっ、・・・・せ、聖獣様・・・感謝します」
「そんなんええからっ!何か手を打たなジリ貧でっせ!?」
「手をって言われても・・・」
戸惑うイリアの頬には汗が流れていた。
黒い狼はイリア達を観察するように視線を動かしていく。
すると・・・
「・・・オマ・・・エタチ・・・スグ・・・シヌ」
「「「「!?」」」」
突然しゃべった黒い狼に驚愕した。
驚愕する中、セルカの肩に乗る白斗は、ドスの効いた声で話した。
「お前・・・何モンや?」
「ワレ・・・は・・・グゥ・・・グググググ」
突然苦しみだした黒い狼は体を震わせると、その体の中から触手が飛び出し襲ってきた。
驚きつつもその攻撃に対応しその触手を切り落としていく。
「これは斬れるみたいね・・・」
そうつぶやいて安心したイリアに無数の触手が襲いかかる。
「ちぃーっ!」
そう舌打ちしつつ触手を切り落としていくが、全てに対処出来る数ではなかった。
そしてその触手の攻撃はイリアの脇腹や足にダメージを与えるのと同時に・・・
「あ、あれ・・・?」
突然片膝を地面に付けたイリアに、セルカ達も驚いた。
「どうしたのにゃっ!」
「イリアさんっ!」
「どないしてんっ!」
イリアは突然力が抜けた体を必死で立ち上がらせようとした。
「な、なんで?!」
訝しい顔をしたイリアを見た白斗は回復魔法をかけつつ鑑定すると・・・
「イリアはんっ!魔力が抜かれとるっ!」
「えっ?!」
力を振り絞り立ち上がると、剣の青い炎が消失していた事に驚いた。
「・・・・・・どうして?」
その言葉にアンナが答えた。
「恐らく・・・魔力をアレに吸われたのね」
アンナの言葉に驚くイリア達だった。
ラウル ・・・ あ~・・・僕の出番終わっちゃった・・・
ミスティ ・・・ ラウル様は贅沢ですわね?
ラウル ・・・ そうかい?そう思うのは神として当然でしょ?
ミスティ ・・・ またそんな事言っていると・・・放出されますわよ?
ラウル ・・・ ほ、放出って何にさっ!スポーツじゃあるまいしっ!
ミスティ ・・・ ふふふ♪ 神界からも・・・放出・・・ふふふ♪
ラウル ・・・ この神界に革命家がいますよぉぉぉっ!!神様ーっ!!
ってなことで、緋色火花でした。




