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異世界転移 ~魔を狩る者~  作者: 緋色火花
第二章 港町・アシュリナ編
122/404

102 話 悠斗の怒り 後編

お疲れ様です。


今回は102話・・・悠斗の怒りの後編ですね。

なんとか終わらせる事が出来て良かったですw


今後とも応援のほど、宜しくお願いします。



それでは、102話をお楽しみ下さい。

黒い液体は、熱と毒を宿し生きている自分の細胞をかき集めるように

「ズルズル」と、動き回っていた。


「お前・・・何故俺から力が吸えないのか、ずっと疑問に思っていたんだけどさ、

 ・・・俺が身に纏っている気に対応出来ないんだろ?」

「ギュルギュルギィィィ」


黒い液体は悠斗の言葉に、どことなく悔しそうな声を出した。

「この世界には、気道がないもんな~・・・」


悠斗は一度目を閉じると、マジックボックスからロングソードを2本取りだすと、

構えると同時に目を開いた。


「コオォォォォ」っと、悠斗の呼吸音が変わる。

「気道・瞳術・鬼眼(きがん)」そうつぶやき、悠斗の瞳の色は真っ赤となると、

その瞳からは、赤い煙のようなモノが目尻から、「ゆらゆら」と湧き出ていた。


そして悠斗は、ロングソード2本に気を纏わせる。

「気刃剣」

悠斗はゆっくりと黒い液体に向かって歩みだす。

「お前・・・自分の核を自在に移動させる事が出来るんだろ?

 首を落とした時、違和感があったんだ・・・なぁ・・・そうだろ?」

「ウギュルギギィ・・・」

そう声を漏らす黒い液体の感情は、もはや悠斗にはどうでもよかった。


黒い液体は何かを訴えつつも、今ある自分の体を集め人型へと変わってく。


その様子を見た悠斗は、歩みながら剣を目の前で投げて浮かせると、

剣を逆手に持ったと同時に駆け出した。

そして、全てが一瞬だった。


プロキシオンとウンディーネは一瞬の出来事に押し黙ってしまった。

悠斗は黒い液体が人型を形成する前に「ピシッ」と、小さく音をたてると、

そのまま地面へと崩れていった。


「ユ、ユウトちゃん・・・一体何をしたの?」

「どうやって・・・」

プロキシオンもウンディーネも疑問を口にするのがやっとだった。

悠斗は4つに割れた核を拾い上げた。

「・・・何とかなる・・・かな?」

悠斗は鬼眼を解除すると黒い液体の核を見つめた。


そして気刃剣の力を解放すると、2本のロングソードはパラパラと、

まるでプラスチックのような音を立てて、地面に落ちていった。


悠斗はプロキシオン達に向き直ると、先程の質問に答えて行く。

「えっと、俺の瞳術であいつの核の場所を見つけて、ただ速く斬っただけだよ?」

「「えっ?」」

二人は事もなさげに話す悠斗に顔を引きつらせた。


「さっきのあの赤い目で見極めたの?」

「はい、この瞳術は人には見えないモノが見えるようになる術なんです。

 でもまぁ~多用する術でもないし、負荷が大きいのであまり使いたくないんですけどね」

そう言いながら笑う悠斗に、苦笑するしかなかった二人だった。


すると悠斗はウンディーネに神水で目を洗わせてもらうと、

その場に座り込み一息ついた。

「ふぅ~・・・」

「ふふ、ご苦労様でした♪」

「ユウト様、お疲れ様です」

「有難う♪」

(・・・今度はアレを使ってみるかな?まだ未完成だけど・・・)

そう笑顔で答える悠斗だったが、すぐに真剣な眼差しになり、二人に話を聞いた。


「で・・・?後、もう1体は?」

そう二人に聞く悠斗だったが、二人の表情はとても曇っていた。

「そ、それなんだけど・・・」

「じ、実は・・・この空間に居るのは確かなのですが・・・」

とても言いにくそうにしている二人に悠斗は問い正す。


「ちゃんと説明してもらえる?それと・・・此処ってどこ?」

「こ、ここは・・・ね?神界と人間界の狭間の場所なの」

「狭間の場所って・・・何それ?」

首をひねる悠斗にプロキシオンは説明していく。


「この湖の向こう側って、霧で見えないでしょ?

 その理由は、私達・・・つまり、神獣や大精霊達が訪れる事を許されている場所。

 霧で見えない場所は、いくら私達でも許されないし、認識すら出来ないの」

「・・・なんだか面倒臭い場所なんだね?」

「ふふ♪そうね?でも、此処があるから、私達も生きられる・・・

 そう言っても過言じゃない場所なのよ?」


話を聞いた悠斗は、似たような話を思い出していた。

「あ~・・・オウムアムアや白斗と同じなのか・・・?」

「はい、ユウト様。私達四大精霊も、たまにここに戻らねば

 いずれは死んでしまうのです」

「・・・ただの聖域じゃダメって事なのか・・・面倒臭いな~」

「はい、私達が認識出来ないって事は、私達が訪れられる範囲にはいないかと・・・」

「まじか・・・それはやっかいだな」


悠斗は少し考えると、ウンディーネに通信用の魔石セットを渡した。

「説明はプロキシオンにでも聞いてくれ、俺は追跡用のとっておきで、

 ヤツを追ってみます。

 あっ、その前に俺のこの魔石にウンディーネの魔力を流してくれる?」


ウンディーネは頷くと、魔石に魔力を流していった。

「有難う、じゃ~とりあえず俺は追ってみますので、何かあったら呼んでください」

「分かったわ、気を付けてね、ユウトちゃん」

「ユウト様、ご武運を・・・」


悠斗は少し二人から離れると、4つに割れた核に気を流し込む。

(さてっと・・・日本に出る魔のようにいけばいいんだけど・・・)

日本で魔を取り逃がした時、よく使われる追跡法を試す事にした。


悠斗は折り紙に自分の血で「探・鳥」の文字を書くと、

4つに割れた核の1つを乗せ、剣印を結び術を発動させる。


「式神・早探鳥(そうたんちょう)急急如律令」

剣印を折り紙に突き出し息を吹きかける。


(あ、あれ・・・?やっぱり発動しないか・・・)

悠斗は頭を掻きながら折り紙を取ろうとした時・・・

「おお~・・・やった・・・焦った♪」

息を吹きかけた折り紙は見る見るうちに鳥型に変異すると、

悠斗の目の高さまで飛び上がり指示を待っていた。


「いいか?その核に連なるモノを追えっ!」

「ピィーっ!」と、鳴くと方向を変え悠斗を案内していく。

「行けるみたいだな・・・」

悠斗は薄く笑うと、早探鳥が案内する方向へ駆け出したのだった。



そしてその頃・・・

悠斗達とは別に、ある場所で痕跡を調べる者達がいた・・・


「なぁ、アリエル?何か目新しいモノはあった?」

「いや・・・ないな?本当にここで見たのか?」

「ええ、多分・・・だけど・・・」

「頼りないわね・・・」

「我も何も見つけられません・・・」


ある場所で痕跡を探して居たのは、

魔法神アリエル、剣神アマルテア、亜神オウムアムアだった。


「なぁ~アマルテア?これ以上探して見つからないって事は・・・」

「そうね・・・私の勘違いだったのかしら?」

「御二方、この霧の向こうは探さなくて良いのですか?」

「ん~そうね・・・そっちは別にいいんじゃない?」

「ああ、神獣や精霊達の居場所に我々が関わる必要はないでしょ?」

「分かりました」


三人は一度戻ろうとした時、この霧を突破してくる異物のようなモノを感じた。

「感じたかっ!?」

「ええ・・・これって・・・」

「我も感じた・・・危険だ」


危機を察知した三人はその場所へ急行すると・・・

「これはなんだっ!?」

「・・・何よ、このトロールはっ!」

「御二方、驚いている場合ではありませんぞ?」

「「分かっているっ!」わよっ!」

「う、うむ・・・」


三人は黒緑色したトロールを見ると、戦闘態勢を取った。

「私から行くっ!」

「オウムアムアっ!左右から同時に行くわよっ!」

「承知っ!」

アリエルが風魔法でトロールの胴を切り裂きにいったが、

その魔法はトロールの体に当たると同時に消滅した。

「馬鹿なっ!消滅って・・・」

アマルテアとオウムアムアは、アリエルの魔法が消滅したのを目撃したが、

お構いなしに左右から剣で凪に行く。


「「ズバっ!」」と、切断したかに見えた二人の攻撃は、

斬った瞬間から再生が始まった。

「・・・さ、再生?」

「・・・どういう事なのだ?」

三人は明らかにおかしい再生に動揺しつつも攻撃を繰り出していく。


「・・・すぐに再生だなんて・・・」

「ぐぅ・・・我に打つ手が・・・」

「ここではでかい魔法がっ!」


そう、この場所は神界樹のある場所、それ故に大きな魔法が放てなかったのだ。

「ど、どうするのよっ!」

「我が何度斬っても再生してしまう・・・」

「・・・それでもやるしかないわっ!神界樹に被害が及ばないようにするしかないっ!」

アリエルの提案を苦渋の思いで受け入れるしかなかった。


「トロールの攻撃など、どうと言う事はないのに・・・」

アマルテアがそう言って、唇を噛み締めた時・・・

一瞬目を切り隙が生まれると、そのトロールは口から黒い液体を吐き出した。


すると、アマルテアの足元にその液体が吐き出されると・・・

「ジュッ!」と、音を立てて黒く変色し溶け出した。

「こ、これはっ!」

嫌な匂いと緑の大地が黒く変色し溶けていく。

「アマルテアっ! 足の防具を脱げっ!」

アリエルの叫びにアマルテアは自分の足の防具を見ると・・・


「なっ!」

言葉を詰まらせつつ左足の防具を脱ぎ捨てた。

神器である防具が黒く変色し溶け出した。

「ばっ、馬鹿なっ!神器なのよっ!?」

「アマルテアっ!下がってっ!」

アリエルの指示に後方へ飛び退くと、アマルテアは再び唇を噛み締めた。


「もらったっ!」

アマルテアが注意を引きつけた隙を狙い、オウムアムアが背後から槍でトロールを突き刺した。

「ドスっ!」と、鈍い音が槍を伝い感じられたオウムアムアは「ニャリ」と笑うと、

同じ攻撃を数回繰り返した。

「うむ、この攻撃ならばっ!」

するとその攻撃で穿たれた穴から黒い液体が染み出してきた。

「ならばっ!」

そう言い放ちつつ真上から槍を振り下ろす。

「・・・終わったな」

そう言い捨てるも、オウムアムアの攻撃での傷が見受けられなかった。


「・・・な、何故だ」そうつぶやいた時、オウムアムアに尖った黒い液体が襲ってくる。

(ま、間に合わぬっ!)

腕をクロスし防御姿勢を取るも致命傷は必死だった。


「ピィーっ!」と、激しく鳴く何かが聞こえた時、

「ザザァァッ!」と、着地し何者かがオウムアムアの前に立ちはだかると・・・

「気刃剣っ!」

そう聞こえたオウムアムアは腕の隙間からその様子を見た。

その背中には見覚えがあった。

そしてその者の剣は、黒く尖った液体を切り刻んでいく。


「し、師匠っ!」

オウムアムアの声に振り向かず答える。

「おいっ、馬鹿弟子2号っ!だらしないぞっ!」

悠斗の言葉は厳しいモノではあったが、何故か笑っているように聞こえた。

すると・・・


「おいっ!そこの剣神と魔法神っ!・・・もっとしっかり調べろっ!」

いきなり怒られてしまう二人の神は唖然としていた。

「俺がここに来るまでの間、痕跡がすっげー残っていたぞっ!

 一体何処を探していたんだよっ!」


悠斗の怒号に、「「す、すまない・・・」」と、小さくつぶやいた。


「こいつは神力を使う者や魔法を使う者達の天敵なんだっ!」

「神力にもかっ!?」

「ああ、だから下がってろっ!」


悠斗の指示で苦悶の表情を浮かべる二人の神は後退した。


「はは・・・面倒臭いな~・・・」

そう苦笑しながら「コオォォォォォ」と、呼吸音を変えた。

するとデビルトロールは悠斗の奇妙な気配に後ろへ下がっていく。


(へぇ~・・・流石ここまで来たヤツだな・・・)

悠斗はここに来るまで、

デビルトロールと闘ったであろう精霊達や神獣達の亡き骸を沢山見てきた。

「オウムアムア、しっかり見てろよ?」

「はっ!師匠っ!」


この時オウムアムアは、ついこの前会った時よりも数段強くなっている悠斗に

憧れの念を抱いていた。

(これが我が師匠。会う度強くなられているとは・・・末恐ろしいですな)

オウムアムアは悠斗の戦いを見逃すまいと凝視していた。


悠斗はデビルトロールとの間合いを計りながら、「じりじり」距離を詰めていく。

「逃さないからな?お前達は・・・絶対に許さない・・・」

悠斗は再び怒り始めたが、あの装備は出現しなかった。

何故ならあの時とは違い、頭は冷静だからである。


ここに来るまでの間に、スピリット達が悠斗にイメージを流してきてくれていたのだった。

怒りの力があの装備を呼ぶというイメージを・・・


悠斗はデビルトロールに「ニヤリ」と笑いかけると、

一足飛びに懐に潜り込み、デビルトロールの腹を斬り裂いた。

「グゥギィギィっ!」

そう悲鳴に似た声を挙げると、傷を修復しようとする。

だが、その傷は修復しなかった。


デビルトロールは再生しない腹を見つつ、両腕で傷を押さえていく。

「・・・無駄だ。お前の体に俺の気を流し込んだ。

 この世界にないモノだからな?お前達には対処できない・・・だろ?」

そう説明した悠斗は冷笑を浮かべるとデビルトロールは声を張り上げ、

逆上して悠斗を襲ってきた。


その攻撃を躱しつつ、黒い液体の攻撃も気刃剣で捌いていく。

そしてデビルトロールの攻撃に踏み込んで再び腹を薙ぐと・・・


「ピィーっ!」と、上空を飛ぶ早探鳥が警告音を鳴らした。

悠斗は気道を全身に張り巡らせると、気による防御壁を纏う。

その時、悠斗の足元から、黒い液体が悠斗をすっぽりと包んだ。


「師匠っ!」

「ユウト様っ!」

「ユウトっ!」

神達は一人を覗いて、その光景に絶望していた。

「し、しまったっ!」

アリエルはアリス・タルコスを握り締め震えていた。

「ユ、ユウト様・・・そんな・・・」

アマルテアは崩れ落ち唖然としていた。

だがしかし、オウムアムアだけは違っていた。

心配はしたものの、オウムアムアはその身を持って、悠斗の実力を知っていたからだ。


「ふっ、師匠・・・我は見ましたぞ?黒い液体が師匠を包む刹那に、

 気を体に纏っていた事を・・・」

オウムアムアの声に反応したのはアリエルだった。

「それは本当か、亜神っ!」

「うむ、我が師匠に死角なしっ!」


オウムアムアが自信を持ってそう答えた時、悠斗を包み込んだ黒い液体が溶けていく。

そしてその中から現れたのは・・・赤銅色の気を放出していた悠斗だった。


悠斗はオウムアムアと目が合うと、満面の笑みを見せこう言った。

「・・・すこーしだけ赤銅色が変異しないで使えるようになったんだ♪」

まるで子供のように笑ってそう言う悠斗に、オウムアムアも顔が綻んだ。


「さてっと・・・今度はこいつを試すか・・・」

「ニヤリ」と笑うと、悠斗は腕を伸ばし親指を立て人差し指を向けた。

つまり・・・拳銃である。


悠斗は赤銅色の気を指先に集めると・・・

「鬼弾っ!」

その言葉を発すると、指先より赤銅色の弾丸が発射され、

デビルトロールの体に撃ち込んだ。

「グゥギャィィィっ!」

撃ち込まれた場所から煙が立ち昇ってきていた。

「痛いだろ?これは俺の怒りの弾丸だ・・・お前・・・溶けるぞ?」

無表情で言い放つ悠斗に慈悲はない。


「・・・さあ、いこうか」

悠斗は自分のゲートを開けた。

「・・・三点バーストっ!」

「タンッタンッタンッ!」と、小気味よいリズムで鬼弾が発射されていく。

全ての鬼弾から煙が立ち昇ると、デビルトロールはもがき苦しみだした。


悠斗は更に冷たい目を向けると・・・

「フルオート・・・」

「ダッダッダッダッダッダッ!」と、鬼弾を連続発射させた。

悠斗は顔をしかめると人差し指から血が滴り落ちていた。

「やっぱ連続は無茶だったな・・・」

そう声を漏らしながら、デビルトロールには目もくれず背中を見せる。


「ユウト様・・・まだ終わっては?」

「いや、終わったよ?因みにあいつは移動する核を破壊しないと死なないんだ。

 だけど、溶かすと・・・まぁ~そういう訳だよ」

アマルテアに向けられた笑顔もまた、子供のような笑顔だった。


オウムアムアは完全に溶けて失くなるまで、念の為監視していた。

(うむ、師匠から未だ漏れている怒りは、とても根深いのだろうな?

 我が心配する必要はないのだが・・・しかしな・・・

 我ら神達では相手が出来ぬ・・・

 ・・・うむ、気道を師匠に教えを請うのが最善か・・・)


オウムアムアはデビルトロールの完全消滅を見届けると、

悠斗達の元へ向かうのだった。




そしてここは、雪の嵐が荒れ狂う凍土にある屋敷にて・・・


「パチパチ」と、暖炉の火が心地よい音色を奏でいた。

その凍てつく部屋の中には、長身の顎髭を蓄えた男と、

小太りの文官らしき男が酒を酌み交わしながら話していた。


「ふむ、アレは消滅したのか?」

「はっ、核の制御盤から3つの反応が消えた事を確認しております」

「うむ、まぁ、アレはまだ実験段階なのであろう?」

「はっ、しかしながら神を超えるモノだと思っておりましたが、

 アレを打ち倒す神が居るとは・・・神もあなどれない・・・ですな?」

「わっはっはっはっ!良いではないか?そうでなくてはつまらぬ故な?」


そんな話をしていると、口元をベールで隠した女性がノックをして入って来る。

「おお~サディルか・・・守備はどうだ?」

サディルと呼ばれた女性は、膝を着き礼を取った。


「はっ!ロックバル伯爵の息子は満足されているご様子でした」

「ほほ~だがな?サディルよ・・・アレはつい先刻3体ほど反応が消えたぞ?」

文官らしき男がサディルにそう告げる。


「なっ!そ、そのような事が・・・本当の事でありますか?」

「ああ、間違いない。サディルよ?ところで妹のサディラはどうしたのだ?」

「はっ、某国に潜入しております」


その男は手を顎にやり考えると・・・

「ふむ、一度あの者達と接触してみるのもよかろうな・・・」

「しかしながらっ!」

そう言うとサディルは顔を上げ懇願してきた。

その男は「ニヤリ」と醜い笑みを浮かべるとサディルにこう告げた。


「焦らずとも良い、我らは今暫くの間は力を蓄えるのだ。

 静観しておれば良いのだ・・・

 馬鹿者達が存分に踊っておるのを、儂らはただ見ておれば良いのだ。

 わーっはっはっはっ!踊れっ!愚かなる者達よっ!儂達は人を超えるのだっ!」


高笑いをする男が窓から見える凍土の白い景色に薄気味悪い笑みを浮かべるのであった。








ラウル ・・・ これでやっと黒い液体の件は片付いたね?

ミスティ ・・・ そうですわね?暫くは平穏になると良いのですが?

ラウル ・・・ 悠斗君は巻き込まれ体質だからね~

ミスティ ・・・ 何か起こらないか心配ですわ

ラウル ・・・ 君・・・それをフラグと言うんだよ?

ミスティ ・・・ し、失礼致しました。

ラウル ・・・ 本当に彼には申し訳なく思っているよ。

ミスティ ・・・ はい。



ってなことで、緋色火花でした。

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― 新着の感想 ―
[一言] ついに黒幕っぽいのが出てきましたね! しかし悠斗の成長は凄まじいですね。 100回突破にふさわしい一区切りでしたが、 ほんわかシーンが無くて寂しかったので、 次回期待しています(笑)
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