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異世界転移 ~魔を狩る者~  作者: 緋色火花
第二章 港町・アシュリナ編
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99話 正しい時間の使い方

お疲れ様です。


ふぅ~・・・どうしてこんなにも忙しいのだろうか?

いやいや、これはきっと夢に違いない・・・

本当の私は、ブラック企業ではなく、ホワイト企業に就職しているに決まっている。

ははは・・・悪夢なら・・・覚めてくれ・・・


と、思う今日この頃でした。


ブックマークや感想など、宜しくお願いします^^



それでは、99話をお楽しみ下さい。

悠斗は一人岩場の聖域を歩いて行く。

聖域に流れる風もまた少し冷たくなってきた。

それに気付いた悠斗は、ふと足を止めると・・・


「そっか・・・この国って北国だったな~・・・

 でもどれくらい寒くなるんだろ?この世界にスノシューってあるのかな?」

冷たくなってきた風を感じながら、悠斗は一面銀世界を想像していた。

一体この世界の冬はどういう光景なのかと、今から冬が楽しみだった。


因みに・・・悠斗に嫌いな季節はない。


春はぽかぽか陽気で自然の中で眠るのが好きだし、

夏は女性の服装が薄くなるし、水着が見られるので好きである。

秋は食べ物の美味しい季節で、高台から眺める紅葉は格別で、

風景だけで言うと、秋の風景が一番好きだ。

そして冬は肌を刺すほどの寒さが、生きていると実感でき、

山に入ると、全ての生命が居なくなった感覚が味わえる。

意外と、風情のある男なのだ。


止めた足を動かし、再び聖域内を散歩していく。


(この感じは久々だな~?って言うか・・・先輩はちゃんとやっているのかな?

 またきっと、大介に迷惑掛けているんだろうな~・・・

 あははは・・・まだこっちに来て数週間なのにな?

 何だか日本に居た頃が懐かしいな。

 あ~・・・それに一番弟子なっ!?あいつは・・・どうなんだろう?

 いちかに関してはもう・・・心配しかないな。

 ちゃんと修練しているんだろうか?まだまだ教えてやらないといけない事があるんだけど、

 もうそれも叶わないな。とても残念だ。

 それと俺の刀・・・ちゃんと保管してくれているかな~?

 ・・・まじで心配だ)


悠斗は日本に残してきた友人達を思い出しながら、

神水の池を横に眺めつつ先へ進む。


(あ~・・・そう言えば、父さんや母さん達は元気かな?

 ちゃんと至伝を学んでおかなかった自分が恥ずかしい・・・

 まぁ、それが俺っぽいんだけどね。

 母さんは・・・まぁ~昔から嫌われていたから別にないな~。

 後は・・・姉さん達か・・・

 あ~・・・涼華姉にはもう少し、経費を削減してほしいな?

 あの人の実験で、みんながどれだけ負担を・・・言うだけ無駄な気がするけどね。

 装備の開発は有り難いんだけどな~、ただ経費がっ!


 次は・・・沙耶姉か・・・あの人は別に死にそうにないからいいや♪

 ただ、脳筋だけは直して欲しい、世界平和の為にもっ!

 それから~貴子か・・・。ぼっちになってないか心配だ・・・まじで。

 呪いは別にいいから、友達をちゃんと作って欲しい・・・

 彼氏は・・・あ~、無理な気がする。


 そして・・・ん?誰か他に居たっけ?確かもう一人居たような・・・

 あーっ!居た居たっ!自称天才のぼっちがっ!

 ・・・別に・・・ないな・・・うんうん。ないな・・・。

 まぁ~とりあえず、みんな元気で居てくれたらいいや♪)


日本での事を懐かしみつつ、みんなの顔を思い出していた。

悠斗は寂しがっている訳ではなく、ただみんながちゃんとやれているか、

ただそれだけが心配だった。


そして悠斗は岩場の聖域の一番奥まで辿り着くと・・・

「・・・一つだけ心残りがあったな?」

そう言うと、カロンと闘った場所を見渡した。


「砕け散った岩達が、まるで墓標みたいだな・・・」

悠斗はそうつぶやきつつ、そっと地面に触れると土魔法を使い、

荒れ果てた場所を整地した。

「これでよしっと・・・俺も中々魔法が上達してきたな~♪

 まぁーほとんど土魔法しか使ってない気もするけどね・・・ははは」


悠斗は魔力制御をノーブルに来てからずっと行ってきていたのだが、

土魔法と身体強化以外の魔法をほとんど練習していなかった。

そして荒れ果てた地面から整地された地面をみていた時・・・


「・・・穂高、お前の墓参り行けなくなったな?

 ごめんな?こんな彼氏でさ・・・」

吹き抜けていく風が心地いいと感じた時、悠斗はつぶやいた。


「でもさ、なんだろ?お前が近くに居る気がするんだよね・・・

 なぜかはわからないけど、そんな気がするんだ・・・変だな・・・」


何もない空間を見つめながら、悠斗は穂高の笑顔を思い出していたのだった。

「たまにはこう、一人の時間を楽しむのもいいよな~♪

 うんうん、これぞ有効且つ正しい時間の使い方・・・ってやつだね♪」




そして此処はサウザー・アシュリナ邸・・・


サウザー達は会議を終えるとそれぞれの部屋へ戻って行った。

白斗はアイテムバッグの中の聖域へ入っていった。


セルカはイリアの様子がおかしい事に気付いて話しかける。

「にゃ~イリア?ちょっと話せないかにゃ?」

「ええ、別にまだ眠くないからいいわよ?」

そう言うと、二人はセルカの部屋で話すことになった。


二人はセルカの部屋に入ると、お茶の準備を始めていく。

「あ~そうそうっ!セルカ、アンナさんにもらったお菓子があるんだけど食べる?」

「お、お菓子っ!勿論食べるのにゃ~♪」

イリアが取り出したお菓子とは・・・


「ケーキなのにゃぁぁ~♪」

「あははは」

イリアはセルカの素直な反応は笑いつつ紅茶を出し談笑していった。

そしてセルカはケーキを堪能した後、話を切り出した。


「にゃ~イリア?」

「ん?どうしたのよ?急に改まっちゃって?」

「イリア・・・にゃにかあったのかにゃ?今日のイリアは変なのにゃ?」

イリアはセルカの気遣いに感謝していた。

「セルカのそういうところ・・・私は好きよ?ありがとね」

「にゃ?私で良かったら相談に乗るにゃよ?」

「そうね・・・一人でウジウジ考えていてもしかたがないわね?」

「そうなのにゃ~その為の仲間であり、友達なのにゃ♪」


いつもと変わらないセルカの態度に苦笑しつつ話していく。

「そうね・・・何から話していいのかわからないんだけどね?

 私の価値観を他人に押し付けていた・・・まぁ~簡単に言うとこんなところね?」

「にゃ~・・・でもそれは誰にでもある事にゃ?

 イリアどうしてそう思ったのにゃ?」

「んー。私はきっと、仲間達の事がショックだった・・・それは確かだと思うんだけど、

 それだけじゃなくて、仲間だと思っていた人に、違う反応をされてね?

 それが一番のショックだったの」


セルカはそう話すイリアの表情を見た時、心が痛くなった。

「にゃ~イリア?私も最初みんなと出会った時そう思ったのにゃ」

「えっ?!いつよ?」

「・・・う、埋められたあの森での話にゃ」

セルカはあの森で埋められた光景を思い出すと、未だに寒気がするのだった。

「ま、まだ・・・引きずっていたのね?」

「あっ、当たり前なのにゃっ!あ、あのユウト様の表情や冷たい声・・・

 アレを思い出すだけで・・・私にはもう恐怖でしかないのにゃっ!」

「ちょっとっ!落ち着きなさいよっ!」

「だ、大丈夫なのにゃ・・・にゃはは」


乾いた表情をするセルカに同情するしかなかった。

「私は置いて行かれそうににゃった時、何故か寂しい気持ちになったのにゃ。

 この二人に付いて行きたいと思ったのにゃ♪

 今まで生きてきて、初めてそう思ったのにゃ。でも理由はわからにゃいよ?

 ただ私がそう思っただけにゃんだけど・・・」

「ふふ♪」

「だからあの時私は、ユウト様に一緒に行きたいって、勇気を出したのにゃっ!

 私はあの時の私を誉めてあげたいのにゃ~♪」

「あっはっはっはっ!そうね?よくあの恐怖の後でそう思えたものよね?」

「アレは私の運命の出会いだったのにゃ♪」

「運命か・・・」


そうセルカの言葉をつぶやくイリアは、悠斗との出会いを思い出した時、

セルカと同じ事を感じたのを思い出した。

「そうよね?私はこれからもみんなと一緒に成長していくのだから・・・」

「確かにそうにゃんだけど・・・」

「ん?どうしたのよ?」

セルカはイリアを見ると溜息を吐いた。


「成長って言ってもにゃ~?イリアは128歳だからにゃ?

 だから今後どれだけ成長出来ることにゃのやら・・・私は心配なのにゃ♪」

セルカの目つきはイリアを可愛そうな子を見るような目つきだった。


「なっ、何ですってぇぇぇっ!」

「にゃはははっ!128歳の男知らずはこれだから面倒なのにゃ~♪」

「どうして私が面倒なのよっ!」

「にゃはっはっはっ!黙るのにゃ、牛女っ!」

「なっ、なっ、なっ、・・・何て事を言うのよぉぉぉっ!」


すっかりセルカのペースに乗せられたイリアは、怒りながらもどこか楽しげだった。

だがしかし・・・セルカはただイリアを励ました訳ではなかった。


「にゃ~イリア?」

「何よ?」

「きっとイリアもストレスが溜まっていたのにゃ?仲間の事もそうにゃ?

 どこかで発散しにゃいとみんな壊れてしまうのにゃ」

「セルカ・・・」

イリアはセルカのそんな心遣いがとても嬉しかった。

そして涙を浮かべたイリアはセルカを感謝の気持ちを伝えたくて抱きしめた。


「有難う・・・セルカ。貴女に出会えて、私は本当に・・・」

「うぐっ」

「私は創造神様達に感謝するわ。私に大切な仲間を出会わせてくれた事に・・・」

「○△□÷✕+%#」

イリアは今、自分に酔っていた。

それはセルカと出会えた事で、また新たな一歩を踏み出せる喜びで酔っていた。


力一杯抱き締めたセルカは、イリアの腕の中でぐったりしはじめた。

その時・・・


「あ、あんな~感動の抱擁をしているところ、誠に申し訳ないんやけどな?」

「あら、白斗?一体どうしたのよ?」

突然の白斗の声に、イリアはセルカを抱きしめたまま顔だけ振り向いた。


「あんな?ええ加減猫娘を離さな~死んでしまうで?」

「あんた何言ってんのよ?どうして抱き締めたくらいで、セルカが死ぬのよ?」

「そうでっか?ワシはちゃ~んと言いましたで?

 後で後悔だけはせんといて下さい」


イリアは白斗の言葉に首を捻りながら、セルカに話しかけた。

「ねぇ、セルカ?白斗のやつ一体どうしたのかしらね?」

「・・・・・」

返事のないセルカにイリアは視線を落とすと・・・


「セ、セルカ?な、何っ!?あ、あんた、一体どうしたのよっ!」

「ほ~ら・・・だからワシが言いましたやんか?」

思いっきり抱き締めていたセルカを開放すると・・・


「あちゃ~猫娘もこれで終いですな~?ほんまに成仏したってや~♪

 ナンマンダブゥ~♪」

白斗はぐったりしているセルカに手を合わせて拝んでいた。

イリアはぐったりしているセルカを必死で揺さぶると目を開けた。

そして意識がまだ朦朧としていのか、辺りをキョロキョロと見渡していく。


「・・・あれ?イリア?」

「良かった、急に意識を失くすんだもんっ!」

イリアの言葉でさっきの出来事を思い出すと・・・


「にゃぁぁぁっ!イリアっ!お前の抱擁は殺しの道具なのにゃっ!」

「こ、殺しの道具って・・・一体何を言ってるのよっ!」

「おいっ!牛女っ!いずれはその胸で・・・ユウト様を殺すはずにゃっ!

 だからそうにゃる前にっ!私がその胸をもいでしまうのにゃっ!」

「・・・そ、そんな訳ないでしょっ!って言うか・・・誰が牛女よっ!」

「お前なのにゃっ!ユウト様が殺される前に、私がその胸を切り落とすのにゃっ!」


意味のない言い争いを続けるイリアとセルカを見ていた白斗は・・・

「・・・これでみんなに変なあだ名がついてしもうたな?

 猫娘に牛女・・・まぁ~ワシはれっきとした聖獣やけどな?」


言い争う二人は白斗の声が聞こえると、見事にシンクロして、

白斗にこう言い放った。

「「うっさいっ!駄犬っ!!」」


「誰が駄犬じゃボケッ!」

「「お前だよっ!」」

「は、はぁ~?おいコラ~っ!そこの猫娘と牛女っ!

 あんたら大概にせーよ?まじでいてもーたろか?」

「駄犬・・・今、私がこの牛女の胸を切り落とすから、防御結界を使って、

 血が床を汚さないようにするのにゃっ!」

「切り落とさないでよっ!」

「あほやろ?・・・猫娘・・・まじであほやろ?

 そんな事の為に、ワシの神聖な防御結界が使える訳ないやろっ!」


白斗の言葉にセルカは睨みを利かせると・・・

「いいかにゃ駄犬?・・・お前は私の言う事を聞いておくほうがいいのにゃ?

 私を敵に回すとにゃ?駄犬をこの牛女の胸の中に突っ込んで、

 圧迫死・・・させるにゃっ!

 乳プレスで駄犬をぺっちゃんこにするのにゃっ!」

セルカはイリアの胸を指差しながらそう言い切った。


(・・・乳プレス。た、確かにアレは・・・あかん気がするわ。

 ワシの認識が甘かったよーやな?アレは危険な暗殺道具や・・・間違いないわ)

そう考えた駄犬・・・いや、白斗はセルカの援護に付く事を決めた。


「しゃ、しゃーないな?聖獣たるこのワシ、白斗様が猫娘の援護したるわっ!

 ちゅー事でやな?イリアはん・・・いや、そこの諸悪の根源たる牛女っ!

 ワシが聖なる力で成敗したるわっ!」

白斗がセルカ側に着いた牛女は・・・いや、イリアはピンチである。


「お、おのれ・・・仲間を増やすとはっ!貧乳猫娘の分際でっ!」


「・・・にゃ、にゃんだってぇぇぇぇっ!

 誰が貧乳なのにゃぁぁっ!これでも猫人族のにゃかでは巨乳なのにゃっ!

 言葉を訂正した方がいいのにゃっ!

 暗殺者をにゃめにゃいで欲しいのにゃっ!この牛女っ!」


「乳の話は、ほんまにどーでもええわっ!こいつらやっぱあほやな・・・

 主にもちゃんと言うとかな、ほんまにいつか暗殺されてまうわ」


「そんな事しないわよっ!」


と、この無情で無駄な争いは更に2時間ほど続いた。

その頃セルカの部屋の真下では・・・


「・・・い、いくらユウト様の従者達とは言え、こんな夜中に・・・

 も、もう勘弁してくれぇぇぇぇっっ!」

セルカの部屋の真下・・・つまりその部屋はサウザー達夫婦の寝室だった。

「な、なぁ~アンナ?彼女達に注意してきてもらえないだろうか?

 女同士ならきっと、分かってくれると思うのだが・・・

 ん?ア、アンナ?・・・ね、寝てるっ!

 こんな騒音の中で眠れるモノなのかっ!

 さ、流石我が妻・・・いつものながら、惚れ惚れするなぁ~♪」


すやすやと眠るアンナを他所に、サウザーは惚けながらも

この騒音に対して、悠斗のマネをして目を閉じ思考していく・・・


「む、無理だっ!わ、私はユウト様ではないのだっ!

 はっ!・・・こ、これは神の試練なのではないだろうか!?」


過度の睡眠不足により、目の下には森の荒熊さんが生息していた。

限界を感じたサウザーは真上の部屋に向かってこう叫んだ。


「皆さんっ!今は睡眠する時間ですよっ!時間は有効的にっ!

 ・・・お願いします、もう寝かせて下さい」


半泣きになっているサウザーは今日もまた睡眠不足に悩まされるのだった。





 


ラウル ・・・ 今回は~・・・乳の話なのかい?

ミスティ ・・・ そ、そう・・・ですわね?

ラウル ・・・ 原作者のストレスも半端ないみたいなのだけれど?

ミスティ ・・・ そう・・・ですわね?

ラウル ・・・ ミスティ、君の背中に毛虫が入っているのだけれど?

ミスティ ・・・ そう・・・ですわね?

ラウル ・・・ 僕の話をちゃんと聞いてくれないかな?

ミスティ ・・・ 邪魔しないでくれますか?今、私と悠斗さんの思い出の録画を・・・

ラウル ・・・ ・・・もう君も病んでいるようだね?

ミスティ ・・・ 雨ですか?

ラウル ・・・ ちゃんと聞けよっ!!



ってなことで、緋色火花でした。

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― 新着の感想 ―
[一言] 前半悠斗の静かなシーンで後半は騒がしかったですね(笑) 悠斗の独白シーンは結構好きです♪ 透明感ある空気を感じます♥︎ 土くさい感じがする英二君と違って(笑) 次はついに100話ですね…
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