98話 会議と推理
お疲れ様です。
台風が来ましたね><
皆さんに何事もないよう祈ってます。
忘れてました。
次回のアップは月曜am12:00~13:00となりますので、
宜しくお願いします。
ブックマークや感想など、宜しくお願いします。
それでは、98話をお楽しみ下さい。
そして暫くの間、悠斗は気力と魔力制御の訓練をしていく。
やがて来る日の為に・・・
そして夜が訪れる頃・・・
(主~、ちょっと宜しいでっか?)
(ん?ああ~白斗か?別に問題ないけど?)
(ほな~ちょっと、魔石通信に変えますわ~)
(この通信システムの名称は、魔石通信に確定したのか?)
そんな事を思っていると、魔石通信がきた。
{ユウト様、聞こえますか?サウザーです}
{はいはい、どうもこんばんは、サウザーさん。悠斗ですよ?}
{ゴホンっ!グ、グラフィスとナイアドですっ!ユウト様、ご無沙汰しています}
{あははは、ナイアド久しぶり♪ところでどうしてグラフィスは緊張しているんだ?}
グラフィスの声がいつもより上ずっているのを感じた悠斗は質問してみると・・・
{あははは、父上はこの魔石通信で話すと緊張するらしいのです}
(・・・やっぱり魔石通信で確定なんだ・・・ふむ)
{緊張って・・・ああ~声だけだから?}
{はい、そのようですね}
(今度映像付きと録音&録画機能も考えないとな・・・)
悠斗はそんなグラフィスに声だけだから緊張すると言われ、
新鮮な気分で次回作を検討するのだった。
{因みに・・・ワシやイリアはんと猫娘もおんで~♪}
{誰が猫娘なのにゃっ!この駄犬っ!}
{お前やお前っ!いっつも駄犬呼ばわりしやがってからに・・・}
{お前には駄犬がぴったりなのにゃっ!}
{おうおうっ!猫娘っ!言うてくれるやんけっ!ちょっと表に出ろやっ!}
{やるのかにゃ?駄犬っ!お前は一度締めとくにゃっ!}
{やれるもんやったら、やてみーっ!逆にいてこましたるわっ!}
悠斗は騒ぎ始めた駄犬と猫娘に注意しようとした時・・・
{ちょっとっ!話が進まないでしょっ!?駄犬と猫娘っ!}
そう言って怒っていたのは、イリアだった。
イリアのその発言に、あれだけうるさかった駄犬と猫娘が黙ってしまった。
{だ、駄犬って・・・イリアはん・・・ぐすん}
{イ、イリアが、わ、私の事を・・・はぅぅぅ}
こんな雰囲気の中、咳払いするとサウザーが話を切り出した。
{えー・・・今日、このような場を設けましたのは、
これからについて、皆さんとお話した方が宜しいかと思った次第でして・・・}
{サウザーさん一応ですね、ギルマスにもとりあえず話はしておいたけど、
サウザーさんからも話をしておいた方がいいと思うよ?}
サウザーは何度か相槌を打つと、少し申し訳なさそうな声で話してきた。
{あの~ですね?もし良ければですが・・・
ギルマス・・・いや、ウェズンと話が出来る環境を整えたいのですが?}
{あれ?ギルマスに通信用の魔石って・・・渡した・・・っけ?}
{ユウト様・・・渡してないにゃ}
{あははは・・・・・・・・・すみません}
またもや変な空気がその場を包んだ。
{え、えっと・・・明日にでも渡してきますよ}
すると白斗が魔石通信について意見を言ってきた。
{え、えっと・・・主?確かアイテムバッグって、中身が共有できるんやんな?}
{ああ、あー・・・でも確か共有できるスペースは限られていたと思うけど?}
{ほなら、何個かその共有スペースに魔石通信セットを入れといてくれへんかな~?}
{わかった、いくつかセットを入れておくよ}
{おおきに♪}
魔石通信についていくつか話し合うと、次の話に移った。
{次は今回セルカ君に捕らえてもらった密偵の話なのですが?}
グラフィスは密偵と聞くと、目を細めサウザーに話を聞く。
{サウザー殿、密偵というのは?}
{はい、今日この場にお呼びしたのは、港町で色々と画策していた連中が居りまして・・・
その密偵達の一人・・・いや、二人ほど捕らえてもらったのです}
{達・・・と、言う事はまだいるのかね?}
{はい、ロックバルとヘイルズ・・・それぞれ10名ほどだそうです}
密偵にしては多い人数にグラフィスが唸っていると、
息子であるナイアドが話に入ってきた。
{父上、恐らくその人数ですと大掛かりな策略があるに違いないでしょうな?}
{うむ、確かにそうなのだが・・・いや、でもそんな馬鹿な・・・}
そう言い淀むと悠斗が口を開いた。
{グラフィスさん・・・どうしたんですか?}
{はっ、ヘイルズについては手を打っているので・・・まさか・・・な}
グラフィスの声は少し困惑している様子だった。
父の困惑を察したナイアドが話をしていく。
{実はですね?父が今日、ヘイルズ伯爵に書簡を送ってすぐ返事がもらえたのですが、
父の問に関して密偵は即座に帰還させると、そう言ってきたのです}
{な、なんとっ!で、では、動いている密偵達は一体・・・・?}
{うむ、サウザー殿・・・そこなのだよ、私が思いを巡らせているのは・・・。
あの男は家族にとても甘くてな?
わざわざ公爵家に逆らってまで、家族を危険な目に合わせるはずはないのだ。
それに、そんな度量もない男だしな?}
{な、ならば何故?}
グラフィスもサウザーも動揺が隠せない様子を黙って聞いていた悠斗は、
二人にこう切り出した。
{あの?もっと単純に考えるのが正解な気がしますけど?}
{ど、どういう事でしょうか?}
{ユウト様、しかしながらあの男はベルフリードに逆らうだけの度量が・・・}
{ええ、グラフィスさん達の話は本当の事なのだろうと思います。
だからもっと単純に・・・
えっと・・・、恐らくヘイルズにも派閥というモノはあるのでしょ?}
{はい、それはどこも同じでしょう・・・あっ、なるほど・・・}
グラフィスは悠斗のヒントに、その答えを導き出した。
{つまりユウト様は、別の勢力が存在する・・・そう言いたいのですな?}
{はい、確かロジーの件でのロックバルの行動と同じじゃないかと・・・}
その言葉に今度はサウザーが声を挙げた。
{ロジーの一件で動いていたのは、領主ではなく息子の方でしたな?}
{はい、ですから今回もまたヘイルズの身内・・・ではないかと思ったんですよ}
その悠斗の言葉に異議を申し立てたのは、ナイアドだった。
{ユウト様、近親者と言うのはいささか疑問があるのですが?}
{疑問ですか?}
{はい、実はヘイルズ家には、男子が居ないのです}
{・・・・女系って事か・・・因みに、何人姉妹なんだ?}
{はい、確か・・・4人姉妹だったかと?}
{あとは~どういう性格をしているか・・・?なんだけど?}
{えー、確か、ヘイルズの姉妹達はかなり強引な女性ばかりだったかと・・・?
長女はかなりの浪費家って言うのは有名ですね。
次女は絵画や古書などに興味があるらしく、三女は大きく豪華な船を所有しております。
あと、有名なのは・・・ああ~そうだ、姉妹達は仲があまり良くなかったかと・・・}
{あれ?四女は?}
{まだ幼いのでそういう話は聞きませんね?
ただ、伯爵はとても可愛がって居られるようですが?}
{にゃるほど♪}
ナイアドの話を聞いた悠斗は少し笑っていた。
その理由は簡単な事だった。
そしてその笑いの意味を理解出来ないナイアドは悠斗に聞くのだった。
{し、失礼ながらユウト様、何故お笑いになるのでしょうか?
私は嘘などついておりませんが?}
少し大きめの声で聞いてくるナイアドに謝りつつ事情を話す。
{ああ~すみません、ナイアド。実はですね?ある昔話を聞きまして・・・
少し強引ではあるとは思いますけど、もし、その話が本当の事・・・
いや、女性なら・・・余計にそう思うかもしれませんね?}
そう話す悠斗に全員が理解出来ていなかった。
そして全員が悩んでいる中、イリアだけがその疑問を口にした。
{ねぇ、ユウト?女性なら・・・ってどういう事よ?
それに昔話って言われても、たくさんあるじゃない?}
{えっと・・・多分皆さんは知っていると思いますけど・・・
テレス山脈の話ですよ。あの山脈の財宝の話です}
そう答える悠斗に全員が唸った。
そして公爵の地位に君臨し歴史にも詳しいグラフィスが口を開いた。
{ユウト様・・・いくら何でもそれは・・・}
{ナイアド?テレス山脈の標高ってわかる?}
{はっ、確か一番高い場所で6000mほどかと・・・}
{にゃるほど♪}
悠斗の言い方に反応したセルカが笑みを含んだ口調で話してきた。
{ユウト様?その言い方だと・・・にゃにか気付いたのかにゃ?}
{いや、気付いたって言うか・・・、可能性は増した気がしただけだよ?}
{増したって言うのは、どういう事なのにゃ?}
{えっと~、増したって言う言い方にしたのは、確率の話なんだけど、
領地を預かる者がわざわざ6000m級の山脈を調べようとは思わないんじゃないかな?}
{でもユウト?それは人によるんじゃないの?}
{そうだね}
悠斗の話に一同が同じ疑問を抱いた。
{さっきナイアドが話してくれた姉妹達の事を思い出してほしいんだ。
四女は兎も角、三女まではかなりの浪費家なのは間違いないよね?}
悠斗の問いに一同は頷くと話を続けた。
{いいかい?もしこの街を手に入れると・・・資金の問題は簡単にクリア出来る。
そしてそれは自然に、労働者も手に入るって事なんだ。
後は、わざわざ、自分の領地から人を派遣せず山脈を探索させる労働力が
簡単に手に入るって事だよ。
自分達の懐は全然傷まないんだよ?}
{ユウト・・・でも確証はないじゃない?}
{うん、そうだよ?だから確率の話って言ったんだけど、
俺的には、当たりだと思っている。
男子が居ないなら尚更ね?
つまり・・・その姉妹達を制御できる者が居ないって話なんだ}
イリアはぶつぶつと言い始めていた。
{確かに、姉妹達はかなり強引で浪費家で、あまり仲が良くない。
・・・そして領主は家族には甘い・・・領主である父親が頼れないのであれば・・・?}
全員が黙って、イリアのつぶやきに耳を済ませていた。
{あとは何かしら?制御?男が居ない・・・から?
ん?だから止められないって事?
もし、ユウトの話が的を得ていたとしたら?
昔話・・・財宝・・・港町・・・ん?でも後・・・何かが足りない気がするわ}
悠斗はイリアのつぶやきに笑みが漏れていた。
そして・・・
{イリア・・・足りないのは、女性達だよ}
{女性達?}
{ああ、四姉妹じゃなくて、女性達だよ}
{・・・あっ、そう言う事なのね?だから確率って・・・?}
{そう言う事だよ}
{仲の悪い姉妹が一つの目的の為に一致団結しての行動って事?}
{まぁ~でもそれはそうなんだけどさ?
実はもう一つ俺は思っている事があるんだ}
一同がそれが全てだと思っていた事にもう一つあると言ってのける悠斗に緊張していた。
{それはね?俺の居た世界よりこのノーブルの世界だからって事だよ}
悠斗の答えになってない答えに白斗以外が首を傾げた。
{ああ~主、そう言う事やったんや~?}
{まぁー白斗なら気づくよね?}
{せやな~、確かにこの世界ならでは・・・かもしれまへんな?}
白斗が分かったという現状にセルカは悔しい思いをしていた。
{おい、駄犬・・・ちゃんと説明するのにゃっ!}
{うっさいわっ!猫娘っ!まぁ~お前なんかには分からんやろうから?
この優しい優しい聖獣様が教えたるわ♪}
{むむむむっ!は、早く教えるのにゃっ!}
白斗はセルカの肩の上で満面の笑みを浮かべると答えを教えた。
{そのふっさふさの耳をかっぽじって聞いときや~?
それはな?この世界の者達にクズが多いっちゅー話やっ!
因みに、ベルフリードはん達もそうやったやろ?
権力に取り憑かれてしまっとったやんっ!
だから主に、バチコーンっ!て、いわされたんやからな~?}
妙に白斗の説得力ある答えに一同が納得したようだった。
するとグラフィスやナイアド達は申し訳無さそうに謝罪してきた。
{そ、その節は・・・た、大変申し訳なく・・・}
{あははは、グラフィスさん、その謝罪はもういらないからね?
あれはもう過ぎた事だし、ちゃんと謝罪してくれたじゃんか?}
{は、はい、有難う御座います}
{ユウト様に儂達が叩きのめされた時、儂達から何かが剥がれ落ちたような?
そんな感じが致しましたな。
今になって思えば、清々しい気持ちになっていたと思います}
そして暫く沈黙が続くと、サウザーが口を開いた。
{もし、ユウト様がおっしゃる通りだとするならば・・・
何としてでも食い止めねばなりませんな?}
{うむ、儂達ベルフリードも協力は惜しまないと約束しよう}
{はっ、グラフィス殿・・・感謝致します}
{な~に、これも儂らイルミネイトの力があっての事だからなっ!わっはっはっ!}
グラフィスの発言に悠斗は一瞬目眩を起こした。
(ん?な、何?い、今確かに妙な単語が出てきたんだけど?
あれ?俺ってそんなに疲れてる?
あははは・・・こ、これは夢なんだ・・・うんうん、きっとそうだ。
・・・今の言葉、聞かなかった事にしよう)
悠斗がそう考えている時、既にベルフリード家とアシュリナ家の話は終わっていた。
そして・・・
{えっとー。とりあえず、魔石等は多めにバッグに入れておくって事と、
明日にでも、通信用魔石のセットをギルマスにも渡しておくからね?
あっ、でもその前に、魔石に所有者の魔力を流しておいてくださいね?}
ベルフリード家以外の者達が返事をすると、会議はお開きとなった。
一息つき、悠斗はコーヒーを飲むと、星空を見上げていた。
(まじで巻き込まれ体質だな・・・)
そう思うと立ち上がり、聖域を散歩するのだった。
ラウル ・・・ ふむふむ、ここであの昔話が・・・なるほどね~
ミスティ ・・・ 財宝ですか?・・・くだらないですわね?
ラウル ・・・ 人の欲望には際限がないからね?仕方がないさ
ミスティ ・・・ 悠斗さんの世界でもそうみたいですから・・・
ラウル ・・・ 僕ももっと真面目にこの世界を作れば良かったよ
ミスティ ・・・ い、今更・・・ですか?
ラウル ・・・ ミスティ、お願い・・・そんなに睨まないでよorz
ってなことで、緋色火花でした。




