93話 報告と無駄な思案
お疲れ様です。
今回は93話です。
ここでちょっとお知らせです。
10月4日の午後から火曜の午後までお休みします。
ちょっと仕事関連でアップ出来そうにないです。
金曜の夜中のアップ時にまたお知らせ致します。
それでは、93話をお楽しみ下さい。
「さてっと・・・色々と説明しないとな・・・」
悠斗は面倒臭いと思いつつも事の深刻さに溜息を吐いていた。
悠斗はそのまま一人で冒険者ギルドへ行くと、大きな扉を開け中へ入っていく。
受付へ行き、ポーラに挨拶するとギルマスに繋いでほしいと頼み、
ポーラはギルマスに連絡をとった。
「ご案内します」
そう言うと、ポーラは悠斗を連れ二階にあるギルマスの部屋を訪れた。
「失礼します」
「お邪魔します」
二人はギルマスの部屋に入ると・・・
「おおーっ!ユウトっ!無事だったか~ 」
「はい、この通り無事ですけど?」
「で・・・ユウト、成果はあったのか?」
「勿論ですよ?ちゃんと捜索もしてきましたし、亡骸も回収してきましたよ」
「ふむ・・・では会議室に行こうか?」
「分かりました。あっ、ポーラさん、荒波の連中が来ますので、
会議室までお願いできますか?」
「はい♪」
悠斗とギルマスは会議室にてグレイン達、荒波の旅団の到着を待っていた。
全てを話すのは、みんなが揃ってからと決めたのだった。
そして暫くすると・・・
会議室の扉が開き、ポーラとグレイン、そして、ライトとミレイが入ってきた。
「ユウト様・・・連れて参りました」
「ようっ!ユウト~無事で何よりだな?」
「ユウト様、心配しておりましたが、無事ご帰還お疲れ様でした」
「ああ、みんな有難う。あっ、それから・・・ポーラさんも残って頂けますか?」
ポーラの了承を取り残ってもらうと、悠斗は詳しい事情を話した。
そして癒やしの森で出会った神獣達の事も話し、納得してもらえる事ができた。
「まぁ、神獣達の事は、この件に関わっていると、
何かしら会う事があるかもしれません。
ですが、彼らは基本的には人族に対して、いい感情は持っていませんので、
くれぐれも間違えないで下さい」
悠斗はみんなに対して少し厳しいかと思ったのだが、
これはこの世界でくらす者達の責任だと感じ、あえて厳しく言ったのだった。
それから悠斗はまず、ダークエルフの亡き骸を見せると・・・
「この人達はイリアの仲間です。そしてイリアからは、
今回報告の為にギルドで見せる事について承諾を得ています」
その亡き骸を見た者達は・・・
「おい、ユウト・・・コレって干からびているのか?」
グレインの顔は険しい顔になっていた。
「う、嘘でしょ?コレってさっき話してくれた、黒い液体の仕業なの?」
ミレイは少し震えて顔をしかめていた。
「ユウト様・・・俺達はこれからどうしたら?」
ライトはこの街の近辺で起こっている事について悩んでいるようだった。
そしてギルマスは、亡き骸を前に手を合わせていた。
「なぁ、ユウト・・・この亡き骸は丁重に故郷に帰してやってくれ」
「はい、そのつもりです」
「ユウト・・・」
そうギルマスが悠斗の名をつぶやくと・・・
「ちょっ、ちょっとっ!ギルマス一体どうしたんですかっ!」
ギルマスは悠斗の前に跪くと、頭を垂れて悠斗に礼を取った。
「ユウト様、我々港町・アシュリナのギルドは事の深刻さを確認致しました。
従って、我々は貴方様の為にサポートしたいと思います」
ギルマスの言葉を聞くと、この会議室に居た全員がギルマスに習った。
「・・・ユウト様、事は深刻で御座います。
どうかこの街の民を救う為、我々に御力をお貸しください」
悠斗はここに居る全員の願いが真剣だと受け取りギルマスの願いに頷いた。
「・・・俺が・・・と、言うより、みんなで解決しましょう。
勿論、俺に出来る事はやるつもりなので・・・」
悠斗はそう言って、ギルマスに手を差し伸べると立たせた。
ダークエルフの亡き骸を回収するとそれぞれが所定の席に座る。
「で、ユウト様・・・これからどのように動きますか?」
悠斗はギルマスの問いにこう答えた。
「まずは小細工からしようかと思ってますけど?」
ここに居る全員が首を傾げる。
「えっと、とりあえずはヘイルズ家を黙らせる所から・・・かな?」
「だ、黙らせるったってよ・・・ユウト、何か手があるのかよ?」
「ふっふっふっ・・・あるんだな~コレが・・・♪」
悠斗は意味ありげな笑い方をすると、通信用の魔石を取り出した。
悠斗は通信用の魔石をみんなに聞こえるように調整し、
バイブ機能を作動させる為の魔力を流し、着信がある事を促す。
「もしも~し、グラフィスさーんっ!居られますかー?」
少し様子を見るが返答はない。
「あれ?魔石から離れているのかな?」
どうしようかと思っていると、今度は向こうから着信があり、
「ブルブル」っと、魔石が反応した。
「はいはい、こちら悠斗ですけど?」
「あっ、ユ、ユウト様ですか?グラフィスです」
会議室に居る全員が固まる事になった。
「グ、グラフィスって・・・あの公爵様の?」
「団長、そんな事聞くまでもないでしょ?」
魔石から聞こえてきたその声の主は、グラフィス・ベルフリード本人だった。
あまりの大物公爵の登場に、ここに居る全員が固まってしまった。
「グラフィスさん・・・」
悠斗はグラフィスに事の説明をすると・・・
「な、なんですとっ!そ、そのような事が?」
「はい、俺自身としては、ヘイルズの聖騎士だったレダという女性の事を考えても、
その黒い液体とヘイルズ家・・・もしくは、ロックバルも関係があるのでは・・・
俺はそう考えています」
「ふむ・・・話は分かりましたが、私は何をすれば良いのでしょうか?」
「そうですね・・・とりあえずヘイルズに対して、サウザーさん達の問題を、
グラフィスさんにお願いしたいのですが?
それにこの件に関しては、この港町・アシュリナの冒険者ギルドが、
全面的にサポートしくれるそうです」
悠斗の願いにグラフィスは少し考えると・・・
「分かりました。サウザー殿の娘・・・確かロジーと言いましたか・・・?
この前のお話の時もそうでしたが、ヘイルズがその件に関わっているのは
明白でしょうな?ならばこちらとしても・・・」
「はい、恐らくですが密偵をこの街にも放っていると思っていますので、
まずは情報を集めたいと思います。
その件に関しましては、この街をよく知るセルカに一任していますので、
何か分かり次第、連絡したいと思います」
そして悠斗はグラフィスに、ダークエルフの亡き骸の話をして、
何時になるかは分からないが、嘆きの森へ向かう事を告げた。
「なるほど・・・確か嘆きの森と言えば・・・異形の魔が現れ、
この国で最初の犠牲者が出た集落ですな?」
「はい、俺は立場上、その集落に向かわないといけないかと思いますので、
サウザーさんの後ろ盾となって頂きたいのです」
するとグラフィスは、声も高らかに笑うと・・・
「何をおっしゃっているのですか?
貴方は既にサウザー殿の後ろ盾になっているではありませんか?」
「いいえ、俺の存在の威光などは、それを信じる者達にしか影響はないでしょう。
でも貴方は公爵です。言い方は良くないかと思いますが、
貴族の、それも公爵の後ろ盾がある事の方が重要だと思います」
「ふむ・・・確かに、それはご尤もではありますが・・・」
暫くの間、グラフィスからの返事はなく、沈黙が続く・・・
「ユウト様、分かりました。サウザー殿と合い、今後の相談を致しませんとな?」
「はい、宜しくお願いします」
グラフィスとの会話が終わると、通信を切り冷めてしまった紅茶を飲んだ。
「ふぅ~・・・終わった~♪」
その一言にその場に居た全員も大きく息をつく。
グレインは頭を触りながら悠斗に話しかけてくる。
「なぁ~ユウトよ~?」
「はい?」
「お前達はまた何処かに行くのか?」
「んー。まだわからないけど、一度イリア達と合流しないとね?
でも何でそんな事を?」
「いや~なに、せっかく此処で冒険者になったのによ~。
何だかもったいねぇーな~っと思ってよ?」
悠斗がグレインの問いに困っていると、ギルマスが話に入ってきた。
「グレイン、まぁーそう言ってやるなよ?ユウトには元々使命があるんだ。
それに本来なら、この一件はアシュリナ子爵様と、
俺達が背負うべき仕事なんだぞ?」
「まぁ~そうですよね?私も本来なら、このギルドで取り扱った方がいいかもしれません。
ユウト様は使徒としてのお仕事がありますからね?」
ギルマスとグレインの話を聞いていたポーラも話に混ざってきた。
悠斗はその様子を黙って見ていたのだが・・・
「みんな、まあ、確かに俺は異世界人だし・・・冒険者登録したばかりだけどさ、
それでも俺は素知らぬ事は出来ないよ?
確かに異世界人であるけど、この世界に来たのだから、
俺もこの世界の一員って事だからさ」
「ユウトよぉーっ!嬉しい事を言ってくれるじゃねぇーかーっ!」
悠斗の言葉にグレインは目に涙を溜めていた。
「団長・・・ほんとに涙もろくなったわよね?」
目に涙を溜めているグレインを見て、ミレイも切ない顔を向けた。
だがしかし、一人だけ他の連中とは違い浮かない表情をしていた。
悠斗は気になっていたので、話しかける・・・
「なぁ、ライト?さっきから難しい顔をしているけど?」
「えっ?あ、はい・・・ちょっと気になる事が・・・」
悠斗はこんな表情をしているライトを今まで見た事がなかった。
「さっきのロックバルとヘイルズの話ですが・・・?」
ライトの言葉に全員が耳を傾けた。
「ライト・・・一体どうしたってんだ?お前らしくもないじゃないか?」
「団長・・・俺は思うんだけどな?これはギルドで動くとまずくねぇーか?」
「ん?ライト・・・それはどう言うこった?」
「いや・・・ユウトの話でも思ったんだけど、ロックバルやヘイルズが
冒険者を使ってこの街で暗躍しているんじゃないかと思ってさ?」
ライトの発言に悠斗以外の全員が言葉を詰まらせた。
「あ、暗躍って・・・い、一体なんの為ですか?」
「そうよ、街で暗躍してどんなメリットが?」
ポーラとミレイはライトの言葉に不安を隠しきれなかった。
「どんなって、そりゃ~たくさんあるんじゃないのか?
例えば、子爵様を陥れる為に、市民を使って暴動を起こさせるとかさ?
或いは、この街の低級騎士達に金を握らせ治安を悪くしたり、
闇ギルドを使って・・・。色々とあるだろ?
ユウトはどう考えているんだ?」
ライトは隣に居た悠斗に話を振り、どう考えているのかと聞いて来た。
「ライトが言った事は既に考えてあるし、行動にも移しているけど?」
「えっ?もう動いているのか?」
ライトは悠斗の行動力に驚いた。
「もし、無駄足だった場合はどうするんだよ?」
「無駄足って・・・別にそれはそれでいいんじゃない?
どの道、この街の状況は分かる訳だしさ、無駄足にはならないと思うけど?」
「な、なるほど・・・」
ライトは納得すると、今度はギルマスが話に加わる。
「ところで気になっていたんだが・・・
セルカはどうして一緒じゃないんだ?」
「ああ~、それはですね?ライトが今言っていた事を探ってもらっているんですよ。
セルカは冒険者であり、暗殺者です。
それにこの街の出身でもある訳ですから、動いてもらうには適役でしょ?」
「じゃ~後はセルカの情報待ちって事なのか?」
「とりあえずはそうですね?」
ギルマスは今現在、どうしようもない状況に苛立っていた。
(くそっ!この現状じゃ思案しようにも材料がなさ過ぎる・・・
グレイン達に探らせるか、このまま悠斗に任せるか・・・
あああああっ!イライラするぜ・・・)
「なぁーギルマスよ~・・・」
グレインは暫く考えた後、ギルマスに話を切り出した。
「ん?なんだグレイン?」
「いやなに、ユウトにはやる事があるよな?
だから、この街の事はやっぱり俺達が受け持った方がいいんじゃねーか?」
「だからそれはライトがさっき言った通り、
ギルドで動くと冒険者同士の争いがって話だったろうがよ」
「だから、俺達みたいな高ランク冒険者が、目を光らせて置けばいいって話だぜ?」
話が平行線になり、これ以上進展はないと思われた一同は、
今日はこれで解散となった。
そして会議室から出ようとした時、ギルマスに呼び止められた。
「ユウト?お前はこれからどうするんだ?」
「えっとー。とりあえずセルカが戻ってきたら、明日にでも此処を出て、
サウザーさんの屋敷に行くつもりですけど?」
「その後はどうするんだ?」
悠斗は腕を組み少し考えると・・・
「そうですね・・・イリアの集落・・・」嘆きの森へ向かおうかと思います。
なるべく早く、ご遺体を届けて家族を安心させたいので・・・」
「そうか・・・なら、明日もう一度ギルドに寄ってくれ」
「はい、それは構いませんけど?ああ~、何か依頼ですか?」
「ああ、リントに行く途中である盗賊団を狩ってきてほしいんだが?
詳しい話は明日にでもしよう」
「分かりました」
そう言うと、悠斗はグレイン達とギルドを出ると、その場で別れる事になった。
ラウル ・・・ ふむ・・・原作者がかなり忙しいようだね?
ミスティ ・・・ はい、そのようですわね?
緋色 ・・・ いやいや、まじで忙しいのだよ?
ラウル ・・・ 原作者降臨・・・そんなに忙しいのかい?
緋色 ・・・ はい、うちの犬の手も借りたいほどです><
ラウル ・・・ 来週の水曜のam12:00~アップするんだね?
緋色 ・・・ そうだね。一応その予定だよ?
ラウル ・・・ 分かったよ。仕事頑張ってね?
緋色 ・・・ 頑張りたいと思います。
ミスティ ・・・ お体に気をつけて・・・
ってなことで、緋色火花でした。




