88話 悠斗と神獣
お疲れ様です。
仕事の都合でやはり日曜のアップは難しいです><
後は平日で頑張りたいと思います^^
ブックマークや感想など、宜しくお願いします。
楽しく呼んでもらえたら幸いです^^
それでは、88話をお楽しみ下さい。
悠斗達とレダ達は、共にアシュリナへ来る事になった。
「なぁ~レダ・・・あっ、自己紹介しなくちゃな?
俺達はアナザーと言う港町アシュリナの冒険者パーティーだ。
そして、俺の名はユウトだ。宜しくね」
「こちらこそ宜しくユウト。さっきも言ったけど、私の名はレダだ
色々と迷惑をかけると思うが宜しく頼むわね?」
ヘイルズ家に仕えていた聖騎士のレダ。年齢は24歳で茶髪のロングヘア。
170cmでかなり筋肉質な目つきの鋭いお姉さんだが、
部下達の話では、かなりのおっちょこちょい・・・らしい。
「それから私の部下達だが・・・長身の男性騎士の名はブレナン。
そして太めの・・・いや、ちょっとぽっちゃりな男性騎士はテウス。
私の部下で唯一の女性騎士が、ロマリーよ」
悠斗達は順番に自己紹介していくと、神獣が話しかけてきた。
「自己紹介は済んだみたいね?まずは癒やしの池へ移動しましょう。
あっ、それと、ダークエルフの・・・イリアさんだったかしら?
今、私の手の者に貴女の仲間の亡骸を運ぶように言っておいたから、
少し待ってくださる?」
神獣の計らいにより、仲間の亡骸を運んできてもらえると聞いたイリアは
片膝を着き、神獣に礼を言った。
そして池に向かう中、悠斗はレダに詳しい経緯を聞いた。
この森へ侵入したのは12名のレダの部下達。
しかしフォレストウルフの攻撃により、半数近くが逃走したらしい。
「逃げるって・・・それでも騎士なのか?」
「いや、その者達はヘイルズ様の・・・いや、ヘイルズの手下なのよ。
私はヘイルズに嫌われているからね?」
「もしその話が本当なら・・・ヘイルズの配下の騎士は大した事なさそうだね?」
「ええ、手強いのは聖騎士長と直属の部下達ね」
「へぇ~・・・何人いるんだ?」
「謎が多くて、私の部隊は一度も会った事はないんだけど、
噂では、S級冒険者だった者達も居るらしいわ」
「にゃるほど♪」
悠斗はS級冒険者の実力は理解していた。
アンナとウェズン・・・アンナが際立っているとしても、その実力は図り知れていた。
「まぁ~その程度なら、問題ないかな?」
悠斗はそう言うと、「ニヤリ」と笑みを浮かべた。
そして・・・
「なぁ~レダ?グローリーについて・・・何か知らないか?」
グローリーの名に反応したレダは悠斗から距離を取ると剣の柄に手を添えた。
「何故貴方がその名を知っているのです?グローリーの仲間なのですか?」
先走るレダに両手を上げてその意志が無いことを伝える。
「俺はあいつらの仲間じゃないよ?
って言うか・・・むしろ面倒臭い敵?・・・だと思っているけど?」
悠斗の言葉に安心すると、悠斗に対し非礼を侘びた。
「すまない・・・あいつらこそゴミだ・・・罪もない者達に慈悲無く殺してしまう」
「そう・・・だな?俺もそれはそう思うよ?」
(まぁー今はまだ、セルンの事は話さない方がいいな・・・)
そして悠斗はレダ達から、ロックバルの話など、もろもろ聞いていった。
それから暫く歩いて行くと、道が開け景色に変化が現れた。
「ねぇ・・・此処って本当に森の中なの?」
「にゃ~♪とっても綺麗な所なのにゃ~♪」
イリアとセルカはとても美しい景色に見惚れていた。
その景色とは、森の中とは思えないほど、美しい花が咲き乱れていた。
そしてその先に・・・癒やしの池と呼ばれる池が存在していた。
「この場所はね?特殊な結界で守られているから、
今まで誰にも侵入された事はないのよ?簡単に言うと聖域かしらね♪」
その言葉に疑問が生まれた白斗は神獣に聞いてみた。
「あの~神獣はん・・・質問宜しいでっか?」
「ええ♪勿論いいわよ・・・あら?貴方・・・聖獣ちゃんなのね?
ふふ♪とっても可愛いわ~♪」
可愛いと言われ顔が真っ赤になる白斗だったが、質問を続ける事にした。
「質問なんやけど、此処って侵入された事がないんやったら、
何で此処の事を知っている人達がおるんですか?」
その質問は悠斗達全員がしたい質問でもあった。
「ああ~♪その事ね?それは~・・・私が今回貴方達みたいに、
気に入った子達を連れてきたからなのよ?」
「えっ?!神獣さんちょっと待って?」
「な~に?イリアちゃん」
「ちゃん・・・?え、えっと、此処を見た事がある人達は何故、
曖昧な情報しか持って帰ってないんですか?」
すると神獣は「ニヤリ」と笑い・・・
「だって~♪私が記憶を操作しているからだもの♪ここの情報はあまり知られたくないわ♪」
「じゃ~俺達も記憶を操作されるのか?」
悠斗は少し威圧を込めながら神獣に聞いた。
「いや~んっ!そ、そんな目をしないでよ~?
私が貴方達にそんな事する訳ないでしょ?少しは信用してくれてもいいんじゃないの~?」
(それに貴方って・・・創造神様の使徒でしょ?そんな事絶対にしないわよ♪)
(何だ・・・バレていたんだね?)
(当たり前じゃない?貴方から神力の匂いがするもの♪)
(なんでんの?その~神力って?!)
(ふふ♪まだその力には目覚めていないみたいだから、また今度ね?)
(ははは・・・分かったよ)
悠斗と白斗以外はこの一面の花畑にはしゃいでいた。
「ところでさ・・・あんたはスピリット・ウルフって事でいいのかな?」
悠斗の言葉に悲し気な表情をして首を振った。
「あー・・・ごめん、違ったのなら謝るよ?
俺達にはこんな情報しかなかったからさ・・・ほんとごめん」
「ふふ♪いいのよ・・・ユウトちゃん?
私はスピリット・ウルフではなくて~エンシェント・ウルフよ♪」
エンシェント・ウルフの名に覚えがない悠斗は全員を集め聞いてみる。
だが、誰一人その名を知らなかった。
「どう言う事なんだ?」
「ああ~それはね・・・私がスピリット・ウルフの幻術を見せていたからね?
だからみんな誤解してスピリット・ウルフだと思ってしまったのね?」
悠斗は腕を組み考えると・・・
「ごめん・・・俺はそのスピリット・ウルフすら知らないんだよね」
苦笑しながら聞いてくる悠斗に神獣は苦笑で返すのだった。
「いいわ、特別・・・でもないんだけど♪」
そう言うと、神獣は一瞬揺らめくと、白い半透明な狼になった。
「おお~・・・って言うか、さっきとは違いスピリット・ウルフには角がないんだね?
あと・・・瞳の色も違うな~」
「正解よ♪ユウトちゃん♪今の瞳の色はグリーンだけど、さっきの私の目の色は・・・
ゴールドなのよ♪でもよくわかったわね?認識阻害かけてあったのに・・・・」
神獣がそう告げると、悠斗は頭を掻きながら答えた。
「ははは、認識阻害系には痛い目にあってるからさ?!
それなりの対応策は用意してあったんだよね♪」
「ふふ♪そうなのね?」
「ああ・・・何だか俺ってさ、巻き込まれ体質らしくてさ~
嫌になっちゃうよね・・・あははは」
「でもそんな貴方だからこそ、今こうして大切な仲間が出来たかもしれないわね?」
「そう言われると・・・悪くないかもね♪」
少しの時間神獣と話した悠斗は中央にある池へと向かった。
そして・・・
「は~い♪到着したわよ~♪此処が癒やしの森の中央にある、癒やしの池よ♪」
「「「「「おおおおお~~~」」」」」
全員がその池の美しさに目を奪われていた。
「ははは・・・こんなに素敵な池は見たことないよ」
「ふふ♪そう言ってもらえるととても嬉しいわ♪」
二人で話していると、イリアが神獣の元へやって来ると
片膝を着き礼を取った。
「神獣様・・・どうか私の願いを聞いて頂けませんか?」
神獣はイリアにそっと優しく微笑みかけると・・・
「ふふ♪約束ですものね♪」
そう言って神獣の角が緑色に光ると、イリアの目の前に探していモノが並んでいた。
「確か、妖精の花と根・・・それと~池の神水だったかしら?」
「池の水は神水と言うのですね。教えて頂き有難う御座います」
イリアは片膝を着くと深々と頭を下げた。
「ちょっと~そういうのはやめてよね~?」
思わぬ言葉が帰ってきたイリアは何か不手際があったかと思い謝罪した。
「ちょっと、ユウトちゃんっ!貴方はこの子達にどういう教育をしているのかしら?」
「いやいや、教育って・・・これはイリアがあんたに敬意を表して、
その御礼をしただけだろ?どうして俺のせいになるんだよ?」
「だって~♪かたっ苦しいのは嫌いなのよね~。
それに私達はもうお友達でしょ?お友達にそんな事をいちいちするのかしら?」
神獣の言い分もわかる悠斗達だったが、イリアは礼を普通に言いたかったのだ。
「まぁ~イリアは神獣に対して礼を言ったまでだから、次回からは普通に・・・な?」
悠斗はイリアにウインクして見せると、少し笑って頷いた。
「まぁ~そう言う事なら、別にいいけどね~」
「これでイリアの集めたかったモノは全部揃ったって事でいいんだな?」
「ええ、ユウト・・・神獣様・・・本当に有難う御座います」
片膝を着きながら、イリアは涙を流していた。
その涙は仲間を思う気持ちの現れだった。
「ふふ♪こういう涙って素敵よね?」
「ははは、ああ、そうだね」
イリアがみんなの元へ行くと、神獣が真剣な面持ちで話をしてきた。
「ねぇ・・・ユウトちゃん、ちょっと二人だけでお話ができないかしら?」
「あ、ああ・・・それは別に構わないけど・・・白斗はどうする?」
「あの聖獣ちゃんね?別に構わないわよ♪」
悠斗はセルカの肩に乗っていた白斗を呼び寄せると、
神獣と話をしてくると伝え、みんなと別れた。
「それじゃ~場所を変えましょ♪」
そう言うと神獣はゲートを開き、一瞬で何処かの湖の辺りに来ていた。
「此処は?!」
「主・・・此処って、ごっつい力に溢れた湖でっせ?」
「まじかっ!」
「大まじでんがなっ!」
「すげーな」
神獣は少し笑うと、悠斗達を連れログハウスに辿り着いた。
「此処なら邪魔は入らないわ♪」
そう言って神獣は人型に変異した。
「・・・変異出来るんだね?」
「ふふ♪これくらい神獣にとっては常識なのよ?」
エンシェント・ウルフ・・・神獣・古代狼。人型に変異出来る狼。
長い白髪と真っ白い肌、そして頭部に生えた角と耳・・・
瞳の色はゴールドでその美貌と雰囲気から気品が溢れていた。
悠斗は暫く神獣に見惚れていると・・・
「あらいやだ~♪見惚れちゃったかしら?ふふ♪
使徒様に見つめられると・・・体が火照っちゃうわね♪」
妖艶な仕草と眼差しで思わず顔をそらしてしまう。
「ふふ♪」
「あ、主・・・ごっついべっぴんさんやでっ!
あ、あかん・・・ワシ・・・めっちゃタイプなんやけどっ!」
神獣は笑い悠斗も半ば呆れながら笑っていると、話を切り出してきた。
「あのね、ユウトちゃん・・・」
神獣が話を始めた時に悠斗は待ったをかけた。
神獣と白斗が首を傾げている中、悠斗は神獣に紅茶を差し出した。
「良かったら飲んでくれよ。ミスティからもらった紅茶なんだ」
「あらっ♪ミスティ様って・・・時空神の?!」
「ああ・・・すっごく美味いんだよ」
そう言って神獣は紅茶を一口飲むと、感動に打ち震えていた。
そしてそのまま悦に浸っていたので、コーヒーを飲みながら帰りを待つ事にした。
暫く待って戻ってきた神獣は話を始めた。
「ユウトちゃん・・・あの黒いモノの正体ってわかったりするのかしら?」
「ああ~やっぱりアレの話だったのか・・・そんな気はしていたけどね」
「ふふ♪流石ね・・・それでどうかしら?」
「ごめん・・・アレに関しては俺も初見でさ?」
神獣は残念そうな顔をしたが、気持ちを切り替え話を続けた。
「もし・・・アレの正体がわかったら、私にも知らせてくれないかしら?」
「ん?別に聞くまでもないよ?最初からそのつもりだったしさ・・・」
悠斗はおどけながら神獣にそう言うと、とても嬉しそうな顔で喜んでいた。
「アレに取り込まれた者達って、私の力ではどうしようもないのよ」
「そうなのか~・・・だからあのまま放置状態だったって訳か・・・」
「ええ、得手不得手って事ね?私ではあの核を取り出せないもの」
「じゃ~白斗?お前なら・・・どうなんだ?」
突然話を振られた白斗は飲んでいた水にむせてしまう
「ゴホッ、ゴホッゴホッ!い、いきなりびっくりするやないですか~?」
「あははは、ごめんごめん」
白斗は先程の悠斗達の戦闘を思い出していた。
「そうでんな~・・・アレが動けん状態やったら、何とかなるかもな~」
「どうにかなるの?聖獣ちゃんっ!」
「せ、聖獣ちゃんって・・・ワシの名は白斗やで?ちゃんと覚えときーなっ!」
「わ、分かったわよ~そんなに怒らないで?」
たっぷり目の色気で白斗の怒気はすぐに鎮火した。
(お前・・・簡単だな~?)
(しょうがないやんっ!ワシのタイプなんやもんっ!)
(はい、そこでこそこそ話さないのっ♪)
神獣から注意を受け普通に話を進めた。
「ワシの場合、防御と回復が専門職な訳やけどな?
ワシの盾であのきったない水っちゅーんか、液体を取り除いていって、
核だけを露出させる事って出来るんとちゃうかな~って、
一応そんな事を思ったりしてんねんけど?」
「なるほどね~白斗ちゃんの得意分野を使ったやり方って訳ね?」
「そやな。でも実際にやってみーひんとわからんさかいな?
今は想像だけの話やから、信憑性は低いと思っといてな?」
「次に会う事があったら、状況を見極めてからやってみるのもいいな」
少しその黒い液体について話した後、席を立ち戻ろうとすると・・・
「あっ!そうだったわ・・・私の名を教えてなかったわね?」
「そう言えば聞いてなかったね?」
「ふふ♪私は神獣・エンシェントウルフのプロキシオンよ♪
これからも私と仲良くしてね?」
「プ・・・プロキシオンって言うんやね?
ま、まぁ~今後ともよ、よろしゅ~なっ!」
緊張して言葉が固くなっている白斗を見た悠斗は「ニヤリ」と笑みを浮かべると・・・
「白斗・・・」
「な、なんでんの?」
「ツンデレかっ!!」
「い、いゃぁぁぁぁぁっ!」
神力が溢れるこの湖で、白斗は羞恥に身悶えた・・・。
「せ、青春だわっ!♪」
恥ずかしがる白斗を他所にゲートの前まで来ると、
プロキシオンが呼び止めた。
「ん?どうしたんだ?」
呼び止めたプロキシオンは悠斗に水の入ったカップを手渡すと・・・
「ユウトちゃん、飲んでみてくれる?」
プロキシオンに言われるがまま、カップに入った水を飲み干した。
すると悠斗の体が虹色の光に包まれると、
その光は悠斗の中に吸い込まれて消えた。
「こ、これって一体・・・?」
プロキシオンは微笑むと説明してくれた。
「その水はこの湖の神水なのよ?貴方の中に眠る神力を目覚めさせてくれると思うわ♪」
悠斗は自分の体を見回しながら質問した。
「俺にも神力ってあるのか?」
「ええ、勿論よ♪使徒様だし~あと、ユウトちゃんは神々だけではなく、
神獣にも加護を与えられているでしょ?」
「神獣?・・・ああ~白斗の姉の桜さんか?」
「ふふ♪もし神力に目覚めたら、また私の所へおいで?
その力の使い方を教えてあげるわ♪」
「ああ、有難う」
悠斗はプロキシオンに微笑み返すと、ゲートを通り癒やしの森へと帰還した。
ラウル ・・・ いよいよ神獣のお出ましだね~♪
ミスティ ・・・ 今後もまたトラブル続きになるのでしょうか?
ラウル ・・・ 平穏な日々を味合わせてあげたいけどこればっかりはね~
ミスティ ・・・ そうですわね?平穏な暮らし・・・私も憧れますわ~♪
ラウル ・・・ 君は平穏な暮らしをしていないのかい?
ミスティ ・・・ ええ、誰かさんのお・か・げ・で・・・ですわね♪
ラウル ・・・ め、目が怖いんですけど・・・?
ミスティ ・・・ ふふふ♪
ってなことで、緋色火花でした。




