84話 パーティー名と癒しの森
お疲れ様です。
今回は84話です。
いよいよ冒険者としてデビューですね♪
そして依頼の目的地は・・・
私も失敗で失った文章に哀悼の意を捧げながら、
これからも頑張って行きたいと思います><
ブックマークや感想など、気に入って頂けたのなら、
今後とも宜しくお願いします。
夜中のアップはいつも通りとなっていますので、
そちらの方も宜しくお願い致します。
それでは、84話をお楽しみ下さい。
白斗の姉である桜は弟の問題が解決すると、
日本へと戻って行った。
「ねーちゃんも案外はよ帰ったな~?」
「そんなに意外だったのか?」
「まぁ~ワシから見て、ねーちゃんは主の事気に入っとったみたいやさかい、
暫く居座るんとちゃうかな~って、そう思っとったんやけどな、
すんなり帰ってしもうて・・・なんか意外やったわ」
白斗は首を捻りながらも、久々に身内に会えた事を喜んでいた。
そしてその様子を見つめていた剣神・アマルテアは・・・
「ユウト様・・・」
「あ、あのさ・・・どうしてアマルテアまで「様」付けなのさ?」
「えっと・・・、なんと・・・なく?」
「・・・・・・謎なんだけど?ま、まぁーいいや・・・これからどうするんだ?」
アマルテアは悠斗の問いに少し考えると何かを吹っ切った様に微笑んだ。
「そうですね・・・私を操った神達が誰なのか、まずはそこからやってみます」
「剣神はん、気をつけなはれや?また操られたら困るさかい、慎重に行動しなはれや?」
「ええ、同じ鉄を踏むつもりはないわ♪
それにまた操られても、ユウト様が居ればなんとかなるのでしょ?」
「いやいや、簡単に言うけどさ~俺にも出来ない事くらいってあるからね?」
「主の出来ひん事って・・・なんやろ?」
白斗の問いにアマルテアも興味津々なようだった。
「・・・あるよ?たくさん」
「なんでんの?」
「りょ、料理とか?片付け・・・とか?」
悠斗のまじ話に聖域に何とも言えない空気が立ち込める。
「主・・・まじ話は別にせんでええんやけど?
っていうか・・・普通に話されてもキツイわ~
せめて、おもろい事言わなあかんと思うんやけど?」
白斗のツッコミは普通に悠斗の心をえぐり取った。
そのやり取りに再びアマルテアが笑う。
「はっはっはっ!お二人は本当に自然体なのですね?
私達神々もこれくらい多くを本音で語り合えたら・・・そう思うとつらくなります」
「・・・そう思うならさ?今からでもすればいいじゃん?」
悠斗の発言に言葉が詰まってしまった。
「い、今更そんな事・・・」
「何言うてまんの?ラウルはんやミスティはんがおるやないですか?」
「し、しかし私は・・・」
「四の五の言いなや?思いっきり飛び込んだらええんとちゃいますか?」
悠斗は白斗の言葉に何度も頷いていた。
「飛び込む・・・ははは、そうね?一度やってみるわ」
アマルテアの顔はとても嬉しそうに緩んでいた。
(この人って、こんな笑顔も出来たんだな?
神達の事は、ラウル達に任せるしかないけど・・・)
悠斗はふと、アマルテアの剣を見て思い出した。
「あっ!アマルテア・・・ちょっとお願いがあるんだけど?」
「はい。私に出来る事であれば・・・」
「オウムアムアの事なんだけどさ・・・修練を頼めるかな?」
アマルテアは悠斗の申し出に少し考えると・・・
「私などで宜しいのでしょうか?今更な感じもするのですが・・・?」
「今あいつさ、真の亜神になるべく必死にもがいているところなんだよね。
だから剣神の修練を受けて、成長してもらわないとさ・・・」
アマルテアは悠斗の思いを感じ取ると・・・
「私にもまだやるべき事があるのですね?
わかりました。お引き受け致します」
それから三人は笑いを交えながら少しの時を過ごした。
そしてアマルテアは席を立つと・・・
「行くの?」
「はい、私はそろそろ戻りますね」
「剣神はん、色々とおおきにな?」
「はい、お役に立てて良かったです」
言葉短く言うとゲートを出現させ、扉の向こうへと帰って行った。
「さてっと・・・白斗。もう大丈夫なんだよね?」
「主、色々と心配かけました。すんまへん」
悠斗は白斗を指先で撫でると微笑んでいた。
「で、主?これからどうしますのん?」
悠斗は一度背伸びをすると考え始めた。
「・・・まずは街の散策・・・と、行きたい所だけどさ~
イリアの仲間達の事も気になるしな~・・・どうしよっか?」
「そうでんな~?イリアはんも仲間達の事が気になっとるやろうしな~」
悠斗は白斗と二人で様々な案を出して行った。
だが妙案は浮かばずそのまま寝る事にした。
そして翌朝・・・
悠斗は少し早く目が覚めてしまい温泉へ行きリフレッシュした。
するとイリアとセルカが起きてきて、そのまま温泉へ直行して行く。
(ふむ、やはり温泉を一度味わうと普通の宿屋に止まるのは無理かもね~
今後、宿屋に止まる事はなくなりそうだな?
そう考えると・・・ここの施設も充実させないとな~・・・
こんな時、いちかの有り難みを感じる今日此頃だな・・・)
そんな事を考えていると・・・
「おはようさんです」
「おはよう、白斗・・・ちゃんと眠れたか?」
「おかげさんでめっちゃ眠りましたわ~♪」
白斗の幸せそうな顔を見た悠斗は、思わず顔が緩んだ。
「他の皆さんは?」
「ああ~起きてすぐに温泉へ行ったよ♪」
「さよか~?ほなら朝食の準備でも・・・」
悠斗と白斗はミスティの手作り料理をテーブルにセッティングし、
イリアとセルカが戻ってくるのを待つと、一緒に食事をした。
そしてティータイム・・・
「あ~イリアとセルカに聞いてもらいたい事があるんだ」
「ユウト・・・話って?」
「大切にゃ事にゃのかにゃ?」
悠斗と白斗は昨晩の事を話し、
アマルテアにアイテムバッグの中を聖域化してもらった話や、
白斗が何故元気がなかったか・・・等、二人に話した。
「そかそか♪私達が寝ている間にそんな事があったのね?」
「ユウト様も水臭いのにゃ~起こしてくれても良かったのにゃ♪」
悠斗はアマルテアの事をこの二人が理解してくれた事が嬉しかった。
二人が信用した理由は・・・
「ユウトが信用するのだから、当然私も信用するわ♪」
「ユウト様が認めたのにゃら大丈夫にゃのだっ!」
(い、いいのか・・・それで?二人共・・・もっと何かあるだろ?)
とは、思ったものの一応作り笑いはしておいた。
(んー・・・俺もある意味成長したな)
そして暫くの間雑談していた。
そんな中、ふと悠斗は今日の予定についてみんなに聞いてみた。
「今日はみんなどうしたい?」
イリアは少し申し訳なさそうに答えた。
「あの~・・・ちょっと言いづらいんだけど・・・
ギルドに寄って、癒やしの森に行きたいんだけど?」
「にゃぁ~♪確か、イリアは仲間達とあの森ではぐれたんだったにゃ?」
「ええ、もう二週間くらい経つから、流石に気になって・・・」
イリアの申し出は最もなので、一度ギルドに寄ってからと言う事になった。
悠斗達は早々に港町へ魔法で到着すると、冒険者ギルドに顔を出した。
大きな扉を開け中へ入ると、騒がしかったギルド内が一気に静まり返った。
「お、おいっ・・・あ、あいつらって・・・それにあの男・・・確か使徒って・・・」
「シーッ!声がでけーぞっ!」
「ユウト様降臨っ!」
「あいつらヤベーよ・・・超ヤベェー」
「きゃあ~♪ユウト様よ♪」
「特にあのおとなしそうな男・・・あいつには気をつけろよ?」
恐れる者、祈る者、そして・・・睨んでくる者・・・
冒険者の反応も様々だった。
悠斗達は真っ直ぐ受付を目指すと・・・
「あっ、おはようございますっ!ユウト様・・・」
受付嬢のポーラが悠斗達に声を掛けてきた。
「あっ、おはようございますっ!」
挨拶を交わすと、ポーラが話を切り出してきた。
「大変申し訳ないのですが、ユウト様達が来られたら、二階へ来てほしいとの事です」
「ギルマスがですか?」
「はい、お手数ですが宜しいでしょうか?」
昨日の一件で、悠斗はギルド職員に少し怖がられているようだった。
「え、えっと・・・俺ってそんなに怖いですかね?」
悠斗はポーラに言いながら、後ろで顔が引きつっている職員達を見た。
「こ、これは大変失礼を・・・」
「まぁ~・・・自分が巻いた種ですからね・・・」
頬を「ポリポリ」と掻きながら引きつった笑いを見せることになった。
「じゃ~俺達はギルマスの部屋に行ってきますね?」
「はい、ご案内致します」
ポーラは他の職員に受付を任せると、悠斗達を連れて二階に上がり、
ギルマスが待つ部屋へと案内された。
「コンコン」
「ギルマス・・・ユウト様達が参りました」
すると中から野太く渋い声が聞こえた。
「入ってくれ」
ポーラが先頭で中へ入ると、書類が山積みにされてデスクの横から
ギルマスのウェズンが顔を出した。
「すまねぇ、もう少し待っていてくれ」
ギルマスとポーラがアイコンタクトを行うと、黙って頷き部屋を出る。
悠斗達は部屋に設置されているソファーに腰を降ろす。
少しするとドアをノックする音が聞こえ、ポーラが紅茶を持って入ってきた。
悠斗達に振る舞っていると・・・
「よーしっ!やっと終わったーっ!」
ギルマスの声が聞こえるとこちらへ歩いてくる。
「ユウト・・・昨日は本当にすまなかった」
深く頭を下げるギルマスに悠斗も返答すると一人がけ用のソファーに座った。
「今日は来てもらってすまねーな?」
「いえ、ところで俺たちに話でもあるんですか?」
悠斗の言葉を聞き終わると、一枚の書類を悠斗達に見せた。
その書類を見たイリアは険しい顔をした。
「どうした?」
「・・・こ、これって・・・?」
ギルマスは少し息を吐くと話をし始めた。
「この依頼をしてきたのはダークエルフの男なんだが・・・
どうやらイリアの村の者らしい」
「らしい・・・?」
「あ、ああ・・・この依頼をして少しするとそのダークエルフは消えてしまった。
ポーラを含め、街を走り回って探したんだがな・・・」
イリアはどんな男だったかをポーラに聞くと・・・
「そ、それがですね・・・あまり顔は覚えて無くて・・・
私が覚えているのは、ダークエルフの男性だったという事しか・・・」
悠斗もまた険しい顔を見せると・・・
「まさか・・・認識阻害か?」
悠斗の言葉にイリア達も戸惑ってしまった。
「主・・・その依頼書ってまさか・・・?」
「ああ・・・癒やしの森でのダークエルフ達の捜索依頼だな」
「やっぱしな~・・・主、かなり胡散臭いでっせ?」
悠斗はイリアの様子を見ると、拳を硬く握り締めていた。
「ポーラさん・・・この依頼はいつの話ですか?」
「今朝一番です」
ギルマスは悠斗達パーティーを黙って見ていた。
「イリアが決めていいよ?」
悠斗の言葉にイリアは我に返った。
「えっ?い、いいの?」
「当たり前だろ?元々癒やしの森へ行く事になってたしね?」
「で、でも・・・この依頼した人って、かなり怪しい気がするわ」
ギルマスはここで口を開く。
「まぁ~お前達の事は、サウザー様から話を聞いていたからな。
だから依頼書を俺の所へ持ってこさせたんだ」
ギルマスの粋なはからいに感謝しつつも、イリアの言葉を待つ悠斗達。
「ユウト・・・この依頼受けたいわ」
イリアの真剣な眼差しに悠斗達は笑顔で応えた。
「有難う、みんな・・・」
依頼を受けると、そのままギルマスの部屋で受理された。
「なぁ~お前ら?パーティー名って決めてないのか?」
「ああ~あるよ?」
「ほ、ほんとなの?何も聞いてないんだけど?」
「いつ考えたのにゃ?にゃんで黙っていたのにゃ?」
「はははは、ノーブルに来た時から決めていたんだ」
「主・・・ちゃんと空気読まなあきませんで?」
全員が悠斗に注目した・・・
「じゃ~まず、本気なのと、冗談なのと・・・どっちがいい?」
悠斗は満面の笑みでそう言うのだが・・・
「主・・・まじで空気読みなはれ・・・」
「ああ~、そうよね?あんたはそう言う人だったわ」
「天然のポンコツ使徒様なのにゃぁぁぁっ!」
散々な言い方をされて本気で考えた方を言うはめになった。
「パーティーの名前は・・・「アナザー」。意味は・・・もう一つのって意味だ」
悠斗は「ニヤリ」と笑うと全員の顔を見た。
「ふ~ん・・・アナザーね・・・もう一つの・・・なるほどね♪良いんじゃない?」
イリアもまた「ニヤリ」と笑うとセルカを見た・・・
「にゃはっはっはっ♪私もいいと思うにゃ♪ポンコツにしては中々やるのにゃ♪」
セルカも「ニヤリ」と笑うと、悠斗の肩に乗っている白斗を見た。
「主~、珍しく空気読んだみたいでワシ感動やわ~♪ええと思いまっせ?
アナザー・・・もう一つの世界で、主が掲げる旗・・・ええやんか♪」
全員が顔を見合わせると・・・
「決まりだな?俺達のパーティー名は・・・アナザーだ」
ギルマスとポーラは悠斗達の生き生きとした顔を見た。
「おうっ!アナザー・・・もう一つの・・・そうか。それで登録しておこうっ!」
ギルマスがニヤけた顔で宣言した。
イリアはニヤけたまま悠斗に近付き顔を覗き込むように上目遣いでこう言った。
「リーダーは勿論、ユウトよね?」
イリアの発言に仲間達が頷く。
「当たり前やんっ!他にリーダーできるやつなんておらんしな~♪」
「そうにゃ~♪リーダー宜しくなのにゃ♪」
悠斗は少し照れながら仲間達の顔を見た。
「ここからが俺達の新たな出発点だ。改めて・・・みんな宜しくっ!」
少し顔を赤らめながら悠斗は仲間達に挨拶をした。
「「「宜しく~♪リーダー♪」」」
そしてギルマスに向き直ると・・・
「ギルマス。癒やしの森の詳しい説明を頼む」
ウェズンもまた少し照れながら・・・
「ああっ!お前達・・・いや、アナザーの門出だからなっ!
俺達が知っている事は、全部教えてやるぜっ!」
ギルマスがそう言うと、ポーラが会議室へ案内するのだった。
「資料ならもう揃えてあるんですよ?」
ポーラもまた自分の事のようにいつもより5割増しの笑顔だった。
ラウル ・・・ パーティー名決まったね~♪
ミスティ ・・・ そうですわね♪これから冒険者として生きていかれるのですね♪
ラウル ・・・ そうだね^^今後の活躍が手に取るようにわかるよね~♪
ミスティ ・・・ そのうち私もパーティーメンバーとしてっ!
ラウル ・・・ 神としての仕事をサボらないでよ?
ミスティ ・・・ ふふふ♪ラウル様の数百倍のしごとをしておりますので♪
ラウル ・・・ ・・・な、何も言えないorz
ミスティ ・・・ 新しい武器でも新調しようかしら♪
ラウル ・・・ ほどほどに・・・ね?
ってなことで、緋色火花でした。




