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神に頼まれたので世界変革をすることにした  作者: 黒井隼人
魔物憑き

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第125話

「うし、いったん休憩するか」


工房の制圧を終え、戻ってきたところでそう口にする。


「今どこら辺なの?」

「大体3分の1が終わったあたりだな。瑠衣と和也は魔力とかは問題ないか?」

「大丈夫だよー」

「俺も問題ない。俺は地面を動かすだけだからな。酸素が少ない状態で燃やし続けている瑠衣よりかは楽だ」

「私としても炎広げて維持するだけだからそこまで辛くはないけどねー」

「それもそれで結構魔力使うものだけどね~」

「魔法を維持するって言うのはそう言うことだからな」


そう言いつつ手近な木の陰に腰を下ろしてそれぞれ一息つける。


「今時間的にはどんなもんだ?」

「えーっと…そろそろ普通の人なら寝る頃合いだね。夜勤の人とか酒場にいる人ならまだ起きてるけど」

「ならそろそろ隊長さん達動くかな?」

「だと思うぞ」


そんな話をしていると俺の懐に入れてある連絡用ブローチが震えだした。


「ほいほい」

『ああ、つながったか』

「隊長さんかな?」

『そうだ。こっちはこれから作戦行動を開始する。そちらの方はどうだ?』

「こっちはおおよそ3分の1が終わったあたりだな」

『早いな、無理してないか?』

「こっちはできうる範囲の速度でやっているから問題ないよ。ただ、あれからそれなりに時間が経っている。他の施設から様子見に来た奴とかがいる可能性も0じゃないから気を付けてくれ」

『わかった。こっちも速やかに制圧していく』

「よろしく。こっちも休憩が終わったら行動を再開するよ」


その言葉と共に通信が切れる。


「隊長さん達動き出したんだね」

「ああ。軍隊だから動きが鈍いだろうから時間はかかるだろうが、その分取りこぼしはそうそう起きないだろう。俺達はとりあえず早いうちに次に迎えるようにさっさと畑の駆除と工房内の人員の捕縛にいそしむとしましょうかね」

「だね」


その返事と共に瑠衣が立ち上がる。


「休憩は終わりか?」

「だな。んじゃ行きますか」


全員が立ち上がり、次の畑と工房がある場所へと向かった。



その後も特に変化もなくサクサクと畑と工房を潰していく。


「そう言えば敬。一つ確認しておきたいんだが」

「なんだ?」


工房の襲撃を終え、戻ってきたところで和也が声を上げてきた。今はまだ騒ぎになる前なので畑の燃焼が終わるのを待っている状態だ。


「いや、俺達普通に近いところから畑と工房のほうを潰しているがいいのか?重要地点とかあるんだろ?」

「ああ、そのことか」


確かに和也が懸念することもわかる。複数ある工房の中には取引履歴や財政帳簿などの重要書類が置かれている場所がある。本来そう言ったところから攻めるべきなのだろうが、今回はそういった事はしていない。そこら辺を危惧しているんだろう。

だが問題はない。


「そういった重要地点はすでに隊長さん達が抑えてある。作物の種とかに関しても先駆けて向こうの部隊が見張っているらしくてそれらが持ち出されそうになったら即座に手を打つようにしてあるとのことだ」

「なるほどな。んじゃあ俺達がやるのは後処理的な物なんだな」

「そそ。ま、もともと俺達はあまり表に出る気はなかったし、俺達としては孤児院の子達を引き取りたいというのが主目的だからな」

「あぁ…そう言えばそうだったね…忘れてたよ…」

「候補が二つあったんだがそのうちの一つが予想以上に厄介事が背景にあったからなぁ…」

「もう一つの問題って何だったんだ?」

「知らん!」

「えぇ~…」

「いや、こっちの案件がでかすぎて下手にそっちのほうにまで首突っ込むと手が回らなくなりそうだったからさ。中途半端に事を起こすよりかは片方にかかりきりのほうがいいと思ってな」

「でも途中で5日ほど間があったけどその時にやる気はなかったの~?」

「それも一瞬考えたがカトルの特訓もあるだろ?この一件長引きそうだと思ったし、その間ずっと特訓できないのも悪いと思ってな」

「そうね~、メインはそれだものね~」

「そうそう。あいつの特訓の間に人員補給をするための孤児たちを集めていたわけだからな。そっちをおろそかにするわけにはいかんだろ?」

「そうだねー。人員の補充は必要だけど急ぎってわけでもないしねー」

「そ、というわけでこっちを終わらせて少ししてからもう一つのほうをやる予定だよ」

「これでよし、畑終わったよー」

「あいよ。んじゃ次行くか」


畑の対処が終わったので再度次の現場へと赴いた。

その後も問題なく畑と工房を処理していく。しかし…


「なぁんか賑やかになってきたな」


次の目的地に着くと何やら雰囲気がざわついている。

人数が増えているというわけではない。しかし、気配があわただしく動き回っている。


「ばれたのかな?」

「ま、隊長さん達が動き始めてそれなりに時間が経ってる。ばれてもおかしくはないんだが…可能だったらもう一回ぐらい休憩入れたかったんだがなぁ…」


現時点での進行度はおよそ8割ほど。一応7割ほどのところで一度休憩を取っておいたので問題はないとは思うが、後半に連れて疲れがたまるので9割ほどのタイミングでもう一度休息を取っておきたかったのだが、向こうが動きを察知したのならこちらも足を止めるわけにはいかない。


「私は大丈夫だよー」

「俺も問題ない。ただこれからはあまり畑の対処に時間かけるわけにもいかないかもな」

「んー…そうだなぁ…」

「現時点で私達に関してはまだバレてないと思うのよね~。たぶんそれなりの数の畑や工房のほうを処理したわけだし、その分情報網も崩壊しているだろうし~」

「だなぁ。下手に暴れて俺達の存在がバレるのも面倒だから派手に暴れるわけにもいかんし…んー…さすがに二手に分かれるか」

「そうね~、私と敬で工房のほうは対処するから、和也君と瑠衣で畑のほうをお願いね~」

「わかった」

「気を付けてねー」


クーを瑠衣に任せ、そのまま俺と玲は工房のほうへと向かった。


「んじゃ工房の外に出てきた奴は頼む。俺は内部に侵入して全員捕まえてくるから」

「任せて~。工房もそんなに大きくないし、囲うように罠設置しておくわねー」

「ああ。頼んだ」


そう言って俺は一人で工房の屋根の上へと飛び乗る。静かに音もなく着地し、隙間から中に入って屋根裏へと侵入する。

気配を消し、建物内部の様子を伺うと、以前は酒飲みやゲームに興じており、仕事終わりといった雰囲気だったのが今ではだいぶあわただしい。


「おい、他の工房との連絡はどうなってる!」

「さっき伝書鳥飛ばしたがダメだ!戻ってきてねぇ!」

「片方は戻ってきて特に何もなかったらしい、そろそろ来るんじゃねぇか?」

「見張りは何してる!?」


バタバタと動き回る気配がする。やはり襲撃がバレたようだ。といってもこの時代そこまで通信機能が充実しているわけではない。それゆえに基本的に伝達は手紙か早馬だ。そして工房があるのは森の中。そんな場所で馬など使えないので鳥などを使っていかなければ行けないのでその分時間がかかってしまう。そのため情報伝達にも時間がかかる。


「情報は鮮度が命です…よっと」


バァン!と屋根裏をぶち抜いて工房内へと降り立つ。


「なんだ!?」


突然降ってきた俺に驚くが俺も相手の態勢が整うのを待つ必要はない。即座に傍にいる奴を叩きのめす。


「て…敵襲だ!」

「こいつが他の工房を!?」

「でもいつの間にここに!?情報ではもっと遠い場所に軍隊がいるってはずだろ!」


うろたえている作業員たちを無視しつつ手近な奴から叩きのめしていく。そんな視界の端で窓から逃げようとする作業員の姿があったが無視する。

逃げられると面倒ではあるが、そっちの方は玲が対処してくれるだろう。俺はそのまま内部の制圧を進めていく。

作業員は言葉の通り作業するだけだからか戦闘能力は持っていない。故に一撃で沈むが…。


「この野郎!好き勝手しやがって!」


監督官は監視と護衛が主な仕事だ。それゆえに他よりかは実力がある。とはいえ…


「フッ!」

「うぐぅ!」


俺の一撃を腹部へと受けてそのまま失神する。ただの監督官程度が俺達と戦えるほどの実力を持っているわけがなく、一撃で沈んでしまった。


「よし、こんなもんかな」


数人外に逃げてしまったので一応様子見がてら窓から外を見てみると…。


「あら~?そっちはもう終わりかしら~?」


玲が作り出した水の球体から頭だけを出した人が玲の周囲に浮かんでいた。先ほど外へと逃げ出した作業員が玲に捕まったようだ。


「終わったぞ。そっちも問題ないみたいだな」

「ええ~。これからはこんな感じで進めていけばいいかしらね~」

「だな。んじゃまとめて縛ってあとは隊長さん達に任せるとするか」

「そうね~」


とりあえず気絶した奴らを全員縛り、玲が捕まえた奴らも気絶させて縛ってから瑠衣達と合流した。

その後、残りの工房と畑に関しても特に問題が起こることもなく制圧を続けていき、最後隊長さん達がすべての工房を制圧したことを確認してから俺達は遺跡に戻ったのであった。




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