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2話目

お~い、ギルドの姉ちゃんよ~。いいかぁ?」


声をかけられ書類整理で下を向いていたギルド嬢は顔を上げる


「失礼、ご用件をどうぞ?」


「パーティズ・パーティに参加したいんだけどよ、空いてるかい?」


「丁度最後のひと枠ですね、ご参加の希望で宜しいんですよね?」


「おーう、DランクソロPTレイルだ、ほいよぉ、証拠のプレート」


レイルは首にかけられたギルドが発行する、名前とランク、ソロかPTかと

書かれたプレートの端を掴み見やすいように提示する。


「たしかに。Dランクソロ、レイルさん、パーティーズ・パーティの

 受注、承りました。ご依頼の説明を始めますが宜しいですか?」


「おーぅ、さくっと頼まぁ。」


討伐対象、数、場所、集合時間、他、細々したものを

説明される。特に気になる点もないため黙って説明を聞く


「以上になります。特になにもなければこれで説明を終わりたいと

 思いますが、なにかご質問は御座いますか?」


「特にねぇよ~、個人的な質問だけどよぉ、姉ちゃんよ、元Dランクの

 あんたがよくもまぁそんな馬鹿丁寧に喋れるな?」


個人的な質問を問うと姉ちゃんの雰囲気が一変する。


「荒事しか取り柄がない私たちだ。この仕事がなくなったら生きていくのが

 難しい。それは必死にもなるだろう?」


「なるほど。あんたぁ新人の夢見てる馬鹿共に煽られても

 全然怒らないだろ?馬鹿に丁寧なのが素だと思ってたぜ」


「個人的に気になってしまう、というのであればお前のほうこそおかしい

 魔術師でもないのに陰気なローブに、簡易な軽鎧に大剣、小剣という

 ちぐはくな格好、それに女のような面をしているのに

 口調はチンピラのそれだ。ギルドでもお前のような奴は初めて見たからね、

 もうすっかり覚えちまったよ。

 ふぅ。言いたいことを言ったらすっきりしました。

 ほかに御用は御座いますか?」


見事な切り替えっぷりだ。この姉ちゃんちょっと怖い・・・


「や、ない。なんかその、迂闊につつくのはやめとこうって思いました。

 ハイ。」


「左様ですか。言うまでもありませんが、冒険者は自己責任、です。

 ご依頼の成功を願っております。」


では、と声を掛ける前の状態へと戻る姉ちゃん。

依頼も受けたし俺も食べ歩きでもしながら宿へ戻るかね。




―――アゼイルの市場、ここは依頼の報酬をよく無駄遣いをしちまう

俺のお気に入りの場所だ。なんてこたねぇ食い物。クソマズイ食い物

ウメェ食い物、くだらねぇガラクタ、なんか欲しくなっちまうガラクタ

この雰囲気が、時間が、俺はかなり好きだ


「おーう、レイルの兄さん、今日はどうだ~?」


「いらねえよー、あんたの串焼きはいつも肉が硬すぎる

 今日は気分じゃねえんだ。他をキャッチしてくれよぉ。」


いつも肉が異常に硬い串焼きを焼いているおっさんは、チッ!と

舌打ちすると他の獲物を探し始めた。


(あのおっさんの店はうまかねえが、客引きがやたらうまいんだよなぁ

 串焼きで生計を立てているといか、話術で生計立てている印象だ。)


さぁて、今日はどの店でいくかなぁ、と物色していると

見覚えのある面が居た。4人で談笑し歩いてる

俺が お?と止まってしまったからだろう。

あちらも気づき、こちらへ よっ!と手を挙げる


「よぉ、ゴランの旦那ぁ、依頼の帰りかぁ?」


「おう、レイル、4日ぶりくらいか?俺達は依頼の帰りだよ。

 お前はいつもの食べ歩きか?」


「ああ、今日はすんなり決まんなくてなぁ、と、そうだ。

 パーティーズ・パーティ、俺も参加するぜ、明日は宜しく頼まぁ

 総リーダーのゴランの旦那よぉ。」


っと、いいかぁ?と旦那は待てのサインをする


「先にギルドへ行っててくれ、俺はちょっとレイルと話してから

 後で合流するからよ。」


「おーう後でなー」「サブは私だっけ?まあ、任せといて~」「・・・」


三者それぞれな反応をし、旦那のPTがギルドのほうへと向かっていく


「ミンの奴、また人見知りかよ。困った奴だぜ・・・。」


無言で俯いてた姉ちゃんのことだろう、旦那は少々不満げにそう漏らす


「いいのかい旦那?俺ぁもう手前の用ぁ、伝えちまったから、俺からはもう

 特にゃあないぜぇ?」


「いいんだよ、俺がお前に用があって、奴らの前じゃあ照れくさいから

 先に行ってもらったんだ。」


「そうか?そんならいいけどよ。」


「レイル、お前にはちょっと前にあったパーティーズ・パーティーで

 助けてもらった礼をしっかり言ってなかったな。

 改めて言わせてくれ。お前がきてくれなかったら、殿を務めてた

 俺は奴らに殺され、食われちまってただろう。

 本当に、助かった。」


「気にすんなよぉ、PTの寄せ集めってもよぉ、同じ参加者だったんだぁ

 そんな気にしなくてもいいだろうよぉ。」


いいや、と旦那は否定の意を入れる


「冒険者ってなぁ、自己責任だ。俺の判断ミスでPTが壊滅しかけて

 そのミスを拭うために殿を買ってでたんだ、総リーダーだったのも

 俺だったしな、あん時ゃお前が参加してなかったら何人

 死んじまってたか、わからねえ。

 情けねえ、Cランクだからって、俺は無自覚に思い上がっちまって

 たんだろう。返せる機会がありゃ、かならず返すからよ。」


「おー、飯おごるでもなんでもいいぜ?気楽に返してくれよぉ?」


「はは!お前は相変わらずふにゃふにゃしてんなー。とにかく覚えて

 おいてくれよ?」


旦那はそれで、といい一旦間を置くと話題を変える


「今回のパーティーズ・パーティにお前がいるなら失敗はねえだろう。

 参加してくれて助かるぜ。んで、お前はやっぱりランクを上げる気は

 ねえのか?お前ほどのやつだ、俺のようにCなんかで留まるような

 器じゃあねえだろう。俺にゃあどれだけ強えかなんて測れなかったがよ

 Bあたりでもお前ならいけるだろう?」


「俺の専門は対人だ。魔物をやんなぁ専門じゃねぇ。

 それと、強さなんぞ、俺も測れねえよぉ。そこの串焼き焼いてる

 おっさんが実は笑っちまう程強え、なんて可能性もあるだろ?普通

 わからねえさ、そんなもん。それによ、PTを組む冒険者ってのは

 実力差が大きい奴が組んでも弱い奴が足を引っ張って結果的に上手くは

 いかねえ。」


小さく息を吐きレイルは続ける。


「俺ぇダズやらと、ちまちまぁ仕事を共にするこたぁあるが、一人で

 行くのが退屈で、且つ、金に余裕がある時にそうしてる。

 個人で上げ続けるなんぞ、面白そうだなんて、思えねえ。

 組んで面白そうな奴なら、ランクってやつを上げれるだけ上げて

 みるかってぇ、なるかもなぁ?」


「そうか・・・。やっぱりお前は変な奴だよな、それだけの実力を

 持ちながらそんな考えなんだから、よ。まぁ、俺もこれ以上言うのは

 やめとくさ、明日はよろしくたのむぜ?レイル」


「おお、気ぃつけて帰れよぉ、ゴランの旦那ぁ。」


ゴランの旦那に手を挙げ、あばよぉと別れを告げる

俺は露店で適当に食ってから帰るかね。



―――宿屋、豊穣亭、俺ぁEランクに上がってから

この安宿よりゃよっぽど上等という微妙な立ち位置の

ここの常連になってる。湯で濡らした布で体を拭き、軽く頭を洗うと

2階へと上がり、眠る前に前準備などをする


(ギリアムの旦那は一年過ごしてみて自由ってのは、こういうやつと

 わかったと言っていた、俺はこの一年過ごしてみて思ったのは

 ギリアムの旦那の言う通り今までの生き方は糞つまらなかったんだな、と

 さすがに自覚できていた。俺が気に入ったから、てめぇも気に入る。か。

 言われた通りってのは少しシャクだけどよ、あんたが寄越したプレゼント

 俺ぁ今ならありがとう。と伝えたいよ。)


「さーて、明日はなんか面白いこたぁ、起きるかね?」


レイルはそう言い、布団へ突っ伏すとすぐに眠ってしまった。

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