case1俺とある意味新しい日常の始まり
次の日習慣でいつもの時間に目が覚めて俺は風呂に入り、朝食を食べた
うわぁ・・・色んな意味で行きたく無い
そんな事を言ってもだ、出勤時間はやって来る(苦笑)
いつもの安物ののスーツとコートを羽織るといつものように出勤した
そして捜査一課に顔を出す
案の上だが上司からの呼び出しがかかる
「森!お前に話がある」
「わかってます。今行きます」
「おはよう。お前何したんだよ。」
「何も?」
「なんだよ。何かあったんだろ?」
「とりあえず話は後でな!
お!田中~お前も行くぞ」
「はい。おはようございます。僕も行きます」
俺と田中は久我さんの部屋に呼ばれて話を始めた
昨日の話から今日は上司からの呼び出しがあるとわかっていたので俺はある程度心の準備ができていたのだ
「あー・・お前らに辞令が出ている。零係に移動だそうだ
昨日何があった?お前ら嫌なら俺が上に掛け合ってやるぞ?」
普通はこういう反応なんだろうな・・・
上司はというと何があった?と言いたげな顔で俺たちに話してくる
「俺は行きますよ。零係。
昨日何があったかについては守秘義務があるので久我さんでもお話は出来ませんよ」
俺が受けるという言葉と自分に話してくれないという事実に驚いているようだ
が・・俺の気持ちは昨日で固まっている
と言うか・・・本音を言えばだ
拒否権無い(笑)
昨日の話でとてもじゃないがただの公務員の俺じゃあ逆らえない人物の名前が出ていたしな
俺はしがない公務員なのでおとなしく長いものに巻かれます
「僕もです。僕も零係に行きます。
森さんが行くからとかではないですよ。自分の意思でです」
お前もか!?と何処か行くという事実が頭の中になかったとでも言うような表情だ
「本当に行くのか?・・・・零係だぞ?」
少し前の俺だったらきっと同じような反応をしていただろう
でも、真実を知ってしまった以上は必要な部署であるということがよく分かる
あの部署がなくなってしまえば路頭に迷い、解決出来ない事件が起きることは間違いない
「お言葉ですが、零係は必要な部署ですよ。(まぁ・・・オカルト部署だけどな!)
少なくとも俺は昨日一日で久我さんよりあの部署の重要性を理解しました
あの課と関わりがない人は必要なのか疑問があるでしょうが」
「そうですね。
あの部署がなくなってしまえば警察署で対応出来ない相談や解決出来ない案件が出てきますよ」
俺もそう思う
きっと今までもいたずらだろうで済ませてしまった事も実は彼らの管轄だったのではないかということが頭の片隅に残る
もっと何か出来たのではないかと
そういう悔しさみたいなものがあったのも事実だ
「どうしたんだ、お前ら。脅されたりしていないよな?」
どうしてそういう考えに至ったのかは知らないがそれはない
ある意味脅しのようなものがあったのも事実だけども、それ以前になかった事には出来ない
俺は知ってしまった事を無視できるほど器用な男じゃない事は俺が一番よく知っているのだ
「あははは、久我さん。いくらなんでもそれはないんじゃないですかね
僕も森さんも自分の意思ですよ」
「そうだな。久我さん
零係については俺達もまだ知らない事は沢山ありますが・・あそこは必要ですよ
脅されて仕事を選ぶほど落ちぶれちゃいないです」
「そうか・・・・でもな、零係だぞ!
俺からしてみれば寝耳に水だ。それに優秀なお前と田中の引き抜きとか驚いたぞ
あんな胡散臭い部署・・・」
おいおい、本音が駄々漏れだぞ。久我さん
まぁ、そのイメージに関しては否定出来ない
「胡散臭いってのは俺も最初は思ってましたよ
久我さんの気持ちが分からない訳でもないですけどね
今の俺はそう言われてあまりいい気持ちににはなれないんですよ」
「僕も同じですね」
何故たった一日でこの二人は此処まで変わってしまったのか俺には分からない
本当に何があったのか・・・
「とりあえず今日中に荷物を片付けてしまいたいのですがいいですか?
これ以上話しても俺の気持ちは変わりませんし、
正直久我さんに俺らの気持ちが分かるとも思えないんですよ
俺も下手に説明することは出来ないし理解が出来るともおもえませんしね」
「そうですね。僕も気持ちは変わりません
なので気持ちよく送ってくださいね。久我さん」
田中がそう言うと久我さんは何処か諦めたように
「そうだな。わかった。
詳しい事は直接上司に聞くか・・・
寂しくなるが、新しい部署でも頑張れよ!」
「「はいっ!」」
俺と田中は部屋を後にして自分のデスクへとやって来た
すると同僚の最上が興味津々な様子でやって来た
時刻はすでに昼時だ
「なぁ、話ってなんだったんだよ」
「うん?移動の話だよ」
「は?移動?って部署移動か?」
「移動って・・それ以外にあんのか?」
「何処に?」
「「零係に」」
・・・・・・・・・マジか。と最上が呟いた
「お前・・何やらかしたんだ?」
「左遷じゃねぇぞ?俺の場合は指名での移動だ」
「ますますわけわからねぇ」
「そうだろうな。とにかく左遷でもねぇし、窓際でもねぇぞ
俺と田中もだが、望まれての移動だ。つまり引き抜きだ。引き抜き」
そう正真正銘の引き抜きだ
「ええ・・・だってよ、零係だろ?」
「俺さ・・そういう反応はすでにお腹いっぱいだな
お前らがどう思っていようが変な部署じゃねぇよ(ある意味では変だがな)
俺は午後はあっちに行くんでそろそろ飯いきたいんだが」
「おお。じゃあ行くか」
「田中!飯行くぞ」
「はーい。片付けも終わったんで行きます!」
こうして三人で食堂へと移動した
するとテーブル席に見慣れたメンツが飯を食べていた
「あっ!森さん、田中さん!」
小暮さんが俺に気がついた
俺は注文した定食片手にその席へと向かう
「こんにちは。俺もここいいですか?」
「勿論!今ね、白金くんと靖明くんが買いにいってるよ」
「そうですか。田中も一緒です
最上、お前はどうする?
俺は小暮さん達と一緒に食うけど」
「お?あれ、最上くんじゃない?」
「ん?小暮か?」
「そうそう。小暮だよ。今は零係だけど」
コイツも零かよ・・・・
「不満ならお前は無理にとは言わねぇよ」
チッ・・・コイツは此処で食う気満々じゃねんぇか
上等だ。見極めてやろうじゃねぇか
「いや。俺もここで食うわ」
「お待たせしましたっ!あっ、こんにちは。小暮さん」
「こんにちは。今日も元気だね!」
「はい。それで・・・大神さんはいないんですか?」
「ふふふ。田中くんは大神くん大好きだよね」
こくこくと首を縦に降る
「だって・・・もう。最高です!(あの毛並みといい姿といい)」
なんだ?コイツ・・・
「なんかそこまで達観してると最早見てて気持ちがいいよ
うちの課に来る事を決めたんでしょ?
僕は嬉しいよ。これからもよろしくね」
「ああ。よろしくな」
「おやおや。森さんじゃないですか。」
「うちの課に来てくれるんですね!助かります
森さんや田中さん。それに小暮さんのような”人”はあ貴重ですからね」
「そうそう。貴重だよね
で?君は一課の人??」
「俺はコイツと小暮の同期で最上だ
ところでなんでコイツが零係に移動なんだよ
あんな、墓場みてぇなところ」
そう最上が言うと白金と靖明の纏う空気の温度が下がって行く
あってそうそう最上が爆弾を投下した
笑えねぇ・・・
「最上・・・お前なぁ。それ以上言うなよ」
俺は最上を牽制する意味を込めて睨んだ
なんだよ・・っていうその顔・・刑事なんだからあまり表情に出すなよなぁ
空気読め!空気!
「ふふふふ。もしかして喧嘩売られてますか?」
いやいやいや・・白金さん・・・落ち着いてください
なんか袖口からコンニチワしてます!!!
あ・・・瞳がつぶらで可愛いな・・・ってそうじゃねぇ
「最上!失礼な事言ったのはお前だろ?ちゃんと謝れよ」
俺はさらに釘を指す
田中はと言うと靖明と一緒に動物(妖怪)談義に花を咲かせていた
はぁ・・・気に入らないことがあるとすぐに態度に出るからな、最上は
「チッ・・なんで俺が・・」
俺はテーブルの下でヤツの足を思いっきり踏んだ
こいつは相変わらずだな・・・もう少し落ち着けと心なかで呟いた
「・・・・その・・すまなかった」
「いえいえ・・・ですが次はありませんよ(にこっ」
白金さん・・・すみませんね
俺は白金さんに向かって定食についていた茶碗蒸しをそっと差し出した
俺の気持ちを察したのか”ありがとうございます”と言って受けっとった
こうしてヒヤリとした場面もあったが無事に食事を終えた
帰りの廊下で最上は俺に対して不満があるのか気持ちを吐露してきたが俺は話半分で聞いていた
俺の生半可な返事を聞いて色々とあ諦めたのかぶつくさ言いながら自分の席へと戻っていった
俺はと言うと戻ってきた田中と一緒に荷物を持って零係へと移動する
俺の平穏な日常はこうして去っていき
新しい日常と非日常が混在する不思議な日が始まった
あっ!そうそう・・今さらで悪い自己紹介がまだだったな
俺は森誠一
さてと・・・今日からここが俺の新しい職場だ
俺は扉を開けて新たな一歩を踏み出した