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俺とアイツの恋愛殺人  作者: 恋☆々
出逢い編
5/28

case1事件編(解決)

 恭二は俺の前に一枚の名刺を差し出したのだ

 なになに・・・・・”赤霊社せきれいしゃ所属 常闇 恭二”と書いてある

 上のは会社名だろうが聞いた事のない会社名だ

 何を思ったのか俺は名刺を裏返した


 ”当社では優秀な死神を派遣し

 身近に起きた霊的犯罪や呪殺を犯した犯罪者の捕獲から始末まで請け負います

 なお報酬に関しては当社の規定に沿って頂きます”


 ・・・・・・・・・今度は死神かよ

 しかし、死神って俺たちみたいな会社員なのか

 そう考えると妙な親近感が


「ご丁寧にありがとうございます。じゃあ俺も」


 俺も自分の名刺をお返しにと渡すと彼はなぜか嬉しそうだ


「どうかしたのか」と声をかけると


「いや。死神とわかると人間には嫌われてしまうので貴方は違うようで嬉しいのです」

「そうか

 俺としては死神って言うから身構えてたんだけどな、会社員っていうんで妙に親近感沸いたんだよな~

 警察も公務員だし」

「ぷ・・・森さんでしたっけ?貴方本当に面白い方ですね

 これからも是非よろしくお願いしますね」


死神と仲良くして・・・俺大丈夫か?

まぁ、悪いヤツでは無さそうなんで大丈夫か


「ちょっと!あんた達誰よ!まさか誘拐?」

「うるさいですよ。折角の気分が台無しじゃないですか」


 先程の雰囲気とはうって変わって冷気を纏って怖い顔だ

 俺と楽しく会話をしていたのに水を刺されて御機嫌斜めになったのだろうか


 そんな事を考えていると靖明達と雷斗達も揃った


「さてと役者も揃った事だし事件の内容の確認をしていこうか」

 清明の言葉を合図にようやく事件の全容がわかるようだ


「先ずはこの事件は”呪いによる殺人”で刑としては第二首殺人

 呪いによる殺人は罪としては重い

 そして事件の内容についての確認と犯人への事情聴取を執り行う

 まず事件が発覚した日付は2月13日午後8時に都内の一軒家一室で変死体が発見される 名前は南野百合さん。

そこにいる加害者の白鳥麗香しらとりれいかと同じ会社の社員で二人目の被害者の白石樹里さんの親友でもあります

 まずこの白石さんですがこの白石さんこそがこの事件の本当の被害者でしょう

 それでこの事を前提にお話を進めていきます

 元々この呪いの目的は彼女と恋人関係にある男を自分のものにする為に邪魔になった白石さんに強い殺意と嫉妬心を持ち行動を起こしたということです

 そんな気持ちを抱えた彼女ですが銀座のホステスとして普段は働いているのですがとある 店で知り合った暁子という女性から呪いの仕方を教わり被害者達の私物に呪いを施した

 彼女と暁子の利害が一致していた

 お互いに”綺麗になる”という目的が一致した為に暁子の体の一部を入手し強力な呪具を作成し呪いを強化した

 それにより被害者達はより多くの生気を吸い取られ、急激な衰弱および老化をもたらして 衰弱死を招いてしまい変死事件となった

 不可解な死であれば殺人犯として捕まるリスクも少ないし、それに変死を遂げてはいるが 通常の捜査では死因も犯人もわからない

 つまりは捕まらないと、そう思ったんでしょう

 ちなみに婚約者であるそこの男性も共犯です

 被害者が使っていた口紅・会社の女性に送ったお土産の携帯ストラップ・それから化粧ポ ーチなど被害者達が”毎日身に付けたり持ち運ぶ物”に呪いをかける事で効果は強くなって いく

 こうして彼女は”憎い相手や邪魔な相手”を殺害すると同時に”美貌”を手に入れた

 ただ彼女の唯一の誤算は僕達のような専門家がいたと言うことだ」

 

なるほどつまりは女の怨恨による殺事件ということか

恋愛感情と言うものは時として人を狂気へと陥れてしまうことがある

これはこの事件に関してだけではなく”現実的な事件”でも同じことが言えるだろう

つまりは人の心が起こした事件と言うことだ


「ふふふふふ。あはははははは。そうよ!でも警察じゃあ私を逮捕できないでしょ?

 私をどんな罪で捕まえる気?呪い?」

 

 女はこんな状況でも捕まらない自信があるのだろう

 余裕綽々の態度だ

 普通はこんな非現実的な事件では罪に問われる事はないだろうな

 だけどここは”普通の部署”ではない

 それは俺が身をもって体験中だ

 このまま彼らが見逃すと言うことは決してないだろうな・・


「君は何も理解していないようですね

 君の呪いの方法が分かり、そして殺害動機も分かった上で貴女を捕まえたのですよ?

 つまりは”貴女を裁く為の手段”と”罪に問うことが出来る”ということです」


 そう恭二が告げると


「嘘よッ!私知ってるもの!”人間の法律”では罪に問えないもの」


「そうですよ。でもそれは”人間の法”ではの話でしょ?」

「そうだね~。でも俺らには関係ないんだよね~」


 どういう事?と言いたげな彼女と男だったが


「不思議そうにしているけれどね」


「「そもそも俺達人間じゃないんだよね」」

「「!!!!!」」 


 そう、そもそも人間ではない彼らには彼女の言い分も目論みもすべてが意味をなさない

 どんな事も通用しないのだ

 彼らには”人間の法律も常識も通用しない”


「残念だけど君の言い分は通らないんだ

 そもそも殺人の仕方が人知を越えた力によって行われたものだ

 それを人の法に当てはめて裁こうということ事態に無理がある

 そこで然るべき所に罪を裁くことは異常でも何でもない事だろう?

 餅は餅屋にという言葉があるようにですね、呪殺は彼らの管轄です

 ね?”死神”さん」


「し・・・・死神っ!?」

「そうですよ。我々は死神です

 貴方達は今日をもって”地獄流し”の刑を執行し、その後裁判を受けて貰います

 地獄でですけどね」

「そうだね!まぁ・・・一度死んで貰うけどね~」


 その言葉で二人はようやく自分達の置かれている状況を把握したようだ

 顔から血の気が引いていき青ざめている

 彼らはその存在の名前の通りなのだろう


「話を続けますね

 つまりは僕達警視庁の特殊犯罪課はこういった現象や事件専門の部署です

 表の警察と同じように独自の捜査を行い犯罪者を捕まえるんです

 ただし、犯罪者が人間以外の場合も非常に多いためそもそも現世の法は適用外です

 ということで地獄で”閻魔大王様”に裁いて頂く事になっているんですよね

 そして死神である彼らは地獄からの使いであり、現世において変死を遂げた魂の回収や地縛霊・怨霊などの霊の回収などの仕事も行っているんですよ

 彼等と私達警察は協力関係を結ぶ事でお互いの利害が一致して協力しています

 警察には変死の情報がいち早く入ってきますので彼らにとっても都合がいいんですよ」


「そうそう。昔と違って今は人間も多いし、情報が飛び交っていて色々複雑だしな」

「そうなんですよね~妙な知恵を持ったせいで我々も仕事が増えていましてね

 猫の手も借りたいくらいなのですよ

 ネットやメールでも呪いを掛けられる世の中ですからね」

「その為に僕や兄さんのような専門課で刑事がいるわけです

 罪状の確認の為に話をしたわけですが・・・内容が合っていることは間違いありません」


「証拠は!」


「証拠?勿論ありますが、あってもなくても答えは同じですよ

 彼ら死神がここにいる時点で事件の内容も罪も確定済です。変更はありません

 死神の持つ”指名手配者”として鬼籍に名前が載った時点で罪から逃れることは出来ない

 と言うわけで僕らの仕事はここまでです」


「そうですね。では形式的ではありますが手続きを済ませてしまいましょう

 これが鬼籍のコピーです。どうぞ」


「では私たちからも、現世でわかったすべての出来事を纏めた報告書のコピーです

 あちらの裁判でお使いください」


「おう。いつもありがとうな。助かる」


 そう言うと恭二と四乃の瞳が赤く染まり鎌を振り上げてそのまま二人に降り下ろしたのだ

 だが・・・体から血の一滴も残さずに事切れたように倒れた

 すると俗にいう”人魂”がふよふよと浮いている。数は二つ

 そして音もなく現れた鴉の持っていたランタンの中に吸い込まれ得ていった


「これで俺らの仕事は終了」

「では皆さん。この魂は連れていきますね

 あ~それと、森さんでしたっけ?

 ”また、お会いしましょう”」


 そう言うと禍々しい雰囲気がどこからともなく溢れてくると目の前に大きな障子が現れて彼らは地獄へと戻って行った

 また会いましょうって・・・・・どういう意味だよ!?

 あまりにも現実とかけ離れた光景に俺と田中は目を見開いた

 視線を床の上に写すとそこには先程まで生きていたであろう男女の死体が底にはあった

 一見見た限りでは死者とは思えないほどの姿に動き出しそうだなどと思ってしまう


「なぁ・・・・コイツらはその・・死んだのか?」

「ええ。そうですよ

 地獄には肉体があった間ままでは行けませんからね

 一度現世で死んでもらわないといけないのですがなるべく苦しまず殺す為に彼らにお任せ してるんです

 まぁ、今回のように穏やかに逝ける人間ばかりではないですけどね」

「そうそう。清明兄さんのいう通り今回はこれでもわりと穏便に事が進んだ方だよ

 最悪の場合は綺麗には死ねないからね」

「今回は機嫌も良かったですし、部屋が血生臭くならなくて良かったですよ

 ここで惨殺事件起きた場合は片付け大変ですからね」

「そうそう。鑑識の俺がまた各方面に言い訳考えなくて済んでよかった」

「おい、風斗。話すんのはいいがとりあえずこの二人をとりあえず火葬にするぞ

 この世に対する恨みや念で動かれても困るだろ?」

「そうだね。とりあえず靖明も白金もよろしくね

 祝詞あげてそれから清めたり、とにかくこんなやつらだけど弔ってやらないとね」


 これが彼らにとってはいつもの流れなのだろう

 風斗と雷斗が二人の死体を抱えあらかじめ用意してあったであろう白装束や棺桶などを準備していく

 そんな光景を俺と田中は見ている・・・何をすればいいのかがわからないのだ


「君は今回が初めてだからね。戸惑うのも無理もないよ

 君達は死神と聞くと悪い方向に考えがいってしまうのだろうけど実際は大分ちがう

 死神はね寿命で死ぬ普通の人間以外の魂のお迎えや人あらざる力や現象などに関わってし まった魂を回収する危険な仕事をしてくれているんだ

 彼らはね、常に死の危険と隣り合わせなんだよ

 死神と刑事。ある意味ではにているところもあるのかもね」


 寿命を迎えて普通の死を遂げたもの以外と関わる仕事か・・・・

 確かに似ているのかもしれない

 やり方は違うが常に死と向き合って行う仕事だし、それに被害者や加害者にとって善人にも悪人にもなってしまう


「因みにね、寿命でなくなる人間はとある神様の使いによって地獄に連絡されているんだ

 その連絡以外で死を迎えるということは何らかの力によって死がもたらされたと言うこと だ

 予想外の死者は地獄の死者の管理に影響が出てくる

 それは後にこの僕らの住む”現世うつしよ”にも影響が出てくるんだ

 もし死者の魂の数が増え続けて地獄での受け入れが出来なくなってしまったら?

 どうなると思う?」


 その話を聞いて俺は背筋が凍った

 それはつまり・・・行き場をなくして溢れてしまうって事か?


「こらこら、靖明。あんまり最初から脅したらダメじゃんか。

 靖明の言っていることは事実だけどね

 でもそれをなんとかするためにここにいる皆や同じような仕事を行う人間がいるんだ

 だって”現世”の事は今ここで生きている僕達がなんとかしなくちゃ

 だからね、今まで見たことは忘れないでね」

 

 そう朔夜さんは優しく微笑んだ


「森さん。今回森さんや田中さんが体験したことはね

 それこそ手段は違うけれどこの現世で生きている人間を守る事には代わりがないんだよ

 少なくとも僕はね・・この仕事に誇りを持っているよ

 それにね。案外世の中には人間の理解を越えているもの何てそこかしこにあるもんだ」


 朔夜さんは言う

 この零係の仕事は人間の犯罪を取り締まるのと同じで生きている人間を守る仕事なのだと

 呪いという得たいの知れない未知の力・・・それは人知を越えた力

 俺たち人間の刑事は犯人という人間の悪意や狂気と戦っているが

 零課の人間は怨霊・妖などに立ち向かい常に戦っている、俺らより遥かに危険が伴うだろう


「考えている君に補足

 僕の名前を覚えているかい?」

 

 名前?

 なんか古風名前だったよな・・確か・・・


「御門・・靖明だろ?」


「そう。僕は御門靖明

 君達には特別に教えてあげることにしよう

 僕の御門っていうのはね”土御門”からとって表向きに御門と名乗っているんだ

 この土御門はその昔平安の時代に名を馳せた希代の陰陽師”安倍晴明”の血筋

 つまりは僕も弟の靖明も裏の職業があるんだよ

 ”陰陽師”っていう裏の顔がね・・・」


 陰陽師・・・って。あれか?妖怪とか悪霊とかと戦うっていう

 俺は昔見せられた某映画の世界を思い出した


「あっ!君今、妖怪と戦うとか思ったでしょ?

 それはね植え付けられたちょっと間違った印象だよね~

 僕らの本職は星の動きを読んで大きな災害を予測して未然に防いだり

 危険な場所を占ったり、神域を守り神様を奉ることが主な仕事だよ

 その副産物として”穢れ”と呼ばれる悪い気を祓ったり、元は神様である妖と交渉をしたり する過程で退治することになったりするだけなんだ

 だからね概ね僕らはあくまでも神職

 神様に使えている彼ら”神使しんし”と同じ」


「神使っていうのは文字通りの意味で”神様の使い”という意味だよ

 私はまた少し違う存在なのだけれどね

 そこにいる大神くんは”おおかみ”つまり”狼”の妖だけれどね

 彼は日本の主神の一人である”天照アマテラス”という女神様の使い

 そして天照様は太陽神であると同時に自然の神でもある

 農業や織物など人間の生活と密接に関係がある神様だよ

 そんな彼女を奉る神社やお寺は多いし、ここだけの話だけどこの国の歴代の天皇陛下は彼女の血族なんだ

 天皇の行事の中で神社を訪れたり狩衣を来て参拝に行くのは自分達の祖であり母のような存在の天照様への挨拶や報告を行う神事といってもいい

 だからね、人が忘れているだけで不思議な事や恐ろしい事は常に身近な存在でもある

 純粋な心を持つ子供が小さい頃に不思議な体験をすることがあるだろう?

 それと同じ。裏を返せば大人になると純粋な心を失い見えなくなるということだ

 つまりは見えていなかっただけで彼らや私達にはそれぞれ役割があり、それがたまたまこ ういう仕事だったに過ぎない」


「因みに秋水は土地神様の一族で農耕の呪術や大地の神の声を聴く巫女の血族でもある

 悪い妖怪として名を広められてしまったけれど元は豪族の人間で人から妖怪になったんだ だから彼の先祖は元を正せば人間だよ」


 俺は少し驚いた・・・元は人間だという

 その可能性を忘れていたのだ

 それにまさか天皇陛下も半分は人間ではないという・・・これ国家機密なんじゃ・・・


「今日は一度に沢山の事が起きてしまって頭が混乱しているだろうね

 この後は僕達のやることはないだろうからお茶でもしながらゆっくり話をしようじゃないか」

「そうだね。じゃあ僕は小暮さんと用意するね」


 隣にいる田中がやけに大人しいんだが・・・


「つまり・・・この課が出来たのは天皇陛下の意思もある・・・?」


 確かに!こんな無茶苦茶な捜査も、それから手続きが通るのにも納得がいくが

 それは・・・言葉にしても大丈・・夫じゃ無さそうだな・・・・

 にこにこと胡散臭い笑顔を浮かべた靖明ががしっと田中の両肩を掴んだ

 田中はオロオロしながら”えっ?何?笑顔怖いんスけど!?”と叫んでいた


「その事実に辿りついちゃったのかぁ~じゃあ仕方無いね

 君、明日からうちの課に移動ね」

「え!?明日からですか!?」


 田中よご愁傷さま・・・そして突っ込む所はそこではない

 じゃあ俺は巻き込まれる前に早めに退・・・散

 出来ないですよね・・・・


「森さん?何処にいかれるんですか?」


 え?何処って・・・自分の部署に帰・・・れないのか


「そうそう。君も明日からうちの課に配属になったからね~」


 いつ?いつそんな手続きしたんだ?

 それにそもそも何でこんな事になったん・・・・・だ?

 あ?あれ?

 そう言えばコイツなんか言ってなかったか?

 確か・・・”君達は候補だ”って・・・ん?候補??

 あ・・・・・そう言うことか!!

 つまり俺と田中は最初から”試されていた”

 田中は無類の動物や自然の生き物好きでは虫類やは虫類にも強い

 で・・俺はなんでだ?


「君はね。小暮くんの推薦と何者にも冷静に対処できる性格に刑事としての経験かな?

 僕の信頼している小暮くんの推薦という時点でほぼ確定だったけど今日の態度を見てますます欲しい人材になったからね~」

 

おいおい!俺の意思は無視か!?


「君も田中くんも国の重要な”機密事項”を知っちゃったし、それにねここまで”怪異かいい”に関わってしまったら少なくとも普通の生活には戻れないだろうしね」


 普通の生活に戻れない?どういうことだ?

 ふと前を見ると、視界の中に半透明の蝶?

 まさか・・・・


「やはり見えるようになったみたいだね

 彼は蝶の妖で咲人さくと君、田中くんの身辺を守ってくれていたんだよ」

 

 蝶々が消えて一人の和服をまとった若い男性が現れた


「私にお気づきになられるとは相当素質がおありのようですね

 はじめまして私は朔夜様の身の回りのお世話をさせていただいております

 今後もお仕事などでお世話になると思いますのでよろしくお願いしますね」


 それからは犯人達の死体を清めて骨壺に納めた後は念のため封印を施し清明さんの実家で保管されることになった

 犯人達の遺族には真実を教えるのかと聴くと

 ”必要以上の話をすることはない。知らない事が救いなる場合があるからね”と言った

 本当ならば真実を告げることが誠意なのだろうと思うが、今回に限ってはそれが良いのかはわからない

 何故ならば受け入れてくれるかどうかが分からないからだ

 話をするのは簡単だが事はそう簡単な事ではないと言うことが俺にも分かる

 人とは得てして自分の都合の良いように考えてしますもので例え清明さん達が真実を話したとしてそれを見ていない彼らが信じるとは到底思えないのである

 俺とて現実として初めて目の当たりにした事で飲み込めたと言わざるを得ない

 ・・・・・・だからか!?

 だから・・少なくとも遺族の気持ちや被害者の気持ちを理解できる人間が欲しい

 そういう事か・・・食えない男だな


「僕の目的が理解できて何よりです。理解が早くていいですね~」


 この狸め!?

 最終的には浮気しているという事実を知っていた加害者側の人間には彼らが自分達のために

 何人も毒殺し、そしてその事件が警察にバレてしまい最後は罪から逃れられないと思ったのか二人で毒により心中したと告げられた

 被害者家族にも同じ事を告げると勿論すんなりと受け入れてくれるわけもなく大変だった

 しかし、これは両家族にとっては必要な事嘘なのだろう

 被害者にも何故嘘をついたのか?と聞くと

 ”それはね。彼らが真実を知った場合、復習に走りかねないからだよ

 だってそうだろう?呪いなんて馬鹿げたもので殺されたという事実

 もしその事実を知ってしまったらきっと同じ手段で復習を考えてしまうだろ? 

 君ならどうする?俺だったらきっと納得何てできないだろうね

 でも、痴情の縺れによる殺人事件なら少なくとも気持ちの整理はできるだろう?

 相手の家族を恨むのには変わらないが復習をしないという選択を与える事が出来る

 人を呪わば穴二つという諺もある

 怪異などと無縁な生活が遅れるのならばそれに越したことはない”

 彼らも彼らなりに考えて告げたという事がよく分かる

 優しさ・・・なのだろう

 周りからはどんなに問題のある行為なのだとしてもこれは”必要な嘘だ”

 なにも真実だけが人を必ずしも救うとは限らない

 第二・第三の悲劇や犯罪を産み出してしまう場合もある、逆も然り

 とくにこういう説明のし難い事件はデリケートな部分が多い

 言葉とは難しい、言葉一つで人一人のその後の人生が変わってしまう

 俺は今それを今ひしひしと感じている

 今回の事件の後始末というか手続きがすべて終わると俺は気もそぞろのまま帰路についた

 家についた後タバコに火をつけて一息ついているとメールで事の顛末が送られて来た

 内容はというと大元の女郎蜘蛛は秋水によって捕獲されて悪事を出来ないように呪いをかけて監視を行っていること納得のいっていない被害者遺族が何やら調べていると言うことが書かれていた

 俺は思う、遺族が方法は違うが犯人と同じような事をしないように

 祈るしか出来ないがそうあって欲しいと心から思う

 それから改めて事件の現場写真や報告の書類を読み返していく

 呪いとは恐ろしいものだと改めて認識をした

 通常の殺人なら犯人と格闘して逃れられるかもしれないし助かるかもしれないという僅かな希望もあるだろう

 しかし正体も分からない恐怖に蝕まれて行くのはどんな気持ちなのだろうか?

 どんな事をしても原因は分からない、まともな手段では助からない

 今まで凶悪な殺人やあ事件を見てきたが・・それとはまた違う”凶悪”な事件

 明確な殺意の元犯人と退治し殺意を向けられるということすらまだましなのだろうと思ってしまうほど理不尽に訪れる死か

 それから俺は何を思ったのかコーヒーとタバコ片手にパソコンで色々と調べていた

 ”陰陽師”・”呪術”・”妖怪”俺は普通ならまともじゃないと思われるような事柄に目を通していく

 少なくともにわかでも知識がないよりはましだ・・いや、俺が少しでも安心したいからだ

 そして俺はある程度満足したのかそのまま眠りについた


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