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俺とアイツの恋愛殺人  作者: 恋☆々
出逢い編
3/28

case1 続・始まり


 現場検証が終わった彼らと一緒に署に戻るとやはり場にそぐわない異様な服装の二人とそれから犬二匹に鴉一羽に男達が歩いている


「おい・・・あれ。例の課だろ?」

「相変わらずだな。」

 

 ざわざわと署内が騒がしいが当の本人達はどうでもいいようで我関せずだ

 そのまま署内の奥にある”特殊犯罪零課”と書かれた部屋へと入っていく

 扉を開けるとそこは・・・・・・・・・・まさしく”異界の地”でした

 怪しい壺やら鳥居やら・・・なんというか、同じ警察の署内なのかすら分からないくらい”異様な光景”だ


「ここに座っててくれる。殺人現場の状況を説明するから」

「俺と白金達は前で風呂に入ってから戻ってくるから後よろしくね~」

 風呂?

「いってらっしゃい。」

「着替えは僕が持っていきますね」

「じゃあここは僕がお茶だししますね~」

 

 俺と田中は御門さんに案内されて部屋内のソファーへ

 そして資料らしき物とお茶やお菓子を乗せて小暮さんが戻ってきた


「では、事件の説明をしようか。

 まずその前に君達には今から話すことが”現実”である事を認識して貰いたい

 嘘偽りが無い事を話すが信じて貰わない事には難しい」


「ん?ちょっと意味がわからないんだが」


「始めは戸惑うと思いますが御門さんは真実をお話しますのでそれを信じればいいだけです。

 まぁ・・人によっては信じない人も居るんだ」

「そうなんですね。僕は信じます!」

「田中くん。いい返事だね」

「話はわかった。事件の話を聞こう」


「ではまず被害者と加害者についての話からしましょう

 事件の概要を話すには先ずは事の発端である人間関係からお話しなくてはいけません

 被害者は複数います。

 一人目の被害者は南野百合さん。彼女は加害者と同じ会社で働いていた女性です

 二人目の被害者は白石樹理さん。彼女は加害者の女と恋人の男の婚約者です

 まず始めに今回の事件は”呪詛”による殺人です」


「呪詛ってなんですか?」


「”呪詛”つまり”呪い”による殺人だ

 僕達の仕事はこういう怪奇による殺人事件や事件を取り扱っているんだよ」

 

 今なんと言った?呪い・・・


「ほら。僕は始めに言ったでしょ?今から話す事は現実だって。

 いいかい、この国は呪いや呪術などが昔から脈々と受け継がれているんだ

 今やネットやSNSなどにより中途半端な知識や呪い屋に仕事を出したりも出来る世の中に なった

 これにより不可解な死を招く事件が少しずつ増えている

 これはね異常な事態でその都度対応していかないと困ることになる」


「おまたせっ・・て。なに?今俺らの仕事の話?」

「そうです。ただね、この人達は始めての事で少し戸惑っている所ですね」

「まぁ、そうだろうね。普通は呪いなんて身近にないからしょうがないよ。兄さん」

「そうですね。普通の人には縁がないと思いますし」

 

 呪いとかと身近って、どんな生活を送ればそんな事になるのだろうか?

 突然非現実的な言葉が降ってきて戸惑うなと言うのには少々無理がある

 今まで聞いてきた悲惨な現場の話とはまた違う戸惑いのようなものが全く無いと言えば嘘だろう

 そんな様子にも慣れているようで・・・俺はそのまま話を聞く事にした


「とにかく話を続けましょう。

 それで今回の事件は”不可解な死”だった為にうちの管轄になりました

 その不可解な死に方ですが被害者が”老婆の様に急激に老けていた”と言うことです

 被害者の年齢は25才と30才と若い

 ですがご遺体は明らかに見た目が70才~80才暗いまで急激に老化していたんですよ

 それがこの写真です。この写真でもわかるように年齢と合致しないんです」

 写真を見せて貰うと確かにどう考えても年齢には合致しない・・・が

「別人という可能性はないんですか?どう見ても生前の写真とは似てませんね」

「だな」

 

 そう。別人にしか見えないのだ

 明らかに同年代とは思えないような変わり様だ

 同じ人物だと言われなければ親戚かなにかと勘違いしてしまうほどの変貌ぶりだ


「ああ・・その事ですか。

 それに関しては霊視と”清めたご遺体”を解剖した結果、二人の身元が判明しました」

「結構強い呪いでしたからね。未練もあったので今回は割りとはっきり霊視出来ましたよ」

「そうそう。ただね・・・よりにもよって選んだ呪いが”女郎蜘蛛”関係って・・・・」

「なんだ。その霊視とか女郎蜘蛛とか」

 俺の言葉を聞いて田中もこくこくと首を縦に振った

「そうですね。順番にお話しましょうか。じゃあ先ずは大神と靖明と白金から」

「まずは俺。えっと大神が二匹の狼を使って結界をはります

 それから鴉に呪詛の元になるモノの発見をして貰います

 つまり呪いが外に漏れないように建物内に閉じ込めて危険が無いか調べます」

「次に俺。靖明が残留している被害者の霊を視たり、呪いを払う為にお祓い用の狩り衣や道具を持って捜査します

 この時に一緒に来て貰った白金には蛇を使い、呪いの種類の特定とその呪具の封印と保管 を頼みます

 その間に俺は香を炊き祝詞を読み上げ呪いを祓うんです」

「私、えっと白金の専門は呪詛の研究とそれから禁術や封印術などなので呪いの元になっている道具の保管をしたりしますね

 その後は鑑識の風斗さんと立ち会いでお兄さんの雷斗さんにお任せします」

「鑑識の風斗っていいます。俺の仕事は表の警察と同じように先ずは捜査をします

 それと同時進行で別の捜査を行うんです

 普通の検死や現場検証などに加えて呪詛の痕跡や怨念の残視に他にも色々と調べます

 概ね調べ物には特別な道具を使いますが主に神具や護符などですかね

 立ち会いは危険が伴うので霊力や妖力が高い人間じゃないといけないからね」

「そうそう。俺みたいなね

 強い力の人間が護衛しながら写真を撮ったり悪霊などを祓った りするのが役目かな~。

 呪いのある場所には悪霊と呼ばれる悪い霊や他にも妖怪などが寄ってくる場合が多いですからね」

 

おいおい・・・なんなんだこの部署!

俺は出てきた言葉に思わず声をあげた

は?

俺はおかしな部署だとは聞いていたが・・・まさか、物語の中の様な話を聞く事になるなんて誰が思うかよ

と心の中で悪態をついた


「えー・・・とつまりここはオカルト事件を扱ってるって事か?」


「そうだね。大まかには当たってるね。うん」


「それで、今回の衰弱もその・・・・呪いって事か?」


「そう!その通りだよ。森さん

 でね。この部署の事なんだけど詳しくは他の課の課長さんとか部長さんにしかお話してな いんだけどね

 今回はそろそろ一課との橋渡し役になりそうな人間を見繕う事になったんだよ

 丁度都合良く候補だった君達が居たからそのまま連れて来ちゃったんだ

 と言うわけで君らこれから話を聞いて僕達の仕事の事聞いて覚えてね」


「今の話で何となくそれぞれの役割はわかったと思うから話を続けるよ

 今回の衰弱についてなんだけれどそれはね、相手の生気つまりは生命力を奪う呪いだった って事だよ

 俺もさここの課に配属された当初は色々戸惑ったけどね、幸い僕の実家は神社だからそれもあってか今じゃ馴染んでるよ

 だからね、呪いは現実にある事をまずきちんと認識して欲しいと僕は思う

 それを念頭に入れた上で続きを聞いて欲しい

 先ずは呪いの種類は女郎蜘蛛の一部を使った呪いと判明した訳だけど・・これがこの女郎蜘蛛です

 蜘蛛の妖怪ですね。今も勿論生きています

 この呪いは体の一部の持ち主の妖怪の特性を持った呪いと言うことです

 女郎蜘蛛は妖艶な体を持った妖怪で異性を色香で惑わしその生気を奪ったり、自分の美貌を保つ為に女性のから生気を奪います

 犯人の特徴はこれに合致しませんか?

 浮気相手である自分がっ好きな男を奪うために男の婚約者の生気を奪い、男を自分の虜にする為に嫌いな同姓の女性から生気を奪いました

 そしてこの写真の状態になるわけですが生気は加害者の女の元にいっている訳です

 さらにはこの手の呪いには副作用があるんです

 その副作用とはこの呪いによって若さを保つという自称そのものの虜になって犯罪を繰り返す事です」


 俺達男に美しさに執着する気持ちは理解出来ないが、いつまでも若い体のままでいられるという事に関する魅力は理解できる・・いや出来てしまう

 しかし、その傍らでその若さを保つ為に誰かを殺しているという事だ

 確かに理にはかなっているし人知は越えているがこれも立派な”殺人”である事に代わりはないだろう

 だが・・・・すぐに理解しろとい言われてもそれはまた別という事だ


「怖いですね・・・でもそれってまだ被害者が増えるかもって事ですか?」

 

そうだ。まだ犯人は捕まっていないし、捕まえるとしても何の罪でだ?

 俺達は刑事だがコイツらの言う人間の定めた法律じゃ逮捕状は降りない・・・


「なぁ・・どうやって犯人を捕まえる気だ?」


 俺がそう言うと横の田中ははっとした表情を浮かべて”そうですよね。”と呟いた

 そんな俺達を見た小暮は


「それはですね。専門の方にお願いするんですよ

 呪いによる死は輪廻転生する上でも厄介みたいなんですよね

 だってそもそも成仏出来るかも不明なんですよ

 最悪の場合あ悪霊になって人を殺したり、祟ったりする地縛霊なんかになるケースもあり ます

 ですから被害者を少なくするためにに僕達がいるんです

 今回の場合ですと色々と専門家に要請を出さないといけないケースになりますね」

「そうだね。でも先ずはきちんと呪いの大元を探す事と事件の加害者の”送り状”の作成とそれから土蜘蛛の方達に連絡しなくてはいけないね

 大元探す為には家宅捜索が必要だけどそれは何らかの理由を僕が考えて作成しておこう」


「その送り状ってなんですか?」


逮捕状みたいなもんか?

次々に出てくる謎の言葉に俺の脳内は一杯だ


「それは俺らよりこれから来るヤツに聞くといいよ

 俺は一夜さんに連絡いれておくね~たぶん向こうではすでに書状が出てると思うけど」

「靖明さんが一夜さんに連絡を入れるんでしたら私は御門さんと雷斗さんと一緒に書類の作成でもしましょうかね」

「わかりました」

「じゃあ僕と大神さんで実家に電話連絡いれて誰かに来て貰いましょう」

「そうだね。この時間ならお義母さんいるんじゃないかな?

 それとお義父さんの秋水さんにも来て貰った方がいいだろうし」

「そうですね。そうしましょうか」

 俺と田中の知らない所で話が進んで行くのを尻目にふと気がついた


「なぁ。一つ聞いていいか?その・・妖怪が来るのか?ここに」


 俺が紅茶を飲みながらそう言うとなぜか皆目が点になっていた

 妖怪・・・・あれか?ゲ○ゲの○太郎に出てくるみたいなヤツなんだろうか?

 そもそも、人と会話とかできんのか?


「あはははは。面白いですね。森さんって」


「え?何?」


「気がついてないんですね~」


 何が?気がついてないんだよ!?

 俺、なんか変な事言ってたか??


「さっきからあやかしなら目の前にいますよ」

 

 そういって大神・風斗・雷斗の3人を指差し最後に自分を指差した

 ん?どういう事??


「は??」

「え??だって皆さん普通の人間に見えますけど・・・」


「それはね、俺達みたいな妖力や格の高い妖は人間と同じような容姿にもなれますし

 今現代において人外な部分は出して生活出来ませんし、妖力を出した場合生活に支障があ 出ますからね

 よっぽどの事がない限りは本当の姿になんてなりませんよ」


 ん・・・??今なんて?俺達みたいなのだと?

「まてまて・・俺の聞き間違いか?俺達って・・それじゃあまるでお前が人間じゃないみたいじゃねぇか」


「「「そうですよ」」」

「まぁ、そうですね。僕は人間ですよ?」


 そうですよ・・・って


「見た目は人間ですけど僕はこう見えて”狼”ですし」


 そう言うと大神さんの頭の上にひょひょこと蠢く・・・・獣耳

 獣・・・耳!?


「そ・・それ!本物ですか!!しっぽ!しっぽは出ないんですか!?」


 おいおい・・田中よ。突っ込む所が違うだろ!!

 そして大神お前もしっぽを出して田中で遊ぶんじゃない!


「大神さん!俺・・・ここの部署の人間になりたい」

 おまっ!それ絶対にお前の動物好きな病気が出てるだけだろう

「じゃあ僕も見せた方がいいんですかね?」


 今度は雷斗と風斗の兄弟の額に立派な・・・・・角

 角???


「森さん。雷斗くんと風斗くんは雷鬼と風鬼ですから元々人間に近いですからね~」


 鬼・・・・・・鬼!?


「鬼って・・・・あれか?悪い子はいね~か!って」

「「それはなまはげ!まぁ・・鬼だけどな」」

「ちなみになまはげは神の使いの鬼だから姿は怖いがイイやつらだぞ」

「そうそう。しかも海の恵みや無病息災などをもたらしてくれるんだよ」


 マジか・・・・・なまはげさんはいい鬼なのか

 顔だけで判断してすまんな・・


「因みに私ですが白蛇です。私も一応神の使いですよ

 古来より日本では白いものを崇拝し祀る風習があります

 白い蛇は一部の地域では弁財天の使いとして祀られてるんですよ

 因みにご利益は開運と金運が良くなるようですよ」


 ようですよって・・・・・


「因みにうちがどうかは秘密ですけどね。だって襲われたら嫌ですし」

「話が大分それちゃったけどお客さんが来る頃じゃないの?」

 御門さんがそう言うとタイミング良く風斗くんのスマホの着信が鳴った

「もしもし?着いたの?じゃあ迎えに行きますね

 兄さん。迎えにいくよ~」

「わかった」

 そう言うと二人は誰かを迎えに出ていってしまった

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