case6続・俺と彼女の共同捜査
多分、見つけられないと言う自信があるからなのだろう
俺はふと気の方を見つめると・・・二枚のお札の様なものが目に入った
なんだろう?
俺は気になってそのお札に手を伸ばした
するとバチバチィ!!と電気の様なものが走った音がして札が燃えて消えてしまった
俺はと言うと少し驚いたが・・・体に何も異常はない
俺はなんだったのだろう?と思いながらも後ろを振り返ると
「お前!お前ぇぇ!何て事を!?」と激昂する真由美さんと
「「ひいっ!!」」と叫び尻餅をついて俺の方を青ざめた視線で見つめている夫婦がいた
「君と言う人は・・・・」とあきれぎみの白金さん
”あらあら、ダーリンってば・・お茶目さんなんだから~”
”うわ~・・・・凄い数だよね~・・・”
どうやら俺は何かやらかしたらしい
「これは・・・・どういう事?」
「なんと言うことだ・・・まさか・・・こんな事になっていたとは」
「お前ぇぇ!何て事してくれたの!
私の結界を破ったわね!折角隠してたのに!!
許さないわ!見ちゃったんだもの・・・殺さなくちゃ・・・・」
彼女は後ろに隠し持っていた大きな鉈をずるずると引きずりながらこっちに向かってくる
フフフフ・・・・と不気味に笑いながらこちらへと近づいてく
白金さんはと言うと彼女の両親を後ろに庇い立っている
彼女は真っ直ぐ俺に向かって来て鉈を振りかざすが・・・・届かない
ガキィィンと鉈に何かがぶつかり跳ね返す
それは橋姫が持つ大きな裁ち鋏だった
”人の旦那様に何をするのかしら?”
「おばさん!邪魔しないでよね!」
”おばさん?それは私の事かしら?”
「そうよ!邪魔しないでッ!そいつ殺すんだから!」
”フフフフフ・・・・・誰を殺すですって?”
彼女と真由美さんが鉈と鋏で何度も何度もお互いに振りかざす
そしてガキィィィン!と音を出し橋姫が彼女を鉈事弾き返した
「くっ・・・・・!」と彼女は吐き捨ててどさっと地面に倒れた
そしてキッ!と下から睨み付けて「邪魔しないでッ!殺す・・・殺してやるわッ!」と叫び出す
”あらあら・・随分威勢のいいお嬢さんだ事・・・・”と橋姫は言って俺の腕に抱きついた
「真由美さん・・もうやめましょう、こんな事・・・」
「・・・・・嫌よ」
「あなたのしていることは人の踏み入ってはいけない領域までいっている
貴女も無事ではすまないですよ」
「嘘よ・・・・私はおかしく何てないし、何もないわッ!」
「今まではただ・・・幸運だっただけです。今すぐやめてください」
「嫌よ・・・それに私は大丈夫だもの!アンタに何がわかるって言うのッ!」
「わかりますよ。俺だからわかるんですよ
それに・・・・・このままだとあなたは”人間では無くなる”」
「は?何よそれ・・馬鹿じゃないの?そんな訳ないわッ!」
”かわいそうに・・・貴女・・・気づいてないの?”
「何によッ!」
”フフフフフ・・・本当に気がついていないのね?いいわ・・・教えてあげる”
橋姫が一枚の大きな古鏡を呼び出すと、そこには・・・・・・・
白いボサボサ長い髪に青白い肌・・・それから長い爪と鬼の様な形相の年老いた女がいた
”これが今の貴女の本当の姿よ・・・・まるで鬼婆の様ね”
「きゃぁぁぁぁぁ!嘘よッ!これが私なんて嘘よッ!!」
”嘘じゃないわ・・・この鏡は真実を写し出す魔境よ”
カラン・・・と鉈が音を立てて地面に転がって彼女は呆然としたまま地面に崩れさった
嘘よ・・・嘘・・・・とぶつぶつと呟いている
「・・・・・・あれが・・・真由美?」
「何が・・・・あったんだ?」
「それはですね。俺が話します」
俺は彼女とその両親に向かってすべての事情を話す事にした
すると彼女は「そんな・・・・じゃあ・・・私・・・騙されて・・・」と涙を流した
そしてすべてを話してくれたのだ
それは先程の電話で俺が靖明から聞いた事であり、そして今回の事件の顛末でもあった
事の始まりは数ヵ月前に遡る
彼女が例の谷口と言う男に繋がっていたのだ
あの男・・・実はなんと三股をかけていたのだ
今回死んだ被害者と秋月さんとそれから目の前の真由美さんだ
そして真由美さんはそんな事は露知らず愛する男の為に呪いを行ったのだ
谷口は谷口酒造と言う会社の息子で茨城酒造の息子に嫉妬しており、良く真由美さんに愚痴を言っていたそうだ
そしてあるとき谷口が言ったのだ”お前、神社の娘だろ?なんかアイツをなんとかする呪いとかねぇのかよ”と
彼女は愛する男の為に家の開けてはいけない部屋に入り呪いを見つけたそうだ
そしてその呪いを彼女が使うとその通りの出来事が茨城酒造で起こったのだ
それを谷口に話すと彼が誉めてくれたのだと言う
その後に予想だにしない出来事へと発展していく
谷口を中心に呪い(まじない)の事が広まってしまいこの神社には色々な人がくるようになった
最初に断ろうとしたのだが”教えてくれないと親にばらす”と脅されてしまい引き返せない
それからは何人も何人この神社で呪いを行っていく
呪いが成功する度にお礼を言われる事になり、いつしかそれが喜びに変わったそうだ
”私はいいことをしてるわ・・・だって喜ばれているんだもの!”と
つまり、谷口から被害者や秋月に呪いが伝わって事件が起きたと言うことだった
「厳しい事を言うようですが、貴女の呪いのせいで死人が出ています
それに・・・この呪いは人が行っていいものではありません」
「そうだね・・・人あらざる物の力だ。人の見に余る物だね」
「その・・・死人が出ているんですか?」
「ええ・・・」
「でもなんでそんなことを知って・・・」
「「ああ・・・それは」」
俺と白金さんは警察手帳を見せた
「警・・・・察・・・・・」
「だまっていてすみません
俺達は警視庁特殊犯罪専門の刑事です」
「特殊犯罪?」
「そうです
信じられないかも知れませんが私達は呪いや怪事件などを扱う部署の刑事です」
「そんなところがあるんですね・・娘は・・・どうなるんですか?」
「そうですね
一応殺人事件の重要参考人ですので署まで来ていただきます
その後の処遇についてはまだどうなるかはわかりませんね」
「でも・・直接殺した訳じゃないでしょ?なら・・・・」
「甘いですね・・・・
残念ですが彼女をどうするかについては”現世”の裁判ではきめませんよ
決めるのは”地獄”いる”閻魔様”ですから」
「地獄・・・・!?」
「まさか・・・・あの閻魔様ですか!?」
「そうですね
それに既にこの情報も閻魔様に届いていると思います
何せ彼女は既に”人あらざるモノ”ですからね
現世の裁判では裁くことができませんし」
「娘は・・人じゃない???」
「でも・・・何も変わってないじゃないか!」
”そう思うなら自分達の目で確認してごらんなさい”と橋姫は鏡の前に彼らを促す
「っ!これは!」
「嘘・・・・これが・・・真由美?」
”橋姫の呪いについて詳しく知らないのね・・・・
あの呪いは代償としてね、この呪いをかけた女は”鬼”になってしまうのよ
だから彼女は代償として人ではなくなってしまったの”
そう・・・呪いが成功してしまったからこそ人ではなくなってしまったのだ
「でも・・・なんで私だけ?他のお客さん達はならなかったのに!」
”それはね・・・貴女が成功してしまったからよ
他のお客さんはきっと成功していないのよ・・成功したと思い込んでいるだけ
貴女は神社の娘・・・少なくとも巫女としての素質があるわ
だからこそ、呪いが不幸にも成功してしまったのよ”
「そんな・・・・・・・」
「あの・・なぜそんなにお詳しいのですか?」
”ふふふふ・・なぜって?私が橋姫様だからよ!”
「え?????でも・・・どう見ても・・・」
「人間じゃ・・・」
橋姫は笑うとキラキラと体が光を放ち
そしてそこには昔の姫の様な綺麗な着物の女性が立っている
目の前で起きている現実離れした光景に三人が言葉を失う・・・
「貴女様が・・・水神さま・・・・」
神主である父親が頭を下げると奥さんと真由美さんもそれぞれ頭を下げたのだ
”表をおあげなさい
今回の出来事は残念でなりません・・・
恋は盲目・・・私自信もその昔経験したことです
貴女の罪は軽くはありません・・それはなぜだかわかりますね?
この呪いを私が禁じたのに、それを貴女は破りました
そして・・・・広めてしまった
これがもっともしてはいけない事です
私がなぜ禁じたかわかりますか?”
「なぜ・・でしょうか?」
”それは・・・私の様に不幸な女性を産み出さない為です
この呪いは誰一人幸せにならないのです
呪いをかけた女は醜女で鬼になり、愛する男に化け物と罵られ
そしてかけられた男に拒絶されました
男はというと後妻を迎えたが幸せになれなかったそうよ
私は元々人では無いゆえ、この様に元に戻れたが・・・貴女は人間よ
だからもう元に戻ることはできないの・・この意味がわかるかしら?”
「人じゃ・・・ない?」
”そうよ・・・貴女はもう愛する人と同じ時間を生きることは出来ないのよ”
そう・・・鬼になってしまった彼女は人と同じようには生きられない
だって彼女は・・・・人を喰う化け物になったのだ
”貴女は鬼・・・・いずれ人を食べてしまうわ
そうしないと生きていけない存在なの・・・だから現世では生きられない”
「何よ・・・それ・・私、人間何て食べないわッ!」
「いや・・残酷な事を言うようだが、いずれ必ず人を襲う
君にはいずれ飢餓が訪れ、人を食らう
それは君がなった鬼の宿命さ」
“お前がなったのは山姥だろうね
なまじ巫女の気質が高かったからだろう・・お前は人を喰らう山姥になってしまったのだよ”
だから彼女は老婆の様な姿になってしまったのか
「山姥・・・・・」
「真由美・・・」
「すみませんが彼女は俺達が連れていきます
悪いよにはしません
どうなるかは保証できませんけどね・・
彼女の処遇が決まったらかならずお伝えします
それに・・この木もなんとかしないと行けませんしね」
「あの!娘をよろしくお願いします!」
「よろしくお願いします!」
と二人は俺に頭を下げた
「はい」
”ダーリンに任せておけば大丈夫よ!”
”お父さんに任せて大丈夫だよ?”
「それからこの木ですけどね
祈祷してお祓いを済ませた後伐採しましょう
その手配は私がしましょう」
「ありがとうございます」
”ここの気が綺麗になったら私が湧き水の所みるわ
きっと穢れのせいで出てこないだけだと思うの”
「そっか・・じゃあ頼んでもいいか?」
”勿論よ!それにここは私を祀ってる神社よ!私の信徒を見捨てる何て出来ないわ”
「そうか・・・橋姫はいい女だな」
”本当?嬉しいわ!”と抱きついて”ありがとう”と俺の頬にキスをした
この後はというと俺は橋姫達と真由美さんを先に車に乗せ署に向かった
白金さんはというと靖明さんに連絡をして呪いの後始末をするようだ
「あの・・・私これからどうなるんですか?」
「そうだね・・さっきも話した通り、君の処遇に関しては俺達で決められないんだよ
閻魔庁の管轄だからね。ごめんね」
「いえ・・・」
「でもね、俺の想像でしかないけど・・・そんなに悪いようにはならないと思う」
「どうして?」
「確かに君は罪を犯したけどね、君の呪いで直接死んだ人間はいない
だから大丈夫だと俺は思う」
”そうね・・・そうかも知れないわ”
「お母さんやお父さんは大丈夫かしら・・・・あの・・慰謝料とかあるんでしょ?」
「それについても俺たちで少し何とかなるように動いてみるよ」
「え?でも・・・それは警察の仕事じゃないでしょ?」
「これも何かの縁だよ
それに心配事があると罪を償うことに支障が出そうだ・・・だからちょっとしたお手伝いだよ」
「刑事さん・・・ありがとう」
そう言って彼女は涙を流したのだ
署に着くと彼女を連れて零係の部屋に向かった
「お帰り~」
「「お帰り!」」
「で?その子が鬼になった子?」
「はい。そうですけど・・・」
「そっか。今回なんだけどさっき一夜さんから連絡があってね
俺達の預かりになった」
「正式には俺達鬼で彼女の処遇を決めるって事になったから」
「そうですか!」
地獄行きは無しということだろう
「え?どういう・・・」
「君はね、鬼達の預かりになったんだよ
だから地獄行きはなし!お母さんやお父さんと同じこの世界で生きていけるんだよ」
「本当に?私・・・死なないのね・・・」
そして俺は彼女の処遇についていいことを思い付いたのだ
俺の想像が正しければ上手く行くはず
「雷斗、風斗。お願いがあるんだが・・・」
俺は二人に俺の考えた事を話すとニヤリと笑って
「なるほど・・・それはいい案かもな」
「確かに・・・いい提案だな。しかし良く気がついたな、お前」
「その事か・・・すぐピンと来たんだけどな~」
それから二人は何処かに電話をかけてた後に
「さっきの件オッケー貰えたよ」
「お前案外策士だよな」
「色々ありがとうな
俺は決まった処遇を彼女に伝えると目をぱちくりさせて
「え・・・・?それが私の処遇ですか?」と言った
それから暫くしてすべての出来事の後始末が終わって事件が終了した
それから彼女・・真由美さんがどうなったかというと
彼女は茨城酒造へと就職した
茨城酒造は”茨城童子”という鬼が経営している酒蔵だ
鬼と酒は切っても切れない関係だ
なぜここにと思うだろうがそれは二つの意味があるからだ
まず1つ目は言わずもがな罪を償うためだ
そして2つ目はというと鬼になった彼女を監視するためだ
現代に生きる鬼は彼らが管理しているためその監視下に置くためということだ
まぁ・・それも方便なんだけども
それから例の神社の方はというと
後日俺達で神社を訪れた
そして呪いの木が無くなったので約束通りに湧き水を元通りにしたのだ
橋姫がだけどな
そしてその事をきっかけに股神社に活気が戻った
その神社にすべてを取り下げた茨城酒造が訪れたのである
そしてその中には・・・・
こうして全ては収まったのだ
後にこの事がまた新たな出来事に繋がるなどこの時の俺は知るよしもなかったのである




