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勇者より軍隊の方が使えることに気づいてしまった件  作者: 亜和鵶吾明
プロローグ:別離
6/76

別離6

「あ、ちなみに俺は高木派ね」


 真っ先に加藤が名乗りを上げた。そもそもこいつと計画したことなのでここまでは筋書き通り。問題はここからだ。

 皆慎重に互いの様子を窺っている。ここに残る、そして俺についてくるリスクとリターンをそれぞれ天秤にかけているのだろう。

 躊躇うのは当然だ。勇者の元に残れば、少なくとも戦闘面での不安はほぼ考えなくていいのだから。対して俺は、まだ具体的な生存戦略も示していない。


「ふむ、では私は高木君と一緒にいきますよ」


 この段階で加藤以外から名乗りが上がるのは少し意外だった。誰かと思えば古島修――元の世界では俺達の担任であり、召喚当初の王国側との交渉で件のやり取りをしていた人物だ。加護も強力なのでこれは心強い。


「なんでですか先生! そんな奴についていくことないですよ!」

「私は君達の議論で身の振り方を決めたわけではないよ。単純に、西園寺君がいればこちらは心配ないが、高木君は放っておいたらすぐに死んでしまいそうだからね。これでも、私はまだ君達の教師のつもりでいる」


 古島は右のレンズにヒビが入った黒縁眼鏡を押し上げてそう言った。彼もまた、西園寺と同様にこちらの世界で変化していない人間であるのかもしれなかったが、彼に対しては不快感は無かった。全く、俺も俺で勝手な人間だ。勿論わかっていたが。


「ぼ、僕も行く」


 次いで声を上げたのは斉藤勇。戦中は加藤の補佐をしていた男で、色白細身の、みるからにひ弱そうな男である。加護も目立ったものではなかったと記憶しているが、この段階で名乗り出てくれるだけ有難い。


 それから数秒、周囲を見渡しつつ、名乗りを上げる者がいないのを確認したところで、俺は次のカードを切ることにした。

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