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勇者より軍隊の方が使えることに気づいてしまった件  作者: 亜和鵶吾明
第1章:平和的交渉
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平和的交渉3

「ここにいる聡明な諸君に問題! 西園寺君は次にどのような行動をとるでしょう?」

「目的地もわからず右往左往?」

「可能性はある。だがかなり低いだろうね。彼等は目的地を割り出す手段を少なくとも持ってはいるよ。気づくかどうかは別として」


 楽観的な意見を述べた加藤の目の前で「ちっ、ちっ、ちっ」と指を振り、彼が鬱陶しそうな表情を浮かべたところでさっと手を引いた。加藤は俺の手を掴み損ねて悔しそうな顔をした。


「まあ確かに、単純にこの辺りの地図を誰かが覚えていればそれで解決だし、そこまで無能ってのは楽観しすぎか」


 次の回答者は杉下のようだ。険しい森の中を移動中だというのに、顎に手を当てて中空を見上げながらも器用に足下の障害物は避けている。迷惑であったことは間違いないが、この1年と少しの経験が、俺達を逞しく鍛え上げたこともまた間違いなかった。


「うん、流石にムズい。参謀長、記述の明文化を求めます」

「よろしい、ではヒントといこう」


 俺はヒントと称して問題文を補完しにかかる。


「1、彼等はこの辺りの地形に関して、ここにある地図と同等の情報を得ているものと仮定する。2、彼等の人数は33名。加護の如何はさておいて、全員が戦闘員として活動可能。3、人数上は戦力差はほぼ無いように思えるが、勇者を初めとする戦闘系レアスキルホルダーの差によって実際は西園寺派は高木派の倍近くの戦力を保有している。4、西園寺には我々と本格的な殺し合いをする気が無い。5、西園寺玲央は愚かな完璧主義者である」


 言い終えると俺は両手を広げて回答者達を見渡した。暫くは全員が考え込んでいるようだったが、すぐに明らかに思考を放棄している者が目立ち始めた。更に待つと、加藤と杉下がほぼ同時に「わかった!」と声を上げ、少し遅れて斉藤が自信なさげに手を挙げた。

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