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神業(マリオネット)  作者: 床間信生
☆第2章☆リエン山
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2ー3★役割

俺たちは話し合いの後、メンバーをそれぞれ三つの班に分けて行動することにした。

1班でエルメダ、アンテロ、調査員の三人で、彼女らは術式に対しての対策。

2班はトーレ、ルー、フェンの二人と一匹で拠点作り。

3班はティバーと俺で外的要因対策。


先ずは1班の様子。


アンテロがエルメダに石を渡す。

特殊効果などはない、その辺にある石だ。

エルメダは黙って受け取り、石を握った手に向けて魔力を高めた。

みるみるうちに自身の手から光が溢れてくる。

そして彼女は魔力が込められた光輝く石ころを軽く前方に投げた。

石は地面に落ちると、魔力を地面に拡散させる。

その様子は、まるで静かな水面に小石が投げ込まれた際にできる波紋のように魔力は光の円を描きながら地面に拡散していく。

エルメダの話では、広がった魔力の範囲にトラップがある場合は魔力と干渉することで見破ることができると言っていた。


フェンの話からすると彼の希望は認識阻害を見破る魔法だったようだ。

俺も話を聞いていてそう思った。

それは、会話をしていたエルメダも重々承知していたように思う。

だが、認識阻害を直接的に見破る魔法と言うのは、かなり高度なものらしく今の彼女には使えないらしい。

そこでよくよくエルメダの話を聞いてみると、この方法でトラップを見破っていけば良いのではないかと言う結果になった。


俺たちはエルメダが目の前で実践している方法を聞いたときには、全員が感心した。

特にフェンは、これを元に商売ができるかもと言っていたほどだ。

だが、よくよく話を聞いてみると、石に込める魔力というのは別に属性の効果をつけるわけではないらしく、きちんと学校などで魔法を学んだものであれば誰でもできるらしい。

そうは言っても…

俺なんて魔法には全く縁がない。

以前、ソフィアにそれとなく言ったときには鼻で笑われたほどだ。

ティバーは自分達を叩き上げと言っていた。

学んでというよりは経験で魔法を覚えたのだろう…

フェン達は、そもそも戦闘は専門ではないので、学んでいるとしたら別な知識を学校で学んでいるはず。

恐らく学校などでしっかりと魔法の知識を覚えているのは、今いるメンバーだとエルメダだけな気がする…

勉強って大切なんだなとしみじみと感じた…


(でも…才能も同じくらい大切なんですよね…)


取りあえずは林の攻略の突破口は開けた。

なので後はアンテロにエルメダの機嫌を上手くコントロールしてもらう。

続いて彼女が調べた結果を調査員がマッピングしていく。

この二つが今のところメイン作業になっている。

もちろん湖に到達するまで繰り返す。


俺たちの方にもエルメダとは別だが、やらなければいけないことはある。

それも結構大変なことだったりする…


先程まではティバーの指示に従いながらモンスターに遭遇しないように移動していた。

さすがキャリアのあるパーティと言うほどの実績を見せつけてくれたと思う。


だが今は状況が異なっている。

エルメダと調査員がマッピングを完成させるまで、俺たちは彼女たちにモンスターが近づかないようにしなければいけない。

林の外側には、恐らくだがモンスター避けの術式はあるはず。

なので近づくことはないが、彼女らが何かの用事で外側まで戻った際にモンスターや獣などの外的要因と鉢合わせと言うのは考えられる。

そうなった場合、調査員などもいるので絶対に戦えない。

そうならないように俺たちが周囲に近づく外的要因を排除する必要があった。


それに今の位置は地図上で確認すると湖までの距離も近いところにある。

なので拠点はこの近くにとりながら明日以降の行動も考えなければいけない。

この拠点探しの役割をトーレとフェンに任せることになったが、彼らだけではモンスターなどを追い払うことができない。

彼らの分も俺たちがやらなければいけない。


ということで、2班の俺たちなのだが…

先程の話し合いが終わってから俺とティバーの5人は休む間もなく戦い続けている。

モンスターや獣、周囲を見渡して目につくのは片っ端から追い払う。

ただ追い払うとは言っても、モンスターも獣も話なんて全く通じない。

当然ながら向かってくるものばかりなので戦い続けるしかなかった。

とは言っても普段討伐でやっていることとあまり変わらない。

強いて言えば景色と仲間が違うだけだ。

最初の数戦は若干手間取ったところもあったが直ぐに、ある程度の連携は組めるようになった。

組めるようになったのだが、さすがに連戦が続いてくると疲れを感じ始めていた。

ティバーの四人はさすが猛者という感じで疲れなど全く見せない。

彼らは俺が経験のほとんどないルーキーというのは知っている。

だからだと思うが外的の排除も一区切りついたところで、無理にモンスターを追わず一度休憩しようということになった。


俺は素直に彼らの決定に甘え近くにある大き目の岩に腰を掛ける。

「ふー…」っと一息つくと林の中からフェンが出てきた。

どうやらエルメダが調べた場所の中に拠点を作ったようだ。

確かにそれなら周囲はモンスター避けの術式があるので、モンスターが中に入ってくることはないだろう。

実に効率的な拠点作りだと思った。

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