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神業(マリオネット)  作者: 床間信生
☆第1章☆貿易都市(ルート)
85/206

1ー80★理解

『なるほどね…。それで、後になって男の子が従属のトゥリングを用意してトーレに使用したってこと?』

『大まかな流れは、そのような感じなのですが…ただ男の子は従属のトゥリングに使用するために用意をしたのではありません。最初は私との将来の事を考えて用意してくれたものでした』

『ん?トーレと男の子の将来ってこと?』

『はい、もちろんそうです』

『あれ?ちょっと待って…その前に…トーレの左手にも好機到来の思いで指輪をしてたんだよね?』

『当時はそうですね。ただ、その指輪には神代文字が刻印されてなかったので、正式な思いの指輪ではありませんでした』

『仮に刻印があれば正式な思いの指輪だったってことだよね?』

『本来、他に必要な手続きというのもあるのかもしれませんので、正確なことは分かりません。ですが可能性的にはあったと思います』

『さっき、トラボンさんに聞いた話でも相手にプレゼントと言っていたんだけど…』


俺はトラボンの方を向きながら話した。


『はい、確かに言いました。安穏無事の話ですよね』

『言ったよね!相手にプレゼントだから用意する指輪は1つだとばかり思ったんだけど…』

『確かに、そうですね。でもそれは男女ペアのうちでモンスター討伐に行くのは片方だけ、という例でしたから必要な指輪は1つだったんです』

『あー、そういう意味だったんですか…』

『ただ、トーレの話の場合は、対象となるのが彼女と男の子ということになります。先程、ナカノ様が結婚指輪というものが故郷に存在すると言っていましたよね?指輪の意味合いは違いますが感覚的には、あれと同じようなことを男の子は考えていたのではないかと思います』

『結婚指輪ですか?』

『あー、トーレはいなかったね。俺の故郷では男女が結婚するときに左手の薬指にお揃いの指輪をして絆を深め合うって言う風習があるんだよ。勿論、神代文字?とかそういうのは始めて聞いたんだけど…』


(ん?左手の薬指にお揃いの指輪?あれ?対象が男女?)


『なるほど、ナカノ様の故郷にも、そのような風習があるんですか…感覚的にはと言うか…お互いの左手の薬指にお揃いの指輪と言うことまでは一緒です。ただ意味合いは違いますが…』


トーレが興味深そうに俺を見つめてきた。


(過去にトラウマがあるとは言え、結婚とかに憧れる年齢なんだろうな~)


『そこまで一緒なのか…ちなみに、こっちではどんな効果があるんだ?』

『はい、元はモンスター討伐の話が元になっているようですが正確には分かりません。お互いが左手の薬指にお揃いの指輪をすることで、戦闘中であればお互いの力と防御の両方を倍加させると言われています。戦闘中以外であれば、良いことは二倍になり悪いことは半分になると言われています』


(あれ…?それって…なんか似たような話を聞いたことあるんだけど…って他にも効果ってあるんだよね?)


あっちの世界で結婚と言うものに縁が遠かった俺だけに確実な内容は覚えていない。

何となく聞き覚えがあるなと思いながら、トーレの話を聞いていた。

でも、ここまでの考えを整理すると…

彼女と男の子は将来の仲を誓い合い、それを証明するために男の子は思いの指輪を用意した。

そしてトーレが亜人であることを知った男の子は、その指輪を従属のトゥリングとして利用したと言うことになる…

話の内容的には、こんな感じで合っているとは思うのだが…

でもその為には「私はあなたの奴隷として一生を尽くしたい」と誓う必要があるはず。

将来を意識した相手に奴隷として誓うとか確認するのはドロドロの話しか想像できない。

その時の俺に自分の考えが合っているかどうかを彼女に確かめる勇気はなかった…


『後、トーレ!もう一つ確認したいんだけど…』

『はい!大丈夫です。何でしょうか?』

『トーレは従属のトゥリングから逃げた結果で、その中指になったと言うことだよね?』

『そのとおりです』

『自分で指を切ったと言うことではないんだよね?』

『では正確に言います。男の子に従属のトゥリングで奴隷にさせられました。男の子は私を奴隷にしたことで安心したようです。また周囲に気づかれないように細工もしたいと考えたのかは分かりませんが、私から目を離してくれました。その機会をなんとか逃さないように逃げようと考えたら両足の中指がトゥリングに締め付けられるように痛くなりました。ですが、そこでやめると男の子から脱出できません。何がなんでも負けないようにと考えているうちに、いつのまにかこうなったという感じです』

『ありがとう、トーレ!おかげで今の段階ではだけど、従属のトゥリングについて聞きたいことはほとんど聞けたよ』

『こちらこそ、お役にたてたようで何よりです』

『それでトラボンさん、アンテロにノルドのところを目指すように伝えたんですよね?』

『はい、そうです』

『目的って言うのは神代文字の解読方法とかですか?』

『いえ、と言うか…それでも良いのですが…解読方法と言われても、あの方は困ってしまうと思います。なので届け物をしてほしかったんです』

『えっ…?届け物?どんなですか?』

『はい、それでは少々お待ちください』


トラボンは、そう言うと立ち上がり奥の扉を潜り部屋から出ていってしまった。

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