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神業(マリオネット)  作者: 床間信生
☆第1章☆貿易都市(ルート)
73/206

1ー68★手がかり

『あれは共通語(コイネー)だったよ。間違いなく』

『それはホントか?』


ソフィアの言葉にヘンリーが驚く。


今の状況は、エルメダが一足先に貿易都市(ルート)に戻っている。

悪魔の樹(デビルツリー)がソフィアの火炎魔法にて燃え付きようとしていた。

ソフィアの火炎魔法で燃え広がった火は、モンスターを退治した後もそのまま燃える。

なので今度は消火活動をしなければいけない。

その応援と貿易都市(ルート)の方から見て不審火に思われないように事情を説明しに一旦戻ってもらった。

戻ってもらったとは言ってもその間にかかる移動は俺がエルメダと一緒にスキルで移動した形だ。

そして応援が来る間にモンスターの情報交換を行おうと言う事になったのだが…


『あの~…、ソフィアさん。共通語(コイネー)って何ですか?』

共通語(コイネー)って言うのは、貿易都市(ルート)で使われている言葉さ』

貿易都市(ルート)で使われている言葉ですか?んっ?どういうことですか?』


俺にはソフィアの言っていることが、いまいち理解できない。


『ナカノ様の言語管理はギルドの手続きを受けてるのですか?』


俺は最初、この都市に訪れてフィンにギルドへつれていかれたときを思い返してみた。


『フィンにギルドへつれていかれたときの事?確かミンネさんに手を握られて何かされた気が…』

『えっ…手を握るなんて…』


何かアンテロがショックを受けたように反応している。


『あー、なるほど。だとするとナカノさんは分からないかもしれませんね』


ヘンリーが納得したという表情で話にはいってきた。


『この大陸は大きく分けてランティス・バビロン・ガルドと三国が勢力を持っていると言うのは聞いたことがありますか?』

『えーっと、確か…ランティスがエルフ、バビロンが人間、ガルドがドワーフって言うのは前に聞きました』

『はい、その通りです。それで今の僕達が拠点をおいている貿易都市(ルート)は三国の交わるところにある都市と言うのも知っていますか?』

『それも前に誰かから聞きました』

『それで、この三国の言葉と言うのは同じ大陸にあるだけに大体は一緒なんですけど地域などによって微妙に発音や意味合いが異なる場合もあるんです』


(方言とかってことかな?)


『えっ…、それって貿易都市(ルート)には貿易都市(ルート)の言葉があると言うことですか?』

『はい、そうですけど。ナカノさんの場合は本人の口癖とか以外は全て貿易都市(ルート)の言葉に変換されるようになっているので、多分わからないと思います』

『あー…、なるほど!って…ことはソフィアさんは言語変換の魔法は使ってないってこと?でもそれだと…俺の感覚だと4つの言葉を話すってことになるんだけど…』

『4つって言ってもどれも同じようなもんだしね…他のみんなも使ってないんじゃないのかな?』


俺は周りを見ると、みんな首を縦に振っている。

四か国語(クァドリンガル)という扱いでいいのかは分からない。

だが今まで考えもしなかった器用さを身近で感じた俺は衝撃を受けてしまった。


『あれっ…でも…俺が話している言葉も共通語(コイネー)なんですよね?』

『魔法やマジックアイテムの類いは、さすがに見抜けるよ』


俺の疑問に対して「やれやれ当然だよ!」というように顔を振りながらソフィアが答えてくれた。


『それで…共通語(コイネー)と言うのは貿易都市(ルート)で使われている言葉ということなんです』


俺が衝撃を受けたのを見て、ヘンリーは理解が追い付いたと判断したようだ。

話を戻して本題の方に切り込んできた。 


『えっ…アイツが貿易都市(ルート)にいるってことですか?』


一瞬、恐怖が走り体が震えそうになる。

もしもアスタロトが、この先この都市にいるのであれば俺は正直この都市を離れたい。


『本人が隠れている可能性は低いと思います。生まれ育ちだけという可能性もあるのでなんとも分からないですよ』

『なるほど…もしかしたら仲間がいるとか…?』


俺はヘンリーの言葉に緊張を強めた。


『ん~、もちろん仲間が都市にいるという可能性もあるとは思います。でも仲間と会話をしていて共通語(コイネー)を覚えるかと言われると無いとは言えないですが…それともナカノさんの方で可能性みたいなことがあるとかですか?』

『少なくともソフィアさんとセアラさんの情報は0じゃなかった…』

『え~っ!!なんでアタシ?』

『詳しくはわからないですけど、ソフィアさんが年上とか、セアラさんは弓矢装備してそうとか言ってました。それって見た目だけでは分からないですよね?』

『確かに見た目だけでは分かりにくいですね。と言うことは、そのアスタロトでしたっけ?あっちには情報を入手した過去か入手する手段のどちらかがあるようですね』

『なんか…キモい!』

『いや、セアラさん…俺を見てキモいって言わないでください!』

『分かってるよ!』


若干やり場のない怒りという表情でセアラが仕方なく同意したように見える。


ソフィアとセアラの事はアスタロトの会話の最中に気になっていた。

人の年齢などは経験によっては見つける手段もあるかもしれない。

だが得意装備の情報は情報ソースがなければ当てるのは非常に難しいはず…

それだけに、もし何か手がかりになればいいなと思い聞いてみたのだが、やはり手がかりにはならないようだ。

今日、いきなり襲われたことだけに、出来るだけ手がかりを見つけておきたいのはみんな一緒だと思う。

他に何かないかなと考えていると、そう言えばもう一つ引っ掛かりを覚えたことがあるのを思い出した。

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