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短編☆SFもの

作者: xiaomai

ヒタヒタヒタ・・・・


茜「あれ?あんなところにタイムカプセルがある。見てきてもいいかな、???」


???「いいけど手短にしておくれよ~」


茜「お父さん・・・だ・・・こっちは、お母さん・・・真ん中にもカプセルがある・・・これは・・・・わたし・・・・?」



 ザザーーーーーザザっ(プツン



 *ーーーー


???「いたぞ!???だ!一気に殲滅せよ。絶対にあれだけは死守するんだ!」


???「よーし。星は確保した、これから星を連れて俺はタイムワープをするる。お前たちは敵の連隊に邪魔されないように壁になっていてくれ!」



 ギュイーーーーーン パパパパパ チッカチッカチッカ・・・



???「しまった。失敗だ!あーテステス同志たちへ。タイムワープに失敗した。星は元の時間軸へ強制送還する。なお、タイムワープはとめられないため、俺だけ過去へ行ってくる。くそ、着地地ても区画がずれるな計算だと・・」



 *ーーーー




*新暦(SD)153年。─


 ギュルギュルギュル・・・・・ズドーーーン!!!!!



茜「聖人、もうダメだわ!はやくこっち!セクター内に逃げて!!」



コンピュータ「非常事態宣言!非常事態宣言!コレヨリコノ第4セクターは地下ヘト移動シマス。」



聖人「おう!こうなったら仕方ないな・・・おおう、初めて聞いたぜ非常事態宣言!」



 ピッ・・ピッ・・ピッ・・・ピッーーーーカタカタカタ・・・・


 そんな機械音をならしながらコンピュータはくりかえす。



コンピュータ「非常事態レベル5発動。コレヨリコノ第4セクターは地下100階ヘト移動シマス。」



 ブーン


 エレベータで急降下していくのがわかる。わたしこの感じ嫌いなのよね・・。


 って、レベル5????うっそ・・・・それってもう地球滅亡のお知らせじゃないの・・。



茜「もう・・終わりかしら地球も・・・」



 今は、新暦(SD)153年。旧暦(AD)で言うと何年だろう、おそらく3200年くらいかな。


 わたしたちは宇宙戦争真っ只中。


 科学の進化により、わたしたちはついに光の速さを超える、つまり光の速度を0にする、、もっとわかりやすく言うと、光レベルでのテレポーテションがをできるようになっていた。

 

 そしてついに、わたしたちは、宇宙人との交信に成功したのだ。


 交信の相手は「グリーゼ581g」星。


 ハビタブルゾーン(宇宙の中で生命が誕生するのに適した環境の領域)が地球と酷似しているとして、AD時代にすでに知的生命体がいるかも、と言われていた惑星だ。


 交信を続けるうちに「グリーゼ581g」は地球よりもはるかに進んだ文明を持っていることがわかっていた。


 穏便に宇宙交信をし「グリーゼ581g」から多くの技術を地球は学んできた。その目覚ましい発展により、旧時代を幕引き、それ以降を新時代として人類は名付け現在に至る。


 「グリーゼ581g」星人は物質のテレポーテーションが可能なため、交信当初はよく地球に遊びに来ていたものだ。


 基本的には見た目の背格好は人間と何もかわらない。瞳が多分5つあるかな、あとはおでこにもひし形のうろこのような文様がついていた。


 だが、この異星人を地球人は嫌がり、ついに地球は、入星禁止令を発動したのだ。

 


 *------

 

 少し光レベルでのテレポーテーションについて説明をしよう。


 テレポーテーションできるのは光速度における質量を持たない電磁波のみである。つまり、マンガに出てくるような瞬間移動ができるわけではない。


 あくまでも質量を持たない電磁波のみ、交信が可能であるということである。


 *------



コンピュータ「第25シャッタートジマス。降下シマス・・・・第28シャッタートジマス。降下シマス・・・」

 


 昔話をしている暇はない。はやく敵の侵攻から避難しなければならない。


 この地下施設は、地球のマントルギリギリまで降下できるようになっていて、人類が光レベルでのテレポーテーションをを身につけて以来、


 最高いやおそらく宇宙一硬い宇宙超合金でできている。


 しかしこの宇宙超合金はレアメタルを大量に使用し、レアメタルを原子化しダイアモンドと衝突させ、更に火星の地下マグマで合金しなければできないため、


 そうそう大量には作れない。地球上でこの宇宙超合金をこれだけ使用しているのは、地球最後の砦である、この第4セクターだけなのである。


 だが、 「グリーゼ581g」星人はとても温厚でいわゆる人間で言う、怒り、の感情がまったくないエイリアンとされてきた。


 このように戦争を持ちかけてくるとは地球上の誰しもが不思議であった。



コンピュータ「第100シャッタートジマス。最下層到着シマシタ。最下層到着シマシタ。」



 わたしと聖人はいわゆる、地球防衛政府に所属する軍民だ。


 わたしたちは第4セクターと呼ばれるセクターに所属をしている。


 地球防衛政府は、地球上に10のセクターをもつ。防衛政府最高司令官はジキル。わたしとは顔見知りで、たまに見回りに来ると特にわたしのところへ歩み寄ってきて気さくに声をかけてくる。


 わたしたちがいるのは、第4セクター内 第4区画 4番地。区画ごとにバリケードが施されていて、行き来することはできないようになっている。


 とはいえ、敷地内はもうほとんど1区画がひとつの街のようになっているため、シェルターとはいえ窮屈感はまったくといって感じないのだ。



茜「ふう・・ひとまず安心ね。ここで死ぬとしたら、地球ごと破壊されたときかしら。」


聖人「地球が破壊されてもこの地下室は宇宙船として残るだろうよ。ま、逆に言うと簡単には死ねないってわけだな。」


茜「気が狂う前にタイムカプセルに入って永久冬眠しないとね。」


聖人「そうだな。とにかく今はシャワーでもあびてワインでも飲みながらコレを楽しもうぜ?」



 聖人がトレードマークのバンダナをひらひらさせながら、チェス盤を指さした。


 そうね。とにかく非現実から離れたい。少しでも今のこの状況をごまかしたい。


 疲れたし、今はそういうのもいいかもしれないな。


 と思ったわたしは、



茜「わかったわ。じゃあ外の攻撃を移しているそのモニター、気が滅入るから消しておいてね聖人っ」



 と、言い残してシャワーを浴びてくることにした。



 もう、お分かりだろう。今、地球は攻撃をうけている。「グリーゼ581g」星からの襲撃は日増しに激しくなり、ほとんどの人類は滅亡した。


 いまから3年ほど前のある日、突如地球上に国一つをつぶせるくらい巨大かつ凶悪なミサイルがとんできた。


 地球人は謎のミサイル攻撃に阿鼻叫喚しつつも、そのミサイルを調査し、現代の地球で作れるミサイルではないことを断定。


 「グリーゼ581g」星からの攻撃と仮定し、すぐさま地球防衛軍を編成した。


 そして1年前、地球防衛軍長官ジキルは、全地球人へあてて、これは「グリーゼ581g」星からの攻撃であると断定し、宇宙戦争へと発展して今に至るわけだ。




 現在生き残っているのは、おそらくこの第4セクターに配備された1000人たらずの人たちであろう。


 だが、この1000人足らずの人間で何ができるというのか。


 「グリーゼ581g」星の目的は地球を我が領土とすること(らしい)。つまり襲撃が終わり人類が滅亡すると、この地球上に「グリーゼ581g」星人たちは降り立ってくるに違いない。


 もどかしいのは、「グリーゼ581g」星人は質量レベルでのテレポーテーションが可能であるということだ。


 我々にとってそれは驚異でしかない。こちらからは、攻撃できない位置から攻撃をしかけられているのだ。


 勝てるわけがない・・・。もし、勝てるとすればこの第4セクターで10年いや100年・・1万年かけてでも、対抗策を見つけ、「グリーゼ581g」星人を出し抜くしか方法はない。

 



 聖人はハーバード大学を首席で出た優秀な人間だ。専門は通信および傍受。


 すこし変わったところもあるが、なんとなく気があって、今では無くてはならない、大事なわたしのパートナーだ。


 一緒に地球防衛軍としての任務をおこなっている。


 

茜「ふぅ・・お先真っ暗ね・・・けど、聖人がいるし大丈夫かな」



 わたしはシャワーを終え、リビングスペースへと戻った。



聖人「さて、この時空では失敗しないように俺もシュミレーションしとかないとな・・」



 *ーーーー


???「いたぞ!???だ!一気に殲滅せよ。絶対にあれだけは死守するんだ!」


聖人「よーし。星は確保した、これから星を連れて俺はタイムワープをするる。お前たちは敵の連隊に邪魔されないように壁になっていてくれ!」



 ギュイーーーーーン パパパパパ チッカチッカチッカ・・・



聖人「同志たちよ、星のタイムワープに成功した!ふぅ・・・まずは第1ミッションコンプリートってとこだな・・・。」



 *ーーーー



聖人「よう、茜。さっぱりしたか?」


茜「少しね。とりあえず、ワインをちょうだい、今だけでも気を紛らせたいわ」


 

 といい、写真立ての横に用意鎮座してるワインをあごでしゃくってみせた。


 わたしと聖人の仲睦まじく笑顔で写っている写真が写真立てにはおさまっている。



聖人「おう、ぱーっとやろう。と言いたいところなんだけど、お前がシャワーを浴びている間に、ジキル長官から呼び出しがあったぜ。なんでも「グリーゼ581g」星から通信がきたとか。」



茜「はぁ?通信?なんだろ、とりあえず長官につなぐわ。」



  ピッピッ・・・ブーン


  ジキル長官につなぐための暗証番号を押し、スクリーンを眺めているとほどなくして、長官が応答した。



ジキル長官「やぁ茜くん。ちょっと深刻な事態になってしまったな。これを見てくれたまえ。」



  そういって一枚の紙をひらひらさせながら見せてきた。



 ****


 「グリーゼ581g」星人「茜を差し出せ。茜は特別な存在だ・・そうすれば地球への攻撃を一時中止する。応じない場合は地球ごと破壊する。」


 ****



茜「はぁ~~~~?これだけ地球をめちゃくちゃにしておいて、散々殺しておいて、今更なにいってるの?こいつら」


ジキル長官「まぁまぁそう言わないで。急なことだろうから頭も整理できないだろう。君の意思もあるだろうし、よく考えてから返答をくれたまえよ。」



茜「いやよ、そんなの。どうしてわたしなわけ?たくさんいるじゃない?このセクターには男女比も考えられて配備されているはずよ?


  つまり半分は男・半分は女、もし1000名いたら500人は女性よ?なぜわたしなの?」



 プツン


 一方的に話して通信をきりやがった・・・・クソジジイめ・・。



茜「突然過ぎてシャワーを浴びたばかりだと言うのに、頭がまわらないわ・・・」


聖人「だよなぁ・・けどジキル長官はこの通信に前向きにのるようだぜ?」


茜「まぁ女1人差し出して地球が救われるなら、ジキル長官の判断は正しいわね」


聖人「特別な存在っていうのがわからないな。」


茜「まぁそこまで言われたら・・・行くしかなさそうね。聖人、最後に抱いて?」


聖人「俺は反対だ。誰がなんと言おうと、たとえ茜が行くと言ってもいかせはしないっ!」


茜「馬鹿ね聖人。これで地球が救われるのよ?わたしよりいい人見つけて幸せに地球で暮らしてよ。」


 

 嘘だ。わたしは行きたくない。聖人といっしょに生きたい。


 聖人はそれからしばらく黙って・・・やさしくわたし抱いてくれた。



聖人「いいか?向こうに行ったら茜を殺すことはまずしないだろう。いろいろな実験にかけられるかもしれない。だが、これを常にもっていてほしい。」



 聖人は小さな小さなヘッドホンマイクをわたしに手渡してきた。



聖人「これは俺といつでもどこでも通信できる装置だ。セクター長には、このヘッドホンマイクの所持をイケニエを出す条件として交渉してもらう。」


茜「これでどうするの?わたしがもしかしてリンチにあってる実況中継でもしろと?」



 やや自嘲気味になっていった。


 聖人は困った様子でこういった。



聖人「君には向こうでやってきてもらいたいことがあるんだ。つまりスパイ活動をしてきてほしい。」


茜「荒唐無稽にもほどがあるわ。まず、このヘッドホンマイクを所持すること承諾してくれると思う?仮に承諾したとしても、わたしたちの会話は彼らにとっちゃ、傍受なんて簡単。常にダダ漏れじゃない。」



 わたしはさらにまくしたてた。



茜「このヘッドホンマイクが壊れたらどうすればいいの?いえ、その前にグリーゼ581gに行ってこのヘッドホンマイクが使えるかも怪しいわ。」



 聖人はだまりこくってしまったが、さらにまくしたてた。



茜「あとね、わたしとあなたには寿命があるのよ?わたしたちの寿命が尽きる前にこの作戦が成功するとは思えないわ。」



 わたしはあまりにお気楽な聖人の発言に呆れ果て、ぽいっとヘッドホンマイクを捨てようとした。


 すると、聖人はニヤと笑い、



聖人「茜。そのヘッドホンマイクは俺が命を捧げてこれまでに作った特別製だ。お前が危惧したこと、すべてこいつはシャットアウトしてくれるはずだ。」



はぁ?何言っちゃってるのかしら・・・ていうか、今の地球の技術でそんなもん作れるなら負けてないってーの・・。


 とは言っても、愛するパートナーがこれほど自信満々でわたしてくれたものだ。役に立たずともお守りとしてもらっておこう。



茜「わかったわ聖人。ありがたく使わせてもらうわ。」


聖人「茜。どんなつらいことがあってもこのヘッドホンマイクでいつでも通話ができる。僕はいつもそばにいるからね。」


茜「頼りにしてるわ。じゃ、いってくるわ。」



 わたしはそう言い残して軽く聖人に口づけをし、ジキル長官のもとへと歩いていった。



 グリーゼ581g─



「グリーゼ581g」星人 「よく来た。地球の雌人よ。わたしはグリーゼ581gを統べる王、パンキッシュだ。」



茜「なにか聞こえる・・・んんんっ・・・・・っつ」




 わたしはぼんやりとした意識の中でその声を聞いていた。


 そうだ・・物質テレポートをするためにと、カプセルみたいなものに入れられて・・・・空から光がひかったと思ったら・・・・ズキっ



茜「うぅ・・・・っ・・・」



 そこでわたしの記憶はとまっていた。そして気がついたのが今だ。



パンキッシュ「地球人よ・・・まだ目覚めていないのか・・・?」



 声・・・声が聞こえる・・・・あれ?これ、テレパシー??頭の中にしかも日本語で聞こえてくる。すごい技術だわ・・・。



茜「地球人、茜です。このたびは攻撃を中止していただいてありがとうございます。」



 深々と頭をさげながら茶番だなこれ・・・とわたしは思った。なぜなら、多分彼らはわたしの思考を読む力を持っている。


 つまり、“こんちくしょーこのやろう”と考えているわたしの心を読んでいるということだ。


 警戒しながらあたりを見回してみた。


 わたしは息を飲んだ・・・・なんと、わたしは完全にういていた。


 いや、ういているという表現は違う。簡潔に言うと地面がないのだ!じたばたと足を動かしてみる。あれ・・・前に歩ける・・・横にも行ける・・・。



パンキッシュ「ハッハッハ。不思議かね?この星が。


茜「え、ええ・・・地面がないのにあるけるのが不思議に思って・・・ひゃっ!」



  歩く足に少し力をこめると、ズブっと一段下にめりこんだ。



パンキッシュ「お察しの通り、この星はガス惑星だ。かつては地面と海があってね、美しい星だった。


         だが、地面がなくなっても不思議なことに重力がある。わたしたちはそのガスの上で生きているのだ。最初はとまどうかもしれないが、なに。すぐになれるよ。」



  わたしはこの不思議な空間からパンキッシュと名乗る「グリーゼ581g」星人に視線を向けた。まわりにはたくさんの兵隊がずらっと並んでいた。


  そしてパンキッシュとなのる王は豪華な金の仮面をつけ、5段ほど高い位置いある赤い玉座に座り、こちらを見下ろしていた。


  刹那、わたしに電撃が走った。仮面をかぶっているが、わたしはこの男を知っている・・・・!?


  だけど、いったい、いつどこで???考えてみたが、思い出せなかった。


  とにかく今は、パンキッシュの話に合わせていこう。妙な素振りは絶対に見せないように・・



茜「なるほどね・・こんな無重力のような空間でも高さはあるってことか・・・」



  そんなことを思っていたら、パンキッシュが語りかけてきた。



パンキッシュ「危害を加えるつもりはない。地球人よ。いや、茜くん、君に興味があるのだ。それには茜くん、君の協力が必要なのだよ。」



茜「はぁ???何億人地球人を殺したと思っているの?どうして今になって?ふざけるのもいいかげん・・・んn」



兵隊A「言葉に気をつけろ。お前の置かれている立場はイケニエなんだ。パンキッシュ王が穏やかにお話くださっているのをいいことに、この低能生命体がっ」



  ガシガシッ!ドン!キーーーーーーン・・・・・・・


  腕がふれてもいないのに、リンチにあったようだわ・・・この打撲痕・・・あきらかに衝撃波をうけたあとだわ・・・そして最後の頭が割れるような耳鳴り・・・


  そうだ・・・わたしはここではイケニエだったんだ・・・おとなしくしていればおそらく危害は加えてこないだろう。徹頭徹尾がまんだ・・・がまん・・・。」



パンキッシュ「お客様に無礼は許さんぞ?さて、茜くん、さきほどのきみの質問の答えはこうだ。」



  パンキッシュは語りだした。



パンキッシュ「我々はね、宇宙一すぐれた生命体を目指しているんだ。そのために、いろいろな研究をしてきた。」



茜「はぁ・・それと地球人を何億人も殺した話がどうして・・・」



パンキッシュ「まぁそのへんはおいおい話そう。今日は疲れたろう、茜くんのために地球風な部屋を用意しておいた。少しくつろぐといい。明日から、生体検査といこうか。」



茜「はぁ・・それではお言葉に甘えて・・・」



パンキッシュ「おい、茜くんを部屋までナビゲートしなさい」



兵士B「ハッ。おいお前、こっちだ、ついてこい」



  え・・・急に手をつかまれたわ・・・・まぁいいや、おとなしくついていこう・・。



兵士B「おらっここだぞ。おかしな真似するんじゃないぞ?見張りは常についている、食事は日に3回、この部屋から外にでるときは、見張りに声をかけて同伴だ。


     といっても、王の間などいけないフロアもたくさんある。見張りをまこうなんて考えるなよ?命を落とすぞ!」



  そう言い残して兵士は去っていった。



茜「ん・・・はぁ~~~~~。」



  連れてこられた部屋はなんと、第4セクターのわたしと聖人のフロアそっくりに作られていた。


  不思議なことにここには床というか、まぁ地面が存在した。ただ、このフロアは確かにそっくりだが、なんというか・・・


  そう、ものすごく年月がたっているように見えた。


  けれども、地面があるこの部屋にいると、まーさと、って呼びかけたらホントに彼が出てきそうな錯覚を覚え、わたしはいるはずのない、彼をぽそっと呼びかけてみた。



茜「まーさとっ・・・って、、答えがあるわけないk・・・?」



聖人「よう~~茜!どうだい、そっちは?、「グリーゼ581g」星人にあえたか??」



  いきなり聖人の声が聞こえてきてひっくりかえりそうになった。そして周りをキョロキョロと見渡す。



聖人「おい、どうしたー茜ー?てすてすーー」



  その声がヘッドホンマイクから聞こえてきていることにようやく気づいたわたしは、



茜「聖人?ホントに聖人なの???」



聖人「ホントに聖人だ。何疑ってるんだよ?」



茜「だって・・・このヘッドホンマイクが本当に使えるなんて思ってもいなかったんだもの・・・」



聖人「おいおいーーひどいなそりゃ。傷つくぞ、、さすがの俺もw」



  部屋は第4セクター(にそっくりな部屋)、そして聖人の声・・・わたしはここが実は地球ではないかと錯覚してしまいそうになり、そして泣き出してしまった。



茜「聖人・・・聖人ぉ・・・・うぅ・・・っ」


聖人「泣かれても困るな。だけど茜、よくがんばったな。そちらの会話はすべて聞こえていたよ。」


茜「うっ・・・・うぅ・・・っ」


聖人「茜、今はひとしきり泣いていい。ただ、すぐ復活してもらわないと困るんだ。なにしろ、明日から生体検査がはじまってしまうだろ?


    それまでにできうる限りの調査をしてほしいんだよ。分かってくれるね?」



  やさしく聖人が語りかけてきて、わたしは聖人との約束を思い出し、気持ちをきりかえた。



茜「わかったわ。まず何をしたらいいかしら?」


聖人「まず今君がいるまわりの風景を教えてくれないか?」


茜「まずほとんど忠実にわたしたちがいた第4セクターが再現されているわね。」


聖人「ほう・・。部屋から外にでてみてくれないか?人はいるかい?」


茜「外に出たらまた地面がないのではないかしら?まぁいいわ、出てみるわね。」



  外にでてわたしは更に驚いた。



茜「これはびっくりね・・・。外もほとんど再現されているわ。人はだぁれもいないみたい。」


聖人「ほかに気づいたことはあるかい?」


茜「そうね。感覚の話でもいい?」


聖人「感覚は大事だよ。なにか気づいた?」


茜「ここはかつてわたしたちが住んでいた第4セクターそのものじゃないかしら。かつて、と言ったのはそのまま再現されてはいるけど、なにか年月がたったように感じるの。」


聖人「ちっ・・・・やっぱりそうか・・・」


茜「なにか思い当たることがあるのかしら?」


聖人「うん、まぁおいおい話すよ。そしたら茜、ぼくらの第4セクターでは区画の移動はできないようになっていたと思うけど、移動できるか確認できるかい?」



  てきぱきと指示を与えてくれる聖人。本当にこのヘッドホンマイクがあってよかったわ・・。



茜「そうね。ここからだと、第3区画が近いかしら。移動に時間がかかるわ。自転車でいくわ。」


聖人「道中、なにかおかしなことはないかよく見渡してくれ」


茜「わかったわ。ではっ チリンチリン」



  特に変わったところはなさそうねぇ・・・・・あ、そういえば次の交差点の看板のうしろに、落書きしたっけ聖人と。それまで再現してたらすごいなぁ。



茜「聖人きいて。2人で相合い傘の落書きをした看板おぼえてるかしら?」


聖人「おう覚えてるよ?まさかそれまで再現されているのか?」


茜「そうなのよ。ただね、マジックで書いていたのがほとんど消え書けてるの。これはかなり長い年月たっていると思うわ。」


聖人「そうか。長い年月か・・・・。引き続き頼む。」



  そうこうしているうちに第3区画のバリケードにたどりついた。



茜「相変わらずバリケードはあるわ。けれど見張りはいないし、電気をきればバリケードは抜けれるかもしれないわ。ちょっと制御塔を見てくるね。」


聖人「気をつけろよ。人がいないとも限らないからな。」


茜「ありがとう聖人っ」



  制御塔はバリケードのすぐよこにあり、わたしたちのいた区画ではつねに10人以上の見張りが監視・管理をしていた。



茜「えぇと、あったこれだわ。」



  ポチッ


  ブーーーーーン



茜「やったわ。あっさりバリケードは消えたわよ。」


聖人「そうかよかったな。そうしたら茜、少し興味があるんだ。第1区画はジキル長官のいた地球防衛軍司令室だろ?そこに行ってみてくれないか?」


茜「わかったわ。確かになにかありそうね。」



  わたしは第3区画に入り、ハッっとした。



茜「ねぇ聖人。第3区画って第4区画と・・・・同じに見えるんだけど・・・・」


聖人「なんだって!?じゃあぼくらのいた4番地にいってみてくれ。さすがにそこまでは同じじゃないだろう・・・」



  はじめて焦った様子で聖人がおどろいていた。



茜「聖人・・・・ここは、やっぱり調度品は同じだけれども、、、違うわ。」


聖人「どういうことだ?」


茜「・・・・・写真立て・・・」


聖人「・・・はっ」



  聖人が息を呑む声が聞こえた。



茜「構図もなにかもおなじなのよ。でも聖人、、、あなたバンダナを巻いていないわ・・・額に・・・・」


聖人「・・・・」



  しまったな。まさか前回のタイムワープの失敗と同じ時空になっていたとは・・・。どうするか・・・話せば茜なら分かってくれるか・・・くそっ



茜「額に・・ひし形の文様があるわ・・・・」


聖人「おれが2人いるってことかい?そしてもう1人のおれは「グリーゼ581g」星人ってことかい?」



  そういえばわたしは聖人がバンダナをとったところを一度も見たことがない。


  だがしかし、今この状況下で聖人に真実を聞くのは・・・・怖い。



茜「聖人、とりあえずわたしは第1区画を目指すわ。なにかかわったことがあったらまた連絡するから、励ましてよね!」



  何事もなかったかのようにふるまおう。それが今は一番正しい選択のはずだ。



聖人「お、やる気だな!ふれーふれー茜!さぁもうすぐだ!がんばれ!」



  どうやら詮索はやめてくれたようだ。大いに助かるが、あとで大円だんになっときにはこっぴどくやられるんだろうな・・そんなことを俺は思いながら、軽口で返した。



茜「聖人、そろそろ第2区画よ。入るわね。」



  わたしは第2区画へと足を踏み入れた。



茜「ここは・・・安置室・・・・?いえ・・・コールドスリープする人の部屋かしら。」



  第2区画はタイムカプセルがずらーーーーーーっと並んでいた。


  わたしは第1区画へと続く道をカプセルの中に入っている人をちらちらと見ながらヒタヒタとあるいた。


  そのカプセルの中に意外な人物を見つけ、わたしはまたもや驚いた。



茜「あれ?あんなところに色の違うタイムカプセルがある。見てきてもいいかな、聖人っ」


聖人「いいけど手短にしておくれよ~」


茜「お父さん・・・だ・・・こっちは、お母さん・・・真ん中にもカプセルがある・・・これは・・・?」



  真ん中のカプセルは誰も入っていなかった。



聖人「お父さん、お母さんはコールドスリープ中で何年設定になっている?」


茜「1000年ね。」


聖人「じゃあ強制的に解除しない限りはまだまだだな。探検が終わったら、パンキッシュに解除をお願いしてみてもいいかもしれないね。」


茜「そうね・・・お話・・・いっぱいしたいわ・・・」


聖人「おいおい、泣くなよ?第1区画はもうすぐだ。」



  わたしは決死の思いでお父さんとお母さんのカプセルから身を上げた。


  そしてキリっと第1区画へのバリケードを見据え、ヒタヒタと歩いていった。


 

 第1区画─



茜「じゃあ、、入るわよ・・」



  わたしは第1区画へと足を踏み入れた。すると・・・何者かに突然声をかけられた。



???「おや?茜くん、だめだよこんなところまで入ってきては。」



  ダダダっ



兵士A「パンキッシュ王、伝令です!その・・・捕虜が逃げ出しまし・・・」


パンキッシュ「茜くんはほれ、そこにいる。」


兵士A「このアマ!ちょっと目を話した隙きになめたまねしやがって!ほらこっちへ来るんだ!」


パンキッシュ「わたしがここへ来るように呼んだんだ、君たちは下がっていなさい。」


兵士A「はっ!いやしかし・・・」


パンキッシュ「下がっていなさい。」



  やさしく諭された兵士たちはおずおずと去っていった。



パンキッシュ「さて茜くん、ここまで来たのは何用かな?」



  そういってパンキッシュはこちらを振り向いた。



茜「えええええええええええええええええええええええええええ」


聖人「どうした茜、何があった!」



  聖人の声が聞こえてくるが、わたしはパニック状態であわあわとしていた。



???(パンキッシュ)「茜くん驚かせたかな。わたしはハイド長官だ。」



茜「ジキル長官・・・・いえ、、、パンキッシュ王・・・・え?え?ハイド長官???」



  まったく頭が追いつかない。しかし眼の前にいるのはわたしがよく知っているジキル長官以外には見えない。



── 種明かし編



ハイド長官「順を追って説明しようか。」



  そう言えってハイド長官は話し始めた。



ハイド長官「茜くん、今いるここはどこだと思うかね?」


茜「いや、どこってここは、グリーゼ581g星でしょう?ジキル長官に命令されて、さっきパンキッシュ王もそう言ってたじゃないの。わたしを人質に出せば攻撃をやめるって約束でしょ?」



 ハイド長官は不敵な表示をし、驚こくべきことをさらっと言ってのけた。



ハイド長官「茜くん、ここはね、地球なんだよ。」



 こいつ何言ってるのかしら・・



茜「地球には地面があって海があって太陽がまぶしくふりそそいで、こんなガス星と一緒にしないでくれるかしら?」


ハイド長官「茜くん、それでもここは、地球なんだ。ただし、君のいた地球から1000年ほど未来のね。」


聖人「そこまでだ、ハイド。きさまたちは完全に我々グリーゼ581g星人の連隊に包囲されている!」

茜「はぁぁああああ?待って、聖人、ホントに聖人なの??」



 もう何が何だかわからない。わたしはもうびっくりを通り越して、眼の前にいる聖人に抱きつこうとした。



聖人「茜、悪いんだが今はそんなセンチなことをしている場合じゃないんだ。とりあえず、ハイドを抹殺しないとこの時空いや宇宙全体が滅びてしまうんだ!」



 だめだ。何も思考がついていかない・・・


 そうこうしている間に、グリーゼ581g星人の連隊はハイドをとらえ拘束し、心臓に銃口をあてて聖人の号令を待つ体制になっていた。



聖人「よし。とりあえずそのままの状態をキープ。決して、ハイドに逃げる隙を与えるな。」


茜「ええっと、聖人さん??色々説明していただけますわよね?」



 さんざ待たされたわたしは、皮肉たっぷりで聖人へ声をかけた。



聖人「何から話せばいいかな。とりあえず、俺はグリーゼ581g星人だ。隠しててごめんな。じゃあ、これから盛大な種明かしをしていくぞ。」



 聖人が言うことをまとめると次のような話らしい。


 未来をつないで行くには、それぞれ分岐点がある。


 ジキル長官は、心に闇をかかえていて、ジキル長官として生きる道・ハイド長官として生きる道、いずれかを選択する。


 ジキル長官を選択したときは、そもそも地球防衛軍は結成されない。 グリーゼ581g星人との交流はますます深まり、地球も美しい青い星を維持しつつ飛躍的な進歩をとげる。


 ハイド長官を選択したときは、未来の地球から過去の地球を攻撃する。攻撃してきているのはグリーゼ581g星人だ、とし、地球防衛軍を結成。地球のコア部分のみを残すガス星になるまで地球を焼き尽くす。


 どうして未来から過去へ向けて攻撃をするのか。


 それは、グリーゼ581g星人と人間をDNAレベルで合成クローンを作り、そのクローンへ、わたし「茜」のヒトゲノムを組み込むことで、宇宙一の頭脳・生命力・強靭力を持つNEW人類が誕生するのだとか。


 そのためには、わたし「茜」は必要不可欠であり、新鮮(子ども)であればあるほどよいのだという。


 聖人たちグリーゼ581g星人はもともと戦闘を好まない穏やかな人種で、このハイド長官のたくらみを阻止すべく、1000年のときを駆け巡り、ハイド長官と戦闘をくりひろげてきたらしい。


 しかし、宇宙一の肉体を持つハイド長官率いるNEW人類には、グリーゼ581g星の科学力をもってしも連戦連敗、そして結末は宇宙を独裁的にすべ、その頂点にハイド氏がたつ最悪な未来にしかならなかった。


 そこでグリーゼ581g星人は考えた。


 茜のヒトゲノムを取り込む前に、ハイド長官を抹殺すればいい。


 基本的にハイド長官は、子どものころのわたし「茜」を、いかなる時代にもタイムワープができるよう、タイムカプセルでコールドスリープ保管をしていた。


 そんなわたしを、グリーゼ581g星人たちは1000年前の現代へ強制送還させることで、ハイド氏の野望を打ち砕こうとしていたのだ。


 それも容易なことではなかったらしい。


 同じ時間軸で、何度も何度も失敗をくりかえし、今回奇跡的に成功したみたい。


 かくして、1000年前に強制送還されたわたしは、幼少時から今の歳になるまでなにごともなく地球で過ごしていた、というわけだ。


 しかし、1000年後のハイド長官はなんとしても、わたし「茜」をとりもどしたい。


 そこで未来から過去を攻撃し、わたしを人質条件として自分の時間軸に来るように(騙して)命じた、というわけだ。


 途中で見かけたタイムカプセルに、わたしがいなかったのは、別の時間軸で聖人に強制送還されたからなのだろう。


 そして第3区画に写真たてに、わたしが写っていなかったのは、タイムワープに失敗し、聖人だけ1000年前の時間軸にきてしまったときのままなのだという。



茜「でもさぁ聖人。それだったら、もうジキル長官が地球に生を受けた瞬間に抹殺したほうが楽じゃん?」



 当然のように聞くわたしに、聖人はこう答えた。

  


聖人「俺たちグリーゼ581g星人はよっぽどのことがなければ生あるものを抹殺することはしないんだ。今回、ハイド長官を捕らえたけど、NEW人類にならない未来を生ある限り生きてもらおうと思っている。


    もっといい解決法があったのかもしれない。だけどね、茜。人も虫も、動物も植物も。何も生み出さない、この宇宙で必要のない生命体なんていないんだよ。かならず、この宇宙に生まれたからには、


    その生命体にしかできない、その生命体がいなくてはならないなにかがあるんだよ。」


茜「聖人、なぁに神様みたいな・・・」



 ハッ・・・まさか・・・・



聖人「うん。俺たちグリーゼ581g星人は地球誕生のときから、実はかなり干渉をしている。例えば地球でいうところの古代文明。現代でも、その文明の高さは説明がつかないほどだろう?


    旧約聖書。あれもグリーゼ581g星人が未来をしめし与えたものだ。だから、君たち地球人が神として崇めているのは、俺たちグリーゼ581g星人ということになるかもしれないね。」



 もうスケールが大きくなりすぎてわけがわからない。



茜「だけど、聖人はわたしの恋人、それは変わらないわよね?」


聖人「もちろん!地球に戻ろうぜ。どこの時間軸にもどって結婚式をあげようか?」


茜「そうね、地面がある地球がいいわ!」


聖人「この第4セクターが一番思い出深いからここがいいな!信じられる?あの未来からの爆撃で星がコア以外ふっとんだのに、この第4セクターだけ無傷だったんだぜ?」


茜「何があってもここなら安心ね!わたしもここがいいわ!」



 さっとわたしは身を翻して、聖人へ口づけをした。



FIN..


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― 新着の感想 ―
[一言] 戦いのシーンが良かったです。 茜が好きになりました。
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