88話 話し合い6
覚悟を決めてリビングに戻る。
色々考えたが結果としてすることは変わらない。しっかり謝れば葉君は許してくれるはず。そう心の中で思いゆっくりとリビングの扉を開く。そこには背中を向けて座っている葉君がテレビを見ていた。背中からは表情などは分からずそれが逆に不安な気持ちを強くしていく。このままでいても仕方ない
「あの葉君、そのさっきはごめん・・・・・・」
「うん、大丈夫、その少しびっくりして・・・・・・その同じ男性としてその・・・・・・生理現象みたいなものだと思うし」
ふぅ・・・・・・よかった許してくれたみたいだ。いや、気にしていたのは俺だけで葉君自体は何とも思っていなかったのかもしれない。安心して気が抜けたように椅子に座る。
「大兄、珈琲でも飲む?まだ話は途中だったし」
「あぁ、そうだねお願いするよ葉君」
ぼーっとテレビを見ながら待っているとやかんの沸騰する音、コップにお湯を注ぐ音、そして漂う珈琲の香りに瞳を閉じて心を落ち着ける。葉君が珈琲の入ったコップを机に置いて対面の椅子に座る。葉君は珈琲は苦手らしくココアを飲んでいる。話は少しずつ進んでいく今まで話せなかったことを隠さず話していく。葉君も言えずにいたことがあったみたいでお互いの意見をぶつけるように話し合っていく。
朝が近づくにつれて今まで決めていなかったお店のことが決まっていく。営業日、売り上げ、コンセプトなど少しずつ現実味が出てくる。俺の無気力の件は葉君が『そうはならないよ』と微笑んだので背筋が寒くなりそれ以上は触れないようにした。葉君は俺と一緒に店をしないと意味が無いらしくもし俺が辞めたらお店を辞めると言った。何で俺なんかとしたいんだろうかと頭を掻きながら考えるが答えは出なかった。
眠くなったのか葉君はふらふらといつものように膝の上に乗って眠り出した。さっきあったことは特に気にしていないようだ。
今日は何だか俺も疲れた。時計を見るとすでに6時を越えていた。どうりで眠いわけだ。いつもなら葉君をベッドまで運んで寝かせるのだが今日はちょっと無理そうだ・・・・・・
俺はそのまま葉君を抱きしめながら眠りについてしまった。
ゆっくりのんびり更新します。