85話 話し合い4(奏side)
夜勤中の奏が二人のことを考える。
仕事が一段落して休憩所の椅子に座る。本当なら今頃は愛しい愛しい葉きゅんを抱き締めて抱き締めてそのまま・・・・・・
「奏先輩、気持ち悪いですけど大丈夫ですか?」
後輩の朱ちゃんに心配そうに声をかけられて私がいけない妄想に浸っていたことに気がつく。またやってしまったようだ。いけないけないとは思いつつ夫である葉きゅんのことを想像するだけでご飯を何杯でもいただける。朱ちゃんは葉きゅんと一緒ぐらいの身長で髪の長さも腰ぐらいで瞳も大きくて、私なんかと違ってとても可愛らしい女性だ。抱き心地も似ているので夜勤で恋しい時は抱き締めさせてもらっている。朱ちゃんには『私じゃなかったらセクハラですからね』と言われるけど嫌な顔を一つもせず抱き締めさせてくれる。
「奏先輩、今日って夜勤じゃなかったですよね。リーダーは助かったって言ってましたし、私も奏先輩がいたら助かりますけど」
「うーん・・・・・・今日はちょっとね葉きゅんに大事な用事があるんだよ。邪魔しちゃいけない大事な用事だから、もし仕事をしていないと直ぐにでも側に行っちゃうからね」
立ち上がり両手を組んで真上に上げて体を伸ばしてストレッチする。
ふぅ・・・・・・大のやつ思ったことをしっかりと言えてるかな・・・・・・
体はでかいくせに変な所で気が小さいからな。
だけど二人で始めるって決めたことだからなぁ・・・・・・葉きゅんが選んだのは私じゃなくて
大・・・・・・
そもそも私との結婚だって・・・・・・
二人とも大事な所を話し合わずにここまで来たんだろうなぁ。大も葉きゅんもお互いを大事にしているからこそ触れずに来たことがある。それを今日時間をかけてゆっくりと話してくれるといいんだけど。
大は正直どうなっても大丈夫。体も心も壊れないように私が痛め付けて鍛えてきた。
葉きゅんは見かけによらず精神的には強い。だけど強いからこそ精神的に弱まった時が心配だ。
泣くかもしれない、傷つくかもしれない、立ち直れなくなるかもしれない、
それは大丈夫、私が美味しくいただ・・・・・・私が慰めてあげればいい。
だけど体の繋がりはまずい。とにかくまずい。
大の馬鹿でも葉きゅんという禁断に触れてしまえば・・・・・・
二人の話し合いの成功を心の底から祈りながら休憩所から作業場に戻ることにした。
ゆっくりのんびり更新します。




