83話 話し合い2
もやもやとした気持ちを話していく。
「おかえりなさい大兄」
いつものように笑顔で葉君が出迎えてくれたと思ったが不安のせいか無理矢理笑顔をつくってくれているのが分かる。いつもと違う表情に無理をさせてしまっていることを申し訳なく思う。ちゃんと自分の考えを伝えよう。それが葉君のためでもあり自分のためでもある。
リビングに向かうといつもはしない焦げ臭い匂いのする料理が並べてある。葉君が申し訳なさそうにしている姿を見ているのが辛く椅子に座り手を合わせて用意されたご飯を食べる。胃の中に流し込むように用意されたご飯を食べる。こんな状態にさせてしまった自分を情けなく思い、いつも以上におかわりをした。
「大兄どうぞ」
「ありがとう葉君。いつもは送らないメールを送って心配させてごめん」
葉君がいれてくれたお茶を飲みながらゆっくりと話はじめる。
「葉君、最近考えるんだ・・・・・・自分が本当にお店をやっていけるかって。葉君と二人でするのが嫌というわけじゃなくて何に対しても無気力な俺が続けていけるのか心配なんだ。それで葉君が無理をしてしまうんじゃないかと」
いつもは膝に乗ってくる葉君が対面の椅子に座り綺麗な瞳で俺を見つめて答える。
「僕は大兄と一緒に仕事が出来るんだったら何でもいい」
「何でもいいってことはないだろ葉君。二人でやっていくお店なのに葉君にばかり負担がかかってしまう可能性があるって話をしているんだよ。だから・・・・・・」
「だから何、だから何、だから何、だからやめるの、僕と一緒じゃ嫌なの、やりたくないの、僕が嫌いだから?ねぇ・・・・・・答えてよ大兄。答えて大兄!!」
そう叫んだあとに小さい体を震わせて泣き始める。
何をしているんだ俺は・・・・・・こんな風に葉君を悲しませるつもりはなかった。結果として泣かせてしまっている。泣かせないために話し合いをしようとしたのに泣かせてしまった。そんな葉君を見て俺の体は勝手に動いた。葉君の後ろにまわり包み込むように抑えるように無言で抱き締める。腕の中でジタバタと動き腕に爪を立てて逃げ出そうとする葉君を筋肉という力でねじ伏せる。
何分そうしていたかは分からない、葉君が大人しくなったので抱き締める力を弱くする。
「葉君、落ち着いた?」
「はい、ごめんなさい。僕・・・・・・今日変みたいで・・・・・・」
「ごめん、俺も気持ちが纏まっていない状態で話してしまって。だけどこの先のことでお互いの気持ちを話し合うことは凄く大事なことだと思うんだ。言葉を上手く伝えられないかもしれないけど今日はいっぱい話そう葉君」
頷く葉君を見て席に戻ると葉君はいつもの指定席の俺の膝の上に自然と座る。こうして話し合いが進んでいった。
ゆっくりのんびり更新します。




