82話 話し合い(葉side)
話し合いに向けて色々考える。
『大事な話がある』
大兄からのメールを見てから妙な胸騒ぎがした。大兄からこんなメールを貰ったことは一度だってない。今日の朝だっていつも通りだったし、最近変なことはなかったと思う。考えすぎかもしれないけど凄く嫌な感じがした。このメールを見てからほとんど仕事に身は入らずあの店長にさえ心配されて電車に揺られて帰ってきた。
何もない。
いつも通り。
勘違い。
そう自分に言い聞かせるように料理を作っているがいつもはしないミスをしてしまい台所が酷い有り様になってしまっている。はぁ、情けない・・・・・・こんな状態で話ができるだろうか・・・・・・失敗作の料理を見つめて溜め息をつく。大兄はあと少しで帰ってくるはず。それまでに料理を作り直していつもの僕で大兄に会わないと大兄が話し辛くなるかもしれない。
両手で自分の頬を叩いて気合いを入れて料理を作り直す。
もし大兄が僕と一緒にお店をやるのを辞めたいと言ったら・・・・・・
少し想像しただけで目眩がする。
最初に一緒にお店をやってくれると言ってくれた時に、本当に嬉しかった。でも何となく不安な気持ちもあった。大兄は考えすぎるところがある。お店のことを話していくうちに色々なことを心配していることは分かった。僕がお店を辞めて一緒に準備をしようと言ったけど、奏さんに悪いからと許してはくれなかった。人のことばかり考えて大兄の心配は誰がしてくれるんだろう?僕は守られてばかりで誰も守れていない。今回の話だって僕だけが乗り気で本当は大兄は嫌だったかもしれない・・・・・・
頬を手の跡がつくくらいに思いきり両手で叩く。
悪い方にばかり考えるのはよくない。大兄の気持ちを聞いていないのに勝手に自分で悪い方に考えてどうするんだ。
大兄とゆっくり話そう。
それがどんな結果になっても・・・・・・
玄関が開く音がする。
「ただいま」
話し合いの夜はゆっくりと始まった。
ゆっくりのんびり更新します。




