79話 異世界にて6
店の中で小休止。
村の人達の雰囲気が男達を怪しむ視線に変わり少しずつ男達を追い出そうとする雰囲気に変化していく。男達もその場に居辛くなってきたが周囲を囲まれているのでどのように逃げ出せばいいか一生懸命考えている。山田さんの手から離れたガリィが大柄な女性に攻撃しようと飛びかかろうとするのを抱き止める。暴れないようにいつも以上にきつく抱き締めるとすぐに大人しくなってくれた。
「皆さん、お騒がせしてすみません。マスターの調子が悪くて今日はお店をできないんです。それで今日は皆さんに楽しんでもらおうと思って催しものをやってみたんですがどうでしたか?」
ガリィを肩に乗せて彼女の肩に手を回して肩を組み周囲に催しものだったとアピールする。しばらくすると村人の間に漂っていた緊張感が消えていつもの賑やかな雰囲気が漂う。
ここで争ってもいいことは一つもない。そもそもここはマスターのお店だ。マスターが不在の中で問題を起こすわけにもいかない。それに殴ってきた相手からは殺意は感じなかったし小柄な男も理由は分からないが悪い人のようには感じなかった。
「驚いた。意識を失わなかった相手はいたけど、一歩も退かない相手は初めてだった」
「あなたが本気を出していたらだめでしたよ。殺す気で来ていたら倒れていましたよ」
店の中に入り俺の作ったお酒の味見をしてくれている。美味しいとは言ってくれるがガリィに美味しくないと言われて気を使わせてしまったことを悪く思う。
「ふぅ・・・・・・大・・・・・・無理はしたらだめ。あと傷と筋肉凄い」
こっちの世界では魔法というものがあるらしく、ラビィが兎耳をピクピクと動かしながら攻撃を受けたお腹を小さい手で撫でて治してくれている。先程まで走っていた痺れと火傷が嘘のように引いていく。つくづく異世界というものの凄さに驚く。逆にこの力は元の世界では様々な争いに巻き込まれる気がして管理者という仕事の重要さを再認識させられた。
治療が終わったはずだがラビィの手は腹筋を触ったままだった。
「あの、ラビィもう大丈夫だ・・・・・・」
「だめだ、こんなエッチな筋肉をしている大が悪い」
そういえばガリィの種族は大柄で筋肉質の男が好みのタイプだったっけ。いつの間にかガリィも加わって抱きついて筋肉を触ってくる。男相手で悲しいがもしかすると俺のモテ期が来ているのかもしれない。
「大の旦那さん。何で私たちを庇うような真似をしたんですか?」
椅子に座って同様にお酒の味見をしてくれている小柄な男が声をかけてきた。
ゆっくりのんびり更新します。




