76話 異世界にて3
今夜のことを考える。
プルプルの背中の上に乗せてもらいながらもずっと今日の夜のことを考えている。二人だけのことでもないし奏にもメールしておこう。
「大、大、聞いてるか?」
ふと我に帰るとガリィの顔が目の前にあった。ガリィの可愛らしい顔から顔を遠ざけるようにすると不満そうにこちらを睨んでくる。
「むぅ、大はガリィのこと嫌いか?すぐ避ける」
「ガリィを嫌いになることなんてないよ。ガリィは俺の先生だしね」
機嫌を直してもらう為に頭を撫でる。卑怯と言われるかもしれないがこうすると葉君と一緒でガリィの機嫌が直ることも多いのでこうすることが増えている。
「大の好きな人ずるいぞ。ガリィだって大が好きなのに」
「ははっ、冗談でも嬉しいよガリィ。俺なんかの側にいてくれる凄い子なんだよ」
そういうとガリィが首筋に噛みついてくる。ガリィが怒るとこうされるのだが何か怒らせるようなことを言っただろうか。噛みつかれたままで考えるが答えは出てこなかった。
「大はすぐ自分を悪いふうに考える。それは良くない、良いことなんて一つもないぞ。もし大のことを全員が嫌いになったとしても、ガリィは大のことが大好きって言えるぞ!!」
その言葉を聞いて不覚にも泣きそうになってしまう。自分に言い訳して自分を下に落として何かあった時にダメージを少なくするように生きてきた。今となっては思い出せないがもしかすると昔はやりたいことがあったのかもしれない、それが出来なかった時に立ち直れるか心配で避けていった。それが繰り返し繰り返し俺の中で普通になり気がついたら無職の俺がいた。そんな俺の近くにいてくれる葉君や奏や鈴君に甘えてしまっていた。その大切な相手を困らせるわけにはいかない。
首筋に噛みついていたガリィの頭を撫でて力を弱めてから振り替えるとガリィの可愛らしい顔が近くにある。
「ガリィ、ありがとう。もし葉に嫌われて別れたら俺の一生をかけてガリィを幸せにするよ」
そういって強めに抱き締める。ガリィに背中を押された感謝の気持ちを伝える。
「がぁ・・・・・・るぅ・・・・・・」
珍しくガリィが大人しくしている。あぁ、そうかそうだよな。こんな加齢臭のするおっさんに抱き締められたら嫌に決まっている。ついつい勢いで抱き締めてしまったことを悪く思い離れようとしたがガリィが離れられないようにがっちり抱きついていた。
んっ・・・・・・もしかして怒ってる?
「村まで・・・・・・このまま」
ガリィがそういうならとプルプルに揺られながら殴り飛ばされることを覚悟しながら町まで向かうことにした。
ゆっくりのんびり更新します。




